以下为收费内容(by http://www.prretyfoot.com) 本能寺 1582年3月11日、武田勝頼が嫡男・信勝と共に天目山で自害し、戦国最強と名高い甲斐の武田氏が滅亡した。 指揮を執ったのは信長嫡男の信忠であり、光秀は何程の事もなく、ただ平安以来の源氏の名門が滅び去る様を見届けるだけでよかった。 鎮守府将軍・源満仲の嫡男・源頼光を祖とするのが、美濃源氏土岐氏。 三男の源頼信を祖とするのが甲斐源氏武田氏である。 同じ源氏の末裔として、桓武平氏に連なると自称する信長によって武田氏が滅ぼされるのを見るのは、複雑な思いもした。 だが、それもまた戦国の習いである。 そんな折、光秀が陣を構える寺にその男はやってきた。 五摂家筆頭、近衛家の17代目当主。 関白、左大臣、太政大臣を歴任し、准三宮に任じられた男。 武力を持たない公家の身でありながら、この戦国乱世を自在に泳ぎ回り、あらゆる大事件に顔を出す鵺の如き男である。 その名を、近衛前久。 信長に敵対し、信長包囲網の構築に一役買ったかと思えば、甲斐府中まで同道して武田氏滅亡を見届けたりもする表裏比興の男。 神出鬼没、何を考えているかもわからない、とにかく容易でない相手である。 人払いをした上で、寺の離れで近衛前久と向き合った光秀は、彼の話を聞き、目の前が真っ暗になるのを覚えた。 「―――今、なんと………」 早鐘を打つ鼓動を抑えながら、喘ぐ様にして声を上げる。 近衛前久は扇を動かして、胸元にゆるゆると風を送りつつ、じっと光秀を見据える。 千年もの間、この国に渦巻く陰謀の渦中に在り続けた一族の末裔らしく、その眼差しからは何の感情も読み取れなかった。 「信長を討て」 繰り返された言葉に、眩暈がしてくる。 事もあろうに、織田軍の陣中、その只中である。 人払いをしているとはいえ、どこで誰が聞き耳を立てていてもおかしくないのだ。 「そ、それは、しかし………」 顔面を蒼白にしながら、言葉を探す。 だが、何も見つからなかった。 そんな光秀に対し、前久はさらに追い打ちをかけてくる。 「これは主上の思し召しにおじゃる」 「っ………」 血の気が引くとは、まさにこの事。 いずれ、このような時が来るのではないかとは薄々感じてはいた。 元より、この国にも幾多の権力者が生まれてきた。 その元で、天皇家が傀儡に甘んじる事も、ままあった。 だが、天皇家に“成り代わろう”とした途端、不思議なことに、これまでその者に向かっていた時流の風は、ぴたっと反転する。 待っているのは、滅亡の二文字である。 脳裏に、琵琶湖の湖面を赤々と染めて浮かび上がる安土城天主が浮かぶ。 “天下人”で我慢すればよかったのだ。 “天上人”になろうと望んでは、ならないのだ。 (龍の尾を踏んだ………) ごくり、と生唾を飲み込む。 「せ、拙者などにそのような大役………」 顔面蒼白のまま、声を震わせる。 「無論、おぬしのみに任せようとは思わぬ」 前久の言葉に、ハッとする。 「で、では、既に………」 「手筈は整っておる。武田を滅ぼした後、織田信長は毛利輝元を討つため、備中に向かう。羽柴秀吉からの援軍要請に応じてな。その大将には光秀殿、おぬしが任じられよう。そこに、信長を討つ機が生まれる」 「それは………」 羽柴秀吉からの援軍要請など、聞いたことがない。 だが、前久は既に確定している事であるが如く語る。 それはつまり、羽柴秀吉本人か、少なくとも羽柴秀吉に大きな影響力を持つ人物がこの計略に同意していることを意味する。 (羽柴殿が、まさか………) 百姓の子に生まれ、草履取りから軍団長まで取り立てられた羽柴秀吉。 その信長に対する忠誠心は絶対であるように見えた。 そんな羽柴秀吉が信長暗殺に加担していると知って、心が大きく揺らぐ。 「時に、光秀殿。麿は若い頃、武士に憧れを抱いておった事があってな」 光秀の心情などお構いなしに前久は話題を大きく転じた。 「越後の長尾景虎の元に身を寄せ、その関東平定に手を貸していた事があった。あれは、1560年頃の事故、麿がまだ24、5歳の頃だった。今にして思えば若気の至り。とはいえ、得難き経験でもあった」 「は、はぁ………」 話の着地点が見えず、生返事を返すので精一杯だった。 一体、何の話をしようというのか。 「その際に、会津の蘆名氏の元まで足を伸ばしてみたことがあった。名高き白河関を見物するついでにの」 「………」 神出鬼没とは思っていたが、まさか奥州にまで足を伸ばしていたとは驚いた。 1573年には、毛利輝元に対する包囲網を構築しようとした信長の求めに応じて九州に下向、大友氏、伊東氏、相良氏、島津氏の和議を図っている。 その足跡は、ほぼ日本全土に及んでいるのかもしれない。 「その際に、舟木兵部少輔景光とやらの妻を孕ませてしまってな。生まれた娘を引き取った」 話の筋が見えてこない。 高貴な身分の者がやってくれば伽のものを出す事もあろう。 例え、夫ある身であろうと、前久に求められれば拒む事などできようはずもない。 子が生まれるとて、なくはないだろう。 だからどうしたというのだ。 一体、何を言いたいのか。 「この陣中にも伴っておる。信長に会わせようと思ったのだが、おぬしに会わせた方がよいのではと思ってな」 「………」 意味が分からな過ぎて反応に困る。 蘆名氏の家臣の妻に産ませた子をなぜ自分に会わせる? 戸惑う光秀をにやにやと見つめ、前久が手を叩く。 微かな衣擦れの音とともに、一人の女性が部屋に入ってきた。 「あっ………」 その顔を見た途端、まるで雷に打たれたかの如く、光秀は硬直した。 まだ20歳そこそこの、美しい女だった。 白い肌は透けるようで、大きな黒い瞳は何もかも見透かすかの如く煌めいている。 すーっと通った鼻筋に、小さな口が愛らしい。 「どうじゃ、光秀。よく似ていると思わぬか?」 似ているどころではなかった。 その姿は、まるで帰蝶本人だった。 実際には、20歳前後の帰蝶を光秀は知らない。 知っているのは、15歳で帰蝶が信長に嫁ぐまで。 再会した時には、既に30歳を超えていた。 だが、20歳頃の帰蝶は、きっとこのように美しい女だったのだろうと疑いを持つ事もなく確信できるほど、まさに生き写しだった。 「ふふ、良い顔をするの。その顔を見たくて連れて参ったのじゃ」 してやったりと言った顔で前久は笑う。 「さぁさ、硬い話はここまでじゃ、光秀殿。酒でも飲みながら、ゆるりと語るとしようぞ」 半ば夢でも見ている気分のまま促されるままに人を呼び、酒肴の用意を命じる。 女も、率先して立ち働いた。 膳の用意が整えられていく間も、光秀は無意識のうちに、女の姿を目で追っていた。 「あまりに似ておるでな。麿は戯れに帰蝶と呼んでおる。帰蝶、光秀殿に酌を」 「はい」 帰蝶が頷き、光秀の傍らに控えて銚子を持つ。 促されるままに盃を手に取ったはいいが、盃を持つ手が微かに震えてくる。 年甲斐もなく、緊張しているのだ。 それを誤魔化すように、注がれた酒を一息に飲み干す。 「帰蝶。あれを見せよ」 「はい」 前久の命に応じ、帰蝶がゆるりと立ち上がり、中央に進み出て扇子を開いた。 そして、朗々と謡いながら、舞い始める。 ―――人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 信長がよく舞う、『敦盛』だ。 (悪ふざけが過ぎる………) そうも思ったが、時に優美に、時に力強く舞う帰蝶から目を放す事が出来なかった。 ―――ひと度生を享け、滅せぬもののあるべきか 「人の世の50年など、下天においては1日に過ぎぬ。誠に儚きものよ。見事であった、帰蝶」 「お目汚しを致しました」 前久の賛辞に一礼を返し、帰蝶が再び光秀の傍らに座る。 身体を動かして少し汗ばんだのか、衣に焚き染めた香が立ち昇り、鼻先を甘く擽る。 「見事であった。帰蝶……殿。盃をとらそう」 「ありがたく頂戴いたします」 ぎこちなく名を呼びながら、盃を渡し、酒を注いでやる。 帰蝶は小さな唇を盃に触れさせ、酒を飲み干していく。 盃越しに、目が合った。 その目に、微かな笑みが滲むのを見て、その匂い立つような色香に、どくん、と鼓動が大きく跳ねる。 その姿を見て、前久が満足そうに目を細める。 それから神妙そうな顔つきになった。 「帰蝶殿は残念じゃったな」 「は………」 言葉に詰まる。 心がざわざわとし、背筋に嫌な汗が浮かんでくる。 前久は知っているのだ。 帰蝶が死んだ事だけでなく、光秀が密かに想いを寄せていた事さえも。 誰にも話した事などない。 だが、確実に前久は知っている。 その情報力があればこそ、近衛家は今でも朝廷の中枢に在り続けることができているのだろう。 近衛前久が、“鵺”と呼ばれるのも、その得体の知れぬ薄気味悪さが故。 そして、そのような怪物になぞらえられる男は、光秀が、信長に対して抱いている屈折した思いにさえ、気づいているのかもしれない。 いや、きっと気付いているのだろう。 だからこそ、信長を討つ役目に自分を選んだのだ。 帰蝶の恨みを晴らせ、と。 だが、帰蝶の最期の言葉は恨み言ではなかった。 帰蝶は、光秀に信長を託して、逝ったのだ。 前久の申し出に応じることは、帰蝶の思いを裏切る事になる。 光秀が葛藤に顔を歪めていると、前久は盃を膳に伏せた。 「さて……麿は退散するとしよう。光秀殿、帰蝶はそなたに与える。