送られて、僕はチャラと一緒に魔王城を後にした。 以下为收费内容(by http://www.prretyfoot.com)訳が分からないままに、殺し合いゲームが始まって4日目。 40名いたクラスメイト達はもう28名にまで減っていた。 携帯端末がけたたましく軍艦マーチを奏でる度に寿命が縮まるような思いをし、逃げ惑い、息を潜めて潜伏する生活による疲労感に、ずっしりと体が重い。 大して走った訳でもないのに息が上がり、気が遠くなってくる。 「どうしたの、凌ちゃん」 急かすような声に傍らを見れば、俺と同じように茂みの陰にしゃがみこんだ女生徒の、やや険を感じさせる眼差しと目が合う。 石狩愛菜。 クラスメイトであり、俺の恋人でもある。 こんな糞みたいな状況の中で、彼女と合流できたのは不幸中の幸いだった。 彼女と一緒なら、この状況でもなんとか乗り越えられる。 「早くしないと」 愛菜は焦りを含んだ声音で囁き、茂みの向こう側へと視線を向ける。 それを追うように視線を向けた先には、小さな小川が流れていて。 その小川で、一人の女生徒が水浴びをしていた。 少し離れたここからでも、素晴らしいプロポーションと透き通るような白い肌が目に眩しい。 佐倉井君華。 周囲を警戒するように視線を配りながら、何かの布で体を拭っている。 川岸には、リュックと彼女のものであろう制服が畳んで置かれていた。 こんな状況で全裸になって水浴びをするなど、危険極まりないが、気持ちはわからないではない。 汗や泥にまみれながら駆けずり回る4日間、当然ながら風呂に入る事などできなかった。 精々、濡らしたタオルで拭くぐらいしかできないのだから。 俺自身、できるならば思い切り風呂で手足を伸ばしたい。 男の自分でさえそうなのだから、女子なら猶更だろう。 だけど、これは千載一遇のチャンスだった。 「今なら、武器も持ってないはず」 「そう………だな………」 「佐倉井さんは斎藤君と鏑木君を殺してる。なら、きっと彼らの分の食料も持ってるはず………」 俺たちがこうして茂みに潜んでいる理由はただ一つ。 佐倉井君華を拘束し、彼女が持っているであろう食料を奪う事。 ゲーム開始時点で3日分の食料を支給されたものの、俺と合流する前に愛菜は端末と支給武器である手錠以外の荷物をリュックごと川に落としてしまっていたのだ。 その後、俺の食料を分け合ってきたが、それも一昨日で尽きてしまい、昨日から何も食べていない。 体が重いのも、気が遠くなってくるのも疲労感ばかりが原因ではなかった。 「凌ちゃんが佐倉井さんの気を引いて、その間に私が荷物を奪うから」 「わかった」 愛菜の言葉に頷き、ぐっと腹に力を込める。 「行くぞ」 「うん、気を付けて」 愛菜の言葉を背に受けながら、俺は茂みを飛び出した。 「―――っ!」 その音に、佐倉井さんがびくっと肩を竦めながらこちらを振り返る。 「きゃっ!」 俺と、俺の背後から飛び出して川岸の荷物へと向かう愛菜の姿を見て、佐倉井さんは咄嗟に胸と股間を抑えてその場にしゃがみこむ。 本当なら、真っ先に荷物へと駆け戻るべきだったろう。 だが、訓練を受けた訳でもない普通の女子に、そんな判断は難しい。 目に入ったのが、男の俺であれば猶更だ。 クラスメイトに………いや、佐倉井さんに恐怖感を抱かせるような行動をしている事にチクリと胸が痛む。 俺は右手に支給武器である短刀、左手に愛菜の支給武器である手錠を持って、ゆっくりと佐倉井さんの方へと歩み寄る。 「お願いっ、こ、殺さないでっ!!」 佐倉井さんは恐怖に引き攣った眼差しを俺に向け、河底に座り込んだまま後退する。 こんな状況なのに、その白い柔肌や起伏に富んだ素晴らしい肢体に思わず生唾を飲み込んでしまう。 きっと、今の自分の目はぎらぎらと光っているのだろう。 「殺さない。殺さないから。食料を分けて欲しいだけなんだ」 そう言いながら、舐めるようにその肢体を見てしまう。 それはもう、抗いようのない男の本能だ。 「凌ちゃん、早く手錠を!」 川岸から愛菜が金切り声を上げる。 その声に、はっ、と我に返った。 今は、こんな事をしている場合ではない。 「お願いだから、じっとしてて………」 俺が持っている短刀に恐怖の視線を向けつつ、佐倉井さんは小さく頷いてくれた。 内心でホッと安堵の息を吐きながら、佐倉井さんの後ろに回り、後ろ手に手錠をかける。 「立てる?」 「な、なんとか……でも……その………」 俺の問いに頷きつつも、佐倉井さんは立ち上がろうとしない。 その頬が紅潮しているのを見て、俺も体温が上昇するのを感じた。 「そ、そうだよね……え、ええーと、ま、愛菜。た、タオルとかないか?」 「なんで?」 「だって、その………隠さないと可愛そうだろ」 俺の言葉に、愛菜がわかりやすく顔を顰める。 舌打ちぐらい打っているかもしれない。 「そんな優しくしてあげる必要なんてないでしょ。佐倉井さんはもう二人も殺してるんだよ?」 「ち、違うのっ!私は………」 愛菜の言葉に、佐倉井さんが激しく首を振る。 「私は殺すつもりなんてなかったのっ」 「白々しい。そりゃ、みんなそう言うでしょうよ」 「お願い、前田くん………信じて………」 「っ………」 肩越しに振り返り、上目遣いに見上げられると、とくん、と鼓動が高鳴った。 (くそっ、やっぱり可愛いな………) 実を言えば愛菜と付き合う前、俺は佐倉井さんに惚れていた。 告白をした事もある。 残念ながら振られてしまい、愛菜と付き合うようになってからは佐倉井さんに対する恋心を思い出す事もなくなっていたのだが。 あられもない姿で、自分に縋るような眼差しを向けてくる佐倉井さんの弱弱しい姿を見ると、心の奥深くに仕舞い込んでいたはずの感情を思い出してしまいそうになる。 「あんたが二人を殺した事は、キル情報でクラスメイト全員が知ってんのよ。現に―――」 愛菜が、佐倉井さんの荷物の中から何かを取り出す。 それは、黒光りする黒い塊。 「こんな拳銃なんか持ち歩いてるじゃない」 「それはっ…でも違うの……私は……」 「待てよ、愛菜。そんな一方的に責めちゃ、いくら何でも可哀想だ。それに、キル情報によれば斎藤は毒殺、鏑木は絞殺だった。銃殺じゃない」 「なんで庇うのよっ!」 愛菜がヒステリックに声を上げ、拳銃を佐倉井さんに向ける。 「そんな女、別にここで殺したっていいんじゃない!?」 「落ち着け、愛菜!」 「私は冷静よっ!」 そう言い張る愛菜は、どう見ても冷静ではなかった。 「荷物の中に食料は?」 「な、ないけど………」 「嵩張るからどこかに隠してるんだろう?」 俺の問いに、佐倉井さんがこくん、と小さく頷く。 「ここで殺しちゃったら、食料の場所も分からなくなるぞ。それに、銃声なんてでかい音、目立ちまくりだ」 「そ、そうだけど………」 「それに決めただろ。こんなことになっちゃったけど、俺たちは沢村の言う通り、殺し合いなんかしないって」 「けど………!」 「人を殺して生き残って、それでも普通に生きていけるなんて俺は思わない。俺は生き残って、お前と一緒に生きたいんだ」 「っ………そ、そんな事言って……本当は佐倉井さんを守りたいだけでしょ!」 きっ、と眦を釣り上げて、拳銃の銃口を今度は俺に向ける。 「っ、愛菜………」 恋人に拳銃を向けられるというのは、思った以上に衝撃だった。 「私、知ってるんだからね!凌ちゃんが昔、佐倉井さんの事好きだったのっ!」 怒りに震えながら叫んでいるように見えたが、愛菜の心は泣いているようだった。 佐倉井さんの姿を見て、一瞬でも昔の感情を思い出しかけた自分をぶん殴りたくなる。 「……確かにそうだ。でも、今は違う。落ち着け、愛菜。俺はお前の彼氏だ」 「っ………」 愛菜の、夜叉の様に吊り上がった眦に見る見る涙の粒が盛り上がり、頬を流れ落ちていく。 そのまま、へなへなと座り込んでしまう。 こんな状況で、平静でいられるはずがないのだ。 それでも、愛菜は愛菜だ。 ぐすんっ、と鼻を啜りあげた後、佐倉井さんの荷物の中からタオルを取り出し、こちらに投げてくる。 真面目で、優しくて、気配りができる。 俺はそんな愛菜の事を好きになったのだ。 タオルを受け取り、佐倉井さんの肩にかけてやる。 「あ、ありがと、前田くん………」 血の気を失い、蒼く染まった唇を震えさせながら感謝の言葉を呟く佐倉井さんを連れて、陸に上がり、愛菜が濡れた体を拭いてから服を着せてやる。 それから俺たちは、佐倉井さんの案内で彼女が食料を隠しているという隠れ家に向かった。 佐倉井さんの隠れ家は林の中に隠れるようにひっそりと建つ小屋だった。 その外に、二つの土饅頭があった。 「これは………?」 半ば、それがなんであるのかを悟っている表情で、愛菜が問う。 「斎藤くんと鏑木くんの………せめて、お墓だけでもって思って………」 伏し目がちにそう答える佐倉井さんを見ていると、彼女が二人を殺したとは到底思えなかった。 愛菜と二人、土饅頭に手を合わせる。 それほど仲が良かった訳ではないが、それでも顔も名前も知っている二人だ。 しんみりとした気持ちにはなる。 それから小屋の中に入り、まずは佐倉井さんの荷物を調べる事とした。 荷物の中には、髑髏マークが書かれた小瓶が2本あった。 いずれも空で、佐倉井さんの話によれば、この小瓶に入っていた毒を斎藤や鏑木に飲ませたのだという。 斎藤はそれで済んだが、鏑木に関しては、それでも暴れたために仕方なくロープで絞め殺したそうだ。 本当かどうか確かめようもなかったが、筋の通った説明だとは思った。 佐倉井さんが持っている武器はそれだけだという事だったが、愛菜が、佐倉井さんは信じられないというので念入りに調べた。 しかし、その他には携帯食料や箸、フォーク、携帯端末などがあるばかりで、川原で取り上げた拳銃以外にめぼしい武器は見つからなかった。 それから佐倉井さんが隠していた食料を分けてもらい、三人で食べ、少し近況を喋っている間に、とっぷりと日は暮れてしまった。 久しぶりに、腹が満たされた事で、次に襲ってきたのは猛烈な眠気だった。 「俺が見張りをしとくから、愛菜は寝てていいぞ」 「うん。ごめん………ちょっと休む。2時間で起こして。交代するから………わかってると思うけど、佐倉井さんに何言われても手錠を外しちゃダメだからね?」 そう言って、愛菜は佐倉井さんに借りた毛布に包まって横になり、すぐに規則正しい寝息を立て始めた。 「見張りって………外の?それとも………私の?」 「両方」 佐倉井さんの言葉に、ぶっきらぼうに言葉を返す。 誰かに発見される可能性を考えると、火を焚くのも危険だ。 暗い小屋の中で、光と言えるものは窓から射し込む月光だけ。 その月光に照らされる佐倉井さんは、まるで天使か女神かと思うばかりの美しさだった。 思わず見蕩れてしまいそうになって、そっぽを向く。 そのまま沈黙が続いた。 「聞かないの?」 1時間ほども重苦しい沈黙の時間が流れた後、おずおずと佐倉井さんが聞いてくる。 「何を?」 「斎藤くんや鏑木くんの事」 「どうして殺す事になったかって?」 「そう」 「………。いや、いい」 「じゃあ、信じてくれる?私が殺したくて殺したんじゃないって事」 そう言って、じっとこちらを見つめてくる佐倉井さん。 その綺麗な瞳からは、嘘を感じ取る事はできなかった。 「それはわからない。でも、こんな状況じゃ、誰も平静でいられなくなってもおかしくはないと思う。あの二人だって………」 斎藤にしろ鏑木にしろ、大人しい生徒だった。 だが、こんな状況で、あの二人が佐倉井さんを襲わないとは限らない。 それを、佐倉井さんが返り討ちにしたんだとしたら、それを責める事は出来ないだろう。 細かい経緯を聞いたところで、二人が生き返るわけでもない。 それに、人を殺すに至った経緯など、聞きたくもなかった。 特に、佐倉井さんの口からは。 「ありがとう、前田くん」 「ああ。気にしなくていいよ」 (俺だって……もし愛菜と合流できていなかったらどうなっていた事か………) 「うん……でね、その………」 毛布に包まったまま、佐倉井さんが言い難そうに言葉を濁す。 「どうしたの?」 「その……石狩さんが起きるまで我慢しようって思ってたんだけど………」 「………?」 「お、お花摘みに………」 「っ…と、トイレか……」 「う、うん」 「えーと………」 それはまずい。 だが、すやすやと寝息を立てている愛菜を起こすのはさすがに可哀想だった。 「ちょっとの間だけ、手錠を外してくれない?」 「それは………ダメだ。愛菜にも言われてるし」 「そう、だよね………じゃあ………」 佐倉井さんが顔を真っ赤にする。 それを見て、俺の頬も火照ってくる。 「い、一緒に来て…くれる?」 「う………し、仕方がないもんな……生理現象だし…うん、わ、分かった」 一瞬、逡巡はしたものの、この切迫した状況では恥ずかしいだのなんだのとは言っていられない。 佐倉井さんを立たせ、小屋の外の茂みへと移動する。 「汚れちゃうから………スカートと下着、脱がしてもらっていい?」 「えっ………そ、それはっ………」 佐倉井さんの申し出に、パニックになる。 だが、冷静に考えてみれば、当然の事だ。 「お願い」 そう言う佐倉井さんの顔は真っ赤だ。 それはそうだろう。 こんなお願い、佐倉井さんが一番恥ずかしいに決まっている。 「わ、分かった………」 「あまり、見ないでね」 「お、おお、勿論………」 動揺で声が上擦ってしまいながら、スカートのホックを外す。 スカートが足元に落ちて、ピンク色の可愛らしいレースがあしらわれた下着と透き通るように白いぷりっとしたお尻が視界一杯に広がる。 (す、すげぇ………) くびれからヒップにかけての美しいラインに、思わず感動してしまう。 「し、下着も………お願い」 「あ、ああ………」 はぁ、はぁ、と思わず呼吸が荒くなってきてしまった。 どきどきと高鳴る鼓動を抑えながら、下着をずり下げ、佐倉井さんに片足ずつあげてもらって脱がせる。 見ないようにしようと思ってはいたが、綺麗に整えられたアンダーヘアにどうしようもなく鼓動が高鳴り、生唾が込み上げきてしまう。 見えたのは一瞬だったが、はっきりと脳裏に刻まれた。 「ちょっと待ってて」 そう言って佐倉井さんは茂みの向こう側へと消え、ややあって水音が聞こえてきた。 (今、あの佐倉井さんが………) 想像しかけて、慌てて首を振る。 俺は木の幹に寄りかかり、なんとか荒い呼吸を整えようと努めた。 「その……あんまり音、聞かないでね……」 「あ、ああ、勿論……」 佐倉井さんの言葉に頷き、音から意識を逸らす事ができそうな何かを探す。 その結果、俺の意識はスカートと共に掌中にある佐倉井さんの下着へと向かう事となった。 (これが……佐倉井さんの……ぱ、パンティ……) すべすべの感触に、微かに残る佐倉井さんの温もり。 この布が、佐倉井さんの大事な場所を包んでいたものだと思うだけで、鎮めたはずの鼓動がより強く激しく高鳴っていく。 ほとんど本能的に、パンティを鼻先まで持ち上げて、深く息を吸ってしまう。 「ふわぁぁ………♥♥」 クラスの男子の間で佐倉井さんはいい匂いがすると評判だった。 香水なのか、柔軟剤なのかはわからないが、普段から彼女の周囲に漂っているいい匂い。 パンティからはそれをより濃密にしたような香りがした。 息を吸う度に、香りが肺を満たし、血管を通って全身に運ばれ、脳髄を蕩けさせていく。 股間に急速に血が流れ込み、痛いほどに勃起してしまう。 (あぁ……♥♥……こんなの……ダメなのにぃ……♥♥) そう思えば思うほど、深呼吸はより深く、早くなっていき、口の中に涎が溢れだしてくる。 勃起した股間が疼いて堪らない。 思わず右手が股間に伸びる。 その時。 「お待たせ」 茂みの向こうから、佐倉井さんが姿を現した。 「っ……う、うん」 俺は咄嗟にパンティを後ろ手に隠し、短く頷く。 「じゃあ………その……履かせてくれる?」 「う、うん………」 勃起しているせいで先程よりも動きにくかったが、それでも何とか下着とスカートを履かせる。 「ありがと」 「い、いや……早く戻ろう」 「待って」 「え?」 罪悪感からくる焦燥感に急かされながら歩き出しかけた足を止めて振り返る。 「それ………私のせい………だよね?」 「っ………」 おずおずと尋ねられて、脳が沸騰しそうなほどの猛烈な羞恥心に襲われた。 佐倉井さんの視線の先に、はっきりとテントを張った股間があったから。 「そ、こ、これは、そのっ………」 「だ、大丈夫、だよ。その……男の子、だもんね………」 しどろもどろになる俺と同じぐらい、佐倉井さんの顔も真っ赤だった。 「でも、そのままだと辛い………んだよね?」 「う、それは………」 「ま、任せて………私がすっきりさせてあげるから……」 「そ、それってどういう………」 動揺のせいで、硬直していると、佐倉井さんはなぜか後ろを向いて、そのまま俺に向かって後退してくる。 思わず、俺も1歩、2歩と後退するが、すぐに木にぶつかってしまう。 そして、避ける間もなく、佐倉井さんの身体が密着してきた。 「あ………」 髪からふわりと立ち上る香りを感じた次の瞬間、股間に、柔らかなお尻が押し付けられる。 そのまま、佐倉井さんが体をこすりつけるように上下に動かし始めた。 「あっ♥ちょっ♥んんっ……♥」 ぎこちない動きだったが、数枚の布越しに裏筋を擦られる感覚は甘い快楽となって背筋を駆け上っていく。 「んひっ………♥」 何とか佐倉井さんを押しのけようと肩に手を置いたものの、「のの字」を描くように腰を動かされると、力が抜けてしまい、それ以上押しのける事ができなかった。 意図しての動きではなく、偶然の動きなのだろうが、様々な角度から与えられるヒップの柔らかな感触が複雑な快感を齎してくれる。 「前田くんのおちんちん、凄く硬くて、熱くなってる………こんなことするの初めてだから……うまくできてるかな?」 「う、うんっ、す、凄くっ……♥♥」 「ちゃんと気持ちいい?」 「き、気持ちいい……気持ちいいよっ……♥♥」 口の端から涎が零れ落ちていき、ペニスの先端からも、我慢汁が溢れだしていく。 「よかった♥」 佐倉井さんが肩越しに俺を見上げて、嬉しそうに微笑む。 (か、可愛いっ………) その可愛らしさに、ずぎゅんっとハートを撃ち抜かれるような擬音が脳内に轟いた。 「で、でも、俺には、愛菜が………」 何とか抵抗しようと愛菜の名を出すが、 「今は気にしないで♥前田君もおしっこするだけだよ♥」 「お、おしっこ………」 「そ。白いおしっこ♥」 佐倉井さんが甘い声で囁き、ふるふると頭を横に振る。 「ふわぁ……♥♥」 その髪から立ち上る甘い香りを吸い込むと、余計に脱力してしまう。 早くもコツを掴んだのか、佐倉井さんの腰使いは徐々に滑らかになっていき、巧みに性感を刺激していく。 溢れた我慢汁がズボンを濡らし、棹に絡みつき、佐倉井さんの腰の動きに合わせてぐちゅぐちゅと卑猥な水音を奏で始める。 いつしか、俺自身も、佐倉井さんに向かってかくかくと腰を振ってしまっていた。 二人の動きによる相乗効果で、快感がどんどん膨らんでいく。 あっという間に睾丸がきゅっと上がってきて、絶頂へと追い上げられてしまう。 「あっ♥あっ♥……さ、佐倉井、さんっ♥♥お、俺ぇぇっ……♥♥」 「白いおしっこ、出ちゃいそう?」 「出るぅっ♥出ちゃうぅっ♥♥」 「だぁめ♥」 「えっ………」 射精に備えて全身に力を込めた途端、佐倉井さんが腰を離してしまう。 射精寸前でお預けを食らって、切なさが込み上げてくる。 「な、ど、どうして………」 「だって、ズボンの中で出しちゃったらシミになっちゃうし。匂いで石狩さんにも気付かれちゃうよ?だから………」 後ろ手に手錠をかけられたまま、佐倉井さんが器用にジッパーを下ろし、我慢汁によってぬるぬるになったペニスを掴みだす。 「ちゃぁんと、外に出さないと♥」 そう言いながら、俺の左側に移動し、右足で器用に体重を支えながら、左足を持ち上げる。 「知ってる?膝裏の窪みって、ひかがみって言うんだよ?でね、こうやって、ひかがみとふくらはぎでおちんちんを挟んであげるのも、気持ちいいんじゃないかなって思って♪」 「あっ♥あっ♥そ、それっ、凄くっ、き、気持ちいいっ………♥♥」 絶妙な柔らかさと弾力が齎す極上の快楽によって、がくがくと体が震えてしまう。 「ほら、ぎゅっ♥ぎゅっ♥って、締め付けてあげる♥♥」 「あぁあっ、こ、これ凄いぃぃぃぃっ……♥♥」 「ふふ、凄く気持ちよさそうな顔。もしかして、結構溜まってた?ゲーム始まってから、石狩さんには気持ちよくしてもらってないの?」 「あうっ♥……そ、そんな事してないっ……あひぃっ♥」 「そっか♥……じゃあ、凄く溜まってるんだね♥」 俺の肩にちょこんと顎を載せて、佐倉井さんがふふふと笑う。 その笑い声が耳朶を震わせ、ぞくりとしてしまう。 「因みに、こういう事、石狩さんにしてもらった事はある?」 「な、ないぃぃっ……♥♥」 「そうなんだ。普段はどんな感じでエッチするの?」 「ふ、普通に……するだけぇぇっ♥♥」 「正常位だけ?」 「そ、そうぉぉぉっ……♥♥」 「そうなんだ……ぺろっ♥はむっ♥じゅるっ♥」 「んひぃぃぃっ♥♥」 「こうやって、耳を責められるのも初めて?」 「は、はじめてぇぇっっ……♥♥」 「ふふ。今の前田くん、凄く可愛い顔してるよ。じゃあ、こんな顔も石狩さんは見た事ないんだよね。私が初めてだと思うと、嬉しいな♥」 「あっ♥あひっ♥こ、こんなのっ♥す、凄すぎぃぃぃっ……♥♥」 「じゅるるるっ♥♥そんなに気持ちいい?」 「気持ちいいっ…♥♥……気持ちいいからぁ………♥も、もうっ♥もうっ、出るぅぅぅっっ……♥♥出させてぇぇぇっ♥♥」 「ふふ、いいよ♥ぎゅっ♥ぎゅっ♥って締め付けてあげるから溜まってる精液、どびゅどびゅ出していいよ♥」 しゃぶられて敏感になってしまった耳に注がれる、甘い蜜のような言葉に、睾丸が一気にせり上がり、白濁液が昇ってくる。 「ほら、石狩さんに見せた事のない可愛くて、情けな~い顔を見ててあげるから………イって♥」 「あああああああっっっ♥♥」 佐倉井さんの言葉がトドメとなって、俺は絶頂へと押し上げられた。 どびゅんっ♥♥びゅくんっ♥びゅくんっ♥びゅるるるるっ♥♥びゅくびゅくっ♥♥どびゅるるるるっ♥♥ 数日ぶりに解き放たれた大量の精液が、周囲の茂みを白く染めていく。 射精の最中も佐倉井さんは拍動のタイミングに合わせてぎゅっぎゅっとペニスを締め付け、最後の一滴まで搾り尽くしてくれた。 圧倒的なまでの開放感と充足感に一人では立っている事も出来ず、なんとか木に寄りかかって体を支える。 「すごーい………いっぱい出たね。気持ちよかった?」 周囲に飛び散った白濁液を見て感嘆の声を上げる佐倉井さん。 その質問に、俺は嘘偽りなく正直に頷いた。 「はぁはぁ………ああ、凄く………こんなに気持ちいいの初めてだ……」 「もう、そんな事言ったら石狩さんが可哀想……でも、嬉しい♥……ふふ、でも、前田くんのおちんちん、まだ硬いままだね」 「っ………」 佐倉井さんの指摘の通り、これほど激しい射精をしたにも関わらず、ペニスはギンギンにそそり立ったままだった。 佐倉井さんは膝立ちになって、至近距離でペニスを見つめる。 「凄い……血管もこんなに浮き出て……おちんちん、こんなに間近で見るの初めてだから………なんだか凄くドキドキする………」 うっとりとペニスを見つめる佐倉井さん。 その表情と熱を帯びた吐息がペニスに降りかかる感覚に、俺の鼓動も高鳴り、ペニスはより硬さを増し、ぴくぴくと震える。 「これじゃまだ戻れないよね………」 上目遣いに俺を見つめながら、唇をゆっくりと舌で湿らせる。 「ね。石狩さんにお口でしてもらった事はある?」 「な、ない………」 「ふふ、そうなんだ♥」 嬉しそうに微笑み、たっぷりと唾液を纏った舌を伸ばす。 その淫らな光景に、ごくりと生唾を飲み込む。 「舐めてもいい?」 「うっ………」 改めて確認されてしまうと、脳裏に愛菜の顔が浮かび、罪悪感に胸が痛む。 だが、かつて憧れた美少女が、欲情に蕩けた眼差しを浮かべながら、許しを請うように舌を伸ばしている様に、痺れるような愉悦を感じ、罪悪感は押しのけられていった。 「お、お願いします………」 「はぁい♥」 れろぉっ~と、柔らかな舌が裏筋を舐め上げていく。 「おふっ……♥♥」 後ろ手に木の幹を掴み、嘆息を漏らす。 思わず天を仰ぐが、 「前田くん、ちゃんと私を見て♥」 カリ首の辺りをちろちろと舐められながらそう言われて、なんとか視線を下ろす。 俺を見上げる佐倉井さんの綺麗な瞳に魅入られながら、その柔らかな舌が、唇が、ペニスのあちこちを這い回り、吸い付いていく淫らな光景をまざまざと見せつけられる。 「初めて女の人におちんちんをおしゃぶりされる処、一生覚えていられるように、よぉく、見ててね♥」 あ~ん、と大きく口を開いて。 佐倉井さんの唾液によっててらてらと輝くペニスがずぶずぶと可愛らしい口内に収められていく。 その光景を、俺は一生忘れないだろう。 「あぁっ♥ぬ、ぬるぬるしてぇっ……♥♥」 佐倉井さんの口の中は、まるで地熱で温められた底なし沼のようで。 頬粘膜、舌、唇による適度な締め付けとペニスが溺れるほどの大量の唾液によって、まるでこのまま溶けていってしまうのではないかと言う気にさえさせられる。 佐倉井さんが頭を前後に振る度、じゅっぷ♥じゅっぷ♥と淫らな水音が響き、攪拌された唾液と我慢汁の混合液が溢れだす。 「――――っっ♥♥」 じーっと注がれる佐倉井さんの視線から逃れる事すらできなくて。 俺はもう、声を上げる事すらできずに、ただただ快楽に溺れる事しかできなかった。 今まで、愛菜とのセックスを俺史上最高に気持ちいい行為だと思ってきた。 だが、そんな史上最高を、佐倉井さんのフェラは容易く塗り替えていく。 先程、あれほど激しく射精したばかりだというのに。 あっという間に限界が訪れて。 「あぁぁっ♥さ、佐倉井さんっ♥で、出ちゃうっ♥出ちゃうぅぅぅっ……♥♥」 「いひよ♥……だひへ♥♥」 限界を訴える俺に、佐倉井さんはペニスを吐き出すどころか、より激しく首を振り、より激しく吸引し、よりねちっこく舌を絡ませ、扱きあげてくる。 じゅぼじゅぼじゅぼと水音が奏でる感覚も短くなって、頭の中で白い閃光が幾度も炸裂する。 「ああああああああっっっ♥♥♥」 何か縋りつくものを求めて、佐倉井さんの頭を掴み、思い切り、その口内奥深くにペニスを押し込みながら、俺は弾けた。 どびゅるんっ♥♥どびゅどびゅどびゅっ♥♥びゅくんっ♥びゅくんっ♥びゅるるるるっ♥♥びゅくびゅくっ♥♥どびゅるるるるっ♥♥ 吐き出した大量の白濁液が、佐倉井さんの喉奥を容赦なく打つ。 だけど、俺が頭を押さえているせいで吐き出す事も出来ず。 涙を浮かべながら、佐倉井さんはそのすべてを飲み干していった。 最後の一滴まで吐き出して、ずるり、と佐倉井さんの口内からペニスを引き抜くと、俺はその場に立っている事も出来ずにずるずると座り込んでしまった。 口内の残りの白濁液もゆっくりと飲み干して、佐倉井さんが微笑む。 「気持ちよかった?」 「うん………凄く………」 半ば放心状態で脱力している俺に寄り添うように、佐倉井さんも並んで座る。 「言い忘れてたけど、昼間は庇ってくれてありがとう」 「い、いや………」 「前田くん、凄く格好良かった。石狩さんの事も、本当に大事にしてて………素敵だなぁ、て」 「そ、そんな事は………」 佐倉井さんによって二度も射精させられた今、佐倉井さんに悪気はないにしても、その言葉は罪悪感を刺激するばかりだった。 「前に一度、告白してくれたよね」 「う、うん………」 「今日の二人を見てて、ちょっと後悔しちゃった。もしあの時、素直に頷いていたら、今の石狩さんみたいに前田くんと一緒にいられたのかなって」 「そ、それって………」 「私、前田くんの事が好き」 「えっ………」 「ほんと、今更だけどね。正直、告白して貰えて凄く嬉しかった。でも、頷くことができなかったの。私、ちょっと男の人が苦手で。子供の頃に辛いことがあって、だから怖くて………」 「御両親の事?」 「知ってるの?」 「俺、新聞部だったから………昔の新聞で記事を見つけたんだ。その、強盗に襲われて佐倉井さんの御両親が殺害された事件………佐倉井さんだけが生き残ったって……だから、この学校に来たんだよね?」 「うん………」 「わ、悪い。辛いことを思い出させちゃって………」 「うんうん。いいの。