麿の“大切な娘”故、粗略には扱わんでくれよ」 にやにやと笑みを浮かべながら、前久が立ち去っていく。 光秀は言葉もなくその後ろ姿を見送る事しかできなかった。 前久の申し出を断るならば、拒絶すべきだ。 それはわかっている。 だが、准三宮・近衛前久の娘に恥を掻かせたとあれば、それはそれでまずいことになる。 何より―――もはや、光秀の心は帰蝶に魅了されていた。 「さあ、光秀様。もう一献………」 そう言いながら、帰蝶が盃を傾け、酒を己の口に含む。 濡れて輝く、朱色の唇に引き寄せられるように、しなだれかかってくる柔らかな体を受けとめ、腕を回し、唇を重ねる。 流し込まれる酒を飲み干す。 身体が熱くなり、血が下半身に勢いよく流れ込んで、肉棒を激しく滾らせる。 このようなことは妻・熙子を6年前に亡くして以来、ついぞなかったことだ。 帰蝶への恋慕を抱きつつも、明智城を落とされ、各地を放浪する中でも文句ひとつ言わずについてきてくれた熙子を、光秀は愛していた。 だから、これまで側室を置いた事もない。 周囲から揶揄される程、夫婦仲はよかったと今でも思っている。 だが、今は。 欲望に突き動かされる身体を、心を、止めることができそうになかった。 (すまぬ、熙子………) 心の中で謝罪しながら、舌を伸ばし、絡ませ合う。 帰蝶によく似た瞳が潤む。 そこに映る自分の姿。 昔とは違う、年を重ね、衰えた醜い姿に、心が痛む。 帰蝶の白く美しい手が、褌を緩めて肉棒を取り出し、浮き出た血管をなぞるように指を這わせる。 「んっ、ぅっ……」 重ねる唇の端から息が漏れ、唾液が零れる。 奥ゆかしかった熙子はいつも受け身で、自分から肉棒に手を伸ばすようなことはついぞなかった。 自分が受け身になって受ける愛撫が齎す快楽は新鮮だった。 指が棹を這い、カリを擽り、亀頭にゆっくりと螺旋を描いた後、ふわりと棹を握られる。 「っ………」 ただ握られただけだというのに、身体が痺れるほど心地いい。 銀の糸を引きながら、唇を放す。 「そなた………真の名はなんと申す?」 もはや、欲情から逃れられる気はしなかった。 だが、このまま帰蝶として抱いてしまえば、もはや前久の掌中から逃れられないのではないかと恐れを抱いたのだ。 だが、帰蝶はそれを許してはくれなかった。 上目遣いに光秀の目を覗き込み、ぺろりと唇を舐める。 その妖艶な仕草に、どくん、と鼓動が高く鳴る。 「そのような事は詮なき事。私の名は帰蝶にございます」 そう答えながら、光秀の股間に顔を埋める。 硬く張り詰めた肉棒に、赤く柔らかな舌が這いまわり、その小さく温かな口の中に咥え込まれていく。 「うぅっ………」 光秀の顔が、快楽に歪む。 熙子から、このような愛撫を受けた事などない。 未知の悦楽に、身体が痺れる。 その様を上目遣いに見上げながら、帰蝶が頭を上下に振る。 その白い頬に数本の髪の毛が絡む様が、また艶めかしい。 まるで、己の身に絡みつき、絡め取る蜘蛛の糸のようだ。 ずちゅっ、ぶちゅっ、くちゅっ……❤❤ 「くっ、あぁっ……❤」 根元を唇で締め付け、棹に舌を絡め、喉奥で先端を締め付ける。 大海の中で翻弄される小舟の如く、その唾液の中で肉棒が弄ばれる。 淫らな音が響く度、光秀の体がまるで女を知らぬ初心な少年かの如く小刻みに震えた。 後ろに手を突き、身を仰け反らせながら、少しでも快楽に耐えようと試みる。 ぐちゅっ、ずちゅっ、れろっ、じゅるっ……❤❤ 「あふっ❤あぁっ❤…き、気持ちいいっ……❤」 光秀の我慢を嘲笑い、その心を蕩かそうとするかのように、帰蝶は様々な技巧で、肉棒に快楽を刻み付けていく。 さらには膨れ上がった睾丸を掌中に収め、コロコロと転がす。 その巧みな口淫の前に、光秀は他愛もなく喘がされ、あっという間に射精欲が込み上げてくる。 「あっ、あぁっ、も、もう、出るっ……❤」 射精を覚悟した瞬間。 「ぷはっ❤」 帰蝶が肉棒を吐き出し、根元を抑えて射精を阻害した。 「はぁっはぁっはぁっ……な、なぜ…」 荒い呼吸を吐きながら帰蝶に尋ねると、その口元に薄く笑みが浮かぶ。 「精を放たれる際には、私の名をお呼びください❤」 「っ………」 それは、帰蝶を帰蝶として認めよという意味だ。 それを聞いた途端、光秀の顔つきが厳しくなる。 「それは………できぬ」 「何故にございますか?」 「知れた事。そなたは、帰蝶様ではないからだ」 「ふふ、光秀様は本当に、帰蝶様の事を好いておられたのですね」 肉棒を握り、軽快に扱き上げながら、帰蝶が目を輝かせる。 「む、無論だ。儂は帰蝶様を敬愛しておる」 「抱きたいと思っておられたのでしょう?」 「ふ、不敬な。帰蝶様はかつての主君の息女、そして今の主君の奥方様ぞ。抱きたいなどという不遜な思いなど一瞬たりとも抱いた事などない」 「そうですか。私は本物の帰蝶様を存じ上げません。ですがきっと、素晴らしいお方だったのでしょうね。もし私で成り代われるものならば、どうぞ私を抱いてくださりませ。しかし、飽くまでも帰蝶様の代わり。その事、ゆめゆめお忘れなきよう」 笑みを含んだ声音でそう告げ、肉棒の先端にちろちろと素早く舌を這わせる。 「だ、断じてっ……んあぁっ……そ、そなたを、帰蝶様の代わりなんぞと……おふっ❤……お、思うてやるものかっ……❤❤」 強がる言葉とは裏腹に、扱かれる度、先端から随喜の涙が溢れ出す。 一度は引き締めた表情も、瞬く間に崩れていく。 捻りを加え、カリ首に引っ掛け、亀頭を掌で擦り、実に滑らかな動きで扱き上げられる。 我慢汁を絡めた手が動く度、くちゅくちゅと淫らな音が響く。 光秀はびくびくと体を震わせながら、ぎゅっと目を閉じ、ひたすらに快楽に耐えようとした。 瞼の裏で、ばちばちと快楽の火花が散る。 身体の奥底から、射精感が込み上げてくる。 だが、文字通り光秀が射精する瞬間が手に取るようにわかるのだろう。 あと、一往復で射精に至るという瞬間に、帰蝶の手が離れてしまう。 「あっ、あぁあっ………」 口の端から、惜しむ想いが喘ぎ声となって零れ落ちる。 「ほら、こんなに………」 帰蝶が、我慢汁塗れになった掌を見せつけてくる。 小指から順々に折っていくと、くちゅっ、じゅぷっと粘着質な音が響く。 寸止めをされた肉棒が切なく震え、次から次へと新たな我慢汁が滲み出てくる。 「次はこちらで………❤」 帰蝶がゆっくりと着物の前を開く。 現れたのは、白くたわわな乳房。 先端の桜色の蕾に、視線を奪われ、さらに呼吸が激しくなっていく。 帰蝶が光秀の腰を引き寄せ、自身の膝に乗せる。 豊かな乳房の至近距離で、雄々しく聳える肉棒。 これからされる事への期待感に、さらに鼓動が弾んでいく。 「包んで差し上げます❤」 乳房を広げ、ゆっくりと肉棒を包み込んでいく。 「はうっ❤ふぁっ❤こ、これっ❤気持ちいいっっ……❤❤」 柔らかくて、温かくて、ふわふわの感触はまさに極楽だった。 幾ら引き締めようと思っても、唇から力が抜け、涎が零れ落ちるのを止められない。 「動かしますね❤」 「あひぃっ❤あぁぁあっっ❤❤」 帰蝶がゆっくりと乳房に添えた手を動かす。 柔らかく扱かれる肉棒は、もはや乳房との境目が分からなくなるほどに蕩け切り、思考能力がどんどん失われていくようだった。 「難しい事は何も考えず、今はただ心行くまで、堪能してくださいませ❤」 「あぁあっぁあっ……❤❤」 ぐるぐると視界が回る。 ぶちぶちと神経が千切れていく。 気持ちいいという事以外、何も考えられなくなる。 「出したくなったら、いつでも呼んでくださいまし。私の名を❤」 体中の血が沸騰しているのではないかと思う程熱い。 「呼んでくださらない限り、絶対に出させません❤」 乳房を動かす動きが、自在に変化していく。 単に上下に擦る動きから、互い違いに扱き上げ、或いはむぎゅぅっと押し潰す。 さらに、谷間にとろとろと唾液を垂らす事で、我慢汁と混じり合い、ぬるぬるとした感触がさらに光秀を追い込んでいく。 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「あっ❤あっ❤つ、強すぎるぅぅぅっ…‥❤❤」 様々な快楽に翻弄され、訳が分からなくなっていく。 「気持ちいいでしょう、光秀様❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「気持ちいいっ❤はひんっ、き、気持ちいいっ❤」 「このまま、どびゅどびゅって、気持ちよーく精を放したくはありませんかぁ❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「あぁっ❤だ、出したいぃぃっ❤❤」 「そうですよねぇ。白くてぇ❤どろどろでぇ❤ねばねばのぉ❤だしてぇ❤私の顔とぉ❤胸をぉ❤い~っぱい、汚したいですよねぇ?❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「ひあぁぅ❤だ、出したいぃぃっ……❤❤」 「ですよねぇ❤そのためにはどうしたらいいんでしたっけ?❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「おふっ❤あぁあっっ❤❤な、名前をっ❤んあぁっ❤よ、呼ぶぅぅぅっ❤❤」 「そうですよぉ。私のお名前❤呼んでください❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「あぁあっっ❤そ、それはっ、だっ、だめっ、だめぇぇぇっっ❤」 「ふふ、ダメなんですかぁ。じゃあ、このまま出させてあげません❤」 ずちゅぅ❤にちゅぅ❤ぬぱんっ❤ぱにゅんっ❤もにゅんっ❤ もっちゅんっ❤ぱっちゅん❤にっちゅ❤ぬちゅぅっ❤❤ 「ひぃぃぃっっ❤そ、そんなぁっ❤お、おかしくっ、おかしくなりゅぅぅっ❤❤」 髪を振り乱し、穴という穴から液体を垂れ流す様からは、もはや名将の面影もない。 帰蝶はふふ、と笑みを零すと、乳房を抑える手にさらに力を籠め、 「じゃあ、おかしくなっちゃいましょ❤」 一気に肉棒を扱き上げる速度を加速させる。 ずぢゅっずぢゅっずぢゅっずぢゅっ❤❤ ばぢゅっばぢゅっばぢゅっばぢゅっ❤❤ たぱんったぱんったぱんったぱんっ❤❤ 「ひぃぃぃぃぃっ❤❤❤」 光秀の背中が思いきり反り返り、舌を突き出しながら叫ぶ。 「ほら❤ほら❤もっと激しくしますよぉ❤」 たぱんったぱんったぱんったぱんっ❤❤ ばぢゅっばぢゅっばぢゅっばぢゅっ❤❤ ずぢゅっずぢゅっずぢゅっずぢゅっ❤❤ 「ぎぃあぁぁぁぁっ❤❤❤」 我慢汁がさながら射精しているかの如く周囲に飛び散る。 「まだ我慢なさいますかぁ?❤」 ばぢゅっばぢゅっばぢゅっばぢゅっ❤❤ たぱんったぱんったぱんったぱんっ❤❤ ずぢゅっずぢゅっずぢゅっずぢゅっ❤❤ 「――――っっ❤❤」 バチバチと視界で火花が散り、頭の中を白く染め上げていく。 冗談でなく、死の恐怖すら如実に感じた。 「もういいじゃないですかぁ………ね?❤だから……堕ちちゃいましょう❤」 暴虐的なまでの快楽と、慈愛の籠った優しい声音。 緩急織り交ぜての責めに、これまで、耐えに耐え続けてきた光秀の我慢も、遂に崩れ落ちてしまった。 「あぁぁあぁっ❤❤き、帰蝶っ、きちょうっ、帰蝶ざまぁぁぁぁっ❤❤❤❤」 苦悶の表情を浮かべながら、その名を叫ぶ。 「はーい、帰蝶でございます❤」 帰蝶が笑い、より一層胸の動きを激しくする。 「あがああぁぁぁぁっっ❤❤❤❤」 そして、光秀は爆ぜた。 どっぴゅんっ❤びゅるるるるっ❤❤どびゅどびゅどびゅっ❤❤びゅくんっびゅくんっ❤びゅるるるるっ❤どびゅぅぅぅっっ……❤❤ 帰蝶の谷間からさながら噴水の如く噴きあがった白濁液が、びちゃびちゃと降り注ぎ、辺り一面を白く汚していく。 濃厚な栗の花のような匂いが充満していく。 「あぁぁっ❤帰蝶っ❤帰蝶様っ❤帰蝶様ぁぁぁぁっ❤❤」 一度決壊した堰はもはや何物も押し留める事は出来ない。 繰り返し繰り返し、帰蝶の名を呼び続け、心に開いた穴を広げていく。 その名を呼ぶ度、帰蝶は光秀を射精に追い込んでいく。 乳房で。 口で。 手で。 足で。 そして、秘所で。 「さぁ、光秀様❤」 両膝を立て、自身の指で秘所を開いて誘う帰蝶。 「帰蝶………様ぁ❤」 光秀は鉛のように重い体を引きずるようにして帰蝶に伸し掛かり、その秘所を肉棒で貫いた。 「私が帰蝶です❤貴方が愛する帰蝶❤私も、貴方を愛します❤だから、もっともっと、私の名を呼んでくださいまし❤私の身に精を注いでくださいまし❤」 柔らかな襞に締め付けられ、あっという間に絶頂に押し上げられる。 帰蝶は穏やかな笑みを浮かべながら、何度も何度も、その身で精を受け止め続ける。 光秀の身に、快楽を深く刻み込み、その心に帰蝶の名を深く刻み込むように。 十数回も射精を重ねる頃には――― 「はひっ……❤……あひぃっ……❤❤……帰蝶、様ぁ………うひっ❤……も、もっとぉ……❤❤」 すっかり弛緩したその顔からはもはや、知性の片鱗さえ見出す事ができなくなっていた。 *** 数日後、明智光秀は多くの武将たちの前で恥を掻くことになる。 諏訪の法華寺において、徳川家康も含む武田征伐に加わった武将たち、穴山梅雪ら武田の降将たちも交えて開かれた戦勝祝いの宴にて、「私も骨を折った甲斐がありました」と光秀らしからぬ迂闊な言葉を口にしてしまったのだ。 これを信長は聞き咎め、「お前如きが何をしたというのだ!」と激怒。 諸将の前で、殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ、欄干に頭を押し付けられると言った散々な目に遭ったのである。 とはいえ、実際に光秀は甲州征伐において大きな功績を挙げた訳でもないのだから、全く以て不用意な事を口にしたものである。 この日、傷の手当てをしてもらいながら、光秀はこれまで溜めに溜めてきた怒りや悲しみをあらいざらいぶちまけ、泣き続けた。 帰蝶はそんな光秀を優しくあやしてくれた。 光秀は帰蝶の愛に溺れ、その身によって13度、精を搾り取った。 その後、信長一行は富士山見物を兼ねて駿河に向かい、駿河興国寺城で北条氏政による接待を受けた。 光秀は帰蝶と体を重ね、その最奥に16度、精を放った。 浜松城では徳川家康の歓待を受け、光秀は帰蝶の身を貪り、22度、その身を白く汚した。 ゆるゆると東海道を進む間、宿泊の度に光秀は帰蝶を抱いた。 そして、4月21日、信長は漸く安土城に戻った。 信長に同行していた光秀も同日、居城・坂本城に帰り着いた。 帰蝶のために人目に付かない場所に離れを用意し、連日連夜、朝から晩まで入り浸った。 とはいえ、ゆっくりとはしていられない。 5月15日には信長の盟友である徳川家康が安土城にやってくる。 光秀は、その際の饗応役に任じられていた。 帰蝶の肌からの離れがたさを感じながらも、光秀は安土城に向かった。 太陽が黄色く感じられるほど疲労困憊し、足元もふらつき、意識は散漫としていた。 そして、この場で光秀はまたしても信長の怒りを買ってしまう。 信長の長年に亘る盟友である徳川家康のためにと光秀自身で献立から考え、苦労を重ねて用意した膳だったが、その魚が腐っていたのだ。 これもまた、普段の用意周到な光秀であればあり得ないような失態である。 これに信長は激怒し、光秀に向って膳をぶちまけ、すぐにその場で家康の饗応役から解任。 そのまま羽柴秀吉の援軍として備中に向けて出陣するように命じられたのである。 光秀は家康に慰めの言葉を掛けられても、締まりのない笑みを浮かべて頷く事しかできなかった。 後を引き継ぐことになった丹羽長秀や長谷川秀一に引き継ぎを済ませ、安土城を出る。 大事な役目を解任された負い目や屈辱よりも、坂本城に戻れる喜びの方が勝っていた。 これで、帰蝶に会いに行けるのだから。 *** 「あぁ、帰蝶様ぁ……❤…また、上様の怒りを買ってしまったよぉ………❤❤」 5月17日に坂本城に戻ってきた光秀は、そのまま帰蝶の下に向かった。 「まぁ、それは大変でしたね、光秀様❤」 年甲斐もなく甘えた声を出す光秀を、帰蝶は優しく迎えてくれる。 それまで人目を気にして気難しい顔を取り繕っていた光秀だったが、帰蝶の姿を目にするなり、その顔が弛緩した。 すぐにお互い着物を脱ぎ捨て、肌を合わせる。 「帰蝶様❤貴女が恋しくて、恋しくて……」 光秀は恍惚の表情を浮かべたまま、帰蝶の唇を吸い、胸元に顔を埋め、その秘所を対面座位で貫き、その名を呼びながらかくかくと腰を振るう。 「私も、光秀様に抱かれる事ばかり考えておりました」 その声を聞くだけで、言い知れぬ幸福感に心が満たされていく。 後頭部をぎゅっと抱えられ、誘われるままに豊満な胸元に顔を沈める。 甘い香りに頭の中が瞬く間に桃色に染められ、この数日の間溜まりに溜まった白濁液が射精を求めて噴きあがってくる。 「帰蝶様❤帰蝶様ぁ❤…も、もうっ……❤」 「あら。もう出してしまわれるのですか?」 「出したい❤出したいでひゅぅ……❤」 そこには、イエズス会の宣教師ルイス・フロイスが著書『日本史』の中で、「計略と策謀の達人」と評した男の面影は欠片も残されていなかった。 帰蝶の胸元にべろべろと舌を這わせ、頭を撫でられる事に至福の表情を浮かべ、ただ只管に腰を振って快楽を貪る。 もはや完全に、光秀の心は帰蝶で占められていた。 そのせいで、らしくない失言や失態を引き起こし、信長の怒りを買ってしまっている。 だが、もはやそんな事さえも気にならなくなっていた。 「いいですよ、光秀様❤存分に、お出しください❤」 腰に帰蝶のむっちりと肉付きの良い白い両足が巻き付き、さらに奥深くへと肉棒が誘われる。 無数の襞が絡みつき、じゅるじゅると淫らな音を立てながら精を搾り取ろうと蠢く。 それは、まさに底なし沼である。 「あぁっ❤き、帰蝶様ぁっ❤で、出るっ!!」 どびゅんっ❤びゅくびゅくっ❤びゅぅぅぅっ❤❤びゅるるるるっ❤❤ びくびくと体を震わせながら、溜めてきた精を一挙に注ぎ込む。 「光秀様❤」 帰蝶が光秀の顔を上げさせ、唇を重ねる。 そのまま体重をかけて、押し倒す。 仰向けに寝転がる光秀の腰に跨り、唇を重ね、舌を絡め、唾液を貪り、秘所で肉棒を咥え込み、そのまま激しく腰を上下に振るう。 ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤ 二人の腰がぶつかる音が淫らに響く。 光秀は帰蝶の乳房を揉みしだき、帰蝶は光秀の乳首を弄繰り回す。 射精したばかりだというのに、あっという間に絶頂に押し上げられる。 「んん――――っっ❤❤」 光秀が目を剥き、その体ががくがくと震える。 二人の結合部から、白濁液と愛液が混じり合い、泡立った液体が溢れ出す。 それでも、帰蝶は腰を動かし続け、神経を焼き切るような快楽を光秀に与え続けた。 その姿はさながら、桔梗の花と戯れ、その蜜を貪り尽す蝶のようだった。 