今ではわかってる。全部の男の人が、そういう人じゃないって。前田くんみたいに優しい人もいるんだって」 「そんな、俺なんか……でも、そんな辛い過去を持つ人が簡単に人を殺すはずがないって思ったんだ」 「そう言うところだよ。優しくて、格好いい。ねぇ、戻る前にもう一つ、お願いしていい?」 「な、何………?」 「私を、抱いて」 「な、ななな、何を言って……俺には愛菜が………」 佐倉井さんが頭を上げ、俺を見つめる。 その瞳は、まるで星空の様に輝いて見えた。 「前田くんとの思い出が欲しいの。寂しいの。寒いの。不安なの。このまま死にたくないよ。怖い。でも、前田くんと一緒なら。だから………」 佐倉井さんが顔を寄せてきて、唇を重ねられる。 避けようと思えば避けられたはずなのに、俺は避けようとはしなかった。 微かに震えを帯びた佐倉井さんの言葉。声。肩。 もし拒絶してしまったら、その繊細な心が壊れてしまうような気がして。 避ける事ができなかったのだ。 唇を割って舌が入ってきて。 俺の舌を絡め取って、歯茎を舐め、唇を吸われる。 無論、愛菜とキスした事は何度もある。 でも、佐倉井さんとのキスは愛菜とのキスの幾層倍も優しくて、思いが込もっているような気がして、気持ちよくて。 口の中の性感帯を刺激される度、頭がボーっとしてきて、思考すらもままならなくなっていく。 ちゅぷちゅぷと淫らな音を立てながら口の中を掻き回されて、口の端から泡立った唾液が溢れだしていく。 「ふふ、私のファーストキス、前田くんにあげちゃった♥」 銀色の糸を引きながら唇を離し、嬉しそうに、恥ずかしそうに微笑む佐倉井さん。 その可愛らしさに、きゅん、と胸が切なくなり、熱い感情が込み上げてくる。 「は、初めてだったの………?」 「うん。だから、ちょっと心配。どうかな、ちゃんとできてた?」 「ああ、凄く気持ちよかったよ………」 「やった♥」 半ば呆けながら頷く俺に、ますます嬉しそうな笑顔になって、先程よりもさらに情熱的に唇が重ねられる。 互いに舌を絡め合って、唾液を交換して。 さっきよりも激しい舌遣いに、はっきりと快楽を感じる。 キスと押し付けられる柔らかな肢体による誘惑に、二度射精したばかりだというのに、再びペニスは硬さを取り戻していった。 「ね、抱いてくれる?今晩だけの関係でいいから………」 「う……その、気持ちはすごく嬉しい。でも……ごめん。そろそろ愛菜も起きる時間だし………戻らないと………」 正直に言えば気持ちはぐらついている。 だが、それでも辛うじて残っていた理性を掻き集めて、俺は首を横に振った。 かつての俺だったら、きっと泣くほど喜んだだろう。 でも、今の俺には愛菜がいるのだ。 「そうだよね………でも、前田くんのおちんちん、また大きくなってる」 「そ、それは………」 言葉ではなんと言おうとも、やはり体は正直だった。 佐倉井さんが俺の股間に顔を埋め、そそり立つペニスに浮き上がった血管に舌を這わせる。 「うっ…くは……♥」 ぞくぞくとした感覚が背筋を貫き、掻き集めたはずの理性が崩れていく。 「このままお口でもう一回出しておく?」 ちろちろと先端を舌先で擽りながら、上目遣いに見つめられる。 「っ………」 「でも、私、もっと前田くんにいろいろしてあげたいなぁ♥」 亀頭だけを口中に含み、たっぷりと唾液を乗せた舌がカリ首を這い回る。 「い、いろいろって………」 ぬるぬるとした快感に濁り行く思考の中で、佐倉井さんの「いろいろ」と言う言葉だけが明瞭に響いた。 「そう………実は、私まだ前田くんに一つ隠してることがあるの」 舌が棹を滑り降り、睾丸を舌先に乗せて転がせる。 「んんっ♥」 その快感が、俺のなけなしの理性をごりごりと削っていく。 「か、隠してる事って………」 「私の荷物の中に、フォークがあったでしょ?」 「あ、あった、けど………♥♥」 「あれ、普通のフォークじゃないの。中に睡眠薬が仕込まれてるの」 「すい、みんやく………んひっ♥♥」 裏筋を舐め上げられ、亀頭にキスを塗される。 「そう。だから、それを使って石狩さんにはゆっくり眠ってもらうの。そうすれば………」 ずぶずぶとペニスが再び口内に飲み込まれ、激しく吸い上げられる。 愛菜が朝まで眠ってくれれば。 佐倉井さんと、ナニをしようが、気付かれないのであれば。 じゅるるるるっ♥♥♥ 「あひぃぃぃぃっ……♥♥♥」 どびゅんっ♥♥びゅくんっ♥びゅくんっ♥びゅるるるるっ♥♥びゅくびゅくっ♥♥どびゅるるるるっ♥♥ 激しい吸引によって三度目の精を搾り取られながら、最後の理性も吸い尽くされていった。 「愛菜、そろそろ交代の時間だぞ」 「ん……ふわぁ。おはよ」 「おはよ」 「久々によく眠れたわ。やっぱり、屋根があるだけでも全然違うね」 「だな」 愛菜はふわぁと伸びをしてから、きょろきょろと室内を見渡す。 その視線が止まった先には、毛布に包まり、眠っている佐倉井さんの姿。 「変わった事はなかった?」 「何も。愛菜が寝た後すぐに佐倉井さんも眠って、そのまま。ずっとこの小屋で一人でいたんだろうから、心細かったんだろうな。ぐっすり眠ってるよ」 そう言いながら、俺はコップに水で溶ける粉末スープを入れ、佐倉井さんから借りた睡眠薬入りのフォークでよく掻き混ぜる。 「ほら、これ。眠気覚ましのスープ」 「ありがと……」 「じゃあ、俺も寝るかな。さすがに眠すぎる……見張りよろしくな」 「りょーかーい」 愛菜がスープに口をつけるのを確認してから、毛布に包まって横になる。 勿論、実際に眠ったりはしない。 今、こうしている間も、この後への期待からペニスは勃起したままで、じんじんと切なく震えているのだ。 (早く、早く……早く寝てくれ……) 逸る鼓動を抑えながら、薄目を開けて、愛菜の様子を観察する。 スープを飲み切った愛菜はコップを持ったままじっとしていたが、やがて、その手からコップが落ちて床に転がった。 それを拾う様子もなく、今度はぐらり、と体が揺れて、そのままごろんと向こうを向いて転がってしまう。 それでもしばらく息を殺して観察していると、 「眠ったみたいね」 いつの間に近づいてきたのか、すぐ後ろで佐倉井さんの声がした。 「そう………みたい」 俺も身を起こす。 「これでやっと………二人きりだね♥」 「そ、そうだな」 俺と佐倉井さんは数秒見つめ合ってから、引力に引き寄せられるように唇を重ね合う。 舌を絡め、唾液を交換しながら、佐倉井さんが体重をかけてきて、広げた毛布の上に押し倒される。 佐倉井さんのキスは唇から顔全体に及び、そこからさらに首筋、鎖骨を経由して胸へと降り注ぐ。 後ろ手に手錠を掛けられているにも関わらず、口、舌、唇を器用に使ってワイシャツのボタンを外していく。 俺も佐倉井さんの制服を脱がしにかかる。 露になり、月光に照らされる佐倉井さんの裸身は芸術作品の如く美しかった。 「綺麗だ………」 「ありがと♥」 思ったままを口にすると、佐倉井さんははにかんだ笑みを浮かべ、乳首にちろちろと舌を這わせた後、器用にジッパーを咥えて下ろし、ギンギンに勃起したペニスを取り出す。 「挿れていい?」 聞かれるまでもなかった。 俺は佐倉井さんの下着をずらして、下から挿入する。 狭い、と感じたのも束の間、既に十分濡れていた佐倉井さんの秘所にぬぷんっとペニスが飲み込まれていく。 「あぁんっ♥太くて熱いっ♥」 佐倉井さんが仰け反り、豊かな乳房がぶるんと躍動した。 (あれ、処女じゃない………?) これまでの初心な反応からすっかり処女だと思い込んでいたが、何の抵抗も感じなかった事で、微かな疑念を感じた。 だが、それも束の間の事で、 「くっ♥こ、これっ、凄いっ………♥♥」 ペニスに無数の襞が絡みつき、奥へ奥へと誘われていく快感に疑念は溶けて消えていった。 「はぁっ、はぁっ………」 一番奥にたどり着いた時には、もう既に俺は限界間近だった。 先程、三度射精していなければ、きっと挿入しただけで果てていただろう。 「はふっ♥前田くんのおちんちんで、お腹パンパン♥」 蕩け切った表情で、佐倉井さんが幸せそうに微笑む。 愛菜とは比べるまでもない。 まさに、極上の名器だった。 「どう、前田くん。私の中、ちゃんと気持ちいい?」 「あぁっ♥す、凄く、気持ちいいよ、佐倉井さんっ♥お、俺っ、俺っ!」 「うん、突いて♥一杯動いて♥無茶苦茶にして♥」 「おおおおっ………♥♥」 甘く蕩けた佐倉井さんの言葉に突き動かされ、下から思い切り突き上げる。 「あぁんっ♥逞しいっ♥ごつんごつんって一番奥に当たってる♥♥」 突き上げる度、佐倉井さんの身体が跳ね、ゴム鞠のようなおっぱいが躍動する。 俺は手を伸ばして、そのおっぱいを捕まえた。 ふわふわと柔らかいのに、握ると適度な弾力がある至福の感触。 その感触を存分に堪能し、頂点でぷくりと自己主張している乳首を弾く。 「んんっ♥そ、そこ弱いのぉっ♥」 白い喉を見せながら佐倉井さんが仰け反り、膣の締め付けがさらに一段強くなった。 腰の動きも止められず、夢中になって突き上げる。 引く時は引き留めようとするかのように襞が絡みついて。 突く時は歓迎するように蠢いて。 腰と腰がぶつかる度に、たぱんったぱんっと淫らな音が鳴り響く。 限界はあっという間にやってきた。 「お、俺っ、もうっ………♥♥」 「わ、私もっ、来るっ♥来るぅぅっ♥♥」 「ほ、ほんとに出ちゃうっ♥♥」 「いいよ、中に、一番奥に全部出してぇっ♥♥」 中に出すのはさすがにまずい。 そんな考えも一瞬思い浮かんだが、それは本当に一瞬の事で。 次の瞬間には込み上げてくる射精感に押し流されていた。 「あああああっ♥♥♥」 先に絶頂に達したのは佐倉井さんの方だった。 がくがくと体を震わせ、ぎゅっと膣が収縮する。 「ぐひいいいいいっ♥♥♥」 その強烈な締め付けによって、俺も爆ぜた。 どびゅるるっ♥びゅくびゅくんっ♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥ 4度目の射精とは思えない大量の白濁液を、佐倉井さんの最奥に注ぎ込む。 その量は中で受け止めるにはあまりにも多すぎて。 膣道を逆流し、結合部から溢れだす。 圧倒的な幸福感に、すべてがどうでもよくなっていくようだった。 俺は四肢を投げ出し、理性の欠片も感じさせない呆けた眼差しをただただ天井に向けて荒い呼吸を繰り返す。 暫く余韻に浸っていた佐倉井さんが立ち上がると、ごぼりと溢れ出す大量の白濁液と共にペニスが姿を現した。 「凄い。まだ硬いままなんだね」 湯気を立てながら、それでも硬さを失わずに屹立しているペニスを見て、佐倉井さんがうっとりと微笑む。 「あ、ああ………」 正直、自分でも驚きを禁じ得ない。 いつも、愛菜とする時は一回で疲労を感じてしまっていた。 なのに、既に4度も射精しているにも関わらず、未だに性欲は尽きず。 疲労感はあるものの、それすらも心地よく感じられた。 「ね、今度は正常位でしよ♥いつも、前田君が石狩さんとしてるみたいに♪」 佐倉井さんの言葉に、ごくりと生唾を飲み込む。 望む所だ。 「でも、仰向けになると手が痛いから、手錠外してくれる?」 「え………」 さすがに、その要求には逡巡を覚えた。 だけど。 「ね。だいしゅきホールドで、一番奥まで繋がって、どびゅどびゅってして欲しいの♥」 その言葉に、ずきん、と股間が疼く。 深く。もっと深く。 佐倉井さんの一番奥で、弾ける事ができたら。 その悦楽はより強いものとなるだろう。 (大丈夫………だよな………) 一抹の不安はありつつも、それ以上に欲望が勝った。 「あー………結構、手首痛かったんだよ?」 久方ぶりに自由になった手首を擦った後、ごろんと横になる佐倉井さん。 両手両足を広げ、どろりと精液が垂れる陰唇をひくひくと震えさせながら、誘うような眼差しを向けてくる。 その欲望に蕩け切った様子からは、この場から逃げ出そうなどと言う考えは微塵も感じ取れなかった。 「お願い、早くぅ♥」 「あ、あぁ♥」 例え逃げ出そうとしたとしても、男である自分の方が強いはずだ。 そう言い聞かせて理性を黙らせ、俺は真正面から佐倉井さんを抱きしめ、その肉壺にペニスを挿入した。 幾重もの襞が、そして両手両足が俺の身体と心を絡め取っていく。 深く深く体を沈め、子宮口の入り口をごりごりと押し開きながら、舌を絡め、唾液を交換する。 激しく腰を打ち付ける度、ばちゅんっばちゅんと激しい音と佐倉井さんの喘ぎ声が響き、神経が焼き切れそうなほどの快楽に脳の中がどろりと溶けだしていくような感覚に襲われた。 「気持ちいい♥気持ちいいよぉ……♥♥」 「私も♥私も気持ちいいよ♥前田くん♥好き♥好き♥前田くんの事好き♥」 「お、俺もっ♥さ、佐倉井さんの事、好き♥好きだぁ……♥♥」 「嬉しい♥もっと、もぉっと、気持ちよくなって♥」 「あひっ♥あへっ♥気持ちいいっ♥気持ちいいよぉぉっ♥あは♥で、出るっ♥また出るよぉぉぉっ♥♥」 「だひてぇぇっ♥♥一杯、だひへぇぇっ♥♥」 どびゅるるっ♥びゅくびゅくんっ♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥ 遠慮も何もなく、本能の赴くままに最奥に精をぶちまける。 佐倉井さんの華奢な体を押さえつけ、乳房に顔を埋め、乳首を吸い、凌辱の限りを尽くす。 白い柔肌は桜色に美しく紅潮し、玉の汗が浮かび、甲高い喘ぎ声と共に何度も何度も絶頂に達する。 その度、背中に爪が食い込む。 引っ掻き傷が増えるほど、深い陶酔感に包まれていく。 痛みさえもが、快楽に昇華する。 何度も何度も精を放つ。 離れようにも、硬く巻き付く四肢を引き剥がす事も出来ず。 腰を引こうにも、絡みつく襞に奥へ奥へと引きずり込まれて。 幸福感と愛しさが込み上げてくる。 「佐倉井さん、絶対に生きて、3人でこの島を出よう。佐倉井さんの事も絶対、俺が守るから………♥♥」 「うん、ありがとう♥」 微笑む佐倉井さんと唇を重ね、更に何度も何度も精を放つ。 ふと気づいた頃には、外から射し込む光はもはや月光ではなく、明るい陽の光になっていた。 (朝………か………) 精も根も尽きて、何故か体も痺れてきた。 その時、けたたましく軍艦マーチが鳴り響いた。 「っ………」 それで、漸く現実を思い出した。 何故か自由に動かない手を何とか伸ばして、携帯端末を開いて通知を確認する。 【キル情報】 死亡者:石狩愛菜 「えっ………」 その名を見て、頭が真っ白になった。 慌てて愛菜の下に向かおうとしたが、未だに佐倉井さんの四肢が絡みついたままで、動けない。 「さ、佐倉井さんっ、放してっ………愛菜が!」 「だぁめ♥」 焦る僕に対し、まだ事態に気づいていないのか、佐倉井さんはさらに一層、巻き付ける四肢の力を強くする。 その拍子に、まだ彼女の中にあるペニスに襞が絡みついてくる。 「うっ………こんなことしてる場合じゃ………愛菜っ、愛菜っ!起きろっ!愛菜っ!」 懸命に声をかけるが、愛菜はぴくりとも動かない。 そこで、ふと、今更ながらの疑問が浮かんできた。 (眠っていたはずの愛菜がどうして………いや、誰に………) 嫌な予感が急速に膨れ上がっていく。 その答えは、目の前の携帯端末に表示されていた。 殺害者:佐倉井君華 殺害方法:毒殺 佐倉井君華のKP:2→3 残りプレイヤー:28名→27名 「っっ……さ、佐倉井さんが………」 そこにあったのは、予想通りの、最も目にしたくない名前だった。 「そだよ」 動揺に震える俺に対し、佐倉井さんは至って平静。 「ど、毒殺って……じゃあ、あの薬が……?そんな…す、睡眠薬だって………」 「ふふ。ぜーんぶ、ウ・ソ♥斎藤くんや鏑木くんを殺したのと同じ痺れ薬でしたー♪」 「そ、そんな………う、嘘………」 「そう。貴方を好きって話もウソ。あと、うちの両親を強盗が殺したってのもウソ。本当は私とお父さんが関係を持っちゃって。それに怒ったお母さんがお父さんを刺して自分も死んだだけ♪」 ふふふ、と佐倉井さんが笑みを浮かべる。 心底、人を馬鹿にしたような笑みを。 「石狩さんは眠っていたんじゃなくて、痺れ薬で動く事も声を出す事もできなかっただけ。だからずっと意識はあったんだよ。気づいた?最初は向こうを向いていたのに、今はこっちを見てる」 「っ………」 確かに、佐倉井さんの言う通りだった。 「どんどん体が動かなくなっていくのにパニックを起こしながら、きっと最後の力を振り絞って振り向いたんだろうね。きっと、前田くんに助けを求めて。でも、前田くんは私とのエッチに夢中で全然気づかない。くふふ、最愛の人があへ♥あへ♥って喘ぎながら、他の女に中出ししまくってるのを見ながら、どんな気持ちで死んでいったんだろうね♪」 今はもう、生気のない虚ろな眼差し。 その目に最後に映ったのが、最愛の恋人が自分を裏切っている現場だったなんて。 騙されたという怒りを飲み込むほどのどす黒い罪悪感に、心が壊れそうだった。 「ゆ、許さないっ、許さないぞっ………」 「えー。私の事、守ってくれるんじゃないの?」 「ふ、ふざけるなっ……!!」 「あはは。そんなこと言いながら、気付いてる?さっきから、前田くんのおちんちん、私の中でまたギンギンになってるよ?これじゃ、全然説得力ないよー」 「うっ………」 「恋人を殺されてるのに、その相手にまだ欲情できるって、ほんと、男って浅ましい♥」 「くそ、くそっ………」 「でも、そういう男、結構好き♥その情けない顔見てると、それだけでイっちゃいそう♪」 「なんで………」 思い切り、力づくで佐倉井さんを跳ね除けようとする。 なのに、体に力が入らない。 身体が痺れて。 ぽふん、と佐倉井さんの上に崩れ落ちてしまう。 「ま、まひゃか………」 呂律すらうまく回らない事に愕然とする。 「やっと気づいたの?マジで馬鹿じゃん♥じゃあ、種明かしね。じゃーん!」 そう言って、佐倉井さんが見せてくれたのは、髪………の、ように細い針金だった。 「この針金に、フォークの痺れ薬をつけて、髪に忍ばせてたの。それでさっき、イく振りをしながら背中を引っ掻いた時に刺したって訳♪」 「く、くひょ………」 さらに、佐倉井さんが俺の首にロープを巻き付ける。 「この薬、いいんだけど量や体格で死ぬまでの時間がだいぶ変わっちゃうんだよね。かといって、大量に使っちゃうのも勿体ないし。だから―――鏑木くんと同じように、首を絞めて殺してあげる♥」 ゆっくりとロープが引かれ、首が締め付けられていく。 「まぁ、悪く思わないでね。死ぬ前に好きな女とヤレたんだから本望でしょ?それに、私のこと絶対守ってくれるって言ってたし。だから私のために死んで♥……って、あれ、これ前にも同じこと言ってる気がするなぁ、あはは」 (くひょっ……くひょぉっ……) もはや、言葉を紡ぐ事すらできず。 視界が狭く、黒く塗りつぶされていく。 今まさに殺されようとしている、こんな状況なのに。 佐倉井さんの膣で締め付けられるペニスが気持ちよくて堪らない。 (あぁっ……イくっ……イっちゃう…………♥♥) 快楽が、酸素不足の脳内をずぶずぶと溶かしていく。 「じゃあね、前田くん。イきながら逝きな!あは、これもデジャヴ♥」 ぐいっと一際強くロープを引かれ、ペニスをぎゅんっと締め付けられて。 どびゅるるっ♥びゅくびゅくんっ♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅっどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥ 末期の精を佐倉井さんの最奥にぶちまけながら、俺は息絶えた。 *** 扉を開けて入ってきた鳳惠介は辺りを見渡して二人の遺骸に気づくと、武人のような表情を一切変えることなく、 「前田と石狩か」 とだけ呟く。 「うん。水浴び中に捕まった時は一瞬焦ったけど。余裕だった。そっちはまた有澤に逃げられたの?」 「……。済まん」 「いいよ………それより、ほら♥」 ごろん、と横になって、両手両腕を広げる佐倉井を、眩しそうに見つめる鳳。 「結構前に帰ってきてたの、気付いてたよ。また、彼女が他の男とヤってるの見ながら勃起させてたんでしょ、変態♥」 「煩い。ビッチ♥」 「あはは……ほら、おいで、惠ちゃん♥」 「あぁ……」 ズボンを脱ぎ、ふらふらと佐倉井に歩み寄り、ゆっくりと体を重ねる。 底なし沼にずぶずぶと沈んでいく。 「墓二つ、またお願いね♥腐って臭う前に♥」 「ああ………」 そんな事、容易い御用だと思いながら。 どろどろに溶かされ、白濁液を噴き上げる。 (お前と生き残るためなら、俺はなんだってする………) そう、胸中で誓いの言葉を念じるのだった。 壶中毒3 何も初めからヤンキーになりたかった訳ではない。 子供の頃に憧れていたのは、ヒーローだった。 「弱い者イジメをしちゃダメだよ」 幼い頃の記憶。 通っていた幼稚園で、よく女の先生にそう言われていた。 ある日。 その先生が泣いていた。 原因はよくわからなかった。 だけど、先生を泣かせたのが園長だという事はわかった。 すぐに手が出る事で有名だった昔気質の園長は、何かミスをしたらしい先生に怒声を浴びせ、殴っていたのだ。 それが許せなかった。 園長と先生、どちらが弱いかなんて子供でも分かる。 「弱い者イジメをしちゃダメだよ」 脳裏に、先生の声が響いた。 その日初めて、人を殴った。 問題になって。 親が呼ばれて。 「なんでこんなことしたの!園長先生にちゃんと謝りなさい!」 と叱られて。 納得できなかった。 園長先生は弱くない。 だから、弱い者イジメじゃない。 後で、先生は「ありがとう。ごめんね」と言い残して、幼稚園を辞めていった。 なんで、イジメられていた先生の方が辞めなければならないのか、わからなかった。 だから、俺は俺の思うままに。 弱い者イジメをする奴を殴り続けた。 小学校でも、中学校でも、高校でも。 痴漢、下着泥、中学生にカツアゲする高校生、セクハラ教師………。 今思い出しても、殴った事を後悔するような相手はいない。 どいつもこいつも、殴られて当然の屑な連中だ。 だが、その度に親は呼び出されて、叱られて。 家庭の空気は悪くなっていった。 おまえの教育が悪いんだ、だからこんな不良になったんだと母を殴った父を殴った時、遂に警察を呼ばれた。 本当なら、少年院に入る筈だった。 だが、何故か少年院に送られる事はなく、親元を引き離されてこの学校にやってきた。 この学校でも俺はヤンキーと呼ばれ、浮いた存在になった。 江藤や柿沢の様な取り巻きもできたが、あいつらが望んでいるのはヤンキーとしての俺だ。 違う、と叫びたかった。 俺はヒーローになりたかったんだ、と。 ほぼ1日ぶりに軍艦マーチの音色が響き、洞窟の壁に反響する音で微睡から目覚めた。 (糞が………) 最悪の目覚まし時計だ。 内心で悪態を吐きながら画面をタップして音を止め、通知を確認する。 【キル情報】 死亡者:早川正人 殺害者:鳳惠介 殺害方法:射殺 鳳惠介のKP:20→33 残りプレイヤー:4名→3名 早川正人は陸上部のエースで、体力自慢だった。 だが、そんな早川も鳳にやられてしまった。 これで、残りのプレイヤー数は3人に絞られた。 鳳惠介、KPは33。 佐倉井君華、KPは4。 そして、俺、有澤悠平。KPは0だ。 ちらり、と端末を確認すると時刻はちょうど24時を回った処だった。 (あと15時間………) あと15時間生き残る事ができれば、ゲームは終わる。 「絶対に生き残ってやる………」 闇の中で呟く。 その目は、炯々と輝いていた。 *** 「頑張ってね、惠ちゃん」 夜が明けると同時に出発しようとする鳳惠介を佐倉井君華はゆっくりと抱き締めた。 鳳も佐倉井の背に腕を回し、その髪に顔を埋めて、香りを存分に吸い込む。 「ああ。今日こそ、有澤を仕留めてやる」 「うん。信じてる」 武人の如き顔に決意の色を滲ませて隠れ家を後にする鳳。 昨日までで、島の中はあらかた調べ尽くした。 あと、隠れられそうな場所は北側の海岸沿いにある洞窟ぐらいだ。 有澤が隠れているとすれば、もはやその周辺しかない。 最終日の段階で未だKP0という事は、有澤に積極的に戦おうという意思はないのだろう。 番長を気取ってみたところで、一枚皮を剥けば本性はただの臆病者だった、という事だ。 どんな顔で逃げ回っているのか知らないが、それを責めるつもりもない。 こんな状況に放り込まれれば、誰でも予期しない自分と出会うものだ。 だから、後はゆっくりと追い詰めて、確実に仕留めるのみだ。 (絶対に、二人で生き残る………) 鳳の決意は固かった。 その決意だけが確固たるもので、今の自分にとっては拠り所なのだ。 そうでなければ、否定できなくなる。 同級生を殺すのは、佐倉井と二人で生き残るために仕方なくやっている事。 その前提が崩れてしまえば、残るのは。 断末魔の悲鳴に愉悦を感じつつある、人として壊れかけている自分だけなのだから。 ゲーム終了まで、残り8時間。 窓から中を覗くと、佐倉井君華の姿が見えた。 実は、この隠れ家は5日目の朝に見つけていた。 見つけた時には鳳が穴を掘って、そこに前田と石狩の遺体を埋めようとしていた。 傍らには同じような土饅頭が二つ。 恐らく、初日に殺された斎藤と鏑木の墓だろう。 それから、二人の行動パターンを観察した。 鳳は毎日、朝に出かけて、夜まで戻らない。 二人の会話までは聞こえなかったが、探しているのはきっと俺だろう。 まさか俺がこんなにすぐ近くに潜んでいるとは思ってもいない様子だった。 まさに灯台下暗しという奴だ。 なら、鳳が出かけた後に隠れ家に押し入って佐倉井を拘束。 彼女を人質に鳳を始末すれば、俺の勝ちだ。 無論、クラスメイトたちを殺した二人にはそれなりに痛い目に遭ってもらう。 だが、殺す気はなかった。 音を立てないように慎重に扉に近づき、佐倉井の気配を探りながら、一気に中に飛び込む。 「動くなっ!」 「っ………!」 俺の言葉にびくっと反応した佐倉井は、慌てて床板を捲ろうとした。 恐らく、その中に武器を隠しているのだろう。 だが、俺の方が早い。 俺は駆け寄って、佐倉井の肩を蹴った。 「きゃっ!?」 悲鳴を上げて、軽い体が壁際まで吹き飛ぶ。 その拍子に、その手から拳銃が零れ落ちた。 さらに、床板の下に手錠や短刀が隠されているのが見えた。 「動くな」 身を起こし、蹴られた肩を擦りながら立ち上がろうとする佐倉井を刀で制する。 「有澤くん……てっきり、最後までどこかに隠れてるのかと思ったよ………」 「そろそろ島を探し尽くす頃だろうからな。隠れ家には罠を仕掛けてきた。鳳が戻ってくるにしても時間がかかる筈だ」 「鳳くん?」 「しらばっくれるな。二人がつるんでるのはとっくにわかってる」 「私を殺すの?」 小刻みに体を震わせながら、上目遣いで見上げてくる。 「その可能性もある」 そう言いながら床下から手錠を取り出し、後ろ手に佐倉井の両手を拘束する。 「お願い、殺さないで……何でもするから…」 目に涙を浮かべ、声を震わせる佐倉井。 その弱弱しい姿を見て、情に絆される者も多いのだろう。 「四人も殺しておいて都合がいいな」 「違うのっ、殺したくて殺したんじゃない……私、鳳くんに脅されて……仕方なく…」 「白々しい」 冷めた目を向け、拳銃を拾う。 「斎藤や鏑木、それに前田も、そうやって騙して殺したのか?」 「違うの!信じて!お願い!」 「いい加減にしろ!」 俺は怒声を放ってから、少し離れた場所に胡坐を掻く。 佐倉井と隠れ家の扉、両方を見張れる位置取りだ。 「ほんとなのに………」 ぎゅっ、と唇を噛み締め、肩を震わせながら涙をはらりはらりと零す佐倉井。 その姿は、とても嘘だとは思えない。 だけど。 「お前は………このゲームの事、知ってたんだろ?」 カマをかけるつもりで放った一言に、佐倉井の表情が一変した。 それまでの弱弱しい雰囲気から、一挙に太々しいものへと。 まるで瞬きしている間に別人に入れ替わったのかと思うような変化だった。 「あぁ、そっか。“あの時”の、有澤くんだったんだね」 その瞳には既に涙の輝きはなく、口元には余裕すら感じさせる笑みが浮かんでいた。 *** あれは、2週間ぐらい前だろうか。 授業をサボって屋上で放課後まで昼寝した後、だいぶ暗くなってきたので俺は家に帰ろうと廊下を歩いていた。 その時、こんな時間には誰もいないはずの理科準備室の、僅かに開けられた扉の隙間から聞こえてくる声に気づいた。 ほどなくして、それが男女のまぐわいによる喘ぎ声だと気づいた俺は、周囲に人影が無いことを確認してから、気づかれないように息を潜め、ドキドキと鼓動を高鳴らせながら中を覗いた。 予想通り、中で行われていたのは男女のまぐわいだった。 パイプ椅子に腰かけ、こちらに背を向けた男。 その男の正面から抱き着き、後頭部に両腕を回しながら腰を激しく、そして滑らかに振る女。 その度に、ぎしっぎしっとパイプ椅子が不快な音を奏でる。 「ぐっ。あっ♥も、もうっ……♥♥」 男の切羽詰まった声からも、女から齎される快楽の壮絶さを窺い知ることができた。 一方的に喘がされている男の耳を咥えながら、 「いいよ、先生♥また出して♥これはいろいろ教えてくれたお・れ・い♥だから、なぁんにも考えず、どろどろになっていーっぱい気持ちよくなっていいんだよ♥」 絡みつくような、ねっとりとした甘い声音で囁く女。 「うっ。出るぅぅぅっ♥♥」 男の身体ががくがくと震える。 「ふふ。先生、気持ちよさそう♥もう何回も出してるのに、まだまだ凄い勢いですね♥」 うっとりと目を細め、絶頂に達した男の首筋に舌を這わせる女は、佐倉井だった。 一方、悦楽の余韻に浸っている男のワイシャツには見覚えがあった。 担任の、権藤だ。 (権藤と佐倉井が………) 学校で淫らな行為が行われているというだけでも衝撃的なのに。 それが、担任の教師とクラスメイトだなんて。 衝撃のあまり、目眩がしそうだった。 ごくり、と生唾を飲み込んで。 その音の大きさに、我ながらしまったと焦る。 その音が聞こえてしまったのかどうかは定かではないが、不意に権藤の肩越しに佐倉井と目が合った。 「ねぇ、誰かいるの?」 「えっ」 佐倉井の言葉に、びくっと反応したのは権藤だった。 俺はただ、呼吸も忘れて硬直するのみ。 全身の汗腺という汗腺から汗が噴き出してくる。 「こ、こんな時間に誰も………」 「うんうん、いるよね」 佐倉井はじっと薄闇に目を凝らす。 「誰かいるなら………」 (み、見えてないのか………) 既に日も沈み、校舎の中は暗い。 廊下に人の気配を感じたとしても、誰かまではわからなかったのかもしれない。 普通なら、こんな状況を見られたとあってはパニックに陥るものだろう。 だが、佐倉井の声に動揺は微塵もなかった。 得体の知れない寒気が背筋を駆け上っていく。 「ふふ。ねぇ、私たちの仲間にならない?多分、想像もしていないような事、教えてあげられるよ?命にも関わる、とーっても大事な事なの」 「ちょ、さ、佐倉井さんっ……」 「しっ。先生は黙ってて……ねぇ、そこの誰かさん。もし長生きしたいなら、もしくは単に気持ちよくなりたいだけでもいいけど♥……こっちに来て?」 佐倉井の蠱惑的な囁きに、鼓動が高鳴る。 ギンギンに勃起したペニスが、中に入れと促してくる。 それに、命にも関わるという想像もしていないような事というのがなんなのかも気になる。 佐倉井君華はビッチである。 そんな噂が俺の耳にも届いていた。 どうでもいいとさして気にも留めてこなかったが、今、眼前で起こっている出来事を見れば、やはり真実だったと思わざるを得ない。 「ほら。おいでよ……♥」 佐倉井が両手を広げる。 はだけられた制服から、可愛らしい下着に包まれた柔らかそうな乳房が露になる。 「気持ちいい事、いーっぱいしてあげるから♥」 その提案はあまりに魅力的だった。 思わずふらふらと吸い寄せられそうになるほど蠱惑的で。 けれども同時に、とても退廃的な香りがした。 思わず嫌悪感が込み上げてくる、そんな香りだ。 罠、という言葉が脳裏に浮かんだ。 そもそも、理科準備室の扉が少しだけ開けられていたのは偶然なのか? そうでないとしたら………。 蜘蛛の巣に掛かった蟻。 そんなイメージが脳裏に浮かんだ。 (っ………) 背筋を這い上ってくる恐怖に駆られるまま、俺はその場を逃げ出した。 逃げ出して、廊下を全速力で走る。 途中で、鳳と擦れ違った。 「どうした、有澤。血相変えて―――」 声を掛けてくるのも無視して。 鳳の進む先で起こっている状況について警告するでもなく。 ただただ、俺は走り続けた。 そのまま学校を飛び出し、家まで走って。 そして、抜いた。 今までになく硬く屹立したペニスを扱くと、これまでに感じた事のないほどの快楽を感じ、1分と経たずに絶頂に達してしまった。 それでも怒張は収まらず、何度も、何度も抜いた。 思いがけず目撃してしまった教師と生徒による淫行の現場。 権藤の腰を挟んだ太もものむっちりとした白さが。 下着に包まれた柔らかそうな乳房が。 上気した白い肌と、汗に濡れた頬に掛かるほつれ毛が。 そして何より、三日月のような瞳と濡れた唇が作り出す淫らな笑みが。 脳裏から離れなかったのだ。 それからも、学校で佐倉井君華の姿を見かけるだけで。 廊下や教室ですれ違った際に、そのいい匂いが鼻先をかすめただけで。 その可愛らしい声が耳朶を震わせるだけで。 どきどきと鼓動が高鳴り、勃起が収まらなくなった。 適当な理由をつけてはトイレに駆け込んで、何度も何度も抜いた。 その姿を思い浮かべる度、何故か、幼稚園の頃の先生を思い出した。 大好きな先生だった。 初恋の相手と言ってもいいだろう。 いつも、いい香りがしていたのを覚えている。 けれども、何故か時折、園長先生の部屋から出てきた先生からは嫌な臭いがした。 当時は、何の臭いかわからなかった。 でも、今ならわかる。 佐倉井と権藤がまぐわっていた理科準備室でも、同じ臭いがしていたから。 その時の光景を思い出してしまったからか。 自然と、視線が佐倉井の太ももに引き寄せられてしまう。 俺に蹴られた後、すぐに拘束された事で整える暇もなかったのだろう。 スカートは捲れ、太ももが半ば以上露になっていた。 あの日見たのと同じ、白く、むっちりとした太ももに、自然と鼓動が高鳴っていく。 口中に唾液が溢れ、ズボンの下で血液が流れ込んだペニスが膨張していく。 「思い出して興奮しちゃった?」 勃起を隠そうと不自然な身動ぎをする俺を見て、佐倉井が笑みを浮かべる。 あの時と同じ淫らな笑みに、更に鼓動が高鳴っていく。 「硬派なヤンキーっぽく振舞ってても、やっぱり男の子なんだね」 「う、煩い………」 「ふふ。強がらなくていいよ。何なら、私が抜いてあげよっか♪」 「っ………ふ、ふざけるな」 「ふざけてないよ。言ったでしょ、鳳くんに脅されてるって………こうなった以上、鳳くんが戻ってきたら私は殺されちゃう。だったら、生き残るためには有澤くんに勝ってもらうしかないの。でも、おちんちんをそんなに勃起させてちゃ、勝てるものも勝てない。7日間、ずっと抜いてないんでしょ?」 「そ、それは鳳だって………」 「犯されたよ」 「っっ………」 図星を刺されて動揺する俺を、自虐的な笑みを浮かべつつの告白がさらに動揺させる。 「何度も、何度も」 思い浮かべまいと思っても、勝手に脳裏に想像が浮かんでしまう。 あの日、無様にも理科準備室から逃げ出した俺と擦れ違った鳳。 あいつも、俺と同じ光景を目にした可能性は高い。 そして、同じように佐倉井から誘われて。 鳳は、その誘いに乗ったのだろうか。 そして、佐倉井とヤったのだろうか。 そんな見てもいないはずの光景が鮮明に脳裏に思い浮かんでくる。 唇を吸い、首筋に舌を這わせ、髪に顔を埋めて。 乳房をまさぐり、あの太ももを撫でさすり。 そして、その膣をペニスで貫く。 例え佐倉井が嫌がったとしても、鳳の膂力に叶う筈もない。 無理やりに犯されている内に、膣は潤いを増し、やがて白い肌は上気し、悲鳴は喘ぎ声に変わっていく。 鳳の鍛えられた裸身に両手両足を絡め、その背中を引っ掻きながら、背を反らせ、絶頂に達する。 一度や二度で鳳は疲れ果てないのだろう。 きっと、何度も何度も、佐倉井を責め続ける。 この島にやってきてからも、毎日。 俺が地面を這いずり回り、逃げ惑っている間に。 鳳は、ぬくぬくと快楽を得ていたのか。 (くそ………) 勝手な妄想の果てに込み上げてきたのは、強烈な嫉妬だった。 精嚢で、精液がぎゅるぎゅると渦を巻く。 (本当なら俺が………俺の方が“先”だったのに………) お前も犯せ、と本能が叫ぶ。 「私がビッチだって噂されてるの、有澤くんなら知ってるでしょ?」 「っ、それは………」 「いいの。ほんとの事だから。子供の頃からそう。私はずっとそうやって生きてきたの。うちのお父さんはお酒に溺れる人だった。酔っ払うと見境なく人を殴るような人だった。そんなお父さんに殴られないようにするにはどうすればいいのかって考えて。ああ、そうか。お父さんは日頃のストレスを暴力で発散してるんだって気づいたの。だったら、別の方法でストレスを発散させてあげればいいんだって思って。だから、お父さんを誘惑したの。お酒を飲んで、人を殴りたくなる度に、お父さんは暴力の代わりに私を抱いた。でも、それがお母さんにバレて、お母さんは私を刺そうとしたの。“淫売”とか“泥棒猫”とか“人でなし”って叫びながらね。そんな私をお父さんは身を呈して庇ってくれて、死んだ。そのすぐ後にお母さんも自殺した。面倒だったから、警察には強盗に入られたって説明したけど」 「………」 返す言葉もなかった。 うちの学校に来る連中は、皆何かしらの事情を抱えている。 だが、これほど壮絶な話は聞いたことがなかった。 「権藤先生の時もそう。偶然、このゲームの事を知っちゃって。少しでも皆で生き残れるようにするために、私は権藤先生を誘惑して、情報を聞き出した」 「そうだったのか………」 「その情報を沢村くんにだけは伝えた。二人で皆を助け出そうって。最初は椎葉さんにも話すつもりだった。でも、沢村くんに椎葉さんに伝えるのはやめようって言われて。それに、裏切らない保証が欲しいと迫られて………」 「それで、沢村と寝たのか」 江藤と柿沢が言っていた噂の、これが真相なのだろうか。 「そう。でも、それが椎葉さんにバレて、沢村くんは………」 俯き、辛そうに顔を歪める。 沢村の死に、責任を感じているのだろう。 佐倉井と一緒に皆を救おうとしていた沢村は、嫉妬に狂った椎葉によってゲーム開始早々に殺されてしまったのだから。 沢村が椎葉に話さないようにと言ったのはなぜなのだろう。 魅力的な佐倉井を前にして、性欲に流されてしまったのだろうか。 (それは俺も同じだ………) こうして真面目な話をしているというのに、佐倉井の肢体を舐めるように見てしまう。 その太ももや胸の膨らみ、ほつれ毛を見てはペニスがずきんずきんと疼くのを止められない。 「ゲームが始まってからすぐに鳳くんに見つかって……何でもするから殺さないでってお願いしたの。その証に、その場でお口でしてあげた」 綺麗な佐倉井の唇。 あの唇にペニスを扱かれたら、きっと物凄く気持ちいいだろう。 (最初から仲間だった訳じゃないのか……だったら……もしかしたら、俺が鳳と同じ立場だったかも………。いや………今はまさに、同じ立場なんじゃないか………?) そう思うと、更に鼓動が高鳴っていく。 「鳳くんに隠れ家を見つけるように命じられて。この隠れ家を最初に見つけた時にはもう斎藤くんがいて。複数で固まっていたら危ないから出ていけって言われて………。私、外に出るのが怖かったの。だって、命令に失敗したら鳳くんに殺されちゃうかもしれない。だから、何でもしてあげるから一緒に居させて欲しいって斎藤くんを誘惑して、隙を見て痺れ薬を塗った矢を刺したの。その後は鏑木くん。また、斎藤くんみたいに出て行けって言われたら困るから……下着姿になって一緒に毛布に包まって、手コキで抜いて。好きって嘘をついて、エッチをして、油断した処で痺れ薬入りのスープを飲まして殺した」 斎藤も鏑木も大人しい奴だった。 だが、この状況下であれば、何が起こるかはわからない。 一皮剥けば、男は誰でも狼になり得る。 「鳳くんが出かけている隙に川に水浴びに行ったの。その時に、前田くんと石狩さんに見つかって。今みたいに手錠を掛けられた。私が寝たふりをしている時に、二人は朝になったら私を殺そうって話してた。だから、石狩さんが寝ている間に、お手洗いにいきたいって前田くんを外に連れ出して。お尻とひかがみ、それにお口で抜いてあげて。油断した処で痺れ薬を刺して殺したの」 前田と石狩が佐倉井を殺そうとしていたという話が本当なら、これは正当防衛だろう。 「ね、今まで、私は自分の体を使って生きてきたの。だから、有澤くんも同じことをすればいいよ。鳳くんに勝つために」 (どいつもこいつも………) 沸々と、どす黒い感情が渦を巻く。 佐倉井の父親も、権藤も、沢村も、鳳も、斎藤も、鏑木も、前田も………。 佐倉井を蹂躙し、この美しくも厭らしい身体を存分に楽しんだのだ。 羨ましい。 妬ましい。 7日間、精液を溜め込んだ精嚢が叫ぶ。 出させろ、と。 目の前の女を犯せ、と。 だが、同時に、理性も叫ぶ。 これは罠だ、と。 佐倉井を抱いた男たちの末路を思い出せ、と。 佐倉井の父親も斎藤も鏑木も前田も死んだのだ、と。 (だけど……権藤や鳳は生きている………) 「もし鳳くんに負ければ、それで最後だよ?」 「最後………」 「そう。最後」 視線が、佐倉井の肢体を這い回る。 「私は鳳くんに犯されて、殺される。有澤くんが一度も触れないままに。それでいいの?」 唾液が込み上げてくる。 鼓動が煩いほどに高鳴る。 ペニスはもう、痛いほど屹立している。 「有澤くんは悪いことをするんじゃないよ。鳳くんに勝って、私を助けて、ヒーローになるためだよ」 ヒーロー。 その言葉を聞いた途端、どくんっと大きく鼓動が高鳴った。 そうだ。 (俺は………ヒーローになりたかったんだ………) ゆっくりと立ち上がり、佐倉井の前に立つ。 ズボンのチャックを下ろし、ペニスを取り出した。 血管が浮き上がり、湯気が立つほどに屹立したペニスに、佐倉井が顔を寄せ、うっとりと目を細める。 「凄いよ、有澤くん。大きくて、熱くて………」 すぅっ、と空気を吸い込む。 「凄く男らしい匂いがする」 「う………」 「逃げちゃダメ。しっかり立ってて」 「で、でも臭いんだろ………?」 「臭くないよ。良い匂いだよ♥」 べろぉっと舌を出し、根元から先端へとゆっくりと舐め上げる。 「っっ………」 それだけで、ぞくぞくと快楽が背筋を走り抜けていった。 ちゅっ♥ちゅっ♥と軽いキスがペニスに降り注ぐ度、ぴくんぴくんと体が震え、もどかしい思いが込み上げてくる。 「さ、佐倉井………ぅ……」 「どうして欲しいか、言ってごらん♥」 上目遣いに見つめられる。 あ~ん、と大きくあけられた口の中で舌がたっぷりと溜まった唾液を攪拌する。 ごくり、と大きく唾を飲み込んでから。 「く、咥えて……しゃぶってほしい……」 「いいよ♥」 快諾して。 ゆっくりと、ペニスを口中に収めていく。 唇にも、頬にも、舌にも触れないまま。 ただ、生暖かい空気と。 口の天井からぽたぽたと垂れる唾液が棹に当たる感覚だけ。 少しの緊張感と、尋常じゃないほどの期待感が込み上げてきて。 次の瞬間。 「あむっ♥」 全てが、同時に襲ってきた。 じゅぶじゅぶっ♥じゅるるるるっ♥♥じゅびじゅびっ♥じゅぶうぅぅっっ♥♥ 「はひ――――っっ♥♥」 それは、余りに強烈な快楽だった。 何がどうなっているのかもわからない。 一瞬にして、頭が真っ白になるような。 物凄い、としか言いようがない。 そんな舌の動き。 棹が、カリが、亀頭が、鈴口が。 舐められ、しゃぶられ、絡みつかれ、蕩けていく。 唇の締め付け、頬粘膜の締め付け、とろとろの唾液。 身体から力が抜けていく。 頽れないよう、懸命に膝に力を込めるが、ぷるぷると震えてしまう。 右手に持っていた刀を床に刺して、なんとか体を支える。 そんな俺を見上げて、佐倉井の目が三日月を描く。 笑われている。 にもかかわらず、その瞳に魅入られてしまう。 とくん、と鼓動が高鳴る。 じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥ 「あひっ♥ああっ♥き、気持ちいいっ……♥♥」 佐倉井が頭を前後に振る。 ペニス全体をにゅるにゅると扱かれて、表情が緩んでいくのを抑えようがない。 「いふれも、いっへいいほ♥」(いつでも、イっていいよ♥) 「あぁぁっ………♥♥♥」 じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥ じゅぶじゅぶっ♥じゅるるるるっ♥♥じゅびじゅびっ♥じゅぶうぅぅっっ♥♥ じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥じゅっぷ♥ じゅぶじゅぶっ♥じゅるるるるっ♥♥じゅびじゅびっ♥じゅぶうぅぅっっ♥♥ さらに激しく、加速していく責めに耐えられるはずもなかった。 激しすぎる口淫に、7日間蓄積され続けてきた白濁液が渦を巻きながらせり上がってくる。 「おおおっ♥で、出るっ……出ちゃうぅぅぅうっ♥♥」 自分でも情けないと思うような甘い声を出しながら、俺は爆ぜた。 どびゅんっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥どびゅるるるるっ♥♥びゅるるるるっ♥♥びゅくんびゅくんっ♥びゅぅぅぅっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥ 「あひっ♥あへっ♥」 呆けた顔を天井に向け、がくがくと震えながら精を放つ。 あの日、理科準備室で権藤と佐倉井の情事を見かけてから、何度も何度も夢想してきた。 だが、そんな妄想を一瞬で消し飛ばすような悦楽だった。 大量に吐き出した精液を、佐倉井がごくごくと喉を鳴らしながら飲み込んでいく。 ちゅうちゅうと最後の一滴まで絞り出されて、ちゅぽんっ、という栓の抜けるような音と共にペニスを解放されるや否や俺はとうとうその場に尻餅をついてしまった。 「ふぅ」 ごくり、と口の中に残っていた最後の精液を飲み込んで、佐倉井が満足げに息を漏らす。 「とーっても、濃ゆくて♥美味しかったよ、有澤くん♥気持ちよかった?」 「あ、ああ………凄く……」 「でも、まだ全然足りないよね?」 佐倉井が笑みを浮かべながら、俺の股間へと視線を送る。 その指摘の通り、俺のペニスは未だ屹立したまま、更なる快楽を欲してふるふると震えていた。 「今度はどうして欲しい?」 「う………」 「当ててあげよっか?」 「え?」 「横になって♥」 「……あ、ああ」 言われるまま、仰向けになる。 俺の腰を、佐倉井が跨ぐ。 スカートから伸びる、すらりとした美脚。 真っ白な太ももに、鼓動が高鳴る。 「こうやって―――」 佐倉井は俺の腰の上で、女の子座りする。 「あっ♥」 硬く勃起したペニスが、すべすべでぷにぷにとした太ももに挟まれる。 「どう、正解でしょ?ずーっと、私の太ももばっかり見てたもんね♥学校でも♥ここでも♥」 「っっ………」 女性は男性の視線に敏感だという話は聞いたことがあったが、本当にバレてしまうと赤面する他ない。 佐倉井が太ももを交互に動かし、ペニスをすりすりと扱く。 「あっ♥あっ♥こ、これっ♥すごっ……♥♥」 すべすべぷにぷにの太ももにみっちりと挟まれて扱きあげられる快感は、自分でする自慰とは比べようもないほどのもので。 あっという間に、先端から我慢汁が溢れだし、棹を伝って太ももを汚していく。 その結果、太ももの感触は徐々にもっちりとしたものへと変化していき、動きに合わせてぬちゃぬちゃと淫らな音を奏でるようになっていく。 「凄くエッチな音♥……もっと、ねちょねちょにしてあげるね♥」 佐倉井が口を窄め、唾液を垂らす。 「あひぃっ……♥♥」 唾液がぽたりと亀頭に垂らされる度、波紋が広がるように快楽が背筋を貫き、さながら水琴窟の如く、喘ぎ声をあげさせられる。 ぽたり、ぽたりと垂らされた唾液は我慢汁と混じり合い、棹を流れて、より太ももの感触や奏でる音を淫らなものへと昇華させていく。 「あっ♥あっ♥も、もうっ………♥♥」 あっという間に限界へと追い詰められ、精液が込み上げてくる。 だが。 「ダメだよ♥」 「あぐっ………!」 太ももにぐっ、と力を込めて、射精が阻止されてしまう。 「な、なんで………」 込み上げてくる切なさに、思わず情けない声が漏れてしまった。 佐倉井は俺の射精衝動が少し収まるのを待ってから太ももの動きを再開する。 そのまま上体を倒し、至近距離で俺を見つめる。 「凄く気持ちよさそうな顔♥」 「気持ちいいっ……これ、気持ちいいよぉっ……♥♥」 佐倉井の目に映る俺は、完全に悦楽に蕩けていた。 一度は収まった射精衝動が、瞬く間に込み上げてくる。 「イぐぅ、出るぅぅっ……」 「だぁめ」 だが、またしても出る寸前で寸止めを食らってしまう。 「あああっ、なんでぇぇ………」 「あはは。もう完全に脚フェチだね。へ・ん・た・い♥」 「あふうっ……」 「馬鹿にされてるのに、気持ち悪い声で喘いじゃって。我慢汁もトロトロ。もっと激しく動かしてあげるね♥」 「あぁあぁっ♥♥」 「でも、イかせてあげなぁい♥」 「ひぃぃぃぃっ―――♥♥」 「ちょっと足動かすだけで、ぐぢゅぐぢゅって凄い音♥」 「ぎもぢいいいっ………」 「でも、出すのはだぁめ♥」 「あひぃぃぃっ♥♥」 「情けない顔。そんなんで、本当に鳳くんに勝てるの?」 「勝つ!勝つからぁぁ………」 「勝つから?」 「イかせてぇぇ………」 四度も寸止めされたせいで、もう頭の中は射精の事で一杯だった。 「じゃあ………」 佐倉井が、俺の上に寝そべる。 胸板に柔らかな感触が押し付けられ、潰れる。 息を吸い込むと、とてもいい匂いがした。 肺と血管を通じて全身に運ばれ、全細胞を蕩けさせるような、そんな香りだ。 「私のこと、カノジョにしてくれる?」 耳元で、甘く囁かれ、他愛もなくとくん、と鼓動が高鳴る。 「そ、それは………」 「私、有澤くんの事が好き」 「えっ………」 突然の告白に、戸惑いを隠せない。 「だからお願い。私を、抱いて」 「っ………」 「鳳くんに犯された分も、上書きして欲しいの。今までの私の人生、最悪な事ばかり。それに、もうすぐ死ぬかもしれない。だから、有澤くんとの思い出が欲しいの。寂しいの。寒いの。不安なの。このまま死にたくないよ。怖い。でも、有澤くんと一緒なら。だから………」 佐倉井が顔を上げ、そしてゆっくりと近づけてくる。 「佐倉井………」 その唇を、避けようと思えば避ける事もできただろう。 だが、俺はその潤んだ眼差しに射竦められたかのように、動く事ができなかった。 柔らかな唇が重ねられて。 とろとろの唾液と舌が入ってきて。 舌を絡め合い、唾液を交換し合い、互いに貪るような口づけを交わす。 (キス、気持ちいい………) 口中の性感帯を刺激するような、巧みなキス。 慈愛すら感じる心地よさに、心が絡め取られていくような気がした。 「ふふ。私のファーストキス、有澤くんにあげちゃった♥」 銀色の糸を引きながら唇を放し、嬉しそうに、恥ずかしそうに微笑む。 その可愛らしさは、どんな男でも虜にするだろう。 「いや、さすがにファーストキスはウソじゃん………」 「あはは。バレた?」 俺の指摘に、佐倉井はぺろっと可愛らしく舌を出し、 「でも、有澤くんの事好きなのは本当だよ?」 「どうだかな………」 口ではそんな事を言いつつも、心が動かされてしまっているのも事実だった。 鳳を倒して。 ゲームを生き残って。 佐倉井を恋人にして。 二人で歩む未来。 そんな情景を、勝手に脳裏に思い描いてしまう程には。 何が本当で、何が嘘なのかわからない。 ただ一つ真実なのは、とにもかくにも佐倉井が可愛いという事のみ。 (可愛いは正義………) とは、よく言ったものだ。 「ね、俺の彼女になれ、って言って♥」 そう言いながら、再び太ももでペニスをにゅくにゅくと扱かれる。 「あっ♥くっ………」 これは罠かもしれない。 そんな警戒心を失ったわけではない。 今でも、左手は拳銃を握っている。 撃つでも、殴るでも。 佐倉井を無力化する事は十分に可能だ。 だが、いずれにせよ、今はとにかく、射精がしたかった。 「お、俺の……彼女になれ………」 「はい♥」 佐倉井が可愛らしく頷き、唇を重ねる。 激しく舌を絡め合いながら、むっちりとした太ももに激しく扱かれて。 強すぎる快楽に、頭の中で白い閃光が瞬く。 「ん―――――っっ♥♥♥」 今度は寸止めされる事もなく、絶頂へと押し上げられる。 どびゅんっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥どびゅるるるるっ♥♥びゅるるるるっ♥♥びゅくんびゅくんっ♥びゅぅぅぅっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥ 何度も寸止めされたせいか、二度目の射精は一度目のそれにも決して劣らない勢いで噴き上がり、中空に弧を描き、ばちゃばちゃと周囲に降り注いだ。 俺が放心状態でいるうちに、佐倉井は身を起こし、まだ勃起したままのぬめるペニスを活かして下着をずらし、にゅるんっと一息に膣に迎え入れてしまう。 流れるような動きで、抵抗する間もなかった。 「っ♥♥」 気づいた時には、もう俺のペニスには幾重もの襞が絡みつき、激しく締め付けられていた。 「んんっ♥♥有澤くんの、太くてっ♥最高っっ♥♥」 佐倉井が激しく腰を動かす度、ばちんばちんと肉がぶつかり合う淫らな音が響く。 「―――っっ♥♥」 俺は歯を食い縛りながら、なんとか耐える。 既に二度、大量に射精させられていたからこそ、耐えられているのだ。 でなければ、数瞬で絶頂へと押し上げられていただろう。 「あっ♥あっ♥……で、でも、動きづらいっ、動きづらいよっ♥♥」 十分すぎるほど滑らかな動きで俺を責め立てながら、それでも佐倉井は不満そうに首を振り、 「ね、お願いっ、手錠っ、外してぇっ、もっと、もっと気持ちよくしてあげるからぁぁっ!」 髪を振り乱し、欲情に瞳を燃えあがらせながらの懇願。 白い肌が上気し、汗が浮かぶ。 弾む乳房。 俺の胴体を挟み込む、むっちりとした太もも。 その姿に理科準備室で見た光景がオーバーラップする。 (もっと…もっと気持ちよく……!!) 拳銃を手放すべきではない。 手錠を外すべきではない。 そんな事は百も承知だ。 だが、俺自身、欲情に急き立てられていて。 本能がいくら正しくとも、この状況ではまさに多勢に無勢。 本能寺の変で明智光秀によって討ち取られた織田信長の様に。 理性が本能によって駆逐される。 俺は拳銃を手放し、手錠を外した。 「あぁぁんっ♥♥」 甲高く喘ぎながら髪を掻き上げ、ボタンが飛ぶほどの勢いで俺のワイシャツをはだけさせ、剥き出しになった乳首にむしゃぶりつく。 「ぎっぃぃっ……♥♥」 これまでに与えられたことのない新鮮な快楽に、ぎゅんっと睾丸がせり上がり、 「あっ、だ、ダメ、出るっ!ぬ、抜かないとっ!!」 「いいよっ!な、中に、中に出してぇっ!」 込み上げてくる射精感に追い詰められる俺の叫びに、じゅるるっと乳首を吸いながら、佐倉井が叫び返す。 いずれにせよ、抜いて外に出すほどの余力もなかった。 「イぐぅぅぅぅ……♥♥」 三度目の精を、佐倉井の膣奥にぶちまける。 どびゅんっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥どびゅるるるるっ♥♥びゅるるるるっ♥♥びゅくんびゅくんっ♥びゅぅぅぅっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥ きゅうきゅうと収縮する膣が、射精途中のペニスを責め立て、更なる射精を促す。 「はぁはぁ………」 肩を上下させ、荒い息を吐きながら、俺は佐倉井の目を見た。 「………」 無言で、目を逸らす佐倉井。 そんな彼女の右手首を、俺は掴んでいた。 彼女の手には、髪の毛程の細さの針があった。 射精の瞬間に刺そうとしてきたのを、寸前で食い止めていたのだ。 消えかけていた理性の、最後の悪足搔きとでもいうべきか。 「痺れ薬か。この針で刺して、前田を殺したんだろ?油断させて、手錠を外させた上で。髪の中に仕込んでいたのを、さっき髪を掻き上げた時に掌中に忍ばせた。違うか?」 「っ、そうよ、正解……」 佐倉井は悔しそうに唇を噛む。 「これが奥の手だった訳だ」 自然と、笑みが込み上げてくる。 奥の手を潰した。 勝ったのだ。 肉体的な快感に加え、佐倉井の企図を打ち破ったという精神的な快感が、理性にトドメを刺した。 (もう大丈夫だ。