「あひぁぁっ❤ま、また出るっ、出ますぅっ、帰蝶様ぁぁぁぁっ❤❤」 豊かな乳房を指が食い込む程きつく握りしめ、その最奥に精を注ぐ。 帰蝶の腰が、まるで石臼のように肉棒を締め上げ、睾丸の白濁液を最後の一滴まで逃さずに絞り上げる。 二人の肉宴は、光秀が精も根も尽き果て、意識を失うまで続いた。 意識を失う寸前、帰蝶は光秀の耳元で囁く。 「私は帰蝶❤信長の寵愛を得られなかった哀れな女❤私の愛する光秀様❤どうか、私の恨みを晴らしてください……❤」 囁きながら、肉棒をねっとりと締め付ける。 「き、帰蝶様ぁぁぁぁ………❤」 穴という穴から液体を垂れ流しながら、光秀は愛する女の名を呼び、その最奥にその日最後の精を注いだ。 その翌日も、そのまた翌日も。 昼間は家臣を指揮して備中への出陣準備を進めつつ、夜になると帰蝶の下を訪れ、空が白むまで快楽を貪る日々を送った。 光秀が坂本城に戻ってから4日目の5月21日。 人目を忍ぶように、数人の男たちが坂本城を訪れた。 光秀はその顔触れを見て大いに驚いたものの、一先ずは男たちを茶室に案内した。 「5月29日に信長は上洛する」 扇子で風を送りつつ単刀直入に告げたのは、近衛前久である。 今朝まで、近衛前久も安土城におり、信長による徳川家康歓待の宴に参列していた。 そこから帰洛する途中で、坂本城にやってきたのだ。 「今日、徳川家康殿と穴山梅雪殿は安土を発たれます。拙者は、津田信澄殿、長谷川秀一殿と共に、その饗応役を仰せつかっております故、このまま大坂に向かいまする」 そう発言したのは、信長を討つ謀議の場にいるのが信じられない男の一人だった。 丹羽長秀である。 丹羽長秀は幼い頃から信長に仕えてきた股肱の臣。 現在の織田家中においては、北陸方面軍司令官の柴田勝家と並ぶ双璧と言っていい。 光秀が解任された後の徳川家康饗応役を務め、近衛前久同様、今朝まで安土城にいた。 さらには、信長の三男・神戸信孝を総大将とする四国方面軍の実質的な指揮官として、長宗我部元親討伐のために軍団を編成している最中でもあった。 (まさか丹羽殿までが………) その姿を見た時には、思わず声を上げそうになってしまった程である。 「上様が率いるのは森蘭丸ら小姓衆30ばかり。妙覚寺に信忠様がおわすが、その手勢も数百程度。ほぼ無防備と言っていいだろう。いずれも容易に討ち取れる」 そう発言したのは、細川藤孝である。 室町幕府13代将軍・足利義輝に仕え、その死後は足利義昭を幽閉先から救出。 越前の朝倉義景、次いで織田信長の助力を仰ぎつつ、足利義昭の将軍就任に尽力した男である。 足利義昭が信長と袂を分かった後は、信長に仕えてきた。 光秀自身も若い頃から世話になってきたし、娘の玉が彼の息子である細川忠興に嫁ぐなど、光秀とも深い関係にある人物だった。 朝廷とも近く、この場にいたとしても違和感はない。 「明智様であれば鎧袖一触。上様や信忠様の首を取るのはいとも容易い事でしょう」 ねっとりと耳障りな声で告げるのは、これまた光秀がこの場に居合わせる事に驚いた男である。 足を引きずるようにしてやってきたこの男、名を黒田官兵衛。 羽柴秀吉の軍師である。 本来、遠く離れた備中高松城に居るはずの男だ。 官兵衛は狷介な眼差しで一座を見渡す。 この場でもっとも身分の低い男とは思えぬ不遜な態度だったが、その迫力に押されて、誰も何も言えなかった。 「段取りを説明いたす。まず、決行の日は6月2日」 「その前日、6月1日には本能寺において、茶会の予定がある。麿も招かれておる故、信長周辺の備えを見ておこう。故に決行はその翌日が最適」 官兵衛の言葉を、前久が補足する。 となれば、明智軍の出陣は6月1日。 (あと、10日は帰蝶様と共に過ごせる………) 話を聞く光秀の脳裏に、帰蝶の白い肌がちらつき、毎日大量に精を放ち続けているにもかかわらず、着物の下で肉棒が滾っていく。 「四国征伐軍は同日、淡路に渡海する予定でおります。そのため、兵を動かしても怪しまれません。渡海する代わりに、堺を抑え、徳川家康殿を討ちます」 丹羽長秀が続く。 信長の盟友で、戦上手な事でも知られる徳川家康は、やはり討つ必要があるとの判断だ。 僅か30人ばかりの供と共に堺を見物している徳川家康を討つなど、造作もないだろう。 「麿はすぐ朝廷を動かし、光秀殿を官軍と致す。天下の義挙であるとな」 前久の言葉に一同が頷く。 信長暗殺が、ただの謀反と見做されれば天下の支持は得られない。 朝廷のお墨付きは絶対に必要だ。 「羽柴軍はすぐさま毛利家と和議を結び、兵を返します。明智様にはそれまでの間に安土城をはじめとする近江を制圧していただきたい」 「柴田殿が戻ってくる前に、か」 「いかにも。上様や信忠様が討たれたと知れば、柴田様は火の玉のようになって攻め寄せてきましょう。説得できるような相手ではありません。雌雄を決する必要があります。迎え撃つならば京周辺よりも、やはり近江。できるならば賤ヶ岳の辺りが望ましい」 柴田勝家。 織田家の筆頭家老にして、最強の男である。 麾下には、前田利家や佐々成政、佐久間盛政ら織田家中名うての猛将がずらりと揃っている。 真っ当にぶつかり合えば、この場に居る者の誰一人として勝ち目はない。 「明智、羽柴、丹羽の各軍が共同して当たれば、いかな柴田殿と雖も対等に戦えよう。勿論、我が細川勢も加わる。大和の筒井順慶からも同意を得ておるしな」 柴田勝家を討てれば、残るは関東の滝川一益のみ。 優秀な男であるが、柴田勝家を討った後であれば大した脅威にはならない。 「上様を討った後の……織田家の家督はどうするのです?」 既に、光秀を除く四人の間で、計画は練りあげられている。 光秀から見ても、この計画ならば容易に成功するように見えた。 「跡目については、信孝殿をと考えております」 ゆっくりと、丹羽長秀が名を挙げる。 「異論はなし」 すぐさま近衛前久が頷く。 「まぁ、信雄殿よりはな」 細川藤孝が苦笑する。 「元より、我らの狙いは信長・信忠の排除。主家を滅ぼし、天下を奪おうという訳ではござらぬ」 黒田官兵衛が薄く笑みを浮かべつつ頷く。 織田信孝は信長の三男。 実際に生まれたのは、次男の信雄よりも早かったが、信雄の母が信忠と同じ生駒吉乃であるのに対し、信孝の母が身分の低い側室であったため、三男とされた。 北伊勢の豪族・神戸氏の養子となったために、神戸信孝を名乗っている。 愚鈍と言われる兄・信雄に比べて聡明で知られ、家臣からの人望も篤かった。 「どうかな?」 こちらの顔色を窺うように、前久が光秀を見据える。 (帰蝶殿から信長の寵愛を奪った吉乃の子より、幾分よかろう?) その目が、そう語っているように思えた。 (帰蝶殿の恨みを晴らすは今ぞ………) 他の面々には見えぬように扇子で口元を隠しつつ、前久の唇がそう言葉を紡ぐ。 ―――私は帰蝶❤信長の寵愛を得られなかった哀れな女❤私の愛する光秀様❤どうか、私の恨みを晴らしてください……❤ 脳裏に帰蝶の言葉が蘇り、ごくりと喉が鳴る。 着物の下で、肉棒の先端から我慢汁が滲みだす。 「異論は………ございません」 「では」 前久がニッと鉄漿を塗った歯を剥き出しにして笑う。 「各々方、日本の為、全力を尽くしていただきたい」 *** 謀議を図った日から20日余りが経過した6月13日。 明智光秀は、僅かばかりの供を連れ、道も分からぬ藪の中を進んでいた。 結論から言えば、何もかもがうまくいかなかった。 これも日本の安寧の為。 天道に悖る織田信長を討つ義挙、そして何よりも愛する帰蝶の為と信じ、「敵は本能寺にあり!」と兵を京に向けた。 6月2日に計画通り本能寺と二条城を襲撃。 森蘭丸ら小姓衆を討ち果たし、本能寺を焼き尽くした。 信長も信忠も死んだはずだ。 しかし、信長や信忠の亡骸を確認する事が出来なかった。 そのせいで、全てが狂いだした。 まず、変の直後から信長・信忠父子が生存しているという噂が畿内に広まり、諸将の間に動揺が広がった。 実際に首級を示すことができないのだから、噂を否定する事など不可能だった。 光秀は計画通り近江の制圧に乗り出したものの、瀬田城の山岡景隆・景佐兄弟や日野城の蒲生賢秀・賦秀(後の蒲生氏郷)父子らの抵抗によって制圧に時間がかかってしまった。 彼らに抵抗を決断させたのは、信長・信忠生存の噂だ。 それは忠誠心というよりも、もし信長が生きていた場合、光秀に加担したと見做されれば一族根絶やしにされかねないという恐怖心が故だった。 そして、信雄を取り逃がし、さらに安土城が焼失してしまう。 謀議に加わった者たちの動きも、事前の計画とは大きく異なるものになった。 羽柴秀吉軍は計画通り毛利氏と和睦を結んで軍を返した。 羽柴秀吉と合流できれば事態は大きく好転するだろうと考え、その到来を心待ちにしていた。 しかし、羽柴秀吉は姫路城に達した時点で、あろうことか「光秀打倒」を呼びかけ始めた。 まさに、青天の霹靂である。 そこから、急な坂を転げ落ちるように事態は悪化していった。 大坂にいた丹羽長秀は、徳川家康を取り逃がした上、光秀の娘婿である津田信澄(信長の弟・信行の子)を自刃に追い込み、羽柴秀吉軍に合流してしまった。 細川藤孝・忠興父子、筒井順慶に至っては何度催促しても軍を動かそうともしなかった。 最大の誤算は、朝廷が動かなかった事である。 