もう佐倉井には何もできない………) 針を取り上げて遠くへと放り捨て、ぐぐっと身を起こし、佐倉井を仰向けに寝かせ、両足を小脇に抱えて圧し掛かる。 繋がったままのペニスに襞が絡みつき、蕩けるような快楽を齎す。 「ま、まだ続けるの……鳳くん、そろそろ帰ってくるかも……」 「そんなにすぐには帰ってこれない。そういう罠を仕掛けたからな。佐倉井、お前が言ったんだぜ。『鳳くんに犯された分も、上書きして欲しい』ってな」 優越感と愉悦感が、欲望にさらに油を注ぐ。 「わかった………」 観念したように吐息を漏らした佐倉井が、その細腕を俺の首に絡める。 その瞳にも、欲情の火がゆらゆらと揺らいでいた。 「じゃあ………もう少しだけ、楽しみましょ♥」 「ああ………」 頷き、深く深く身を沈める。 唇を重ね、舌を絡め、唾液を交換し、制服を脱がせて乳房を揉みしだき、谷間に顔を埋め、頂の蕾を吸い、そして腰を振り続ける。 あん♥あん♥と気持ちよさそうに喘ぐ佐倉井の喘ぎ声が耳にも体にも心にも心地いい。 込み上げてくる射精感に身を任せ、その最奥に精をぶちまける。 佐倉井の父親。 権藤。 沢村。 斎藤。 鏑木。 前田。 鳳。 そして、彼女を今まで抱いてきたすべての男たち。 (こいつは………俺の女だ………俺が……すべてを上書きしてやるっ……俺の……俺だけの女だっ………) 目が血走り、つぅっと鼻血が垂れる。 それでもお構いなしに、責め続ける。 「イくっ♥イくっ♥あああああんっ♥♥」 佐倉井ががくがくと震え、膣が収縮する。 「俺もっ、出るっ♥♥」 強力な締め付けに促されるように、もう何度目かも忘れた白濁液を注ぎ込んだ。 ゲーム終了まで、残り1時間。 白濁に塗れ、ぷるぷると痙攣している佐倉井を横目に、制服を着る。 そろそろ、鳳が帰ってきてもおかしくない時間だ。 はっきり言って、佐倉井は最高だった。 もう、手放せる気がしない。 (ゲームが終わったら………) このままゲームが終われば、佐倉井は4,000万を得られる。 それだけあれば、暫くは働かなくても暮らしていけるだろう。 朝から晩まで。 その体を貪り合う日々。 そんな生活を思い浮かべていると、散々射精したにもかかわらず、性懲りもなくペニスが鎌首を擡げてくる。 (………もう1回だけ………) そんな邪な感情を抱いた次の瞬間。 バリンッとガラス窓が割れる音が響く。 「ぐあぁっ!!」 そして、まるで焼けた熱棒を押し当てられたような激痛が背中に走った。 (射られた………!) 痛みを堪えながら、床に刺していた刀を引き抜く。 拳銃も回収しておこうと思ったが、一瞬早く佐倉井の方が拳銃に飛びついた。 「よし、拳銃をこっちに!鳳はまだ佐倉井が裏切った事を知らない。俺が佐倉井を人質に取ってると見せかけて―――」 そこまで言いかけて、言葉を飲み込む。 髪を掻き上げてからゆっくりと。 佐倉井が拳銃をこちらに向けたから。 口元には薄い笑みが浮かんでいる。 「裏切る?私が惠ちゃんを?何言ってるの?」 「は?いや、だって、お前は俺の………」 「女だろって?それは有澤くんが惠ちゃんに勝てたらって話でしょ?でも、そんな様じゃ無理だよね?最初は警戒してたのに、最期は猿みたいに夢中で腰振っちゃって。惠ちゃんが近づいてきてるのにも全然気づかないし。やっぱ、男って馬鹿ばっかだわ」 ひゅっ―――と風切り音が響いて。 「ぐあっ!」 肩に激痛が走る。 咄嗟に体を捻っていなければ、心臓を射抜かれていた。 「くそっ………」 「いつも、学校のトイレでこそこそオナニーしてたけど、人生最後にヤれてよかったんじゃない?気持ちよかったでしょう?冥土の土産としては最高よね♪」 「な、なんでそれを………」 「そりゃ気づくでしょ。ちょっと擦れ違うだけでふがふが鼻膨らませて。太ももガン見して。前屈みになってトイレに駆け込んでさ。気持ち悪い喘ぎ声、女子トイレにも聞こえてたよ」 「っ………う、うわぁぁあああっ!!」 まさかそんな事まで知られていたとは。 猛烈な羞恥心に襲われて。 俺は叫び声をあげ、佐倉井を人質に取るという当初の案すらもかなぐり捨てて、矢が飛んでくるのとは反対の窓を突き破って脱兎の如く逃走した。 これでは、あの時と同じだ。 理科準備室から逃げ出した時と。 「くそがっ!くそがっ!」 羞恥心と。 騙されたという怒りに突き動かされながら。 とにかく、一歩でも遠くへと逃げ出したかった。 *** 「大丈夫か!」 有澤が逃げ出してから10秒も経たないうちに飛び込んできた鳳の全身は泥や草木に汚れていた。 察するに、有澤の罠は落とし穴か何かだったのだろう。 「私のことはいいから有澤を追って!発信機は仕込んだから」 「わかった」 鳳はあられもない佐倉井の姿を見ても何も言うことなく、一つだけ頷きを返すと、再び飛び出していった。 発信機とは、事前に権藤から支給武器とは別にもらっていたアイテムだった。 その電波を受信する装置を鳳も佐倉井も持っている。 「ふふ」 佐倉井は鳳の目に触れぬようお尻の下に隠していた拳銃を撫でてから、自分も後を追うためにまずは脱ぎ捨てた制服を手繰り寄せるのだった。 *** すぐに追いつかれないようにとジグザグに走ったにも関わらず、何故かすぐに鳳に追いつかれてしまった。 背中に三本目、四本目の矢が突き立つ。 弓道部主将の腕前は嫌になるほど正確だった。 (あと40分………) ぜぇはぁと荒い息を吐きながら、森の中を走る。 視界が赤く染まり、狭まっていく。 (し、死ぬのか、俺は………) 気持ちが揺らぐ。 身体が重くなり、手足の感覚が朧げになっていく。 右肩に五本目の矢が突き刺さる。 衝撃でよろけてしまったが、なんとか姿勢を立て直して走り出す。 もはやそれは走るなどという速度ではなく、よろめきながら辛うじてふらふらと前に進んでいるというに過ぎない。 (寒い。嫌だ。死にたくない………) 急に、視界が明るくなった。 森を抜けたのだ。 だが、この状況で視界が開けるのは決していいことではない。 鳳にとっても狙いやすくなるのだから。 「くそっ………」 しかも、その先は断崖絶壁だった。 逃げ場がない。 「終わりだな」 声に振り向くと、森の中から弓を構えながら鳳が出てくるところだった。 嫌味なほど、隙がない。 人を殺す事に慣れ切った冷たい眼差しに射竦められる。 (―――いや) 全身の激痛と失血に意識を半ば朦朧とさせながらも、俺は刀を構える。 泣きたくなるのを堪えながら、なんとか笑みを浮かべて見せる。 「それはどうかな」 「何?」 「あと、矢は2本だけか?」 俺の指摘に、鳳の武人の如き太眉がぴくりと動く。 弓に番えている矢の他に、背に負う矢筒の中には矢が一本しかなかった。 「その2本、俺が叩き落とせば俺の勝ちだ」 「ほざくな。既に全身に5本の矢を突き立てられ、立っているのもやっとなのだろうが」 「へへっ。それでも、こんなピンチで一発逆転をかます。俺はそんな奴になりてぇんだよ」 (それが、ヒーローってもんだからな………) 「やれるものならやってみるがいい」 弓構えの姿勢を取ってからゆっくりと呼吸を整え、打ち起こし、引き分け、会を待つ。 (くそっ、見えねぇ………) 刀をそれっぽく構えてはみるが、視界がぼやけ、鳳の姿さえ滲んでくる。 両者の間を一陣の風が吹き抜けて。 鳳が矢を放つ。 「やぁっ!!」 自分なりにタイミングを計って刀を振り下ろすも手応えはなく、腹に重い一撃を食らう。 「ぐふっ………」 込み上げてきた熱い塊を吐き出すと、足元にぐしゃっと血溜まりが広がった。 「どうした。叩き落とすのではなかったか」 俺の発言を、ただのハッタリと判断したのだろう。 鳳からは余裕さえ感じられた。 しかし、武人・鳳は一切気を抜くことなく、すぐさま最後の矢を取り、番える。 そして、射法八節に則って構え、 「破ッ!」 裂帛の気合と共に最後の矢が放たれる。 「うおおっ!」 最後の力を振り絞って、剣を振り上げる。 ここが最後の勝負。 勝敗を分ける天王山。 だが、刃先は虚しく空を斬るのみ。 胸に激痛が走る。 骨が断たれ、臓器が裂かれる感覚。 できる事ならば一生わかりたくなかった感覚だった。 衝撃のままに思わず数歩後ろに下がり、尚も一歩下がろうとした足が虚空を踏んでしまい、体勢が崩れる。 「くそ、が………」 思わず伸ばした手は、何も掴む事ができない。 全身に7本もの矢を突き立てられた状態で、崖から転落する。 (あぁ………結局、ヒーローになり損ねたな………) 落下している間、実際にはほんの数瞬の間しかないはずなのに。 様々な情景が思い浮かんだ。 磯に全身を打ち付ける数瞬前、最後に脳裏に思い浮かんだのは幼稚園の時の先生の笑顔だった。 ゲーム終了まで、あと30分―――。 残りプレイヤーは2名。 金色钥匙 子は親を選ぶことができない。 しかし、本人の才能や努力に関わりなく、どんな親の下に生まれてきたかで、その後の人生の大半が決まってしまう。 そんな考え方を、「スプーン階級論」と言う。 裕福な家庭に生まれれば、「金のスプーン」。 貧しい家庭に生まれれば、「土のスプーン」。 僕―――葛城誠一は、前者に生まれた。 日本有数の建設デベロッパーの創業家一族に生まれた僕は、確かに幼少期より何かに困ったという記憶がない。 望むモノは全て与えられた。 幼稚園から名門と呼ばれる学校に入り、エスカレーター式に大学まで進んで。 大学卒業後には、バックパック一つで世界を回る事も許された。 敷かれたレールの上を走る事を拒み、自分なりの人生を模索しようとした事もあった。 しかし、周囲からは「将来が約束されているのに、何が不満なんだ?」と白い目で見られるばかりだった。 懸命に努力し、成功しても「親の七光り」。 失敗すれば、「葛城家の面汚し」と言われる日々。 そもそも、僕には才能がなかった。 「やりたい事」と「やれる事」は違うと言う事を痛感しただけに終わったのだ。 やがて僕は諦め、親に頭を下げて、すごすごとレールに戻った。 ただただ、運ばれていくだけ。 就職活動もしなかった。 必要がなかったから。 僕は、取引先との関係性強化と言う名目の下、ヴェイン商事への入社を父から命じられた。 それも、2年と言う期限付きで。 その後は、父の会社に戻り、将来的に経営を引き継ぐための帝王学を授けられることが決まっている。 そんな僕に下された辞令は『社史編纂室への配属を命ず』と言うものだった。 コネがあるだけで無能な僕になど、会社は何も期待していないという事だろう。 まだ、創業から半世紀も経っていないような会社に、一体どれほどの社史があるというのか。 そんな気持ちを抱きながら、僕は指定された部屋へと向かった。 *** 「―――初めまして、葛城誠一君。私はこの社史編纂室の主任をしている楽阿弥千鶴と言います」 「あ、は、はい………よ、よろしくお願いします」 差し出された右手を握り返しながら、僕はどぎまぎとしていた。 本社社屋の地下。 薄暗い廊下の果て。 古ぼけた『社史編纂室』と言う看板が架かった扉の先。 積み上げられた膨大な本の中に半ば埋もれるように座っていたその人は、バーコード禿のおっさんが似合いそうなこの部屋の印象とは大きく異なる麗人だった。 柔らかそうな長髪に、ややたれ目の穏やかな眼差し。 ワイシャツのボタンが弾け飛んでしまいそうなほどの豊満な胸に、きゅっと引き締まった腰。 タイトスカートから伸びるタイツに包まれた脚は長くて美しい。 (掃き溜めに鶴………) 自然とそんな言葉が思い浮かぶほど、この場に似つかわしくなく、そして僕の人生において今までに見た事もないほど、魅力的な女性だった。 「じゃあ、業務の説明をするから、適当にそこに座って」 そう言って3人掛けのソファを指差される。 「は、はい」 少し緊張しながら、端に腰を下ろすが、落ち着かない。 「お茶と紅茶、それに珈琲があるけど?」 「あ、えと……珈琲で……」 「ふふ。私も珈琲が一番好き」 「そ、そうですか……」 居心地の悪さを感じながら返事をすると、珈琲カップを持ったまま、主任が隣に腰を下ろしてきた。 柔らかな重みをソファが受け止める振動と共に、彼女が付けているらしい香水の甘い香りが仄かに漂ってくる。 「はい、どうぞ」 「あ、ありがとうございます」 差し出された珈琲カップを受け取ると、主任は自分の珈琲を啜りながら髪を掻き上げ、脚を組んだ。 うなじと美脚、押し寄せてくる色気の波に思わず鼓動が早くなっていく。 慌てて珈琲を啜ると、熱さと共に芳醇な香りが口の中に広がった。 「あ、美味しい……」 「ふふ。でしょ。結構、いい豆使ってるから」 「な、なるほど」 漸く人心地が付いた。 そんな風に考えていると、 「ところで、葛城君。セックスは好き?」 何の前触れもなく、主任はとんでもない質問をぶつけてきた。 「ぶほっ!!??あぢっ、あぢぢぢっ!!」 「あらあら。大丈夫?」 唐突過ぎる質問に僕は思い切り珈琲を吹いてしまい、ズボンが濡れる。 熱さに悶絶している僕を主任はニコニコと眺めていたが、僕がカップをテーブルに置くのを待ち構えていたのか、急に僕の肩を押してきた。 抵抗する間もなく、あっさりとソファの上に押し倒されてしまう。 「えっ、ちょっ……」 気が動転している僕を見下ろしながら、主任がぺろりと唇を舐めた。 その妖艶な仕草に、鼓動が一気に跳ね上がる。 「私はね……好き♥」 「っ……だ、だからって、主任っ!い、今は仕事中で……!!」 「主任じゃなくて、千鶴さんって呼んで。私も、誠一くんって呼ぶから♪」 そんなことを言いながら、主任―――千鶴さんが僕のワイシャツのボタンを外していく。 「ま、待ってください!い、いくら何でも急すぎます!」 僕はボタンを外そうとする千鶴さんの手を掴んで、叫ぶ。 一体何がどうなっているのか。 余りの急展開振りに思考がまるで追いつかない。 「んー………」 千鶴さんはやや不満そうに唇を尖らせつつも、手の力を抜いてくれた。 しかし、僕の上から退こうとはしない。 「嫌なの?」 「い、嫌、というか……ぎょ、業務の説明をっ、説明をお願いしますっ」 「んー……そっか。じゃあ………説明するね」 「退いて……は、貰えないんですか?」 「だぁめ♥」 千鶴さんは可愛らしく笑みを零した後、顎先に指を当てて首を傾げる。 「誠一くんは真面目に働きたいタイプ?」 「え………?」 「どうせコネ入社なんだし。2年限定なんだし。適当に仕事しておけばいいやぁっていうタイプ?」 「それは………どちらかと言えば、後者……ですけど……」 「ん。素直で宜しい♪」 社会人として、決して褒められる回答ではないと思うが、千鶴さんは満足そうに頷く。 「正直に言って、会社も別に誠一くんの働きには期待してないのよ。今は」 「………」 わかっていた事だとは言え、こうもあけすけに言われるとさすがに傷つくというものだ。 「うちは完全に成果主義だから」 「……というと?」 「誠一くんはコネ入社。うちは貴方を受け入れる代わりに貴方のお父様の会社と良い取引をさせて貰えて、それなりの利益を得られる」 「はぁ……」 「これもまぁ、誠一くんの成果と言えなくもないって事」 「そんな、僕は………」 「たまたまお父様の子として生まれただけ」 「……はい」 「でも、仕事ってそんなものでしょ?営業にしろ開発にしろ、運の要素に左右される部分は少なからずあるわ」 「はぁ……」 よくわからない理論だったが、とりあえず頷いておく。 「まぁ、難しい話はさておき。誠一くんは所謂、これよね?」 そう言って、千鶴さんが掲げたのは金メッキが施されたスプーンだった。 「金の匙って奴」 「は、はい………」 「うちの会社としては、誠一くんと言う金の匙を預かって………」 そう言いながら、千鶴さんがスプーンをカップに入れる。 「そして、2年間、うちでいろいろと“覚えてもらう”」 “覚えてもらう”の部分でやや声色を変えながら、ゆっくりとスプーンを引き抜く。 金色のスプーンは珈琲が纏わりついて、黒とも茶ともつかない色に染まっている。 「そして、貴方はお父様の会社に入る」 千鶴さんはゆっくりとスプーンを僕の口に挿入した。 口の中に、珈琲の味と香りが広がっていく。 「誠一くんに期待しているのは、それから♪」 千鶴さんが笑みを浮かべながら、僕の手を取り、自らの豊満な乳房に押し当てる。 柔らかな感触に、指先が埋もれていく。 「こ、この部署の業務は……もしかして……」 嫌な予感が膨らんでいき、ごくりと生唾を飲み込む。 その拍子に、スプーンが落ち、床に転がった。 千鶴さんは気にする素振りも見せず、僕にはそもそもそんな余裕はなかった。 「そう。私の業務は、うちが将来的に買収も選択肢に入れている取引先の子弟を受け入れ、篭絡し、忠実な下僕として送り返す事。将来、貴方がお父様の跡を継いで社長になってくれれば、友好的に買収ができるでしょう?気の長い話だけどね。そして、貴方の業務は………」 千鶴さんが上半身を倒し、僕の瞳を至近距離から見つめてくる。 「何も考えず。何もせず。ただただ、私に身を任せて。金の匙を咥えながら生まれてきた事を感謝しながら、気持ちよくなる事♥」 千鶴さんの綺麗な顔が降ってきて、唇が重ねられる。 ぬるりとした感触と共に舌が入り込んできて、僕の舌が絡めとられる。 ちゅるっ♥ちゅぱっ♥じゅるるるっ♥ちゅぷっ♥れろっ♥んちゅっ♥ 淫らな音が狭い社史編纂室に響く。 千鶴さんの巧みな舌技に、だんだんと頭がぼーっとして、さらに股間に血が流れ込んでいき、肉棒が勃起していく。 視界が歪み、千鶴さんの姿が輝いて見える。 ちゅぱちゅぱと淫らな音を立てながら舌をしゃぶられるだけで、頭の中にぱちぱちと火花が散る。 (なんでこんなに……まさか珈琲に何か……?) 力づくで押し退けようと思えばできるだろう。 だが、押し付けられる唇や舌の柔らかい感触にどんどん力を奪われていくようだった。 「んふ♪」 千鶴さんがゆっくりと円を描くように腰を回す。 「んんっ……♥♥」 すっかり固くなってしまっている肉棒が柔らかく押し潰され、甘い快感が背筋を駆け上っていく。 「気持ちいい?」 「は、はいぃ………♥」 他愛もなく、声が蕩け、微かに抱きかけた疑念も雲散霧消していってしまう。 「もっと、気持ちよくしてあげる♥」 れろぉっ、と首筋を舐められ、耳たぶが咥えられる。 「あぁっ♥♥……んんっ……♥♥」 抑えようもなく甘い声が漏れてしまう。 千鶴さんの緩やかな腰使いによる刺激によって、肉棒は既に限界にまで屹立し、先端からは我慢汁が溢れ出していく。 「何も考えず。ただただ、気持ちよくなってしまえばいいのよ♥」 甘く囁かれるだけで、さらに体から力が抜け、身を任せたくなる。 「んんっ……ふあぁっ……♥♥」 千鶴さんの腰が今度は逆回転で円を描く。 緩やかに、だが確実に、絶頂へと押し上げられていくのがわかった。 このままこのレールに乗り続けていれば、きっと。 そんな思いが込み上げてくる。 別にもう、なんでもいいや。 そんな投げやりな気持ちになってくる。 だって。 (気持ちいい………) 千鶴さんのような美人と、2年間も。 こんなエッチな事をしながら過ごせるだなんて。 そんなの、夢の生活ではないか。 (断る理由なんか………) その時、不意に脳裏に父親の顔が浮かんだ。 僕が、自分のやりたいことをやりたいと言った時、父は「なんでも試してみろ」と言ってくれた。 僕が、挫折し、頭を下げた時、父は「これも社会勉強だ」と言ってくれた。 僕に、ヴェイン商社への入社を命じながら、「他にやりたい事があるなら、いつでも好きにしていい」と言ってくれた。 創業家の二代目として生まれた父は、誰よりも僕の気持ちを分かってくれたのだ。 (そんな父さんを、僕は裏切ろうとしてるのか………?) ずきん、と心の奥が痛んだ。 「―――鶴さん……て、ください……」 「ん?なぁに?」 「千鶴さん……もう、やめてください……!」 決然と言い放ち、僕は千鶴さんを押しのけて、彼女の下から逃れた。 「誠一くん……」 まさか僕が抵抗するとは思っていなかったのだろう。 千鶴さんは驚きに目を丸くしていた。 そんな千鶴さんを、精一杯の虚勢を張って睨みつける。 「僕はこれまで、父の敷いたレールの上を歩き続けてきました。だから……」 ぎゅっ、と拳を握り締める。 「今更、父さんを裏切る事はできません。ただレールの上を運ばれていくだけの僕にも、僕なりの意地があるんです」 「あらら」 千鶴さんは目を瞬いた後、嬉しそうな笑みを浮かべる。 「いいわよ、誠一くん。その調子♪」 「お、怒らない………んですか?」 「怒らないわよ。だって………」 千鶴さんが自分の指を咥え、厭らしくしゃぶる。 「っ………」 その淫らな光景に、股間が疼くとともに、背筋をうすら寒い感覚が昇って行った。 「抵抗ウェルカム♪……その方が堕とし甲斐があるもの♥」 「の、望む所です!僕は絶対に屈しません!」 「ふふ。頑張ってね。に・ね・ん・か・ん♥」 怪しい笑みと共に囁かれる期間の途方もない長さに絶望感さえ感じつつ。 「絶対に……耐えてみせます!」 僕は決然と言い放ったのだった。 *** 啖呵を切ったはいいものの―――。 会社員である以上、出社しないわけにはいかない訳で。 千鶴さんと一日、二人だけで過ごす事を考えると、憂鬱になってくる。 「おはよ、誠一くん♪」 「おはよう、ございます」 昨日の事など忘れたかのように朗らかに挨拶してくる千鶴さんに対し、僕の返事は明らかに挙動不審だった。 改めて見ても、はっきり言って、千鶴さんは魅力的過ぎる。 実を言えば昨日も、社会勉強という名目の下、一人暮らしをするために借りているマンションに帰宅した後、僕は千鶴さんの事を思い出しながら自慰に耽ってしまった。 もしあのまま流されていれば―――。 もしかして、あんな事やこんな事もできたかもしれない。 そんなことを考えながら悶々としているうちに、自然と手は肉棒に伸びていって。 「―――ね、昨日は何回オナニーしたの?」 「っ………」 昨日、散々妄想を思い浮かべた美貌に覗き込まれて、鼓動が跳ねてしまう。 「一回。二回……それとも、三回?」 「お、教えませんっ……」 「ってことは、オナニーはしたんだ?」 「っっ……」 自分の失言に気づき、思わず脳天から煙が噴き出しそうなほど赤面してしまう。 「どんなことを想像したの?」 「どんな事って………」 「手コキ?フェラ?パイズリ?」 「っっ………」 「ふふ。可愛い♪」 「か、からかわないでください………」 「だって、可愛いんだもの。顔真っ赤にして。それじゃ、ほら、誠一くん。始業時間も過ぎたし、お仕事、しよ♪」 そう言いながら、千鶴さんはワイシャツのボタンを外し、黒い扇情的なブラに包まれた乳房を露にする。 美しく、深い谷間の渓谷に思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。 「ふ、ふざけないでください、き、昨日、もうやめてくださいって、い、言ったじゃないですか………」 「言われたねぇ。で・も……」 千鶴さんが自身の乳房を揉み始める。 ぐにゃぐにゃと厭らしく形を変える柔らかな肉の塊から視線を引き剥がす事ができない。 股間に怒涛の勢いで血が流れ込んでいき、あっという間にズボンにテントを張ってしまう。 「やめる訳にはいかないのよ。これが私の仕事だから♪……私はコネ入社じゃないから、一生懸命真面目に働かないといけないのよぉ♥」 手を引かれ、ソファに横にさせられる。 そんな僕の顔を、逆向きで四つん這いになった千鶴さんが見下ろす。 「そ、そんな……」 「簡単な話じゃない。私は貴方にエッチな事をする。これは私の仕事だから譲れませ~ん。それでも、貴方はお父様を裏切りたくないから、言いなりにはなりたくない。じゃあ、我慢すればいいのよ♥」 ぽむんっ、と言う感触と共に、顔面が柔らかな感触に包まれる。 「んふぅっ……」 もちもちとした柔肌と甘い香りに包まれて、体が自然と脱力していく。 「私のおっぱい、気持ちいいでしょう?……お昼時間までこのまま、ぱふぱふしてあげる♥」 「ひょ、ひょふんにゃ……(そ、そんな……)」 「ふふ。何言ってるかわからないよ、誠一くん。でも、ズボンの中、凄い事になってるみたいだよ?」 指摘されるまでもなく、既に肉棒は痛いほど屹立していた。 ワイシャツのボタンが外され、裸の胸に千鶴さんの手が這い回る。 乳首を指先が掠める度、びくんっと体が震えてしまう。 「ふふ。乳首が敏感なんだね♥じゃあ、一杯イジってあげる♪……くりくり♥くりくり♥」 「んふぁ♥あぁぁっ♥」 乳首を指先でこねられると、びくんっと体が跳ねてしまう。 「かりかり♥かりかり♥って、されるのはどぉ?」 「あふぁぁぁっ……♥♥」 「さわさわ♥さわさわ♥って、優しくされるのはぁ?」 「ひぃぃっ♥んんんっ♥♥」 「こりこり♥こりこり♥って、ちょっと強めにされるのもいいよねぇ?」 「んんひぃあぁっ♥♥」 「ぎゅぅっ♥ぎゅぅっ♥って、抓られてぇ」 「おふぅぅぅっ……♥♥」 「ぴーんっ♥ぴーんっ♥って、引っ張られるの気持ちいいでしょう?」 「あっ♥うひぃっ♥」 「ぐにぐに♥ぐにぐに♥あはは。もうお顔、とろっとろだよ?」 「あぁぁっ♥♥だ、だってぇ……❤❤」 「気持ちいいんだ?」 「気持ちいい……れすぅ……❤❤」 「ふふ。可愛い❤じゃあ、こきゅこきゅ♥こきゅこきゅ♥」 「あひぃぃっ……♥♥」 様々な技巧を用いて乳首を弄繰り回されて、喘ぎ声が止められない。 延々と、それが繰り返される。 一時間か、二時間か、それともまだ十分程度しか経っていないのか。 乳房によって気持ちよすぎる暗闇に閉じ込められた僕は、時間感覚すらわからなくなっていった。 しかし、その間、千鶴さんは決して肉棒には触ってくれなくて。 快楽がどんどん蓄積していくのに、発散することができなくて。 (ああぁ……触ってほしい……触ってほしい……) いつしか、頭の中はそんな考えで占められていく。 でも、その度に、父親の顔が思い浮かんで。 (父さん……僕は……僕はぁぁぁ……) 歯を食いしばって耐えようとしても、乳首を転がされ、顔面を大きな乳房でぱふぱふと揉まれるだけで力が抜けて行ってしまう。 「すっごーく、体がびくびくしてる♥それに、私の谷間、誠一くんの涎でべちょべちょだね♥ねぇ、舐めて綺麗にしてくれない?」 むぎゅぅっと、これまでよりも強く胸が押し付けられる。 ぎゅっと唇を結んで抵抗するが、 「あぁぁっ♥♥」 ぐりぐりと強く乳首を抓られるだけで、声を上げさせられてしまう。 「駄目だよぉ、誠一くん。これは、業・務・命・令♥」 「っ………」 (ぎょ、業務命令じゃ……し、仕方がない……) 僕はおずおずと舌を伸ばし、柔肌に這わせた。 微かにしょっぱさも感じるが、脳が震えるほどの美味だった。 息を吸う度、甘い香りが肺を満たし、脳細胞を犯していく。 「ありがと♥……じゃあ、私も舐めてあげるね♥れろれろぉっ♥」 「んんんっ……♥♥」 散々弄繰り回されて快楽神経が剥き出しにされた乳首に、千鶴さんのたっぷりと唾液をまぶした舌が這いまわる。 背筋をぞくぞくと快楽が駆け上がり、思わず腰が浮き上がってしまう。 「すっごーく、気持ちよさそう♪おちんちんもびくびくってして、ズボンの中で痛くない?じゅるっ♥ちゅぱっ♥………触って欲しい?」 「っ……」 意識の9割以上が蕩けてしまっていた僕は思わず頷きそうになってしまったが、はっと我に返り、慌てて首を横に振る。 「ふふ。頑張るねぇ。それじゃ、自分でする?自分でする分には良いんじゃない?だからほら、自分でチャック下ろして♪」 手を掴まれ、ズボンへと誘導される。 言う通りにするのはまずいとわかっていたが、もはや我慢の限界だった。 (じ、自分でするなら、お、オナニーだ……ただの、オナニー……負けたわけじゃない……負けてなんか……) 自分を納得させるように脳内で呟き、はぁはぁと荒い呼吸を繰り返しながらおずおずとチャックを下ろし、屹立した肉棒を出す。 「わぁ、すごぉい。もうギンッギンッだねぇ……じゅるっ♥かぷっ♥れろれろっ♥」 感嘆の声を上げながら、乳首にむしゃぶりつく千鶴さん。 その快楽に促されるように右手を伸ばし、我慢汁でぬめった肉棒を握り、扱きあげる。 「あふっ♥あぁあっっ♥♥」 扱いた瞬間に、失策だったと悟った。 おっぱいに包まれ、乳首をしゃぶられながらするオナニーは、普段のオナニーとは段違いだったのだ。 