朝廷のお墨付きが得られなかったことで、光秀の立場はただの謀反人に成り下がってしまった。 柴田勝家へ備える事ばかりに傾注したせいで、羽柴秀吉と戦う準備などまるでできていなかった。 信長・信忠父子生存の噂によって彼ら自身も保身に走ったのか。 それとも、これが彼らの元からの計画通りなのか。 それはわからない。 だが、謀られた、騙された、裏切られた、見捨てられたという思いは繰り返し脳裏に浮かんできた。 山崎の地で羽柴秀吉に決戦を挑んだものの、信孝を大将とし、丹羽長秀だけでなく摂津の池田恒興、中川清秀、高山右近らの軍も吸収して倍以上の大軍を擁す、主君の仇討ちという大義に意気軒高な相手を敵に回して勝てるはずもなく、明智軍は敗走を余儀なくされる。 長きに亘って苦楽を共にし、光秀を支えてくれた者たちの多くも命を落としてしまった。 そのような犠牲を払っても、光秀は坂本城を目指して、ただ只管に走っていた。 (なんでこんな事に……なんでこんな事に……なんでこんな事に……) 先ほどからずっと、頭の中では同じ言葉だけが堂々巡りを繰り返している。 その為に、周囲の気配に気づくことができなかった。 脇腹にまるで真っ赤に燃える火箸でも押し当てられたかの如き激痛が走る。 目をやれば、藪から突き出された竹槍が深々と突き刺さっていた。 もんどりうって落馬する。 「落ち武者狩りだ!」 誰かが怒鳴る声が聞こえる。 剣戟の音が響く。 僅かばかりの供が、こんな不甲斐ない主君のために落ち武者狩りと戦っているのだ。 相手の人数も分からない。 切り抜けられそうなのかどうか、それも分からない。 坂本まで、あとどのぐらいなのかも。 身体が燃えるように熱くなり、急速に冷えていく。 身体の中から血が漏れだしていく感覚さえ、徐々に鈍くなっていった。 虚空に向かって手を伸ばす。 口の中にも、血の味が広がっていく。 視界が歪み、黒ずみ、狭まっていく。 「き……帰蝶……様……」 その名を口にした時、脳裏に浮かんだ美しい女性。 それは一体………どちらの帰蝶であったろう………。 *** 「落ち武者狩りに遭うとは……哀れな男だな」 盃を傾け、ゆっくりと酒を胃に流し込む。 近衛前久は、しばし瞑目して黙祷を捧げた後、傍らに控えて銚子を差し出す帰蝶に視線を向けた。 「よくやった」 「はい………」 労いの言葉を掛けられても、帰蝶の表情は冴えない。 「怒っておるのか?」 前久の言葉に、ぴくん、と細い肩が震える。 「すべて………思惑通りなのですか?」 「全てではない」 前久は首を横に振って、空になった盃を差し出す。 帰蝶が銚子を傾けると、 「戦場で死なせてやるつもりだった。かつて武士に憧れた麿からの、せめてもの餞としてな」 帰蝶の手元が乱れ、酒が零れる。 「粗相を………」 帰蝶が零れた酒を拭うために身を屈める。 だが、拭いても拭いても、新たな雫が床を濡らしていった。 前久は手首を濡らした酒を舐め取り、帰蝶のうなじにねっとりとした視線を向ける。 「これから後はどうする?」 「出家し、光秀殿の弔いをしとうございます」 「情でも移ったか」 「肌を重ねたのです。せめて私ぐらい………これから先、何百年も謀反人の大罪を被らねばならぬのですから」 前久の視線に怯んだ様に、帰蝶が僅かに後退る。 それを咎めるでもなく、前久はただ鼻を鳴らした。 「ふん。だが、ただ尼になるのも勿体ない。これから先の天下、秀吉と家康のいずれかに傾こう。秀吉は麿が対処する。下賤に生まれた男故、麿の猶子にでもして、関白にでも任じてやれば喜んで尻尾を振るだろう。そなたは家康に取り入れ」 「もう女の武器は………」 「構わぬ。女に一途な光秀だからこそ、通じる手よ。あの狸相手には通じぬ。ならば男になれ」 「男に……?」 「そうじゃ。男装し、僧となり、光秀の霊も弔ってやればよい。そうじゃな………そなた、本当の名はなんだったかの?」 「アマミでございます」 「アマミ、な。ならば………」 酒を舐め、視線を空に彷徨わせる。 そして、何かを思いついたようににやりと笑みを浮かべる。 「天海じゃな。読みはテンカイ。そなたは今日から僧・天海じゃ」 「天海………承知いたしました」 帰蝶―――改め、天海が諦めたように頷く。 この鵺の如き男の思惑から逃れる事などできないことを、嫌という程思い知っていたから。 天海はこの後、徳川家康の寵臣となり、江戸の町割り、上野寛永寺の創建、日光東照宮の造営などに活躍する。 天海の推薦によって徳川家光の乳母に明智光秀の重臣・斎藤利三の子である春日局が任命され、家光の子の徳川家綱の乳母には、同じく明智光秀の重臣・溝尾茂朝の孫にあたる三沢局が任じられた。 1643年まで生きた天海は、明智光秀の居城であった坂本の地に葬られる事となる。 墓の周りには桔梗が咲き乱れ、季節になると多くの蝶が舞うという。 明治以降、西洋の風習である花言葉が日本に取り入れられた際、明智光秀の家紋たる桔梗にも花言葉が与えられた。 歴史に埋もれ、消え失せたささやかな想いを掬い上げる様に。 ―――永遠の愛、と。 徒兄弟 カーテンの隙間から麗らかな春の日差しが射し込む心地よい土曜の午後。 その平穏は、呆気なく崩れていくこととなる。 ぴんぽーん。 がちゃ。 チャイムを鳴らした意味は何?と思わず突っ込みたくなるような早さで、玄関の扉が遠慮会釈なく開けられる。 わかっていた事とはいえ、現実になると思わず頭を抱えたくなってしまう。 「お邪魔しまーっす」 「しまーす」 声がして。 返事も待たず、家に上がる気配がする。 そのまま階段を軽快なリズムで登ってくる、たんたんたんという足音。 「入るよー」 こちらの返事も待たずに、ノックすらせずに部屋の扉が開けられる。 「よ。お久♪」 「久しぶり、優馬君」 入室してきた一人目が、ニッと笑みを浮かべ、片手だけ挙げて気楽に声をかけてくる。 入室してきた二人目は、少しはにかんだような笑みを浮かべ、丁寧に頭を下げている。 「―――久しぶりっすね、菜々姉、寿々姉」 俺―――久保優馬は読みかけだった雑誌を閉じ、寝っ転がっていたベッドの上に座り直して二人を迎えた。 「うむ。ほら、退いて退いて」 手で虫でも払うような仕草をされ、溜息を吐きたくなる思いを隠しながらベッドから降りる。 腰まである長い髪を茶色く染めた菜々姉が、ベッドにぽふんっと腰を下ろし、きょろきょろと部屋を見回す。 とはいえ、ポスターの1枚とて貼っていない、特に見るべきものもない殺風景な部屋である。 「ふぅ。この部屋も久しぶり。なんか落ち着くわぁ」 「俺の部屋ですけどね」 「ん?何か言った?」 「なんでもないっす」 諦念とともに首を振ると、菜々姉は自分の隣をぽんぽんと叩く。 「ほら、突っ立ってないで寿々も座りなよ」 (だから俺の部屋だってのに……) 傍若無人な来訪者の振る舞いに内心で突っ込みつつ、 「どうぞ、寿々姉。座ってください。俺、お茶淹れてくるんで」 ぎこちない愛想笑いを浮かべて、もう一人の来訪者である寿々姉に座るよう促す。 「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがと、優馬君」 ぺこりと頭を垂れて、ふわりとした微笑を浮かべた後、寿々姉が菜々姉の隣に座る。 よく似た顔立ちが二つ並ぶ。 それもそのはず、二人は双子なのである。 二人とも、アイドルと言われても何の違和感も抱かないであろう整った顔立ちをしている。 髪の長さも同じく腰の辺りまで伸ばしており、違いはその色だけだ。 菜々姉は茶色。寿々姉は黒髪。 二人が部屋にいるだけで、自分の部屋だとは思えないほど華やかに感じてしまう。 それに、二人が傍を通っただけで、ふわりと花のようないい匂いがする。 俺は部屋を出て階下のリビングに移動し、お茶の用意をした。 二人と俺との間柄で言えば、従姉妹である。 俺の母親の姉の子。 年は1個上。 俺が高校2年生なので、二人は現在、高校3年生と言うことになる。 こんな美人の従姉妹が二人もいるだなんて、健全な高校生男子ならば思わず己の幸運を神に感謝するのが正しい反応なのかもしれない。 少なくとも、同級生たちから羨ましがられることは間違いないだろう。 しかし、俺はそんな気持ちに等毛頭なれなかった。 正直言って、俺はこの年上の従姉妹達が昔から苦手だったのだ。 僅か1歳しか違わないにも拘わらず、やたらと年上ぶり、近所に住んでいたこともあって、さながら奴隷のような扱いを受けてきたのだ。 泣かされた数など、それこそ数え切れないだろう。 しかも、親たちの前では礼儀正しく振る舞うのだからやりきれない。 泣かされた上に、事情をよく知らない親に何故か叱られるという理不尽な扱いを受けてきた。 思い出すだけで、暗い気持ちになる。 東京の私立高校―――確か、ヴェイン学園とかいう名前の―――に進学し、姉妹仲良く東京で暮らしていた為に暫くは平和な日々が続いていたのだが、ふらりと帰ってきたのである。 大学生になる前の、ちょっとした羽伸ばしという訳だ。 ちなみに、双子のご両親は父親―――俺にとっては叔父さん―――の仕事の都合で、海外に行っている。 その為、数日間、家に泊まる事になったという訳である。 折悪しく、俺の両親は町内会の旅行だかで、この数日間は家を留守にすることになっている。 つまり―――彼女たちが滞在している間、この家は俺と姉妹だけになるのだ。 東京での暮らしで少しぐらいおしとやかになっていやしまいかと言う希望は、ここまでのやり取りでもはや崩壊している。 寿々姉に関しては昔からふんわりとしており、一見すると優しい雰囲気がするが、だからと言って気を許すのは危険だ。 そもそも、菜々姉の暴走を止めない時点で味方とは言えない。 (はぁ。嫌な予感しかしない………) お盆にお茶とお茶菓子を載せ、憂鬱な気分のまま自室に戻る。 扉を開けた瞬間、嫌な予感は的中した。 「―――何やってんの」 「お。早かったねぇ」 俺の声に、ベッドの下を覗き込んでいた菜々姉が体を起こす。 「ちょっと物色させてもらっていたの」 箪笥を漁っていた寿々姉が悪びれもせずに答える。 「物色て……何を?」 「何をって、決まってるでしょ。優馬も年頃な訳だし。やっぱり、お姉ちゃんとしては気になるじゃない?ねぇ、寿々」 「うん。どんな性癖なのか気になるもの」 「性癖て………」 頭がクラクラしてくる。 「で、どこに隠してるの、エロ本」 「アダルトビデオとか好きな子のリコーダーとか」 「ねぇよ!」 小さな丸机にお盆を置く。 「ないの?好きな子の体操着とか、防災頭巾とか」 「自転車のサドルとか、使用済ナプキンとか」 「あるわけないだろ、そんなもの。どんだけ変態だと思ってんのさ」 「なぁんだ、ないのか」 ぺたんと床に胡坐を掻き、菜々姉ががっかりした様子でお茶を啜る。 「ほら、言ったでしょ、姉さん。今どきの子は、全部スマホで見るのよ」 きちんと正座してお茶を啜りながら、訳知り顔で寿々姉が言う。 「………」 俺はノーコメントである。 (スマホだけは死守しなければ……) 内心でそんなことを決意しつつ、素知らぬ顔でお茶を啜る。 束の間、平穏な空気が流れる。 「そう言えば、彼女できたんだって?」 「ぶふぉっ!!??」 だが、平穏な空気を破り捨てて突然放り込まれた爆弾発言によって口に含んでいたお茶を盛大に吹き出してしまった。 ただの、嵐の前の静けさに過ぎなかったようだ。 「うわっ、汚っ」 「大丈夫?優馬君」 「げほっごほっ……えっ、えぇっ!?」 顔を顰める菜々姉。 心配そうにハンカチを差し出してくれる寿々姉。 俺は混乱する頭と跳ね上がる動悸を抑えながら、二人の顔を交互に見比べる。 「な、なんで知って……」 動揺が収まらない。 何しろ、彼女ができたのは、まだ“2日前”なのだ。 友人も知らない。 ましてや家族になんて話せるわけもない。 誰にも話していないトップシークレット中のトップシークレットである。 「なんでって、おばさんに聞いたからに決まってるじゃない」 「買い物帰りに、公園で告白されている所を見ちゃったって嬉しそうに話してくれたわよ」 だが、二人はのほほんとお茶を啜りながら、まるで天気の話をしているかのようなさりげない顔で経緯を口にする。 「なっ……なっ……」 まさか母親に目撃されているなんて! しかも、よりにもよって、この二人に話すなんて! 「相手は、同じクラスの梅山彩加さん。評判の美少女なんだってね」 「はぁっ!?な、なんでそんな事まで……!!」 衝撃の連鎖で、もはやノックダウン寸前である。 脂汗が止まらない。 「おばさんが、お母さんネットワークで調べたんだって」 「恐るべし、母の情報網」 「いや、2日で個人特定って、CIAかよっ」 「正確には昨日聞いたから、1日で特定されてる。有能さで言ったらCIAよりモサドね」 「悪いことはできないよねぇ」 にやにやと笑みを浮かべる菜々姉と、悟ったような表情でうんうんと頷く寿々姉。 俺の中で、嫌な予感が急激に膨れ上がっていく。 この事実を……こんな格好の“ネタ”を知って、この二人はどうするつもりだ? 「ところでさ」 菜々姉の声のトーンが低くなる。 と、同時に俺の背筋をぞくりと嫌な予感が駆け上っていく。 「な、なに……?」 「従兄弟のクセして彼女持ちとか生意気じゃない?」 「は、はぁ!?」 「どう思う、寿々?」 驚く俺ににやにやとした眼差しを向けた菜々姉が、寿々姉に意見を求める。 寿々姉は上品な仕草でお茶を啜り、 「これはお仕置きが必要だと思う」 とても冷静な声音でそんなことを宣う。 「う、嘘だろ」 「という訳で、優馬。服、脱ぎな」 お茶を飲み干して、湯飲みをことりとテーブルに置き、厳かな口調で菜々姉が命令を口にする。 さぁっと血の気が引いていく音が聞こえる様な気がした。 「ふ、服って、じょ、冗談だろ!」 「え、嫌なの?」 「そ、そりゃそうだろ!」 「へぇ。嫌なんだ?」 顔を真っ赤にして拒絶する俺を、にやにやと眺めながら、菜々姉が首を傾げる。 その様はまさしく、獲物を甚振る肉食獣のそれだ。 「あ、当たり前、だろ………」 まさに蛇に睨まれた蛙。 俺の言葉も、どんどん尻窄みになっていく。 「ふーん。そんな事言っちゃうんだぁ。じゃあ、仕方ないよね。寿々。あれを」 「はい」 菜々姉の言葉に間髪入れず、寿々姉が掲げて見せたのはスマホの画面。 映っているのは、一枚の写真。 「げ、げげっ……」 それを見て、俺は思わず変な声を出してしまう。 写真に写っているのは、俺にとって人生最大の屈辱の瞬間だった。 まだ真新しい中学の制服に身を包んだ俺。 半泣き状態の俺は、上半身を同じ制服を着た女子に押さえつけられ、剥き出しのおちんちんを別の女子に踏まれている。 巧妙な角度で撮影された写真には、女子たちの顔は写っていない。 だが、それは紛れもなく菜々姉と寿々姉である。 忘れたくとも忘れられない、黒歴史だ。 俺を押さえ込んでいるのが菜々姉。 俺のおちんちんを踏んでいるのが寿々姉である。 そして、俺のお腹には点々と白い液体が飛び散っている。 そう―――俺が、二人の従姉妹による電気按摩によって、強制的に“精通”させられた瞬間を収めた1枚だった。 「女子に電気按摩されて精通とか、マジきもーい。この写真、彩加ちゃんにも見せてあげよっか?」 「っっ……あ、彩加の連絡先を知ってるのか!?」 「知らないよ。今は、まだね」 意味深に、ゆっくりとそう口にする菜々姉の言葉に、目の前が真っ暗になっていく感覚。 自分にできた初めての彼女の名前さえも、たった1日で特定されてしまう世の中である。 二人が、その気になれば、彩加の連絡先を突き止めることぐらい造作もない……のかもしれない。 そんなことになったら、俺の人生は軽く終わるだろう。 「―――で、どうする?脱ぐの?脱がないの?」 「……ぎます」 「あん?聞こえないんですけど?」 「ぬ、脱ぎますっ……!」 「別に嫌々脱がれてもねぇ」 「ぬ、脱がさせてください!脱ぎたいんです!お願いします!」 「うわ。変態。どう思う、寿々?」 「露出狂だったんだね、優馬君。ちょっとおも―――残念」 「いや、今、面白いって言いかけ―――」 「何か問題でも?」 「うぐっ、あ、ありません……」 「ふふ。よろしい♪……心配しなくたって、私たち、優馬が本当に嫌がる事はしたことないじゃない?」 (嘘つけっ……!!) 内心で毒づくものの、言葉に出す勇気はない。 「じゃあ、優しいお姉ちゃんたちが見ててあげるから、脱いで良いよ♪しょうがないなぁ」 (く、くそぉっ………) 屈辱のあまり半分涙目になりつつ、服を脱いでいく。 だが、さすがにパンツに手を掛けたところで躊躇してしまう。 だが、寿々姉が無言でスマホをひらひらと振るのを見て、観念せざるを得なかった。 意を決し、一気にずり下ろす。 「へー」 「へー」 露になったおちんちんを見て、二人の声が見事にハモった。 正直、二人に見られるのは初めてではない。 だが、だからと言って恥ずかしさが軽減される訳ではないのだ。 「な、なんだよ……」 「いや、暫く見ないうちに立派になったなーって思って」 「ちゃんと毛も生えてるし、大人のおちんちんになってる」 「う、うるさいっ、ま、前だって毛ぐらい……」 「そうだっけ?」 「ちょろっとだけね」 二人の視線を感じ、羞恥心に顔まで真っ赤にして、できるだけ身を縮こまらせる。 「も、もういいだろ、お仕置きはこれで終わり!」 「何言ってんの。まだまだこれからでしょ。寿々」 「はい」 菜々姉の指示に、寿々姉が頷き、鞄の中から黒い布を取り出す。 嫌な予感がどんどん膨らんでいく。 「この目隠しをして、ベッドに仰向けになりなさい」 「……マジで?」 「マジで」 躊躇したものの、今は菜々姉が満足するまで好きなようにさせるしかない。 目隠しを受け取り、装着する。 「ずれないようにしっかりと結んで」 「あ、ああ」 視界が塞がれるだけで、物凄く怖いし、心細い。 手探りで部屋の中を移動して、ベッドに仰向けになる。 正直、全裸でベッドに仰向けになる事すら嫌だった。 だが、そんなことは言っていられない。 「そのまま、万歳」 指示されるまま、両腕を頭方向に伸ばす。 菜々姉か寿々姉かわからないが、どちらかに手首を掴まれ、頭方向にさらに引っ張られて――― ―――がちゃん。 金属同士が噛み合うような音。 手首に感じるひんやりとした硬い感触。 「こ、これって……」 試しに腕を動かしてみると、 ―――がしゃん、がしゃん。 予想通り、金属がぶつかり合う嫌な音がする。 間違いない。 万歳の体勢で、両腕をベッドの支柱に手錠で拘束されてしまったのだ。 (こんなものまで用意してるなんて……) 目隠しに、手錠まで。 初めから、こうするつもりだったとしか思えない。 「ちょっ、い、いくら何でも洒落にならないって――――!」 「暴れても無~駄。