「身体ビクビクさせて可愛い……♥♥自分でするオナニーはノーカン♥だから、なぁんにも考えず、気持ちよ~く、イっちゃって♥」 「あっ、だっ、だめっ、で、でちゃっ、あぁぁあっ……♥♥」 頭の中では手を止めなければならないという意識はあった。 だが、身体は言うことを聞かなくて。 ますます肉棒を扱きあげる手が加速していってしまう。 「ほーら……イっちゃえ♥」 じゅるるるるるるるっっ♥♥♥ これまでになく激しく乳首を吸い上げられて。 顔面はおろか、耳まで乳房に包まれて。 「―――――っっっ♥♥♥」 我慢の限界が、一気に決壊する。 どびゅっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥♥びゅるるるるるっ♥♥びゅくんっびゅくんっ♥♥どびゅるるるるっ♥♥ 「あっ♥あひっ♥んひぁっ……♥♥」 これまでの人生で、数え切れぬほどのオナニーをしてきた。 だが、そんなものが無に思えるほどの悦楽だった。 圧倒的なまでの解放感と満足感、そして虚脱感に襲われる。 柱の時計が、無機質に昼休憩の到来を告げる鐘を鳴らしていた。 *** (まずい。まずい。まずい………) 社食で日替わり定食を掻き込みながら、僕は焦っていた。 昨日の決意も空しく、早くも快楽に流されてしまった。 自分でするオナニーはノーカンとはいえ、よくない。 (いや、そもそもノーカンなのか……?……いや、ノーカンだ。ノーカンに違いない……) 一瞬思い浮かんだ疑問を慌てて振り払う。 (だけど、午後も………) この分では、きっと午後も誘惑されるに違いない。 (今度は何を………って、期待してどうする!流されないように我慢しないと……) そうは思うものの、千鶴さんの笑顔を思い浮かべ、乳房の感触を思い出すだけで乳首と肉棒が疼く。 (こんな状況じゃまずい……こうなったら………昼休憩が終わる前に、トイレで抜いておこう……) そう考えた僕は、日替わり定食のトレーを返却するや否や、トイレに駆け込んだ。 会社のトイレでオナニーをするという罪悪感を感じながらも、急いでズボンとパンツを下ろし、肉棒を握る。 ―――すごぉい、出たねぇ♥ 僕が吐き出した大量の白濁液を指に絡め、厭らしく舌を這わせる千鶴さんの淫らな笑顔を思い浮かべるだけで、肉棒がギンギンに屹立した。 扱きあげると、思わず声が出そうなほど気持ちいい。 (こ、これなら………すぐにでも……) そう思いながら扱きあげる。 だが、何故かなかなか絶頂が訪れない。 (ど、どうして………) 快楽はある。 寧ろ、今までだったらもうとっくに射精してしまっていておかしくないほど、気持ちいい。 なのに、何かが足りない。 (はぁはぁ、な、なんで………そうだ……) 脳裏に浮かんだ閃きのまま、乳首に触ってみる。 「んふぅんっ……」 思わず噛み締めた歯の間から息が漏れるほど、気持ちいい。 (ち、乳首を触りながらじゃないとダメだなんて………) すっかり性感帯を開発されてしまったことに若干の恐怖を感じつつも、これでイけると肉棒を扱くピッチを上げる。 肉棒を激しく扱き、乳首を力いっぱい捻る。 「んぅんっ……」 思わず涎が零れ、頭の中が真っ白に染まるほどに気持ちいい。 なのに。 (あぁっ……だ、だめだっ、イけないっ……なんで……) 扱けど扱けど、射精できないまま、もどかしさだけがどんどんどんどん膨れ上がっていく。 結局、一度も射精できないまま、無情にも昼休みは終わってしまった。 *** 「どうしたの、誠一くん。なんだか疲れた顔してるけど?」 社史編纂室に戻ると、にやにやと笑みを浮かべながら顔を覗き込まれた。 僕の状況などお見通しという余裕の表情に腹が立つ。 「な、何でもないです………」 つっけんどんに返し、わざとどんっ、と大きな音を立ててソファに腰を下ろす。 「ふふ。どうしたの?」 「どうって……」 笑われながら尋ねられて、憮然とする。 「もう、就業時間ですから………」 ズボンの中で、肉棒は硬く屹立し、先端からだらだらと我慢汁を垂れ流している。 その上、無性に喉が渇く。 スーツの上から、千鶴さんの厭らしい身体を舐めまわすように視姦してしまう。 「ああ、ごめんごめん。言ってなかったね」 千鶴さんはわざとらしくぽんと手を叩き、デスクの上に置いていた書類とノートパソコンを抱える。 「午後は会議なの。誠一くんはお留守番よろしくね」 「え………」 思わず呆然としてしまう。 てっきり、午後も千鶴さんにエッチに迫られると思っていたのに。 本来、誘惑されないことを喜ばなければならない。 なのに、失望感と絶望感に、どくどくと鼓動が異様な高鳴りを見せる。 「どうせなら社史でも読んでて。じゃ」 そう言い残して、千鶴さんは部屋を出て行ってしまった。 一人、取り残された僕は、熱く火照った体を紛らわせようと、千鶴さんに言われるまま、社史に手を伸ばした。 「平安時代に遡る名家である日埜家当主日埜輝久と妻ユキの間に生まれた日埜尊(現・総帥)は大学在学中にヴェイン・グループを創業。日埜家の地盤を受け継いで業容を拡大すると、教育事業にも乗り出し、私立ヴェイン学園を設立、生徒会長であった佐伯真央(現・副総帥)と意気投合します。二人は後に公私にわたるパートナーとなり、三人の愛娘にも恵まれました。以降、私立ヴェイン学園が輩出する優秀な人材を基盤とし、ヴェイン・グループは更なる業容の拡大を遂げ、現在では日本有数の企業グループへと成長を果たしています………くそっ」 そこまで読んだ所で、社史をテーブルの上に放り投げる。 元々興味がない事もさることながら、身体の火照りが一向に収まらないのだ。 部屋中に漂う千鶴さんの香水のせいで。 「すぅ……はぁ……はふぅ❤」 深呼吸するだけで、頬が緩んでしまう。 どくどくと鼓動が高鳴り、自然と右手が股間に、左手が乳首に伸びていく。 「あっ♥……んんっ……♥♥」 服の上から触っただけでも、痺れるような快感に声が漏れてしまうのを抑えられない。 「職場……なのに……♥♥」 手を止めようとする。 だが、止められない。 口の端から零れ落ちた涎が、二本、三本と筋を描いていく。 その筋が五本に達する頃には、僕はもうイく事しか考えられず、ボタンを外し、チャックを下ろし、自慰に耽っていた。 *** 「な~に、してるのかな、誠一くん♪」 夕刻になり、会議を終えた千鶴さんが帰ってきた時、僕は赤く腫れあがった乳首と肉棒を弄りながら、息も絶え絶えという有様だった。 「ち、ちづる……さん……い、イけ……ないんですぅ……」 弄れば弄るだけ快楽は感じる。 なのに、最後の一押しが足りない。 もどかしくて。もどかしくて。 もう、どうにかなってしまいそうだった。 「そっかぁ……」 千鶴さんはうんうんと頷きながら僕の隣に腰掛け、そっと僕の頭を抱き寄せてくれた。 顔が、柔らかくて、温かくて、甘い空間に囚われる。 それだけで、ぐずぐずと体が溶け出してしまいそうな安心感に包まれる。 「舐めて」 頭を撫でられながら優しく促されて、言われるがままに舌を伸ばす。 「こんなに腫れちゃって……痛くない?」 千鶴さんの手が優しく乳首を撫でまわす。 小さなペニスかと見紛うばかりに肥大化してしまった乳首がミルクのような甘い悦楽に蕩けていく。 「あっ、あぁぁっ、ふぁぁぁっ……♥♥」 「おちんちんも、大変♪」 醜く浮き上がった血管をなぞるように、裏筋を指先で撫でられる。 「握っていい?」 本当なら、断らなければいけない。 でも……もう、耐えられなかった。 こくん、と首を縦に振る。 (しまっ……) 振ってしまってから後悔の念が込み上げてくる。 だが、止める間もなく、 「ありがと♥」 ふわり、と一本一本の指を感じさせるように柔らかく、肉棒が握られる。 「ふひぃぃ……❤❤」 ただ握られただけなのに、信じられないほどの悦楽が脳天を貫く。 止めようという意思も、一瞬にして蕩けていく。 「凄い我慢汁。べとべとだね」 我慢汁を指に絡めながら、扱かれる。 ぐちゅぐちゅと聞くに堪えない淫らな音が、今の僕にはむしろ福音に思えた。 「あっ♥きっ、気持ちいいいっ……♥♥」 決して早く扱かれている訳でもない。 だというのに、自分でするよりも数倍、いや数十倍は気持ちよかった。 びくびくと体が震え、頭が真っ白になる。 千鶴さんの手が徐々に速くなっていく。 単調に上下に扱くだけでなく、カリ首の辺りでひねりを加えるなど、正確にはどこをどうされているのかわからなかったが、ただただ気持ちよかった。 先ほどまで幾らやっても届く事のなかった領域へといとも簡単に押し上げられていく。 「あぁっ♥イっ、イけそう……イけそうですぅっ……♥♥」 「そう?もうちょっとだから頑張ってね♪」 優しく励まされるまま、べろべろとおっぱいに舌を這わせる。 乳首をくにくにと優しく弄られながら、ぐちょぐちょと肉棒を扱きあげられる。 どんどん、どんどん高みへと昇っていく。 「あぁ❤……これ、凄いぃぃぃ……❤❤」 「このまま墜ちちゃう?」 「っ………」 最後の質問。 この質問に頷けば、最高の悦楽を得られるだろう。 脳裏に、父親の顔が浮かんだ。 (父さん……僕……僕……勝てなかったよぉぉぉ♥♥) 「い、いいれひゅっ!堕ちまひゅぅぅうっ……♥♥」 蕩けすぎて、もはや呂律もよく回っていなかった。 ただただ、このまま気持ちよくしてもらいたくて、懸命に言葉を紡ぐ。 「お父様を裏切って、私たちヴェイン・グループが成功を掬う為の金の匙になってくれる?」 「な、なりまひゅぅぅっ♥♥なんでもしまひゅひゃらぁぁあっ♥♥♥いっ、いがぜでぐだざいぃぃぃっ……♥♥」 「ふふ。いい子よ♪」 かぷっと耳が咥えられ、ずぼずぼと舌先が耳穴をほじくる。 「イけ♥♥」 その命令が、吹き込まれると同時に―――。 「あぁぁあっ♥♥いっ、イぐっ♥イぎまひゅぅぅっ♥♥」 どぼっ♥どびゅくっ♥♥どびゅるるるるっ♥♥びゅくびゅくっ♥♥びゅるるるるっ♥♥ 僕はがくがくと体を跳ねさせながら、絶頂に追いやられた。 昼から数えておよそ5時間ぶりの白濁液が時折つっかえながらも勢いよく噴き出す。 「ふふ。一杯出たね♥やっぱり、自分でするより私の方が気持ちいい?」 「気持ちいい……れすぅ……♥♥」 絶頂直後の無防備な脳に、その言葉はしっかりと刻み込まれた。 *** 入社三日目。 まだ、三日目である。 二年耐え抜いてみせると啖呵を切っておきながら。 たった三日で僕は―――。 「あひぃっ♥イきますっ♥♥イぎゅぅぅぅっっ♥♥」 ソファに横向きに正座した千鶴さんに膝枕をされ、その柔らかな双乳に顔面を押し潰され、左手で乳首を、右手で肉棒を扱かれて無様に射精していた。 「ふふ。誠一くんてば、もう7回目なのに凄い勢い♪」 びちゃびちゃと周囲にまき散らされる白濁液を、穏やかな眼差しで見つめながら千鶴さんが笑う。 「だって……気持ちよすぎて……」 一方の僕には、もはや抵抗しようという気は欠片もなかった。 ただただ、千鶴さんの齎す快楽に溺れるだけ。 「もう、ぱふぱふと乳首弄りと手コキだけで堕ちちゃうなんて、ちょっとちょろすぎるよぉ。まだフェラとかパイズリとかセックスとか足コキとか気持ちいい事は一杯あるのに」 「うっ………」 想像するだけで、再び肉棒が硬さを取り戻していく。 「研修とか社員旅行とか忘年会とか、誘惑イベントも一杯あったのになぁ………」 屹立した肉棒に、さわさわと千鶴さんの手が這い回る。 同時に乳首もぐにぐにと弄られ、僕は手足をぴーんと伸ばして仰け反り、快楽を享受する。 「頑張りますぅ……頑張りますからぁ……♥♥」 「えー。頑張ってくれるぅ?」 「頑張るぅ……からぁ、イかせてぇ……♥♥」 「あはは。ダメじゃん♪でも……いっぱい、イかせてあげる♥」 「ありがとうございまひゅぅっ……♥♥」 どびゅどびゅと8回目の絶頂を迎えながら、僕はこの上もない幸福感に満たされていた。 *** 「はい、楽阿弥千鶴です。お疲れ様です、姫月部長。金の匙くん、篭絡完了です♥……はい、はい。いやぁ、こんなにちょろいとはむしろびっくりです」 ソファの上で幸せそうに気を失っている葛城誠一を横目で見ながら、楽阿弥千鶴は内線で表向きの組織図には載っていない真の上司に成果を報告していた。 「いえいえ、私なんてまだまだ。伝説の“月下美人”には遠く及びませんって……あはは……え。もう次の入社が決まったんですか?今度は……えぇ、凄い。それは金の匙どころではないですね。ふふ。そういうの、“ダイヤモンドの匙”っていうらしいですよ。ええ、ええ。そうですね……今度はもうちょっと粘ってくれることを期待しています♪」 触手? 朝、学校に登校してきて下駄箱を開けた時、上履きの上にちょこんと載せられている手紙を発見した場合、人は一体どういう反応をするのが正しいのだろうか? 嬉し恥ずかし、キャッキャうふふ………という感じか。 だが。 「……はぁ」 少年は、心底めんどくさそうに溜息を吐くばかり。 「なんだよ、俵っち。またラブレターか?週1ペースじゃん」 肩越しに下駄箱の中を覗いて、同級生がからかいの笑みを浮かべる。 「そうだな」 うんざりと頷きながら手紙を取り出し、裏を確認する。 そこには几帳面な字で、 【よっちゃんへ。千冬より♥】 と認められていた。 「ったく………」 悪態を吐きながら、人の流れに逆らって歩き出す。 「俵っち。サボり?」 「ああ。適当によろしく」 「ほーい。8人目のお母さんが危篤って事にしとくわ」 ひらひらと気楽に手を振る同級生にこちらも手を挙げて応じて、学校の外へと向かう。 ラブレターと思しき手紙を貰いながら動揺することもなくこの不遜な態度。 さてはモテ男か、リア充め、大陸産スイカでも食べて爆発してしまえと世の誹りを受け、罵詈雑言を浴びせられ、清めの塩を撒かれてもおかしくない悪鬼羅刹の如き所業だが、さにあらず。 (俺だって、これが本当にラブレターだったらどんなに嬉しいか………) 手紙の差出人である芦屋千冬。 長い黒髪も艶やかな、いかにも巫女服が似合いそうな大和撫子然とした風貌の美少女。 その姿を思い浮かべるだけで、鼓動が僅かに高鳴る。 幼馴染でもある彼女は、初恋の相手でもあり、これまで何度も何度も想いを伝えてきた相手でもある。 だが、その度にけんもほろろにあしらわれてきた。 その数、実に99回。 出会って、12年。約1月半に1回は告白してきた計算だ。 いい加減諦めろと周囲にも言われるが、そんなことは気にしていない。 いずれ絶対に、結ばれる運命だと確信しているから。 そんな相手からの手紙に心弾まない訳は、ただ一つ。 その内容が、愛の告白でないことを確信しているからだ。 校門を抜け、人通りも少なくなってきたところで、手紙を開封する。 前略。よっちゃんへ。単刀直入に言うと、またやらかしちゃいまして。ぴえん通り越してぱおんだよぉ(流行りの言葉は積極的に使っていこうと思って♪)。先方はよっちゃん一人で来いとの事。勿論、警察にも組織にも親兄弟にも言うなって。親兄弟いないんだけどねぇ。指定時間は今日の10時。学生は勉強しなきゃいけない時間なのに、無茶な事言うよねぇ。場所は四丁目の廃工場。うわ、ド定番。ということで、毎度の事で申し訳ないんだけど、時間過ぎると私殺されちゃうらしいので、ぱぱっとよろ♪敬具 「相変わらず、緊張感がねぇ……」 桃姫やら高校生探偵の幼馴染やら、世の中には何度も何度も事件に遭遇する女性たちがいる。 そんなヒロイン気質の女性たちを毎回、心から心配し、死力を尽くして助け出そうとするヒーロー達には敬意すら抱く。 「本当、惚れた方が損するな、まったく………」 うんざりと呟きながらも、手紙をポケットにねじ込み、走り出すのであった。 *** 指定された時間通りに、指定された場所に着く。 我ながら、日本人の鑑だろう。 「―――言われた通り、来たぞ」 まだ午前中だというのに薄暗い廃工場に、俺の言葉が木霊する。 それに応じるかのように、あちこちで湧き上がる気配。 錆びた工作機械の上。 放置された資材の裏。 もの悲しげにアームを掲げる重機の脇。 靄とも霧ともつかない黒い影が揺らめき、蠢き、徐々に迫ってくる。 人は彼らを、様々な名で呼ぶ。 妖、物の怪、鬼、悪魔、霊、呪い………。 古来、妖怪は、人の畏れが生む、と言われてきた。 それは迷信でも妄言でもなく、事実だ。 そして、陰に陽に、人はこの世に生まれてより常に、彼らとともに在った。 時に手を取り、時に慈しみ合い、そして多くの時を殺し合ってきた。 「よよよ、よく来たな………」 廃工場の奥から、声が木霊する。 反響のせいか、非常に聞き取り辛い声だった。 「人質は無事なんだろうな?」 「くっくく……じじじ、自分で確かめろ………ままま、まずは体力を削らせてもらう……」 その言葉を合図に、黒い影たちがにじり寄ってくる。 「体力を削る、か………」 いつもは気だるげな瞳に、獣の如き獰猛な輝きが宿る。 公的・民間問わず様々な退魔組織がある中で、頂点と目されている者たちがいる。 神武東征の折、その先導を務め、妖怪ひしめく熊野の山中を導き、建国に功を立てた者たち。 後に、宮中に仕え、陰陽師と名乗った者たち。 そんな者たちの末裔が近代に入り、陰陽師としての立場を失った後、再び結集して作り上げた新たな組織である。 その名を、「八咫烏」。 「俺を誰だと思ってるっ。来い、【蜈蚣切(むかできり)】【童子切(どうじぎり)】!」 両手を掲げて叫ぶと、空中に陰陽紋が浮かび上がり、中から刀の柄が現れる。 両手それぞれに柄を握り、手を引くと二振りの日本刀が出現した。 同時に、どこからともなく外套が現れ、微かな風になびく。 その背にはでかでかと墨痕も鮮やかな「悪即斬善即救」の六文字。 この外套を背負い、二振りの日本刀を携えて妖怪と相対する時。 テンションが上がらないと言えば嘘になる。 「八咫烏所属特級退魔師・俵頼光、推して参るっ!」 高らかに名乗りを上げ、地を蹴る。 次の瞬間には、すでにその姿は黒い影の至近に迫り、一太刀で袈裟懸けに斬り捨てていた。 ―――ギャァァァァッっ!! 切られた影は断末魔の叫びをあげつつ、塵と消える。 この世ならざる者たちに対し、本来、物理攻撃でダメージを与えることはできない。 だが、退魔師たちは武器に霊力を流し込み、ダメージを与えることを可能としていた。 呼吸を乱す事さえもなく、次々に黒い影を斬り捨てながらずんずんと廃工場の奥へと進んでいく。 十体以上いた黒い影、その最後の一体が塵と消えるまで、二十秒とは掛からなかった。 そして―――。 「つ、つつつ、強すぎる………」 廃工場の一番奥に、狼狽えまくりの男と、 「よっちゃん!」 薄緑色の粘液に首から下を覆われ、拘束されている芦屋千冬の姿があった。 「大丈夫か?」 「うん。霊力、ちゅーちゅー吸われてるけど……」 そう言って、あはは、と笑う。 芦屋千冬。 かの安倍晴明の終生のライバルであった芦屋道満の血を引く退魔師である。 だが、本人に戦闘センスのせの字もなく、基本的には後方支援が役目だ。 階級もぐんと低く、未だ五級退魔師止まりである。 だが、彼女には稀有な特性があった。 それが、体内にある莫大なまでの霊力である。 言ってしまえば、この上もなき美酒が詰まった酒樽のような存在だ。 そのため、芦屋千冬はよく妖怪に狙われる。 そんな彼女を何度か救い出す役目を担ったおかげか、最近では妖怪たちの間で高額賞金首となっている俺を誘い出す餌として用いられる事も増えてきた。 どこまで行っても餌と目される哀れな人間である。 「さて」 俺はゆっくりと、右手に持つ【童子切】を男に向ける。 一見すると、四十代のしがないサラリーマンに見えるが、その身の内にはかなりの霊力を感じた。 (五級……、まぁ大目に見て四級クラスか………雑魚だな) 「どうせ俺の賞金狙いかなんかなんだろうが……お前如きに狩られるなら、そもそも賞金なんて掛けられねぇんだよ」 「う、う、う、うるさいっ……か、か、金が要るんだ!」 「知った事か。降参して楽に死ぬか、抗って切り刻まれて死ぬか、好きな方を選べ」 「ふ、ふ、ふざけやがって……く、くくく、ひ、ひひ、人質がいることを忘れるな!」 男は勝ち誇った笑みを浮かべる。 「あっ、くっ……ちょっと、苦しいかも……」 千冬を包む粘液が締め付けを強め、その顔が苦渋に歪む。 「そうか」 俺は頷き、地を蹴った。 一瞬で加速。 「八咫烏流双刀剣術奥義・《緋扇》!」 二振りの日本刀から紅蓮の炎が噴き出し、千冬を包む粘液を一瞬にして焼き払う。 「なっ………」 その動きについていくことができなかった男は、ただただ狼狽えるのみ。 「お前が何かをするより、俺が斬る方が早い。どうした?まさか、今のが切り札か?」 「く、くそぉ……こ、ここ、こうなったら………テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます。テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます……」 「なんだ?」 天に向けて両手を伸ばし、何やらぶつぶつと呪文のような言葉を唱え始める男。 すると、焼け残りの粘液がずるずると男の足元に集っていく。 「千冬。下がってろ……」 「あ、う、うん………」 なぜかボーっとしている千冬を下がらせ、双刀を構える。 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます。テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます」 どんどん集まっていくスライムが、徐々に男の体を這いあがり、その身を包んでいく。 「あぁぁ……ショゴス様……テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます……ショゴス様……」 「ショゴス………?」 聞いたことのない名だった。 だが、今男の体を包もうとしている粘液ならば、見覚えがあった。 スライムである。 「あひぃっ……うんんっ……おふっ……あっ♥あっ♥……テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます♥わ、わ、わ、私のすべてを……ぉぉ……♥♥」 男の顔が恍惚に歪み、その身が快楽に震える。 そう、紛れもなく、男は快楽を感じていた。 それは、がくがくと身を震わせる度、大きくテントを張った股間に広がっていくシミを見ても明白だった。 やがて、恍惚としたまま男の全身がスライムに飲み込まれていった。 ぐちょぐちょと、スライム全体が蠢く。 「咀嚼してやがる………」 胸のむかつきを感じながら、二振りの日本刀を握りなおす。 バシュッという音とともに、スライムから無数の触手が飛び出し、襲い掛かってくる。 だが。 「遅い!八咫烏流双刀剣術奥義・《寒月》!」 冷気を宿し青く輝く刀身が触手もろともスライム本体を切り刻み、凍てつかせ、バラバラに打ち砕いた。 *** 「ショゴス………と、言ったのかい、その男は」 「はい」 都内某所の、とある病院、その待合室で、俺は隣に座っている男の問いに頷いていた。 「ふむ」 顎に手をやる男。 中肉中背で、そこにいるはずなのに、ふと目を離した瞬間に消えてしまいそうなほど希薄な存在感しか持たない男だった。 だが、この男こそ、八咫烏の中でも幹部や特級退魔師など限られた人物しかその姿を見知らぬ存在。 八咫烏の総帥・土御門善明。 その名が示す通り、かの安倍晴明の末裔であり、江戸時代には幕府より陰陽道宗家の地位を与えられ、陰陽師のみならず全国の退魔師を統括していた一族に連なる者である。 もっとも、安倍晴明の男系血脈は江戸時代中期に断絶しており、幾度もの養子縁組や女系相続を繰り返した結果、その血はだいぶ薄くはなっているようだが。 「頼光君。妖怪は人の畏れが生む、と言うことはもちろん、知っているね?」 「はい」 「さすがだ」 元々孤児だった俺は、土御門家に拾われ、退魔師となるべく育てられた。 だが、昔からこの掴みどころのない男が苦手だった。 知っていて当然の事を問われ、答えて褒められても、馬鹿にされているようにしか感じられない。 そもそも、俵頼光という名前からしてふざけている。 俵という苗字は、近江三上山の百足退治で有名な藤原秀郷の異名・俵藤太から。 頼光という名前は、大江山の酒呑童子退治で有名な源頼光から採って、この善明によって名付けられた。 二本の佩刀もそうだ。 【蜈蚣切】は藤原秀郷が百足を退治した際に用いた刀。 【童子切】は源頼光が酒呑童子の首を刎ねた刀が由来となっている。 勿論、本物ではない。 「日本は四季に恵まれた美しい国だ。僕はこの国を愛している」 「はぁ……」 「そんな日本で、日本人は二十四節気や七十二支候などの季節の移ろいを敏感に感じ、愛で、歌や絵に描き、感性を磨いてきた。けれども、その感性はより妖怪を詳細に、強大に、繊細にしていく事にも繋がる」 「………」 「さらに厄介な事に、近代以降、日本にはこれまでの中華や国風の文化に加え、西洋の文化が流入してきた。その結果、多くの西洋生まれの妖怪も日本で出現するようになっている。スライムもその一つだ」 「ゲームとか?」 「もちろん、その影響も大きい。元々はアメリカの作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』やジョセフ・ペイン・ブレナンの『沼の怪』に描かれたモンスターだね。その中に、ショゴスも登場する」 「え?」 「ショゴスは謂わば、スライムにとって始にして創、王にして神たる存在だ。因みに、テケリ・リというのはショゴスの鳴き声だと言われているよ」 「スライムの神………」 ふと気づくと、傍らに土御門善明の姿はすでになかった。 (まだ、会話の途中だろうが………) この唐突さも、苦手さに繋がっていた。 特級退魔師である自分にも移動を気取らせない、その薄気味の悪さも。 (そこらへんの妖怪より、こっちの方がよっぽど化け物じみてる………) *** 「隔離措置が解除されて二日でご帰還とはねぇ……」 カルテに目を落としながら呆れ声を発する看護師。 コスプレ衣装と言われてもおかしくないミニスカナース服に、網タイツ。 ぼんっ、きゅっ、ぼんっなセクシーナースである。 「えへへ。面目ねぇっす……夏南さん」 ベッドの上で千冬はえへへとこめかみを掻き、ぺろっと舌を出す。 「一応、検査の結果、憑依や寄生は確認されなかったわ。けど、規則通り1週間は隔離。監視役の術者は俵くん。もう慣れてるだろうけど……って、本来は、慣れちゃダメなのよ?命の危機なんてのは」 「はーい」 「じゃあ、俵くん呼ぶけど大丈夫?一応、鏡見ておく?」 「ん……一応」 差し出された鏡を受け取り、ささっと前髪を直す。 「ふふ、女心ぉ♪」 「もう、からかわないでよ……」 頬を赤く染めながら鏡を返すと、夏南さんは鏡を仕舞いつつ、 「なんでOKしないの?」 「え?」 「いや、まぁ、俵くんが告白してるところ、2~3回は見たことあるから。どうして、付き合わないのかなって。だって、優良物件じゃない?そこそこ顔もいいし。優しいし。強いし。特級退魔師ともなれば、特権もかなりあるみたいだし。何しろ稼いでるでしょ、結構。あの細マッチョな感じもなかなか……」 「ちょ、夏南さん……!?」 「冗談よ。心配しないで。別に誘惑したりしないから。というか、そんな風に慌てるぐらいなんだし、やっぱり好きなんでしょ?俵くんの事」 「それは……まぁ……えへへ。そんなに簡単な女じゃないって事で♪」 「体質の事、気にしてるの?」 「………」 「こんな事、周りがとやかく言う事じゃないけど………妖怪を引き寄せてしまう貴方の体質が周囲に、特に大切な人に危害を及ぼす可能性は否定できない。けど、そんなことに負けるほど俵くんが弱いとも思えない。実際、今でも彼はちゃんと毎回、貴方を助けてくれる。でしょ?」 「まぁ、そう、なんですけどね………」 「男なんて振り回してナンボよ。俺がいないとだめだなぁ、ぐらいに勝手に思わせておけばいいんだって。俵くん、そういうヒーローっぽい感じ好きそうだし」 「あはは。夏南さんはやっぱ強いなぁ」 「それに、将来、子供を作るってなったとしても、遺伝するとは限らない。貴方はかなりレアなケースなのよ?そりゃ、貴方のご両親の事は私もよくは知らないけど、あんな事そう何度も起こる筈ない………いえ、ごめんなさい。出過ぎたことを言って」 「いえ、心配してくれるのは嬉しいって思ってますよ……。私も、いつまでもこのままって訳にいかないのはわかってるので………」 「そう?