簡単には外れないんだから」 「暴れると、手首擦り剝いちゃうから大人しくして」 「んんっ……!!」 左から菜々姉、右から寿々姉の声が耳のすぐそばでしてこそばゆい。 そして、仄かに感じるぬくもり。 目隠しのせいで何も見えないが、すぐそばに二人の存在を感じる。 両側から俺を挟み込むように添い寝しているようだ。 「ふふ、どう?目が見えないだけで、他の感覚が敏感になるでしょ」 「ふーっ」 「んあぁっ……!」 耳元で囁かれ、耳の穴に息を吹きかけられるだけで、変な声が出てしまう。 「れろぉっ……」 「ちゅぱっ、ちゅるぅっ…」 「んんっ、あぁぁっ!」 首筋を舐められて、体が悶えてしまう。 「ちょ、や、やめて……!」 「やめて、とか女の子みたいじゃん♪」 「でも、結構筋肉もついてて、男の子なんだね」 「んんんっ、く、くすぐったっ、あぁっ……!」 二人の手がさわさわと胸を撫でまわす。 ぞわぞわぁっと肌が粟立つ感触。 「くすぐったいだけ?」 「気持ちよくない?」 「あっ、あぁっ……んふぅっ……」 胸元を大きく撫でまわしていた二人の手が描き出す円の直径が徐々に小さくなっていく。 ゆっくり、ゆっくりとスピードを遅くしながら胸の一点へと近づいていって―――。 焦れったくなってきたところで、左右同時に、先端を弾かれる。 「あひぃんっ!!」 瞬間、俺の口から甲高い声が漏れ、びくんっと体が跳ねてしまう。 「あはは。乳首、ピンッてされるだけでどんだけ感じてんの!」 菜々姉が楽しそうに笑う。 「いーっぱい、気持ちよくしてあげるからね」 寿々姉が優しい声音で言って、乳首をカリカリと素早く爪の先で転がす。 びりびりと電流のような快感が体中を走り回る。 「身体熱くなってるじゃん。冷ましてあげよっか」 「や、やめ―――」 「ふぅ~~~っ♪♪」 「んひぃあぁぁっ……!」 敏感になった耳に思いきり息を吹きかけられて、全身が震え、鳥肌が立つ。 そのまま耳朶を口中に含まれ、しゃぶられる。 ちゅぷちゅぷと厭らしい音が頭の中に響き渡る。 「ちゅぷっ、くちゅっ……」 「じゅるっ、れろっ、ちゅぱぁっ……」 「あっ、んんっ、くひっ、あふぅ……」 左右から責められ、喘ぎ声も身体が悶えてしまうのも自分では抑えられない。 だが、両足に、左右からすべすべの脚が絡みついてきて抑え込まれてしまう。 「すっごく気持ちよさそうじゃん。目隠しのせいで余計に気持ちよくなってるから、たまらんよね♪」 「目、とろ~んって蕩けて。可愛いよ、優馬君」 「あっ、くふぁっ、ふわぁっ……」 「そう言えば、精通はさせたけど、キスはまだだったよね」 「優馬君、ファーストキスはまだ?」 「っ、ま、まだっ……」 「そうだよねー。初めて彼女ができたのが、まだ2日前なんだもんね。うわぁ、なんだか、青春って感じ♪甘酸っぱ」 「ふふ、だったらさ、優馬君の初めて、お姉ちゃんがいただいちゃおっかな♪」 「えっ、ちょっ、やめ……」 抵抗する間もなく、唇に柔らかな感触が押し付けられる。 さらに舌が口の中に入ってきて、舌を絡めとられる。 唾液が流し込まれ、舌先に促されるままに飲み干してしまう。 巧みなキス技によって、悔しいが、思考能力がどんどん鈍っていく。 (そ、そんな、俺のファーストキスが………) いずれは彩加と。 そんな甘酸っぱい期待も抱いていたというのに。 悪魔のような従姉妹に奪われてしまうなんて。 やがて、唇が離れていく。 「ファーストキスもーらい」 「気持ちよかった?この感触、忘れないでね」 「っ………」 「どう、優馬?どっちとキスしたかわかる?」 「え………す、寿々姉?」 「えー、どうかなぁ」 「ふふ、教えないよ」 「ど、どっちなの?な、菜々姉だったの?」 「だから、内緒だってば」 「ひどいよ……」 「じゃあ、優馬はどっちだったら嬉しい?」 「それは………」 思わず口籠る。 いくら経験不足の俺でもわかる。 この質問は地雷だ。 なんと答えても、嫌な未来しか思い浮かばない。 「ふふ、私だよね?」 「えー、私だよね、優馬君?」 (ぶっちゃけ、どっちでも嬉しくない………けど………) 「ど、どっちでも……嬉しい……」 選択肢があるようでない質問とは、まさにこの事だ。 こう答える以外に、この場を切り抜ける方法などあるだろうか。 「なんだ、やっぱ、嬉しいんじゃん♪」 「私も嬉しいよ」 二人の声が明るく弾む。 対照的に、俺の心は沈むばかりだ。 「これから、私たちだけでなく彩加ちゃんともいーっぱいキスするだろうけど、ファーストキスを誰としたかは一生わからないままなんだよ。私かもしれないし、私じゃないかもしれない」 「そ、そんな……」 「これは、三人だけの秘密。大切な思い出にしよ、優馬君」 (手錠嵌められて目隠しされて無理やりキスされて、大切な思い出と言われても………) 「ほら、もっとチューしようぜ」 「舌、出して。一杯キスしたら、ファーストキスの相手がどっちかわかるかもしれないよ?」 促されるまま、おずおずと舌を伸ばす。 その舌に、左右から二人の舌が絡みついてくる。 心は沈んでいるが、正直言って、その感触だけでも、気が遠くなるほどに気持ちいい。 心とは対照的に、体は、舌は、唇は、二人の感触を求めてしまっている。 「ちゅっ、ちゅぱっ、れろっ、ちゅるっ」 「れろっ、ちゅるっ、じゅるっ、えろっ」 二人のキスは口だけに留まらず、口の周りや鼻、瞼、おでこにまで及び、俺の顔中を唾液塗れにしていく。 まるで、自分のものだという刻印を刻み込もうとするかのように。 だが、何度唇を重ねても、ファーストキスの相手がどちらなのか、皆目見当もつかない。 「ふふ、優馬。さっきまで、やめて~とか言ってた割に、全然抵抗しなくなったじゃん」 「本当は嫌じゃないんだもんね?気持ちよくて。もっとして欲しいって思ってる」 「そ、それは………」 「ま。やめてと言われてもやめないけど」 「やめてって言われたら、やめてって言えなくなるまで、い~っぱいキスしてあげる」 「頭の中どろどろになっちゃうくらいね」 「私たちの事、好き好きぃってなっちゃって。彩加ちゃんの事、忘れちゃうかも?」 「で、どう?やめて欲しい?」 「……です」 「ん?聞こえないなぁ」 「やめてほしくない……です」 「あはは。じゃあ、しょうがないから」 「いっぱいキスしてあげるね♪」 二人のキス責めがさらに激しさを増していく。 俺は喘ぎを止める事も出来ず、どちらの舌ともわからない舌に、自ら舌を絡め、唾液を啜り、飲み込んでいく。 頭の中が真っ白になっていき、徐々に時間感覚も失われていき、もう何時間もキスをされ続けているような気分になってくる。 「乳首もコリコリしてる。こっちもキスしてほしいんじゃない?」 「ぺろぺろって舐められたい?それとも、ちゅぅって吸われたい?」 「噛まれたいんじゃないの?優馬、変態だから」 「じゃ、全部やってみよ♪」 会話とともに、二人の気配が胸元に移動する。 先ほどからずっと責められ続けている乳首は、ひりひりと快楽を求めていた。 一瞬の空白の後。 左右同時に、乳首が吸われる。 「はむっ。じゅるるるるっ♪」 「かぷっ。じゅるるるるっ♪」 「あひぃぁぁぁあっっ!!」 俺は思いきり仰け反り、強すぎる快感に耐えようとする。 だが、そんな俺の抵抗など物ともせず、二人はたっぷりと唾液を載せた舌で、ちろちろと舐め、かりっと歯を立て、じゅぷじゅぷと唾液塗れにし、じゅるじゅると吸い上げていく。 時には左右バラバラに、時には同時に、双子ならではの連携技が一瞬たりとも快楽に慣れさせてくれない。 視界にバチバチと火花が散っていく。 乳首を責められるのがこんなに気持ちいいだなんて、知らなかった。 「めっちゃ気持ちよさそうに喘ぐじゃん、優馬」 「い~っぱい、気持ちよくしてあげる♪」 「あっ、あぁぁっ、あひっぃっ、き、気持ちよ、良すぎるっ、これっ、だ、ダメになるぅぅぅっ……!」 「あはは。なっちゃえなっちゃえ♪」 「まだまだ、もっともっと、気持ちよくしてあげるからね」 「ところでさ、優馬。優馬の優馬がとんでもなくじゃじゃ馬状態になってるよ」 「ほんとだ。ばっきばきで、血管浮き出て、ひくひくして、とろとろって涙流してる」 「っ……」 「ちょぉっと耳元で囁かれて」 「舐められて」 「乳首をちょぉっと弄ってしゃぶられて」 「キスされて」 「凄い勃起しちゃったんだぁ」 「先っぽから我慢汁出てるよ。それも、た~くさん♪」 耳元で実況されると、否応なく脳裏に映像が浮かび上がってくる。 二人の美女に両側から添い寝されて。 全裸・目隠し・手錠姿の自分がみっともなく盛っている様が。 その様を思い浮かべるだけで体がさらに熱くなり、感度がより高まってしまう。 「ひくひくしてるぞ、これ」 「んあぁっっ」 カリ首の辺りを、弱めの力で弾かれる。 「でこぴんしただけで、我慢汁が飛び散った」 「血管も太いね」 「あふぁあっっ……」 敏感な裏筋を指一本で撫で上げられて、思わず腰が浮き上がってしまう。 目隠しのせいなのか、キス責めのせいなのか、或いは乳首をしゃぶられているせいなのか、全身の感覚がいつもよりも遥かに鋭敏になってしまっているのだ。 「ぎゅって握ってほしい?」 「しこしこって扱いてほしい?」 強い刺激を与えれば、簡単に暴発してしまう事だろう。 そのことがわかっているのであろう二人は、決して強い刺激を与えようとはせず、もどかしくなるような緩やかな刺激しか与えてくれない。 