ならいいけど………じゃあ、俵くん呼ぶね?」 「はい、お願いします………」 *** 「―――じゃあ、また明日来るな」 「ごめんね。仕事とはいえ、毎日毎日………」 「気にすんな。仕事だとはあまり思ってない。来るなと命令されても来るよ」 「ほんとに私の事、好きなんだね」 「っ、あ、当たり前だろ……じゃあなっ」 顔を真っ赤にしながらよっちゃんが帰っていく。 その姿を笑顔で見送り、胸が熱くなる。 「はぁ………」 吐き出す嘆息も、心なしか熱かった。 サイドテーブルに置いてあった鞄を膝の上に乗せ、中身を漁る。 取り出したのは、よくあるスポーツドリンクの小瓶。 「ふふ………」 その表面をゆっくりと撫でる。 自分でも、頬が緩んでいくのが分かった。 「わかってるよ……このままじゃダメだって………」 下腹部が燃えるように熱く、蕩けていく。 「はふ♥……ショゴス様……テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます……ショゴス様……♥♥」 うわ言の様に呟きながら、瓶の中身を掌に垂らす。 それは、とろとろとした薄緑色の粘液だった。 その表面から、数本の触手がゆらゆらと現れ、服の隙間からゆっくりと中に入ってくる。 白い柔肌を、幾本もの触手が這う感覚。 ベッドに横になり、そっと目を瞑り、その感覚に身を任せた。 *** 翌日。 俺は、学校が終わってすぐに病院に向かおうとしたが、担任の教師に捕まり、昨日のサボりに関してねちっこく叱られてしまって遅くなってしまった。 曰く、8人目のお母さんが危篤って、一体何人お母さんがいるんだ!との事。 怒るなら怒るで、もっと早い段階で怒ればちゃんと別の言い訳を考えたというのに。 元々孤児である自分に、母親など一人もいないと言えば一人もいないし、八咫烏で世話になった者たちを母と呼んでいいなら、何十人もいる、とも言えるのだ。 まぁ、いずれにせよ、危篤というのは嘘なのだけれど。 そんなこんなで、病院に着いたのはすでに日もとっぷりと暮れた時刻だった。 本来であれば、監視役の術者は24時間体制で監視を続けなければならない。 だが、千冬の場合、週1ペースで何かしらの妖怪に捕まって隔離措置を食らうという頻度の高さに加え、これまでに問題が起こったことがないことから、特例が認められていた。 そもそも、この病院は八咫烏直営の病院であり、医者や看護師も退魔師としての資格を有している。 そういう意味では、例え俺がいなくても、千冬は24時間監視下に置かれていると言っても差し支えないのだ。 何度も通い慣れた長い廊下を進み、千冬の病室をノックする。 「俺だ。遅くなってすまん」 声をかけて、スライド式の扉を開けた。 「あ……よっちゃん」 「お、おう………」 ベッドの上で上半身を起こしている千冬を、窓から射し込む月の光が照らし出していた。 艶やかな黒髪がキラキラと輝いており、その美しさに思わずどもってしまった。 「明かり……点けないのか?」 「うん。今日は月が綺麗だから」 「そうだな」 来る時は気付かなかったが、確かに窓から見上げる夜空に綺麗な満月が輝いていた。 丸椅子をベッドの脇に置いて、腰かけ、一緒に月を見上げる。 無言の時間が流れるが、これはこれで悪くないと思う。 (平和だな………) そんな事を思っていると、不意に手を、千冬に握られた。 「え………」 驚いて千冬の顔を見た処で、その目と目が合う。 月並みな表現だが、まるで吸い込まれてしまいそうな綺麗な瞳だった。 どきん、と大きく鼓動が高鳴る。 「いつも助けてくれてありがとう………」 「い、いや、良いんだ。俺は………」 ごくり、と生唾を飲み込む。 もう99回も口にしてきた言葉なのに、毎回緊張してしまう。 「俺は………お前が好きだ。だから、全然苦じゃない」 「ふふ。100回目、だね………」 「お、覚えてたのか?」 「うん」 「はは、99回もフラれてまだ諦めないなんて、馬鹿だよな、ほんと……」 「そんな事ないよ。99回失敗でも、100回目も失敗とは限らないもの」 「っ、それって………お、OKって事……?」 「焦りすぎだよ、よっちゃん」 「お、おう………すまん」 「ね、よっちゃん」 「なんだ……?」 「ちゅー、しない?」 「えっ!?」 「それで決める。よっちゃんと付き合うか、どうか」 そう言って千冬は少しだけ唇を尖らせ、目を瞑る。 どきどきと高鳴る鼓動は、千冬にも聞こえてしまうのではないかと思うほど大きく、激しい。 「い、いや、だが、そういうのは順番が違うというか……」 「意気地なし」 「うっ………」 「ほら、お願い。女を待たせちゃダメだよ?」 「う……うん」 何度も生唾を飲み込みながら、千冬の華奢な肩にぎこちなく手を置き、ゆっくりと顔を近づけ、そっと緊張に震える唇を重ねる。 (や、柔らか……くて、ぷにぷに……こ、これが千冬の唇………) 慣れない感覚にどぎまぎしていると、千冬が微かに唇を開く。 (し、舌を入れろって事……!?) キスだけでも初体験だというのに、この上さらにディープキスまで。 (は、ハードル高すぎだろっ……!) 激しく動揺する。 だが、想い続けてきた千冬と付き合えるかどうかの瀬戸際。 ここで情けなく引き下がっては男が廃るというものだ。 覚悟を決め、丹田に力を込める。 それから、ゆっくりと舌を伸ばし、千冬の口内に入れる。 (あったかい………) 千冬の口の中は、自分の口の中よりも温度が高くて。 唾液も心なしか甘く感じる。 伸ばした舌の先端に、千冬の舌が触れる感触。 互いに緊張しながら、ゆっくりと絡め合う。 自然と、両者の腕が背中に回り、きつく抱き締め合う。 (気持ちいい……キスって、こんなに気持ちいいのか………) 頭がぽーっとして、胸がぽかぽかと温かくなる。 どんどん愛しさが溢れ出してくるような心地がした。 同時に、股間に血が流入し、ペニスが熱く熱く勃起していく。 千冬の唇が俺の唇から離れ、頬や首筋、耳元に次々とキスマークを付けていく。 「気持ちいい……♥♥」 俺はただただ、頬を緩め、肌が唇に挟まれ、吸われ、舌が這う心地よい感覚を享受していた。 「ね、よっちゃん……触って……」 千冬が呆けている俺の手を取り、自身の胸に導く。 (お、おっぱ………や、柔らかっ……それに、おっきい……) 服の上からでもわかる、俺の掌には収まりきらないほどの大きさ。 柔らかさ。温かさ。弾力。 揉みこむほど、もにゅもにゅと蕩けそうな感覚が返ってきて、頭の中がぐるぐるとしてくる。 「こ、こんなところ、誰か来たら………」 「見られちゃうね?」 「ま、まずいって………」 「じゃあ、やめる?」 「う……」 「ふふ。そう言いながら、手、全然止まらないよ?」 「そ、それは………」 「ね、よっちゃん。私も触っていい?」 聞きながら、すでに千冬の手が股間を擦っている。 ズボンにははっきりとテントが浮き上がり、先端をくにくにと弄られるだけで甘い快感が下腹部全体に広がっていく。 「大丈夫。まだ暫くは誰も来ないから」 千冬の言葉に、我慢の堤防がぐずぐずと崩れ落ちていく。 「さ、触って………」 俺の許しを得た千冬はチャックを下ろし、ギンギンに勃起してしまっているペニスを取り出す。 「よっちゃんの、大きい……」 感嘆の声を漏らしながら、浮き上がった血管をなぞるように白い指を巻き付け、上下に扱き始める。 「熱くて、硬いね」 「あっ♥あっ♥あっ♥」 背筋を貫く快感に、甘い声が漏れるのを抑えきれない。 「ぴくぴくしてる。よっちゃん、可愛い……♥」 さらに千冬は俺のシャツをまくり上げ、乳首にしゃぶりつく。 「あひっ♥おふぁぁぁぁっ……♥♥」 俺は天井を仰ぎ、体をびくびくと震わせる。 「声、出しすぎ♥」 「だ、だって……♥♥」 「気持ちいい?」 「き、気持ちいい……っ♥♥」 「よっちゃんが喜んでくれて、私も嬉しい♥」 次々に溢れ出す我慢汁があっという間に千冬の指を汚し、扱かれるたび、ちゅぷっ♥くちゅっ♥と粘着質な音を立てる。 単調に扱くだけでなく、ひねりや回転を加え、カリ首や亀頭、裏筋など特に弱い部分を重点的に攻められる。 「あふっ♥う、うますぎっ………♥♥」 まるで熟練の娼婦のような(知らないけど)技巧の前に、あっけなく追い込まれていく。 「ひあぁっ♥んんんっ……♥」 睾丸がぎゅっと上がり、射精感が込み上げてくる。 「あっ♥ち、ちふ、千冬っ、も、もうっ……」 「もうイきそうなの?あまり早すぎるの、好きじゃないかも」 「そ、そんなぁっ♥♥あひぃっ、だっ、だって、気持ちよすぎてぇぇっ♥♥」 「我慢して♥ほら、乳首も舐めてあげるから♥」 「あぁっ♥ち、乳首っ♥き、気持ちいいっ♥こ、これっ、もっとイきそうになっちゃうからぁ♥」 「我慢できない?」 「む、無理ぃ♥かもぉ……♥♥あっ♥で、出るっ♥♥」 「だぁめ♥」 まさに絶頂を迎えようとする瞬間に、千冬がぱっと手を放す。 「あ、あああ……」 寸前でお預けを食らい、切なさが全身を貫く。 「イきたかった?」 「う、うん……」 「んもう、しょうがないなぁ……じゃあ、このまま体の相性も確かめよ?付き合ってから相性最悪なんてなったら嫌だし♥」 「か、体の、あ、相性っ……?」 「そう。大事なんだよ。ほら、ベッドに寝て」 千冬が起き上がり、位置を交代する。 千冬のぬくもりが残るベッドに横になった俺の腰を跨いで、千冬が服をすべて脱ぎ捨てる。 「ぁ………」 露になった裸身が月の光に照らされて、女神か天使かと見紛うばかりに輝く。 「綺麗だ………」 「ふふ。ありがと」 千冬がペニスを掴んで位置を調整し、ゆっくりと腰を下ろす。 「えっ、ちょ、相性を確かめるって………」 「気づいてなかったの?鈍感♪……相性を確かめるっていうのは、こういう事♥」 笑みを浮かべながら、千冬が秘所を亀頭に擦りつける。 「あふっ♥……こ、これはさすがに……」 「やなの?」 「そ、そんなことはないけど……で、でも、ご、ゴムもないのに……」 「いいよ。生で♥……それとも、止める?」 千冬がゆっくりと円を描くように腰を動かす。 愛液と我慢汁が混じり合い、ぬるぬるとした感覚が気持ちいい。 しかし、それは絶頂に至るにはあまりにも弱い刺激で。 より強い快楽を求めて、ペニスがぴくぴくと震えてしまう。 「したくないならいいよ?でも……よっちゃんと付き合うこともできないよ」 「っ………そ、そんな……」 「覚悟を見せて欲しいの。どうする?」 「わ、分かった………つ、続けよう」 「別に無理してシなくても、私はいいんだけどなぁ」 意地の悪い顔をしながら、千冬が腰を浮かしてしまう。 僅かな刺激さえも失って、もどかしさが募る。 「ああっ、う、嘘っ、挿れたいっ♥したいですぅ♥このままお預けされたらおかしくなっちゃうからぁ……♥」 「ふふ、切なそうな顔、可愛い♪いいよ、挿れてあげる♥」 満足そうに笑い、千冬が腰を下ろしていく。 ぬぷり、と淫らな音を立てながら、何の抵抗もなく、ペニスが千冬の膣に飲み込まれていった。 何の抵抗もない、という事が何を意味するのか。 そんなことに思い至る事もなく、 「あひっぃぃぃいぃっっ……♥♥」 俺は顔を歪めて、喘ぎ声というよりも悲鳴に近い声を漏らしていた。 飲み込まれたペニスに、とろとろの何かが絡みつき、締めあげ、奥へ奥へと容赦なく引きずり込まれる。 まるで、底なし沼に沈み込んでいくような感覚。 或いは、巨大な蛇に一飲みで丸呑みにされる感覚に近いだろうか。 「あぁあっっ♥♥と、溶けるっ♥♥おちんちん、溶けるぅぅぅっ……♥♥」 びくびくと体を跳ねさせ、口の端から涎が零れ落ちる。 余りの快感に、視界がちかちかと明滅する。 (な、なんだこれっ、きっ気持ちよすぎるっ♥♥こ、こんなのっ、す、凄すぎるっっ……♥♥こ、これがセックスなのか……!?) ぐちゅぐちゅとペニスがもみくちゃにされて、頭の中でぶちぶちと何かが切れていく感覚。 女性経験のない俺に知り得るはずもなかったが、千冬の膣が齎す快楽は人間のそれを大きく超えていた。 やがて、ペニスは根元までずっぽりと膣に収まって、千冬が俺の首に両腕を回し、抱き締められる。 「全部、入っちゃった……♥よっちゃん、気持ちいい?」 「ひもち……ひぃぃ……♥♥」 耳元で甘く囁かれ、俺は夢見心地で頷く。 「私の事、好き?」 「しゅきぃぃぃ……♥♥」 快楽とともに、愛情もどんどん積みあがっていく。 「付き合いたい?」 「ちゅきあってぇぇぇ……♥♥」 もう、千冬と離れられる気がしなかった。 「私の言う事、なんでも聞いてくれる?」 「聞くぅ……聞くからぁ……♥♥」 「……。私がもう、人間の味方じゃなくても?」 「ふ、ふえっ……?」 「私と一緒に、地獄に堕ちてくれる?」 「はわぁぁぁ……な、なんひぇぇ??」 蕩け切った頭の中で、千冬の言葉がぐるぐると回る。 それは、蕩け切っていた頭に活を与えるのに十分すぎるインパクトのある言葉だった。 「そ、それって…ど、どういう事………」 「うふ♥……テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます。テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………」 「っ、そ、それは……」 うっとりとした表情で、千冬が口にした呪文のような言葉は、あの廃工場で倒した男が口にしていたのと同じもの。 驚愕している俺をよそに、千冬が俺の胸の上で口を窄める。 唾液の代わりに滴ったのは、薄緑色の粘液。 俺の乳首の上に垂らした粘液を、千冬が指先で乳首や乳輪に塗り広げる。 「あっ♥な、なんでっ♥こ、これっ、まさか、スライム!?あんっ♥あ、熱いっ……♥♥」 「ふぅっ♥」 「あひぃぃぃぃっ……♥♥」 粘液が塗られた部分が熱くなり、吐息を吹きかけられるだけで思い切り仰け反ってしまうほど敏感になってしまう。 「素敵でしょ?」 千冬が笑う。 同時に、彼女が動いていないにも関わらず、膣の中でペニスに絡みつく何かが蠢く。 何かを擦り付けられ、塗りこめられ、扱かれる。 「おふぅっ♥♥あひぃぃぃぃっ……♥♥」 ペニス全体が熱く、尋常ではない快楽が背筋を貫き、頭の中で白光となって爆発する。 否が応でもわからされる。 ペニスに絡みついているのも、この緑色の粘液、スライムであるということを。 「き、寄生っ!?す、スライムに乗っ取られて………」 「違うわ。これは私の意志。私は忠実なショゴス様の信徒として生まれ変わったの♥ショゴス様が教えてくれたの。私の生き方を♥私の価値を♥私にしかできないことを♥生まれながらに莫大な霊力を持つ私の、活かし方を♥使い方を♥存在の意義を♥腫物みたいにではなく、本当に必要とされる方法を♥」 「な、なにを言って………」 「今はとぉっても素敵な気分♥………それでね、よっちゃんにいろいろ教えてほしい事があるの♥」 「お、教えて、欲しい事………?」 「そう。八咫烏の事♥五級退魔師の私では、知りようもない事、よっちゃんならいろいろと知っているでしょ?」 くるくると乳輪の周りに指先で円を描きながら、千冬に見下ろされる。 「あ、あふっ♥な、なんで、そんな事………おぉっ……♥♥」 与えられる刺激に、乳首がぷっくりと勃起していく。 同時に、じんじんと切なさが込み上げてくる。 (ああっ、もっと、もっと触ってほしい♥♥弄ってほしい♥♥気持ちよくしてほしい♥♥) 千冬自身が動いていないにも関わらず、膣の中でスライムに絡みつかれ、扱きあげられているペニスも限界だった。 ぐっ、と千冬が身を寄せ、至近距離で目と目が合う。 だが、千冬の陶然と蕩けた目に、俺が映っていないのは明らかだった。 「ショゴス様が必要となさっているから♥……あの方にお慶び頂くためなら、私はなんでもして差し上げたいの♥あの方は人間のままでいていいっておっしゃってくださったけど、私はもう人間をやめたっていいの♥」 うっとりと紡がれる言葉が、急速に俺の胸を熱くする。 込み上げてきたのは、猛烈な怒りだ。 「ふ、ふざけるなっ、誰が、そんな事っ……千冬を返せっ……んぎぃぁぁっ♥♥」 だが、怒りに任せた啖呵は、乳首をぎゅっと掴まれるだけで他愛もなく嬌声に変えられてしまう。 「だからぁ、返すも何も、私は私。私は乗っ取られてる訳じゃないんだってば♥」 「く、くそぉ……はひっ、あぁぁっ……♥♥」 「ふふふ、凄んでも、ちょぉっと乳首をくにくにしてあげるだけで、トロ顔になっちゃう♥勿論、タダで教えろなんてひどい事、言わないよ?」 千冬が耳元に顔を寄せ、ぺろりと耳穴を舐める。 「んひっ……♥♥」 「私のすべてはショゴス様のモノ♥でも、もしよっちゃんがショゴス様に協力してくれるなら、気持ちよーく、イかせてあげる♥」 「あっ♥あああっ♥♥」 ぐにぐにと、膣の中でペニスにスライムが絡みつき、扱きあげる。 千冬を跳ね除けようと手足に力を込めるが、動かすことができない。 いつの間にか、四肢は薄緑色の粘液によって拘束されてしまっていたのだ。 じゅぶじゅぶと、服だけが溶かされていく。 素肌に直接スライムが触れると、その部分が熱くなり、まるで性感帯のように快楽を感じてしまう。 拘束されているせいで暴れて快楽を逃すこともできず、ねっとりと、ぐっちょりと、ぐちゅぐちゅと齎される快楽に翻弄されるのみ。 「いつでも♥どこでも♥好きな時に、どびゅって搾り取ってあげる♥」 耳穴に舌を差し込み、唾液を流し込まれる。 いや、もしかしたら、これもスライムかもしれない。 そう考えるだけで、まるで脳まで犯されるような恐怖感とぞくぞくするほどの興奮に襲われてしまう。 「悪い話じゃないでしょう、よっちゃん?私の事好きなら……協力してくれるよね?」 (そんなの………ずるいよ………) 目尻に涙が浮かび、一筋の軌跡を描く。 俺は震える唇を、なんとか開いた。 「こ、断る………」 「え………」 千冬は身を起こし、心底意外だと言わんばかりの表情で俺を見下ろす。 「お、俺は、た、退魔、師だ……いくら惚れた女に誘惑されたって………仲間を、組織を裏切ることはできない……」 「………」 言葉を発しないまま、千冬が俯く。 その顔に黒髪がかかり、表情を窺い知ることはできない。 だが、乳首を責めるスライムも、ペニスを責めるスライムも動きを止め、激しすぎる快楽からは解放された。 だが、拘束が緩んだわけではなく、力を入れても外すことはできなかった。 「そっか」 十秒ほどの沈黙の末、千冬が呟く。 俺はホッと内心で安堵の吐息を漏らす。 「わかって……くれたか?」 「うん………じゃあ、しょうがないね」 「あ、ああ………だから、拘束を解いて―――っ」 言葉の途中で、俺は息を呑んだ。 顔を上げた千冬の、前髪の間から覗く瞳に浮かんだ狂気を見て。 「ち、ちふ―――」 名を呼ぶ暇もなく、 「あっ♥があああああっ――――♥♥♥♥♥」 スライムが再び、活動を開始した。 乳首を包むスライムも。 ペニスを包むスライムも。 そして、四肢を拘束するスライムも。 乳首がねちょねちょと責められて。 ペニスがぐちゅぐちゅと扱かれて。 四肢を包むスライムが、ねっとりと拘束範囲を広げていく。 手首・足首までだった範囲は、あっという間に肘・膝まで広がった。 さらに、千冬の膣から溢れだしたスライムが、睾丸やお尻まで包み込んでいく。 「いゃぁぁぁぁぁっ♥♥♥」 スライムに包まれている部分の感度が跳ね上がり、その責めによって莫大な快楽が叩きつけられる。 「こ、こんなのっ♥♥た、たえられっ♥♥なひぃぃぃっ……♥♥」 「よっちゃんが悪いんだよ。折角、優しくしてあげたのに♥」 「おおおおっ♥♥い、イグッ♥♥いぎゅっぅぅぅっ♥♥」 込み上げてくる爆発的な射精感に身を任せ、思い切り体を仰け反らせる。 だが。 「だぁめ♥」 「ぐひっ………!!!??」 千冬の言葉と同時に、ペニスがこれまで感じたことのない感覚に襲われる。 鈴口が広げられ、何かが尿道に侵入してくる感覚。 それによって行き場を失った白濁液がぐるぐると渦を巻きながら、押し返されていく感覚。 「す、スライムがぁぁあっっ……!!」 「凄いでしょ。逆流する感覚♥……しかも、スライムは痛みを一切与えることなく、純粋に快楽だけを齎してくれるの♥……私もね、最初は嫌だったんだけど、ぜぇんぜん我慢できなかった♥でも、一度受け入れたらもう最高♥穴という穴、全部ずぼずぼぐちょぐちょって♥……ふふ、よっちゃんも人間相手じゃ絶対に味わえない悦楽、たぁっぷり味わってね♥」 「ふぎいいいいいいいいいいいっ♥♥♥♥♥♥」 「あはは。涙に鼻水に涎でぐっちょぐちょだよ、よっちゃん♥押したり、引いたり、回転したり、広がったり、ゆぅっくり開発しながら、精嚢がたぷたぷになっちゃうまで、スライムを入れてあげる♥♥」 「あっ、あっあっ、ぐ、来るぅぅぅぅっ……♥♥♥♥♥」 「あはは。イっちゃったの?でも、イっちゃっても、尿道を塞がれてるから射精できなくて辛いでしょ」 「あぎぃぃぃぃっ………♥♥♥♥」 絶頂感はある。 だが、射精することができず、本来放物線を描いて一瞬で終わるはずの絶頂の瞬間の最高の快楽が持続する感覚。 それは、男性の脳が耐えられる許容量を遥かに超える快楽だった。 意思とは関係なく、まるでまな板の上に置かれた魚のように体が跳ねまわってしまう。 だが、それでも拘束が解ける事はなく、スライムは少しずつ奥へ奥へと進んでいく。 本来であれば放出されているはずだった白濁液を飲み込み、自分の糧として吸収し、分裂して増殖しながら。 やがて、尿道も精嚢も、すべてがスライムに埋め尽くされる。 ずるり、と千冬の膣から引きずり出されたペニスは外側もスライムに覆われ、見たことがないほどに膨れ上がっていた。 「あぁっ♥♥な、なにこれぇぇ……♥♥」 「凄いでしょ。イっくぅぅぅっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥っていう状態がどびゅどびゅっ♥♥ってできないまま、ずぅっと持続するの♥♥」 「そ、そんなぁ……」 「それに、こんなこともできるんだよ♥」 「あっ、えっ、あひぃぃっ、な、なにごれぇぇっ、お、おちんちんの中でご、ごりごりってぇぇっ……♥♥」 「スライムの球を作って、ごりごりって転がしてあげてるの♥もちろん、おちんちんの中だけじゃなくって」 「んひぁぁぁあっ、き、金玉の中もぉぉぉぉっ……♥♥」 ペニスや金玉を内側からゴリゴリと削るように責められる感覚に、頭の中が白い光で埋め尽くされていく。 絶頂に次ぐ絶頂。 だが、射精することができない。 射精することができないから、快楽が終わらない。 終わらない快楽が、心を、体を染め上げ、壊し、ぐちょぐちょにしていく。 「あひぃっ♥おふぉっ♥うぎぃぃひぃぃっ……♥♥」 「すっごいアヘ顔♥……壊れちゃいそうだよねえ。その壊れちゃいそうな感覚、最高に興奮するよね♥私も、思い出すだけでイっちゃいそう♥♥……ね、よっちゃん、そろそろ協力してくれる気になった?」 「んひぃぃぃっ……♥♥とって、とってぇぇえっっ……♥♥」 「もちろん、協力してくれたら取ってあげる。その瞬間って、とぉっても気持ちよさそうじゃない?ふふ♥」 千冬の言う通り、スライムを排出する瞬間の絶頂感は想像を絶するだろう。 「だ、だめぇぇぇっ……♥♥」 だが、俺は特級退魔師。 もし俺が裏切れば。情報を漏らせば。 組織に壊滅的な打撃を与えることになる。 その結果、ショゴスをはじめ、魑魅魍魎たちの跳梁跋扈を許す事ともなれば、一体どれほどの被害が出るのか、それこそ想像することも難しい。 そんな事は。 そんな事は。 「そ、そんな事、し、死んでも、できないっ……♥♥」 「だよね。よっちゃんならそう言ってくれると思った♥じゃ、お尻にも入れてあげるね♥」 「へ―――ちょ、やめ、やめて、お、お願いだからぁぁぁあっっ、お、おふぁっ、ぎぃあぁぁぁあっ……♥♥」 お尻を包んでいたスライムが尻たぶをぐいっと開き、ぐにぐにと尻穴に侵入してくる。 「あひっ、あひぃぃぃぃっ……♥♥」 スライムによって腸壁の感度が跳ね上がり、信じられないほどの悦楽が爆発する。 排泄物を飲み込み、吸収し、増殖を繰り返しながら、スライムは腸壁を押し広げ、奥へ奥へと進み、やがて球を作り出して腸壁の一点をぐりぐりと刺激する。 「あっ、がっ――――」 息が詰まるほどの快楽。 爆竹の如く、絶頂感が次から次へと連続して爆ぜる。 眼球がひっくり返ったのか、視界すら白く染まってしまう。 「どう、よっちゃん。前立腺責められるの、ぶっ飛ぶほど最高でしょ♥」 千冬が、俺の顔を抑え、ねっとりとキスをする。 その瞳に浮かぶ、俺の顔は、自分でも目を疑うほどに蕩け、歪み、まるで別人のように変わり果てていた。 (も、もう、ダメだ………) 人外の存在が齎す圧倒的な快楽が、すべてを白く塗り潰していく。 誇りも、意地も、使命感も、忠誠心も、敵愾心さえも………。 心が折れ、ぐったりと四肢から力が抜ける。 半ば意識も飛びかけていた。 それを見た千冬はスライム責めを緩めて、 ばちんっ。 「がっ……!!」 思い切り、俺の頬に平手打ちを食らわせた。 鋭く熱い痛みが、気絶する事さえも許してくれない。 それから優しく抱擁される。 「痛かった?ごめんね、よっちゃん。でも、気絶しちゃダメだよ?」 「う、うぅ……も、もう、許して………」 千冬の柔らかな胸に顔を埋めた俺の目から、次々に涙が溢れる。 「あらら。泣いちゃった。おーよちよち♥大丈夫でちゅよー♥」 「うぐっ、ひぐっ……も、もうやだぁ……」 「可愛いよ、よっちゃん。良い子になってくれたら、嫌な事なんてなぁんにもしないでちゅからねぇ♪……じゃあ、まずは、八咫烏の本部の場所を教えて♥」 「そ、それは………」 「まだ、責めて欲しいの?」 ぞわり、と体中のスライムが少しだけ動く。 僅かな動きだったが、 「ひっ、ひぃぃぃっ……♥♥」 俺の心に走ったひび割れを広げるには十分な快楽だった。 イけないまま莫大な快楽を与えられ続けるのが怖くて、苦しくて、切なくて、もどかしくて、もう耐えられなかった。 「あぁっ♥♥い、イきたいよぉ……もう、出させてぇ……♥お願いしますぅぅ……♥♥」 「ふふ。可愛い♪……ほら、もう十分よっちゃんは頑張ったよ。それじゃ、都道府県名の最初の一文字だけでいいから教えて?ね?」 涙を掬い、頬を撫でられ、優しく促される。 その優しさが、ボロボロになった心に干天の慈雨の如く染み渡っていく。 「最初の文字はなぁに?」 「んんぅ♥さ、最初の文字は………っっ」 「最初の文字はぁ?ほら、言っちゃえ♪」 乳首を包むスライムが、じゅるるるるっと吸引する。 「あひぃあぁぁっ♥♥と、『と』ですぅ……♥♥」 乳首同様、遂に情報の一端まで吸い上げられてしまった。 ずきん、と心が罪悪感に痛む。 「そっか、『と』かぁ………」 とろーり♥ 「はひっ♥♥おおっ、おおおおっ……♥♥」 僅かに、本当に僅かに鈴口から粘液が漏れる。 それは、射精というにはあまりにも僅かな射精だったが、全身が震えるほどの快美感を齎してくれた。 それに引きずられるように、ずるり、と尿道や精嚢の中で濃ゆい粘液がずれる。 ごりっ、と球が動く感覚も溜まらない。 「ぎぃぃぃぃっ……♥♥♥」 それだけで、頭が真っ白になるほどの悦楽だった。 「ほんのちょっぴりの甘出しどっぴゅんも、おちんちんや金玉を中から濃厚なスライムに擦られるのも溜まらなく気持ちいいでしょう?これは情報を教えてくれたご褒美♥」 優しく頭を抱き寄せ、耳元で甘く囁かれる。 頬に感じる胸の柔らかさとぬくもりが、さらに心の罅を広げ、罪悪感を溶かしていく。 「でもぉ……『と』だけだと、絞り切れないよね……東京かもしれないし、栃木かもしれない。富山、徳島、鳥取なんて可能性もあるもんね」 「ふーっ♥ふーっ♥」 その通りだった。 確かに、情報は漏らしてしまった。 だが、これだけではまだ、本部の場所を特定することはできない。 (こ、このまま、少しずつ………) 少しずつ、少しずつ、小刻みに情報を渡していけば。 そうすることで、体内のスライムをすべて輩出する事ができれば。 まだ、反撃の余地はある。 (そのうち、誰か、気付くはず………) 俺が病院に入ってから、すでに一時間以上は経っている。 さすがにそろそろ、誰かが様子を見に来てもおかしくない。 (それまで……それまで……耐えれば……) 「ね、よっちゃん♥……二文字目も教えて?」 「あふんっ♥♥」 千冬が、スライムの上からペニスを握る。 握られることで内部の圧力が変化し、より中のスライムの圧迫感を感じてしまう。 「はぁはぁ………ふ、二文字目は……『う』……♥♥」 「ということは、本部の場所は東京だね。ありがとう、よっちゃん♥お礼のご褒美あげるね♥」 耳穴に舌を差し込みながら囁き、ずりゅずりゅと淫らな音を立てながらペニスを扱かれる。 「あぎぃっ♥♥おぶっ♥あひぃんっ♥♥おおおおおっ♥♥♥♥」 内側だけでなく、外側からも与えられる快楽に悶絶する。 そして、先端からは再び僅かな量の粘液がとろりと漏れだす。 「その調子、その調子♥……でも、東京と言っても広いもんねぇ?23区内なのかなぁ?」 「そ、そうですぅぅぅっ♥♥♥♥♥」 「わぁ、そっかそっか、23区内かぁ。何区かなぁ?」 「み、港区ぅぅぅぅっ……♥♥♥♥」 「素直になってくれて嬉しいよぉ、よっちゃん。港区のどこぉ?」 「しっ、芝公園っっ………♥♥♥♥」 「だいぶ絞れてきたねぇ。そのまま、番地まで言っちゃおっか」 「よ、4丁目のっっ♥♥……に、2のぉぉぉっ♥♥……は、8ぃぃぃいっっ♥♥♥」 「ありがと、よっちゃん♥」 質問に答える度に、少しずつ少しずつ粘液がとろとろと漏れだしていく。 その度に、全身が溶けていくような悦楽に包まれ、心の罅が広がっていく。 だが、尿道や精嚢に感じるスライムの量はまだまだたっぷりある。 (あ、あと、どれほど続くんだ………) 「ねえ、よっちゃん。本当にその住所で合ってるの?」 俺が口にした住所をスマホで検索した千冬が、微かに怪訝そうな顔で画面を見せてくる。 表示されているのは、日本の高度経済成長期を象徴するタワーの姿だ。 ぞわり、と全身のスライムが蠢く。 「んぎぃぃぃっ……♥♥」 「嘘はダメだよ?」 「う、嘘じゃ……はひっ♥♥……ないぃっっ……た、タワーの、ち、地下っっ♥♥」 「地下……に、本部があるって事?」 「そうっ、そうれすぅぅぅっ……♥♥あっ♥あっ♥お、お尻ごりごりするの、おふぉっ♥♥や、やめてぇぇっっ……♥♥」 「信じるよ、よっちゃん?」 「しっ、信じれぇぇぇっ……♥♥」 「わかった」 納得したのか、千冬がにこりと笑い、全身のスライムが蠕動を止める。 「はぁ、はぁ、はぁ………も、もういいだろ、頼むから解放してくれ……」 息も絶え絶えに懇願するが、千冬は笑みを浮かべて、首を左右に振る。 「何言ってるの、よっちゃん♥まだ1問目だよ?ショゴス様から託されている尋問事項は全部で108問だから。まだまだいろいろ教えてね♥」 「ひゃ、108………っっ」 「そう。それだけご褒美貰えるんだもん、やったね♪」 (じ、冗談じゃない、そんなの………死んでしまう……) 「じゃあ、次は各支部の場所ね♥その後は各地の警備体制と戦力♥あと、他の特級退魔師たちの能力と弱点と、総帥の性格とか♥」 ぞわり、と全身のスライムが蠢き、ゆっくりと体が空中に持ち上げられ、四つん這いの状態にされる。 前後に、ゆらゆらと二本の触手が伸びてきて。 「あっ♥おぼっ♥♥んぅぅ―――っっ♥♥♥」 一気に、口と尻穴に挿入される。 「お口が滑らかになるように♥あと、甘出し射精も中から押して手伝ってあげる♥質問はまだまだ一杯あるから、テンポよくいこぉ♥♥」 ずぼっ♥ずぶっ♥ずるっ♥ずちゅっ♥ 口に挿入された触手と、尻穴に挿入された触手が交互にピストンを繰り返す。 その度に、頭の中で火花が散り、何もわからなくなっていく。 乳首を弄り、ペニスを扱かれながら、千冬の問いに次々に応えていく。 口の触手が抜かれている僅かな間に答えないと、激しく前立腺や精嚢、尿道を刺激されて意識が飛びそうになってしまう。 だが、答えれば、頭の中がぐずぐずに溶けてしまうような甘出し射精が待っている。 情報を小出しにして時間を稼ごうとか。 誤った情報を与えてやろうとか。 そんなことを考える余裕は最初の数問で消し飛び、あとはただただ、反射的に答えを口にし、与えられる快楽に悶絶するだけとなってしまった。 一体どれほどの時間が流れたのか。 そんなことも定かではなくなってきた頃、気付けば尿道に感じるスライムの量はだいぶ軽くなっていた。 その反面、精嚢では大量の精液が煮え滾り、放出の瞬間を待ちわびて沸騰している。 普段の数倍の大きさに肥大化した睾丸はずっしりと重く、微かな動きにもたぷたぷと中身が揺れる感覚がした。 「じゃあ、最後の質問ね♥これに応えてくれたら、一気に射精させてあげる♥♥」 「は、はひぃ……♥♥…な、なんでもぉ、答えますぅぅ……♥♥だから、早くぅ……♥♥」 ゆっくりとベッドの上に仰向けにされ、ペニスが千冬の膣に飲み込まれる。 「ふふ。ありがと。じゃあ………よっちゃん。貴方は、私と一緒にショゴス様の奴隷になりますか?」 「あっ♥♥あぁぁっ……♥♥」 千冬の膣の襞襞がペニスに絡みつき、締め上げる。 自然と、腰が浮き上がっていく。 睾丸が上がり、亀頭が膨らんで。 待ちに待った、射精の予感が訪れる。 俺の答えは、もちろん決まっている。 「なりゅぅぅぅっ……なりまひゅぅぅぅぅっ♥♥♥♥♥」 どろり、と最後のスライムが千冬の膣に吐き出される。 一瞬の空白。 余りに、長時間射精をお預けにされたせいで、精液は半ば以上個体となっており、ゆっくりとしかせり上がってこれなかった。 しかし、それが、スライムによって散々性感帯として開発された尿道を刺激し、人間では到底到達しえないほどの快楽を齎してくれた。 「よっちゃん………」 千冬が上体を折り、抱き着いてくる。 その背中を、俺も抱きしめる。 「好き♥」 「お、おれもぉぉ……しゅ、しゅきぃ♥ち、千冬ぅぅぅっっ……♥♥」 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………ほら、よっちゃんも♪」 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………♥♥」 『テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………』 二人で声を揃えて、ショゴスを崇める呪文を唱える。 それに合わせて、千冬が腰を動かす。 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………♥♥」 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………♥♥」 『テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………』 呪文を唱えるほど、千冬と溶け合うような幸福な感覚に満たされていく。 千冬が少しずつ腰の動きを早くしていく。 そのテンポに合わせて、呪文を唱える声も早くなっていく。 「そろそろ、イっちゃえ♥」 ひと際強く、千冬が腰を打ち付けてくる。 膣が齎す刺激が変化し、急にすべてのつっかえが取れたように猛烈な射精感に襲われた。 「あひぃああああああああああっ♥♥出りゅっ♥♥イぐぅぅっ♥♥おおおお♥♥」 咆哮を上げ、思い切り腰を突き上げる。 その次の瞬間に、俺は爆ぜた。 どびゅどびゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅ♥♥♥♥びゅくびゅくびゅくびゅく♥♥♥♥どびゅどびゅどびゅどびゅ♥♥♥♥びゅるるるるるる♥♥♥♥ 射精の勢いが凄まじく、逆流し、二人の結合部からどばっと溢れだす。 それでも、射精の勢いは一向に収まらない。 どびゅどびゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅ♥♥♥♥びゅくびゅくびゅくびゅく♥♥♥♥どびゅどびゅどびゅどびゅ♥♥♥♥びゅるるるるるる♥♥♥♥ がくがくと全身を震わせながら、一度目の射精が終わらぬ間に二度目の射精が襲い来る。 「――――♥♥♥♥」 「――――♥♥♥♥」 俺も、千冬も。 声にもならない悲鳴を上げながら、絶頂し続ける。 どびゅどびゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅ♥♥♥♥びゅくびゅくびゅくびゅく♥♥♥♥どびゅどびゅどびゅどびゅ♥♥♥♥びゅるるるるるる♥♥♥♥ 途切れることなく、三度目の射精へ。 人間の体内にあるすべての水分が精液となって噴射しているのではないかと思うほどの激しい射精だった。 びゅるるるっ♥♥びゅくびゅくびゅく♥♥どっぴゅんっ……♥♥♥♥ 四度目にして、漸く射精の勢いは弱まり、やがて最後の一塊を吐き出して終わった。 「はぁはぁはぁ………」 全身の骨が砕け散ったのではないかと思うほどの疲労感に包まれる。 それは千冬も同様だったようで、ずぶり、とペニスを膣から引き抜くとそのまま傍らに倒れ込み、荒い呼吸を繰り返す。 暫くは二人とも言葉もなく、ただただ呼吸を整える事に専念した。 先に回復したのは、俺の方だった。 よろよろとベッドから降りる。 全身が鉛にでもなったかのように重く感じてならない。 そんな俺を、千冬はまだ息を乱しながら見つめている。 「はぁ、はぁ、はぁ………来い、【蜈蚣切(むかできり)】【童子切(どうじぎり)】!」 その声にはぬぐい切れない疲労感が滲んでいたが。 それでも、陰陽紋から取り出した二振りの刀を構える。 その肩には外套がたなびき、背中の「悪即斬善即救」という六文字が勇気を与える。 「すごぉい……まだ、戦えるんだ……」 漸く呼吸を整えた千冬がベッドの上で気怠そうに身を起こす。 「今ならまだ間に合う。千冬、降伏してくれ!」 「無理。ショゴス様を裏切りたくないもの♥」 「俺はおまえを斬りたくないんだっ!」 「斬るの?私を?よっちゃんが?」 「斬るっ。俺は退魔師だ!例え、相手がお前でも………」 「そっか」 千冬の周囲で、スライムが盛り上がる。 「くっ………」 何かをしてくる前に斬り捨てようとして。 だが、一歩を踏み出したところでよろめいてしまう。 なんとか、【童子切】を支えに体重を支えて転倒する事だけは防いだが、たったそれだけの事でも息があがる。 「無理もないよ。普通、あれだけ搾り取られたら立ってなんかいられない。スライムは精液だけじゃなくて、霊力も吸っていたんだもの」 「く、くそっ………」 俺が動けずにいるうちに、スライムは3つに分かれ、それぞれが人型を形成していった。 「っ………」 その姿は、千冬の裸身そのもの。 薄緑色であることを除けば、外見上の違いは千冬本人がストレートの長髪であるのに対し、スライムは左からボブ、ポニーテール、ツインテールである事ぐらいだった。 「私の分身♪……便宜上、千春、千夏、千秋とでも呼ぼうかな、あはは」 「く、くそっ………」 千冬そっくりのスライムたちが、じりじりと迫ってくる。 「私そっくりのスライム。よっちゃんに斬れるかなぁ?」 千冬本人はベッドの上で、にこにこと余裕の笑みを浮かべている。 (やれるか………) 正直言って、千冬の言う通り、もはや霊力はほとんど残っていない。 その上、嬲られ続けた後遺症で体の節々が痛く、重い上に快楽の残滓が残っている。 この状態で戦うのはいくら俺が特級退魔師だったとしても不利だった。 (ならば、逃げるか………?) 扉は俺の背後にある。逃げ道はあるのだ。 (だが………情報を持ち帰らせる訳には………) 所々で意識が混濁していたため、確証は持てないが、千冬が外部と連絡を取っている形跡はなかった。 与えてしまった情報は、まだ千冬の頭と彼女のスマホのメモ帳にしかない。 (千冬をここで拘束すれば………まだ最悪の事態は防げる………) 呼吸を整え、体勢を低く構える。 (俺なら、やれるっ……!!) 「八咫烏所属特級退魔師・俵頼光、推して参るっ!」 「やぁん、斬らないでぇ♥」 「煩い、いくぞっ!八咫烏流双刀剣術奥義・《夜月燕》!」 床を蹴り、距離を詰め、二振りの刀を振るう。 その速さにスライムたちは反応することもできず、【蜈蚣切】がボブの千春を、【童子切】がツインテールの千秋を捉える。 後は、返す刀でポニーテールの千夏を十字に切り裂くのみ。 だが―――二振りの刀は、スライムたちを斬ることなく、その身を素通りした。 「っ―――」 「ほら、斬れなかった♥」 「ぐっ―――」 別に、相手が千冬そっくりの外見をしていたことが原因ではない。 (霊力切れ……!) 霊力が切れてしまった刀では、ただの物理攻撃になってしまう。 スライムに、物理攻撃は効かない。 空振りした刀を引き戻そうと踏ん張るが、力が入りきらない。 崩れる体勢を支えきれないまま、たたらを踏んでしまい―――。 ぽむんっ♥♥ 顔面から、千夏のぷにぷにと弾力のある双乳に突っ込んでしまった。 「っっっ―――!!」 慌てて顔を引き抜こうとするが、それよりも早く千夏の両腕によって後頭部を拘束されてしまう。 それでももがいて、なんとか胸の谷間から顔をはがす事に成功する。 「っ―――!!」 だが、そこに待っていたのは、千冬そっくりの千夏の顔。 逃げる間もなく、唇を重ねられ、ぷにぷにの舌が口内に侵入してくる。 「んんぅ―――っ!!!」 引きはがそうと暴れるが、今度はがっちりと後頭部をロックされてしまい、外すことができない。 噛み千切ってやろうと歯を立てるが、柔らかいのに弾力がある舌を傷つける事もできなかった。 口中を千夏の長いスライム舌にぐちゅぐちゅと嬲られ、舌を扱かれ、 「んあぁっ♥おふぅっ♥♥んひぃっ♥♥♥」 その快楽に、あっさりと体中から力が抜けていく。 さらに両腕に千春と千秋が抱き着いてきて、俺の手から二振りの刀を剥ぎ取ろうと指を一本一本外されていく。 「らっ、らめぇっ……♥♥」 引き剥がされまいと手に力を込めようとするものの、千春と千秋のぷにぷにの体の気持ちよさと千夏に口内を攪拌される悦楽によって力が抜けていき、やがて二振りの刀は俺の手を離れ、部屋の隅へと投げ捨てられてしまった。 それと同時に、「悪即斬善即救」の六字を刻んだ外套も消え失せる。 先ほどあれほど大量に精を放ったにも関わらず、媚薬効果を持つ三人のスライム肌に触れた事であっさりと固さを取り戻したペニスに、三人の手が纏わりつき、じゅぷじゅぷと淫らな音を立てながら扱きあげられる。 「ひぃっ♥あっ♥き、気持ちいいいっ……♥♥で、出ちゃうぅぅぅぅっ♥♥」 どびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥びゅくびゅくびゅくっ……♥♥ あっさりと大量の白濁液を搾り取られ、俺の体から完全に抵抗しようとする力が消え失せていった。 そんな俺の手を恋人握りで握りながら、千春と千秋が俺を前後で挟むようにしゃがみ込み、未だに硬さを失わないペニスが、千春の口内にずぶずぶと飲み込まれていく。 「あっ♥あっ♥き、気持ちいいっ……♥♥」 その感触は、極楽だった。 さらに、千秋が尻たぶを開き、菊門に舌を挿入する。 「おっ、お尻ぃぃぃっ♥♥」 思わず舌を突き出して喘ぐ俺の頭をしっかりと抱きしめて、先ほどよりも深く深く、千夏にキスをされる。 さらに、千春が精液の生産を促すように玉袋を揉みしだき、千秋がぷっくりと勃起した乳首をくゆくゆと弄る。 三人の連携の取れた巧みな責めに、耐える事などできるはずもなかった。 「あっ♥あああああっ♥♥い、イっちゃうぅぅぅぅっ♥♥」 どびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥びゅくびゅくびゅくっ……♥♥ 大量の白濁液が、千春の胸から上の辺りを白く染めていく。 最後の一滴まで搾り取ると、千春が立ち上がり、千秋が前に回り、千夏が後ろに回る。 俺が射精による放心状態から回復する前に流れるような位置の交代が完了してしまった。 白く染まった千春と舌を絡ませ、千夏に尻穴を穿られながら、千秋にペニスを飲み込まれる。 先程、千春はペニスの周りの粘液を動かす事で、まるでしゃぶられているような快感を齎してくれた。 一方、千秋は本来動かす必要もないはずの首を動かし、ぐちゅぐちゅと淫らな音を奏でながら前後にピストンする。 ツインテールが激しく揺れ、ペニスを激しくしゃぶられているという事実を視覚的にも植えつけられる。 「そ、そんなっ、激しくされたらっ……あぁぁっ♥♥」 どびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥びゅくびゅくびゅくっ……♥♥ びくびくと体を震わせながら、他愛もなく精を噴射する。 三人は再び位置を変える。 千夏はペニスを咥えるのではなく、その豊満な―――心なしか、千冬本人よりもさらに大きい気がする乳房で包んでくれた。 極上の滑らかさと弾力。 ぽむぽむと胸を動かし、扱かれる度、脳内に快楽の花火が散る。 さらに、挟まれているペニスに向けて、千夏が唾液を垂らす。 粘液の硬さを変えて、唾液による感覚の変化までもが正確に再現されてしまう。 じゅっぷじゅっぷと淫らな音が、聴覚までを犯していく。 「す、すごっ、これっ、こ、これぇぇぇっっ……気持ちいいっ……だ、だめだぁぁぁっ……♥♥」 どびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥♥びゅくびゅくびゅくっ……♥♥ 胸で扱かれて1分と経たずに、暴発してしまった。 三人が身を放すと同時に、俺はその場に頽れてしまう。 もはや、自分一人で立つ体力さえも、搾り取られてしまっていたのだ。 だが、ペニスだけが壊れてしまったように未だに屹立していた。 俺を囲むように立つ千春、千夏、千秋が右足をペニスに伸ばす。 「おふっ♥おおおおっ♥♥」 千春の足が亀頭を、千夏の足が竿を、千秋の足が玉袋をぐちゃぐちゃと嬲る。 「あぎぃっ♥あ、足ぃぃぃっ♥♥ぎもぢいいいいいっ……♥♥」 カエルの様に四肢をバタバタさせながら、悶える。 瞬く間に、限界が突き上げてきた。 「あぎぃぃぃぃぃっっ……♥♥」 びゅるんっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥♥どびゅどびゅどびゅっ♥♥びゅるるるるっ♥♥ 勢いよく噴き出した精液が飛び散り、三人を点々と白く染め上げる。 俺はもはや仰向けに横になったまま、指一つ動かす事もできずに、ただただ荒い息を吐くことしかできなかった。 「さて………」 そんな俺を、ベッドの上から千冬が見下ろす。 「気持ちよさそうだね、よっちゃん。本当は別に、誰でもいいんじゃない?」 「そ、そんな事………」 「ないの?」 「な、ない……」 「私とシたい?」 「し、シたい……」 「ふーん。じゃあ、試してみようか」 「た、試す………?」 「そう。ショゴス様への忠誠を誓ったのに嘘を吐いた罰も必要だしね」 「な、何を………」 冷たい千冬の声に、恐怖が込み上げてくる。 千春、千夏、千秋の三人がどろりと溶け、元の粘液に戻る。 その粘液が俺の四肢を拘束し、ペニスに纏わりついてくる。 「あっ♥………」 その感触にほぼ反射的に甘い声が漏れてしまう。 「あっ、あっ、ま、まさかっ……」 だが、次にやってきた鈴口を押し広げられる感触に、声が震え、顔が恐怖に歪む。 「ふふ」 千冬が諧謔的な笑みを浮かべる。 「もう1回、スライムを入れてあげる。今度はさっきよりももぉっとゆっくり、もぉっとたぁくさん入れて、おちんちんも金玉もぱぁんぱんにしてあげるね♥」 「うぎぃっ♥や、やめっ……あぁぁっ♥は、入ってくるぅぅぅっ♥♥抜いてぇっ♥♥こ、これ、もうやだぁぁっっ♥♥」 無様に涙を流しながら懇願するが、千冬はにこにこと笑いながら見ているだけで、許してくれない。 その宣言通り、尿道を進むスライムの速度は先程よりも遥かに遅く、体感時間は何十倍、いや何百倍にも感じられた。 感度を極限まで上げられた尿道の粘膜を擦られる感覚に、頭の中に火花が散る。 精嚢から次々に送り込まれてくる精液も、放出の瞬間を迎えることなく、どんどんスライムに吸収されていく。 その度、スライムは膨れ上がり、尿道をぐいぐいと押し広げられてしまう。 「うぎっ♥……あひぃっ♥……もひゅぅ♥」 人間の限界を超える刺激に、もはや暴れることもできず、俺はただただ天井を見上げ、恍惚の表情を浮かべていた。 一体どれほどの時間が過ぎたのか。 四肢を拘束していた分も含めて、すべてのスライムが俺の中に侵入した。 ペニスも、睾丸も、尋常ではない大きさに肥大化してしまっている。 「も、もうっ、ゆるしてぇ……な、なんでもしまひゅからぁ……♥♥」 「じゃあ、よっちゃんには私への愛を証明してもらうね」 「あ、あひ……?」 「そう。今、よっちゃんの中にあるスライムは女性に触れると………」 ベッドの縁に腰かけた千冬が足を延ばし、ペニスに触れる。 次の瞬間。 「ひ――――っ♥♥♥♥」 どぼんっ♥どぼぼぼぼぼっ……♥♥ ペニスから大量のスライムが噴き出した。 それによって尿道や精嚢内のスライムがかき混ぜられ、球がごりごりと粘膜を刺激する。 頭が焼き切れそうな快楽だった。 噴き出したスライムは再び、尿道へと戻っていく。 「こんな風に、スライム射精できるの♥気持ちいいでしょう?出したいでしょう?でも、私の事を愛しているなら我慢して♥私だけでしか射精したくないって事を証明して♥もし1時間耐えられたら、ご褒美に中のスライム全部、私が搾り尽くしてあげる♥」 (1時間……1時間なんて……無理ぃぃ……♥♥) 「でも、もし耐えられないなら………」 病室のスライド扉がゆっくりと開き、スライムに四肢を拘束された十人ほどの女性たちが入ってくる。 「た、俵くんっ……!」 その先頭にいたのは、ミニスカナース服も網タイツもびりびりに裂かれた看護師の夏南さんだった。 他の女性たちも顔馴染みの看護師や医師たちだ。 彼女達はペニスや睾丸が醜いほどに肥大した俺を見て、揃って息を呑み、一様に顔を青ざめさせ、恐怖に震え、何人かは泣き出してしまう。 「もう耐えられないよぉってなったら、彼女たちを犯して♥」 「ち、千冬さんっ、なんでこんなことっっ……今すぐみんなを解放してっっ」 「だぁめ♥」 「う、な、何を――――うぐっ……」 四肢を拘束するスライムから数本の触手が飛び出し、夏南さんの口を塞ぎ、乳房を、厭らしさを強調するかのようにぎりぎりと締め上げる。 そんな姿を見て、どくん、と俺の鼓動が跳ねる。 「でも、気を付けてね。もし、彼女たちの中にスライムを注いでしまったら、彼女たちはスライムの苗床になってしまうから♥スライムに犯されて、狂わされて、壊れちゃうでしょうね♥」 ひぃっ、助けてっ、と数人の看護師が悲鳴を上げる。 「それに、よっちゃんも許してあげない♥そのまま、人前に出れないぐらいおっきくなっちゃったおちんちんを使って、女を犯して♥犯して♥犯しまくって♥……スライムの繁殖に協力してもらうわ。ショゴス様のために♥」 「ぐっ……ぅぅぅっ……」 歯を食いしばる。 だが、獣のように獰猛に血走った眼を夏南さんや看護師、医師たちの女体から離すことができなかった。 下半身が痺れ、ずくん、ずくん、と疼く。 口の端からぼたぼたと涎が零れ落ちる。 「じゃあ………今から1時間ね。スタート!」 「ぐっ、ぐあぁぁあっ……!!」 その声を聞くや否や、俺は咆哮を上げて夏南さんに飛びかかっていた。 きゃぁぁぁっ、と他の女性たちが悲鳴を上げるが、次々に触手に口を塞がれ、黙らされる。 俺は、夏南さんの網タイツを乱暴に引き裂き、両足を脇に抱え、とても人間サイズとは思えないほどに肥大化したペニスを陰唇に押し当てる。 驚愕に見開かれた夏南さんの瞳に、恐怖と絶望の色が浮かんだ。 「だっ、だぶげっ……!!」 触手に口を塞がれながら、助けを乞う夏南さん。 いつも余裕を感じさせる大人の女性という印象だった彼女が、今は恐怖と絶望に目を見開き、涙を流しながら震えている。 その姿が、俺の中の獣性を刺激する。 「ご、ごべっ……ごべんなざいっ……♥♥」 謝罪の言葉を口にしながら、俺は思い切り夏南さんを貫いた。 「んぅ――――っ!!!!!!」 夏南さんの表情が苦痛に歪む。 メリメリと何かを引き裂きながら、一番奥までずっぽりと腰を沈める。 体が溶けてしまうのではないかと思うほどの快美感に包まれ――― 「ウオオオオオオッ――――♥♥♥」 どぼんっ♥どびゅりゅりゅりゅっ♥♥どびゅどびゅどびゅっ♥♥びゅるるるるるっ♥♥ 「――――っ!!!」 涙を流す夏南さんの最奥に、大量のスライムを吐き出した。 夏南さんの目がぐるりと回転し、がくがくと痙攣した後、その四肢からぐったりと力が抜ける。 「あら。記録、2秒」 千冬が苦笑いを浮かべる中、俺はずるり、と夏南さんの中からペニスを引きずり出した。 夏南さんの陰唇からはごぼりと大量の薄緑色の粘液が零れ、粘液に塗れたペニスからは湯気が立っていた。 「ごべんなざいっ……ごべんなざいっ……♥♥」 謝りながら、夏南さんの口からスライムの触手を引きずりだし、代わりに湯気を立てるペニスを突っ込む。 既に意識を失ってしまっている夏南さんの髪を掴み、無理やり頭を振りながら、 「ごべんなざいっ……ごべんなざいっ……♥♥」 謝罪の言葉を繰り返し、 「うっ♥♥」 どびゅりゅりゅりゅっ♥♥どびゅどびゅどびゅっ♥♥びゅるるるるるっ♥♥ 容赦なく、大量のスライムを注ぎ込む。 ぴくぴくと震える夏南さんの口からずるりとペニスを引き出し、その豊満な胸でペニスを挟む。 「ごべんなざいっ……ごべんなざいっ……♥♥」 涙を流し、謝罪の言葉を繰り返しながら、猿のようにへこへこと腰を振って、 「んんんっ……♥♥♥」 びゅくん♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥♥ 大量のスライムが、夏南さんの上半身を汚す。 大量の粘液に塗れながら、糸の切れた人形のようにぐったりしてしまっている夏南さんの体をその場に無造作に転がし、 「ごべんなざいっ……ごべんなざいっ……♥♥」 謝りながら、今度は隣の看護師に伸し掛かっていく。 スカートを引きずり下ろし、タイツを破って。 「だ、だずげでっ、お、お願いっ、お願いだからっ、て、手でもっ、口でも、好きなところに出していいから、な、中だけはっ、さ、裂けちゃうっ、壊れちゃうからぁぁぁぁぁ――――」 懇願の声を上げるのも無視して、 「ごべんなざいっ……ごべんなざいっ……♥♥」 「ぎ――――っ!!!!!」 どびゅりゅりゅりゅっ♥♥どびゅどびゅどびゅっ♥♥びゅるるるるるっ♥♥ その身を貫き、スライムを注ぎ込む。 そして、また隣の女性を凌辱し、その隣の女性を蹂躙する。 犯す度に、体が溶け崩れていくような快楽に包まれて。 壊す度に、心が黒く染まっていくような悦楽に包まれて。 いつしか、俺の顔には笑みが浮かんでいた。 口にする言葉も、もはや謝罪ではなく。 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます。テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます………♥♥」 恍惚として、ショゴスへの忠誠を誓う言葉を紡ぐ。 暫くして、夏南が身を起こす。 虚ろな目に、やがて淫猥な光が宿る。 「テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます。テケリ・リ、テケリ・リ。全てを捧げます……♥♥」 呪文を唱えながら、俺のペニスに舌を這わせ、恍惚に身を震わせる。 一人、また一人と女性たちが身を起こし、同じ呪文を唱えながら、ある者は乳首に、ある者は唇に、ある者は睾丸に、ある者は肛門に愛おしそうに舌を這わせる。 「あっ♥ああああっ……♥♥」 女性たちの愛撫に身を任せた俺も、恍惚の笑みを浮かべたまま、絶頂を迎え、大量の薄緑色の粘液を噴き上げる。 吐き出された大量のスライムは再び千春、千夏、千秋を象り、女性たちに混じって俺への奉仕の輪に加わる。 「もう、みんなばっかりずるいよ♥よっちゃんは私のなんだから、私も混ぜて♥」 その輪に、千冬も混じる。 びゅくん♥びゅるるるるっ♥♥どびゅどびゅっ♥びゅくびゅくびゅくっ♥♥ いつしかスライムはすべて吐き出されて。 でも再び、尿道を逆流して、睾丸を満たされる。 狂乱の宴は、朝まで続き、漸く事態に気付いた八咫烏の鎮圧部隊が到着した時にはすでに、その姿はなかった。 1か月後、八咫烏の本部が襲撃され、組織は壊滅的な打撃を被った。 数百人に及ぶ襲撃者たちは一人を除いて全員が女性で、一様に不思議な呪文のような言葉を呟いていたという。 そんな襲撃者たちの先頭には、行方不明になっていたかつての特級退魔師の姿があった。 「悪即斬善即救」の六字を刻んだ外套を靡かせ、二振りの刀を振るってかつての仲間を次々に屠るその姿は、まさに悪鬼羅刹の如くであったと言う―――。 夢野九弐 ふとももひざまくら♥ 微睡み、 「あはっ♥ 起きたかな?」 だ、誰だ……? 「朝ご飯までまだ時間もあるから、もう少し眠っていてもいいんじゃないかな?」 この声は……? それに、この……、柔らかさは……? あっ……♥ 知っている……。 僕は、彼女に教え込まれてしまった……。 おっぱいとは違う、さらさらな、ふにふに感。 少し湿った彼女の肌が、僕の頬をじんわりと温め、寝起きの冷たい僕の身体を、優しくやんわりと心地よく暖めていく。 「あははっ♥ 起きちゃうの?」 僕の後頭部に、彼女の右手がちょこんと乗った。 あふぅ……♥ 抗えない心地よさに負けてしまい、彼女のふとももの谷間に埋めてしまう。 彼女はそんな僕をあやすように、寝癖を直すように僕の髪をかき分けながら、優しい手つきで何度も撫でてきた。 きもちいい……♥ このまま、今日もこうしていたい。 でも……、起きないと……、魔王と今日こそは戦わないと…… 目的を果たすため、僕はうつ伏せから仰向けになった。 「チャラ……、今日こそは行かないと……」 膝枕の上で、カーテンから漏れる朝日に白い頬を輝かせる美少女と目をあわせた。 透き通った水色の瞳が、僕の心を捕らえてくる。 その瞳より、少しだけ薄青いセミロングの髪の毛が、俯く彼女の目元に影を落とした。 影によって見え隠れするチャラの瞳は、ときおり不穏な笑みを浮かべるように見え、それを感じるたびに、チャラに教え込まれた快感が身体にフラッシュバックしそうになった。 「チャ……、チャラ……」 チャラが、僕のおでこに人差し指で軽く指してきた。 「魔王様に挑みたいなら……、チャラを倒してからって約束したよね。 今日こそ勝てるかな? 今日こそ、遅刻しないで闘技場に行けそうかな?」 「う……、うう……」 ベッドから出なければ……。 でも、……、このふとももから……、逃げられ……、うう……♥ 魔王城内の最深部にある高級宿屋「ディレンバー」。 疲れていたから負けた、という勇者からの言い訳が多すぎてウンザリした魔王が自費で造ったとされ、お金さえ払えば誰でも気軽に利用できるという、人気の宿屋だ。 僕がこの宿屋に到着したのは三日前。 本当は一日だけ宿泊して、明朝早くに出発し、魔王に挑むつもりだった。 それなのに、僕は二日も延泊している。 原因は考えるまでもない。 いま、ベッドで目が覚めたばかりの僕に、太ももの心地よさを教え込ませて堕落させていく悪い夢魔、チャラのせいだった。 「チャラ……、お腹が空いたから……」 目覚めたばかりの微睡みの三十分を、チャラの膝枕でゆったりと過ごした。 どうにもこうにも、ならない空白の時間。 厚いカーテンで遮られた東の窓から、いよいよ陽射しが入り込んできた。 魔王に挑みたいなら、当日の八時までに申請しなければならない。 「チャラ……、起きたいんだけど……」 「魔王様に、挑まないって約束できる?」 チャラの細い指先が、僕の顎を触れてくる。 透き通った水色の瞳と目が合うと、チャラは子猫を愛でるように微笑んだ。 「もう少しだけ……、ね。あと少しこうしていれば、今日も間に合わないから」 「ううっ……、そんな……」 「昨夜のうちに申請を済ませておけばよかったのに」 昨夜のうちに申請を済ませようと思ったが、申請所までの廊下でチャラに妨害された。 そのときにチャラにされた、うつぶせひざまくらが忘れられない。 女の子座りしたチャラの、ふとももの谷間を枕にして、うつぶせになって溺れていった、昨日のこと。 廊下を通りすぎる他の魔族にクスクス笑われ、悔しく感じたのに、チャラに後頭部を撫でられた瞬間、その嘲笑が天使の囀りのように感じられた、昨日のこと。 「魔王様に負けちゃったら、しばらく魔王城には来られない。 そしたら、もう、このうつぶせひざまくらも味わえないよね」 「そんなこと言われても……」 しつこく連戦してくるザコ勇者に辟易した魔王が、「再戦したいならレベルを最低5つ上げてくること!」というルールを運用したのが、およそ二年前。 一般的にレベルを5つ上げるには、早くても一ヶ月はかかる。 もし、魔王に負けたら、一ヶ月もこの膝枕を……。 「あはっ♥ すっかりチャラの膝枕に溺れちゃってる♥ いまの言葉で迷っちゃうくらいなら、魔王様に挑まなくてもいいんじゃない」 「そんなわけあるか……!」 魔王を倒し、莫大な懸賞金を勇者協会から得て、妹の治療費に充てる。 そのために、ここまでやって来たんだ。 「チャラ……、今日こそ、勝たせてもらうから……」 僕が言うと、チャラが目を丸くした。 そして、堪えられなそうに、大笑いした。 「すっごく笑えるんだけど……。敵に膝枕されながら、その言葉をよく言えるよね」 「う、うるさい……」 「あははっ♥ やっぱり、君っておもしろい♥ いいよ♥ おもしろかったから、今日はちゃんと戦ってあげる」 まだ笑い続けるチャラから、僕はゆっくりと頭を上げていく。 座ったまま振り返ると、女の子座りをしたままのチャラがにっこりと微笑んだ。 膝まで丈のあるスカートに、素足。 「それじゃあ、チャラの大好きな夢魔の世界に行こっか。 この前に、君がチャラに完敗しちゃった、チャラが育ったお花畑に、行こっ♥」 チャラが僕に両手を伸ばしてきた。 白くすべすべした手のひらを僕は握った瞬間、気持ちが高ぶって、チャラに言いたくなった。 「この前みたいに、負けたりしないから」 「あはっ♥ 負けちゃうの♥ チャラの太ももに、今日こそ完璧に負けちゃうの♥」 ベッドを囲むように、転移魔法の魔方陣が発動する。 勝ったも同然のように笑うチャラの手を強く握って、僕は言った。 「秘策があるから。絶対に今日は勝てるから」 「あはっ♥ それじゃあ、もし勝つことができたら、約束してあげる♥ 魔王様のところにチャラが責任持って連れて行って、最後まで見届けてあげる♥」 目が眩むほどの紫色の光が魔方陣から放たれ始める。 転移先は、お花畑。 お花畑で育った、ドライアドの亜種「クーリャフ」の微睡みの夢魔、チャラ。 魔王城で呼ばれている別名は、昼休みからのチャラ。 チャラに好かれてしまったら最後、朝はほとんど何もできない。 そして、チャラを好きになってしまったらもはや、お昼まで何もできない。 赤・青・黄色。 乱雑に咲き誇る花々は、まるで広大な敷地に絵の具をぶちまけたように遠くまで咲き狂い、遠くを見渡せば、花畑は青空と一本の線で交わっていた。 ちょうど気温が上がりきった、昼過ぎの柔らかい陽射しに目が眩みながら、姿を消したチャラを探し始める。 「いた」 遮るものがないゆえに、チャラの後ろ姿はすぐに見つかった。 素敵な青空を背景に、美を切り抜いたようなシルエットの後ろ姿。 細身な身体にワンピースが良く似合う。スカートの裾をふわりとさせて振り返ると、僕と目が合った瞬間、安心したように微笑んだ。 「それじゃあ、この前の続きを始めようね」 チャラとの勝負は、鬼ごっこ。 チャラを捕まえて、「いっしょにかえろ」と言えば、勝ち。 ただし、その前に眠ってしまったら、負け。 始めて出会った三日前、追いかけっこの末、捕まえることはできたものの、キーワードを言う前に僕は、チャラのキスによって口を塞がれ、押し倒され、抱きつかれて肌を寄せ合って二人でお花畑に寝そべって、チャラの水色の瞳を見つめているうちに眠くなって、啄むようなキスを何度もされているうちに、眠ってしまった。 チャラは僕が眠る寸前に、ゆっくりと起き上がって僕の枕元に寄り添い、僕の頭をちょこんと上げて、柔らかいお膝もとにのせて、僕のことを嬉しそうに見つめてきた。 ウトウトしながら、霞む先に見えたチャラの笑顔は、垂れた前髪が陽射しの影となって、少しだけもの寂しそうで。 あのとき、本当はキーワードを言えたのだけど。 その日は、もう言えなくていいや、と僕は負けてしまった。 「ねえねえ。追ってこないの?」 振り返ったばかりのチャラが言った。 「この前はすぐに追いかけてきたのに……。それが秘策ってやつなの?」 秘策……。 そんなの、本当はない。 魔王を倒すために覚えてきた秘策はいくつもある。 けれども、三日前に出会ったばかりのチャラを捕まえる秘策なんて。 「ねえ……、具合でも悪いのかなぁ……」 チャラが心配そうな顔をして、僕に近づいてくる。 「具合が悪いなら、今日は宿屋でお休みしていようよ」 チャラはそう言って、この世界から抜け出すための詠唱を始めようとした。 その瞬間、気持ちが僕の身体を動かした。 僕が走り出した瞬間、チャラが目を丸くした。 「えっ!? きゃあ!」 チャラを抱きしめて、抱きしめた勢いのまま二人で花畑に倒れ込んだ。 花びらがぶわっと舞い上がって、僕らの身体を隠していく。 花びらが一枚、唇に触れて少し苦い味がしたとき、僕は自分がようやく何をしたかに気付いて、両手を地面について、チャラから離れようとした。 僕の身体の影にいたチャラが、目を丸くしたまま、両手を僕に伸ばしてきた。 光を失った水色の瞳が、僕のことをまじまじと見つめていた。 「ねえ……」 チャラの背中の後ろから、緑色の蔓が幾本も伸びてくるのが見えた。 「スイッチ入っちゃったじゃん……、バカ……」 我慢してたのに……、とチャラの瞳が潤んだ。 「あはっ♥ どうなっちゃっても、知らないからね」 いいよ、と僕は頷いて、チャラの身体に覆いかぶさった。 確かな丸みを胸に感じて、柔らかい身体に、僕の身体をゆっくりと寄せる。 頬を寄せて、チャラの体温を感じて、お花畑の不思議な香りに気を取られそうになりながら、自分の気持ちを少しずつ落ち着かせていった。 「鬼ごっこのつづき……、どうする?」 「……、これが終わったら……」 「あはっ♥ やっぱり君っておもしろい♥ ……、膝枕してほしい? 昨夜の続き、してほしいかな?」 気持ちは落ち着いて、キーワードは言えるのに、今日も僕は言わない。 「ひざまくら……、して」 代わりに出た言葉に、チャラが耳元で小さく頷いてくれた。 風の音、太陽の音、花びらが舞う音、チャラの吐息。 女の子座りで出来た太ももの谷間に、僕は頭を乗せて、空を眺めていた。 チャラが空を向いて、寂しそうに言った。 「いい天気だね……」 背中がかゆくなって身体をゆすると、チャラの太ももに頬がぶつかった。 少し湿ったチャラの太ももに頬を寄せたくなって、そのまま寝返りを打った。 かすかに湿った、不思議な香り。 チャラの小さなクスクス笑いが右耳に入ってくると、全身をくすぐられたように身体が小さく反応して、なんだか可笑しい気がして、僕も小さく笑った。 「チャラ……。いい天気だね……」 「そうだね。色んな人をこの世界に連れて来たけど……、こんなにいい天気でいるのは、君といるときだけ」 「雨とか、あるの?」 「ない。でも、一人で来たらいつも曇ってた。 色んな人を連れてきたけど、そのうちすぐに、雲が空を覆っちゃう」 「そうなんだ……」 そう答えて、なんとなく目を瞑ったまま、身体をうつぶせにしていく。 チャラの太ももの谷間に、顔を埋めようとした。 「チャラ……、いい?」 「あはっ♥ してほしかったんでしょ♥ うつぶせひざまくら♥ いいよ♥ そのまま今日も眠っちゃえ♥」 まっさらな肌に滑り込むように、僕は顔を埋めていく。 安心するのに、ドキドキする場所。 ドキドキして、なんだか…… 「はあ……♥ はあ……♥」 くせになるような、不思議な香り。 しわくちゃになったスカートの裏地が、僕の頭に被さっていく。 スカートの内側ににこもり始める、無味無臭な香り。 湿った香りが、鼻腔の裏をくすぐって、ひっついて、そして…… 「はあ♥ ああ……♥」 感情のメーターを急激に押し上げる、チャラのフェロモン。 「くう……♥ あふ……♥」 下半身が一気に落ち着かなくなり、腰を浮かせて、お尻を上げ、身体をくの字に曲げる。 「うう……♥ あう……♥」 下半身を上げたことにより、顔への負荷が強くなる。 チャラの太ももの谷間に強く顔が押し当たり、自然と太ももに埋まっていった。 「あふっ♥」 張りのあるすべすべな太ももから、柔らかいふにふにな太ももに包まれ始める。 「あああっ♥」 反発する太ももに柔らかく押しつぶされるのを感じながら、わずかな隙間から香ってきた、無味無臭な不思議な香りに気を取られた瞬間、感情が振り切れた。 「ううっ♥」 ベルトを外す。 ボタンを外す。 ファスナーを下ろして、下着にまで手をかける。 「は、はやく……♥」 ズボンを下ろした瞬間、チャラが「あはっ♥」と笑った。 「いっただきまーす♥」 チャラの表情は、まったく見えない。 でも、いまの声で、チャラが夢魔の笑みを浮かべていることは、はっきりと分かった。 無防備になった僕のモノに、チャラの背中から現れた蔓が襲いかかる。 細い蔓が硬くなった根本にくるくると巻き付いてくる。 蔓の表面に生える細かい毛に触れた瞬間、生まれたばかりのもどかしさが一気に先っぽまで広がっていった。 太ももの谷間で顔を埋めながら、僕は息を荒くしてそれに耐える。 落ち着くのを待つように、チャラが巻き付けた蔓は微動だにしない。 「ふーっ。ふーっ……」 先っぽから我慢した証がとろりと流れていく。 興奮が冷めていくにつれ、僕の腿が痛み始め、膝頭が痛くなってきた。 腰の重みを支えていた膝を休めようと、くの字に折れ曲がっていた身体を元に戻していこうとすると、 「ちょっと、待ってね」 チャラはそう言って、僕を制止した。 「あはっ♥ でーきた♥。 いいよ♥ そのまま、ゆっくりと腰を落としていーけっ♥」 何ができたのか分からない。 この前は、いま巻き付かれている細長い蔓で荒々しくしごかれて、何度もビュービューして、げっそりと疲れて、太ももに甘えながら眠っていった。 今日もそうなると思っていた。 ゆっくりと腰を落と、背筋を伸ばしながら、腰を花畑の地面に触れさせようとした。 くちゅっ♥ 「んんんん~っ!」 先っぽに触れた、柔らかいなにか。 目を覚まさせるような快感が身体を走り抜け、恐怖を覚えて腰が止まった。 飲まれる。 「ふーっ♥ はーっ♥」 中途半端な姿勢で腰を止めたため、腹筋や背筋、腿に過剰な負荷がかかる。 身体が耐えきれず震え始めたとき、チャラが言った。 「だーいじょうぶ♥ 君のことを思って、君だけのために作った、特性のオナホールだから♥」 オナホールという単語に好奇心が生まれ、恐怖心を飲み込んでいく。 「あはっ♥ お花畑の花びらをたくさん集めて筒状にして、形を蔓で整えたの♥ 入り口は、蜜をたっぷり含んだ柔らかい花弁に近い花びらを使ったから、君の先っぽにとっても優しいよ♥ すーぐに先っぽがとろとろになって……。 あっ♥ あっ♥ ……、って、喘いでいるうちに、ちゅくちゅく~、って、潜っていっちゃう♥」 だから、怖くないよ……、とチャラに言われた気がした。 「ホールの真ん中には、太ももに締め付けられる快感を味わえちゃうように、ふわふわすべすべな花びらを敷き詰めてあげたから、あはっ♥ 焦っちゃだーめっ♥ ほーらっ♥ ふともも、って言葉を聞いちゃうだけで、そんなに焦っちゃだーめっ♥ ゆーっくり……、腰を落としていって♥」 あっ♥ あっ♥ 数枚の花びらが先っぽにピタリとくっついて、蜜をたらたらと先っぽに伝えてくる。 まるでその蜜を欲しがるように、先っぽがヒクヒクと微動した。 「そうそう♥ ゆーっくり、ゆーっくり♥」 誘われるように、腰を下ろしていく。 花びらの先がカリ首に触れると、蜜とともに花びらが吸い付いてきて、柔らかい先端が敏感な神経をいやらしく突いてきた。 太ももに顔を埋めたまま、耐えきれなかった悲鳴が口から漏れる。 「焦っちゃだーめっ♥ そんなとこで終わっちゃだーめっ♥」 チャラに後頭部を撫でられる。 まさに今、激しく振ろうとしていた僕の腰が、我慢するように震えて止まった。 「気持ちいいのは分かるけど、いまイっちゃったら、太ももにお顔を埋めるだけで終わっちゃう♥ チャラの太ももにせっかくお顔を埋めることができたのに……、ね♥」 埋めたままイく。 それだけじゃ、物足りない。 チャラに教えられてしまった、太ももをいっぱい擦り付けられて、頭がふわふわしてとろとろしてきて、その後のビュービューしてからの、安らぎと、恍惚。 埋めただけじゃ手に入らない。 「そうそう♥ ゆーっくり♥ ゆーっくり腰をね♥ 花びらが君のことを優しく欲しがってくれるから、誘われるように、ゆーっくり♥ うん♥ うん♥ 上手、上手♥ スイッチが入らないようにね♥ イきたい、っていうスイッチを入れないように、ゆーっくり腰を下ろしていって♥ そう♥ ほーらっ♥ きもちいいの我慢して……、うんっ♥ 先っぽ、ちゃーんと入れることできたね♥ それじゃあ、ちょっとだけ……、遊んじゃおっと♥」 チャラの太ももが、ゆっくりと艶めかしく動き始めた。 んっ~~~♥ 埋めていた顔面が、チャラの太ももにもみくちゃにされていく。 待ち望んでいた快感に腰を激しく動かそうとした瞬間、チャラが動くのをやめた。 「ちょっとだけ、って言ったでしょ♥ それに、まだ先っぽしか入ってないんだから♥ 太ももの谷間で……、ゆーっくり落ち着こうね~♥」 ふーっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ 静まらない興奮のなか、息だけを落ち着かせていく。 「……、君って、やっぱり面白い♥ こんなになっても、チャラの言うことをを聞いちゃうんだ♥」 もう片方の手が、僕の後頭部に触れてきた。 両手で軽く押さえ込まれ、太ももから逃れられないように押さえ付けられていく。 「さっきまで、あんなに腰をガクガク震わせていたのに♥ あのとき、ちょっとでも腰を激しく動かせば、イけちゃったのに♥」 チャラの両手が動き始める。 んくっ……♥ 鼻の頭がなんども太ももに擦れて、落ち着かせたばかりの腰が落ち着かなくなっていく。 「我慢してるね……♥ まだ、チャラからもらえてないもんね♥ うつぶせひざまくら……♥ ふとももで……、お顔をすりすり♥ だけじゃなくてぇ……、おちんちん……、すりすり♥ あはっ♥ 腰がビクって動いた♥」 太ももこきの気持ちよさをしっかり覚えている僕の身体が、期待に負けて腰を動かそうとする。 それを、今度は挑発するかのように、チャラが太ももを動かし始めた。 「そうだよねえ♥ 大好きになっちゃったんだもんねぇ♥ 昨日の夜なんて、チャラの太ももにお顔を埋めないと眠れなくて♥ 切なくって、辛くって、チャラのことをお部屋に呼んじゃって♥」 はぁ……♥ はぁ……♥ 「お部屋の枕にずーっとお顔を擦り付けてたこと、知ってるからね♥ チャラの太ももだと思って、ずーっとお顔を埋めて、眠ろうとしたんだよね♥」 チャ、チャラ……♥ 「でーも……、眠れない♥ 眠れなかった♥」 ううっ……♥ もう……、我慢が……♥ 「だーって、チャラの太ももは……、チャラに甘えないと……、味わえない♥ いいの? いま、イっちゃたら……、もう終わっちゃうね♥ せっかく作ってあげたオナホール、先っぽだけで終わっちゃうね♥ ちゃーんと最後まで挿れることができたら、昨日の続きをしてあげたのになぁ……」 昨日の続きと言われ、下半身に力が入る。 期待を我慢で締め付けていくと、身体の底から歓喜の悲鳴が喉より漏れ出してきた。 「うんうん♥ だいぶ、辛くなってきたね♥ 腰も……、さっきから浮かせ続けていて、もう辛いよね♥ ……、ふともも催眠♥ やっちゃうよ♥」 だ、だめっ♥ そんなことされたら……♥ チャラの両手が僕の顔を押さえ込みにかかる。 急に強く感じたチャラの香りに、頭が一瞬だけ真っ白になった。 「ふともも催眠♥ 言うこと聞いて♥」 言うこと……♥ 「腰を……、一気に下ろしちゃえ♥」 ずぷずぷずぷ~♥ あああああああぁ……♥ 強烈な快感に真っ白になってた頭が一気に呼び覚まされる。 きゅうきゅうに締め付けてくる花びらを、先っぽがかき分けながら潜り込んでいき、カリ首を優しくひっかかれ、目の覚めるような快感に腰がビクついた。 暴発を押さえ込むように、チャラが僕の顔を太ももに押しつけてきた。 「イっちゃだめ♥ 奥まで突くの♥ 奥に、プレゼントを用意したんだからね♥」 腰が沈んでいき、徐々にお花畑の地面に密着していく。 穴ぼこが地面にちょうどよくできたように、僕のモノが真下を向いたまま、やがて身体は伸びきっていく。 「プレゼントはね……♥ 幻覚作用をたっぷりあげちゃう、意地のわるーいチャラの吸精花だよ♥」 身体が伸びきった瞬間、チャラの蔓が僕の下半身にぐるぐる巻き付いてきた。 「両足を動かせると怪我しちゃうかもしれないから、みっちり拘束♥ さあ……、吸われちゃおうね♥」 先っぽに、イヤらしく、ねっとりと何かが張り付いてきた。 あふっ♥ 身体が一瞬だけ熱くなり、頭がぼうっとした。 あ、いい……♥ 「ふともも催眠♥ よーく聞いて♥」 ま、まって……♥ 「チャラね♥ 双子の妹がいるの♥ チャラの、やわらかーいふとももを、同じように教えてくれる、優しい妹が♥ その妹がね♥ 今日は、君のために、隣に来てくれたよ♥ さあ……、腰をちょっとだけあげて♥ そう♥ そう♥ ほーら♥ 妹が、君のために、太ももを腰の下に滑り込ませてきてくれた♥ そのまま、腰を下ろして♥ ふとももの谷間に腰を下ろして♥ あはっ♥ そう♥ そう♥」 き、きもちいいい……♥ ふとももが……♥ 一昨日に、味わってしまった、チャラの太ももコキ。 そのときの快感が一気に僕を包んできた。 「お顔もね♥ ふとももだよ♥ 昨日の夜、甘えたばっかりの大好きなふともも♥ ほーらっ♥ ここでしか味わえない、むっちりな柔らかさだよ♥ ほらっ♥ いーっぱいすりすりして、きもちよくなっちゃおうね♥」 んぅ♥ あうぅ♥ 腰♥ 動かしたいのに♥ 「二人のふとももに、お顔も、おちんちんも、すりすりされちゃう♥ こんなの味わったら、もう、ぜーったいに、ほかじゃ満足できない♥ ふともも、ふともも♥ 寝ても覚めても、ふともものことしか頭に浮かばない♥ ふともも♥ ふともも♥ あはっ♥ 腰を動かしたいの? でもぉ……、下半身をグルグル巻きにされちゃったから、動けないね♥」 イ、イかせてっ♥ 「チャラのふとももにお顔をいっぱい擦り付けて♥ まずは、その刺激だけで、ふとももにびゅーびゅーしちゃおうね♥ びゅーびゅーしたら、おちんちんをいーっぱいすりすり♥ ダメにされちゃう♥ おちんちん、もーっと、ふとももが忘れられなくなっちゃう♥ あはっ♥ 腰、動かしたいの♥ だーめっ♥ ふとももは、お顔だけで我慢♥ 動かしちゃう♥ すーりすーり♥」 あうううううっ……♥ 暴発寸前のモノ、太ももにいじめられながら。 その暴発を誘うように、チャラの太ももが僕の顔を犯していく。 擦れるたびにチャラの香りを強く感じ、腰が上下に動き始める。 「あはっ♥ うつぶせひざまくら♥ きもちいい♥ きもちいい? イきそう? イっちゃいそう? 動かせないのに、腰、そんなに震わせちゃって♥ 限界? イくの? ねえ、そんなに興奮しちゃうの?」 くるっ♥ 「あはっ♥ 腰、震わせすぎ♥ ふとももでぇ……、イっちゃうんだぁ……♥ きもちいいよね♥ ほーらっ♥ お顔をいっぱい押しつけてっ♥」 イクっ♥ 「あははっ♥ はいはい♥ わかった♥ そんなに身体に力を入れちゃダメでしょ♥ チャラに出すときは……、とーってもきもちよさそうなトロけ顔って教えたよね♥ リラックス、しないとだーめっ♥」 イクっ♥ イクっ♥ 「あーっ……。聞こえてない……♥ もう……、それなら……、ふともも催眠♥」 イクっ♥ イクっ♥ イクっ♥ イクっ♥ 「はーいっ♥ りらーっくす……♥」 あっ……♥ きもちいい……♥ すーっ♥ はーっ♥ すーっ♥ 「イーけっ♥」 はあぁぁぁぁ……♥ びゅーーーーーーーーーーーっ…… 身体の力が一気に抜けた瞬間、我慢していた熱い精が一気に放たれていった。 きもちいいいぃぃぃぃ……♥ 腰を動かすこと無く、ふとももを堪能しながら、思いのままに吐精していく。 何にもしなくていい。 それで、きもちいい。 僕のモノを挟んでいた太ももが、ゆっくりとスリスリし始める。 「大事な精気♥ ぜーんぶ、チャラのふとももに、あげちゃお-ねっ♥」 びゅくっ♥ びゅくっ♥ すべて、奪われていく。 意識も、感覚も、すべて、吸われていく。 びゅーーーーーーっ…… やさしくうごめくふとももの谷間に、遠慮無く、僕は吐精していく。 うつぶせひざまくらに顔を埋め、チャラに強請るように、顔を擦り付け、快感を貪り始めると、チャラの手が後頭部を優しく撫でてきた。 「眠っちゃう前に、いーっぱいチャラの太ももを覚えて帰ろうねっ♥」 んっ♥ んっ♥ 無味無臭な香りが、僕の記憶の奥底に眠る懐かしい香りに紐付いていく。 何も考えなくても、幸せな時間に浸れる記憶に、紐付いていく。 「し、しあわせ……♥」 「……、な、なに言ってんの! 奪われているのに……、も、もう……♥」 チャラのふとももが、きゅっと締まった。 その締め付けにこたえるように、僕のモノは勢いよく射精した。 あふぅ……♥ 「もう……、変なこと急に言うから……、力加減を間違えちゃったじゃん……。 ……、君って……、とことん、面白いね♥ あはっ♥」 撫でてくれる手が、さっきより優しくなっていく。 ふとももに溺れさせるというより、ふとももと一緒にいさせるような手つきに。 「何か言うことないの……」 全て奪われて意識まで消えていく瞬間。 「いっしょにかえろ……。チャラ……」 「……、うん♥ いっしょにかえろ♥」 チャラの嬉しそうな笑顔を思いながら、お昼前に、チャラのふとももに眠っていく。 チャラと、いっしょに帰ることを夢みながら……。 魔王城 謁見の間 「……、で、チャラ。本当に一緒に行くのね」 黒い角を左右に二本生やした小柄な男がチャラに言った。 申請も通さずに魔王様のいる謁見の間にチャラに連れて来られ、魔王にボコボコにされるのではと内心ビビっていたのだが、魔王はどこにもいないらしい。 「ねえ、チャラ。魔王はどこにいるの?」 「あははっ!!」 チャラが可笑しそうに笑い転げた。 何がそんなに可笑しかったのか分からない。 目の前にいる小柄な男に聞こうとしたら、涙目になっていた。 「そりゃ、俺はご先祖様と違って、見えないかもしれないけどさあ……」 「えっ……、えっ!?」 確かに、確かに角はある。 だが、威圧感がない。まったくない。 生意気な小悪魔の少年、そう言った方がしっくりくる。 「ごめん……、本当に魔王なの?」 「謝るなよ! 魔王だよ! どっからどう見ても、魔王だよ!」 「あゃははっ! 魔王さま、涙目じゃーん♥」 「うう……っ、チャラも少しはフォローしてくれても……。 うわーん。ひどいよー」 「あゃははっ! 魔王さま、ごめんねー! よーしよし♥」 「やめろって……♥ ううっ……」 さすがに魔王が不憫に思えてきたので、僕はハンカチを渡すことにした。 「ありがと……。まあ、悪意は感じなかったから別にいいんだけど……。 それで、チャラを連れて行くの?」 「まあ……、僕の村に一緒に……」 当初の目的は妹の医療費を手に入れるため、ここに来たのだ。 手に入れることはできなかった。 妹に、どう言おうか……。 「そっか。お幸せに。 それじゃあ、補助金を給付しないとね。4番窓口で申請してね」 「申請?」 「夢魔と恋に落ちて一緒に帰ったけど、お金が無くて別れちゃうこと、多くてね。 だから、先月に施行したの。補助金貰って帰れば、しばらく暮らせるでしょ」 「……、えっと、そうなんだ」 「ねえねえ、魔王さま♥ お金の使い道はなんでもいいんだよね」 「いいけど、チャラ。独り占めするのはダメだからね」 魔王が言うと、チャラが微笑んだ。 「だーいじょうぶ♥ ぜーんぶあげるから♥ ねっ♥ 好きに使っていいよ♥ 妹の治療費にぜーんぶね♥」 「……、ありがとう……」 末永くお幸せに、と魔王さまに見送られて、僕はチャラと一緒に魔王城を後にした。
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