だが、そんな弱い刺激でさえ、びくびくと体が震えてしまう程気持ちいい。 「情けない顔してるな、優馬」 「とっても可愛いよ、優馬君」 柔らかくて、すべすべの感触が左右からおちんちんを撫で上げていく。 「あ、ほら、太ももに我慢汁付いたぞ。糸引いて、厭らしい♪」 「湧き水みたいにどんどん溢れてくるよ。ネバネバしてて、とてもエッチな匂い♪」 二人の気配がまた耳元に近づいてきて、ちゅぷ、と言う水音が左右からする。 そして―――乳首にぬめった感触が擦り付けられる。 「あぁぁっ……!」 ただ撫でられるよりも数段上の快感が、背筋を駆け上っていく。 先ほどの水音は、自分の指を咥えて唾液塗れにするための音だったのだ。 勃起したおちんちんを太ももで撫でられながら、しゃぶられてさらに感度が高まった乳首を責められて、敢え無く喘がされる。 性の経験などほとんどない高校生が、このような責めに耐えられるはずもない。 あっという間に、精嚢の中に溢れる精液が放出の瞬間を求めて煮え滾る。 「あっ、あっ、も、もうっ………!!」 こみ上げてくる射精欲を抑える事も出来ず、俺は腰を浮かせ、その時に備える。 だが―――。 「ざーんねん。まだイかせてあげなーい♪」 「我慢、我慢♪」 従姉妹たちは俺への責めを中断してしまう。 あと数秒責め続けられていれば、間違いなく人生最高の射精の瞬間を迎えていただろう。 射精に及ばず、ぐるぐると渦を巻く焦燥感に悶え、荒い息を吐く俺の乳首を弄りながら、 「もう少しでイけたのにねー」 「惜しかったねー、優馬君」 二人の悪魔が囁く。 きっと、とても楽しそうな笑みを浮かべているに違いない。 目隠しで視界を閉ざされていても、その笑顔ははっきりと脳内で像を結んでいた。 「でもさ、まだ握ってすらいないのにいくら何でも早すぎっしょ」 「まだまだもっと、気持ちよくなれるんだよ?」 早すぎ、という菜々姉の言葉がぐさりと心を抉っていく。 「あんま早すぎると、彩加ちゃんにも嫌われちゃうぞ~」 「我慢する練習、する?お姉ちゃんたち、協力するよ?」 話の雲行きがおかしくなってきた。 最初はお仕置きと言う話だったのに。 「ほら、何をどうして欲しいか言ってみな」 「お願いしてくれたら、お姉ちゃんたちが叶えてあげる」 耳元で甘く囁かれる。 どくんどくんと高鳴る鼓動が脳内にまで鳴り響く。 脳裏に恋人の姿が思い浮かぶ。 僅か2日前に、告白してくれた少女。 前から好きでした、と顔を真っ赤にしながら勇気を出して告白してくれたのだ。 (彩加………) クラスでも評判の美少女。 どうして自分なんかを好きになってくれたのかと疑問に思う程、分不相応な相手だった。 だから、大切にしようと思った。 大切にしなければ、と。 彼女にとって相応しい男にならなければ、と。 けど、これはなんだか、違う気がする。 「おっ。結構、我慢してるね。じゃあ―――これで、どうだ」 「んぁぁっ……」 菜々姉の声と同時に、おちんちんがむっちりとした肉の感触に包み込まれ、これまでよりもさらに強烈な快楽が閃光となって全身を貫く。 一瞬、何が起こったのかわからなかった。 だが、菜々姉の体勢を考えれば、できる事は限られる。 「どう?膝裏に挟まれた感触は。太ももとふくらはぎに挟まれるの、結構気持ちいいっしょ。このまま―――むぎゅぅぅって締め付けたり♪」 「あぁっ、ふぁぁぁっ……!」 「むぎゅっ、むぎゅってマッサージするみたいに揉んでも気持ちいいっしょ」 「おっ、こ、これっ、やばいっ……あぁぁっ……」 「さらに、上下に動かすと、あはは、にゅぽにゅぽって凄いエロイ音がする♪」 「ふぁぁっ、き、気持ち良すぎてっっ……おぁぁっ……」 荒い口調とは裏腹に、菜々姉は締め付けすぎて痛くなる寸前、最高に気持ちいい感触になるように力加減を調整している。 自分でするオナニーとは比べるべくもない快楽。 あっという間に射精欲がぶり返すが、菜々姉はその予兆を察すると力を抜いて、決定的な刺激をくれない。 これまでの人生で味わったことのない感触に、頭の中がぐずぐずに溶けていくかのようだった。 「優馬君、凄い涎出てるよ。気持ちいいんだね」 力が抜けた口の端から流れ落ちる唾液を、寿々姉が舐めとっていく。 「ほら、もう一度。何をどうして欲しいか言ってみな」 執拗に俺自身の言葉で懇願させようとするのは、二人の常套手段だ。 後で文句を言おうにも、彼女たちは「優馬がしてほしいって言うからやったのよ」と言い放つのだ。 ―――私たち、優馬が本当に嫌がる事はしたことないじゃない? 彼女たちはいつもそう言う。 だが、俺が望んだ訳ではない。 そう、言わされているだけなのだ。 本当なら、こんなことお願いするのは嫌だ。 だけど―――。 脳裏に彩加の笑顔が思い浮かぶ。 彼女に嫌われるのは―――もっと嫌だ。 「―――えて欲しい……」 「え、何?聞こえないよ」 「もう一度、もう少し大きな声で言ってみて、優馬君」 「俺を………鍛えて欲しい………」 俺の言葉を聞いて、二人がどんな表情をしたのかは、予想はつくものの、あまり考えたくはなかった。 「いいよ。だけど」 「ここですると汚れちゃうから、場所を変えましょう?」 するり、と目隠しが外される。 久々に浴びる光の眩しさに目を細める俺を見下ろす二人は―――玩具を前にした子供のような、輝くような笑顔を浮かべていた。 *** 場所を変えた先は、浴室だった。 脱衣所で躊躇いもなく服を脱いでいく二人の従姉妹の、記憶の中にあるものよりも遥かに女性らしさを増した肢体に居た堪れなくなって、先に浴室に入って風呂椅子に腰を下ろす。 だが、当然、そんなのは逃亡にもなっていない。 数十秒後には、生まれたままの格好になった二人も浴室に入ってくることは分かり切っていたのだから。 「なーに、恥ずかしがってんの」 「今更だよ、優馬君」 「そ、それは……そうだけど……」 遠慮がちに二人の肢体に目をやれば、二人とも着やせするタイプだったのか、服の上からではわからなかった膨らみの豊かさに視線を奪われる。 その瑞々しく眩しい柔らかそうなおっぱいに、ぴくんとおちんちんが反応してしまう。 そんな初心で正直な反応を示す俺に、二人は満足そうに笑みを浮かべる。 「身体洗ってあげる♪」 「綺麗にしましょ」 二人がシャワーを浴び、ボディーソープを手に取り、当たり前のように自身の体に塗りたくっていく。 たちまち、その肢体が泡だらけになる。 すべてが見えているよりも、泡によって一部が隠されている方が余計に厭らしい。 白い肌を、白い泡が流れ落ちていく様を見ているだけで、おちんちんがひくひくと震え、思わず、ごくん、と生唾を飲み込んでしまった。 「じゃ、いっくよー」 「えいっ」 菜々姉が前から、寿々姉が後ろから抱き着いてくる。 押し付けられ、潰れる、ふにゅんっと柔らかな感触。 (き、気持ちいいっ………) 得も言われぬ極上の感触に、思わず天井を仰いでしまった。 菜々姉の手が背中や腰を、寿々姉の手が胸やお腹を這い回り、あっという間に俺の体を泡まみれにしていく。 先ほどから焦らされっ放しのおちんちんにはどんどん血流が流れ込み、反り返るほど勃起し、ぴくぴくと跳ねる度にお腹に当たっていた。 敏感な乳首の周りを、寿々姉の泡まみれでぬるぬるの手が円を描くように撫でまわすだけで、全身がびくびくと震えてしまう。 菜々姉の手が、背骨をなぞるように背中を上下するのも、お尻を厭らしく揉まれるのも気持ちいい。 足の指の間まで丁寧にヌルヌルと洗われて、夢見心地になってしまう。 人に洗ってもらうのが、こんなに気持ちいいだなんて。 顎に力が入らず、涎が零れ落ちてしまう。 菜々姉に手を握られる。 普通の握り方ではなく、指と指とを絡ませ合う、所謂恋人握りで。 目の前に、菜々姉の綺麗な顔。 「ね。チューしたい?」 尋ねられれば、ぷっくりと魅力的な唇を意識しない訳にはいかない。 夢見心地のまま、こっくりと頷く。 「舌、出して」 言われるまま舌を伸ばす。 たっぷりと唾液に塗れた菜々姉の赤い舌が伸びてきて、空中で淫らに絡み合う。 うねうねとそれ自体が生き物であるかのように蠢く舌による愛撫を受けるだけで、おちんちんがびくんびくんっと跳ねてしまう。 目隠しをされている状態のキスも気持ちよかったが、相手の顔を見ながらするキスも格別だった。 (チュー、気持ちいい………) 「ねぇ、優馬君。私ともしましょ?」 背後から耳元で、寿々姉が囁く。 顎を優しく抑えられ、左横を向かされる。 菜々姉の舌から離れて一瞬だけ口寂しさを覚えたが、すぐさま寿々姉の唇に塞がれる。 口内奥深くにまで入ってくる長い舌が頬粘膜や歯茎まで愛撫していく。 右耳に、菜々姉が吸い付き、じゅるじゅると音を立てながらしゃぶられる。 (気持ち良すぎて……もう、何が何だか……) どんどん頭の中がダメになっていくような感覚。 それが気持ちいい。 暫く寿々姉とキスを楽しんだ後は、再び菜々姉と唇を重ね、互いの唾液を貪り合う。 その間、左の耳が寿々姉の温かい口の中で弄ばれる。 そんなやり取りが数回繰り返される間、寿々姉の手にずっと弄られていた乳首はすっかり性感帯として開発されてしまっていた。 少し撫でられるだけで、びりびりと痺れる様な快感を感じてしまう。 「もう、こっちもパンパン♪」 俺の股間に手を伸ばし、限界まで勃起しているおちんちんを軽く握り、菜々姉が嬉しそうな笑みを浮かべる。 「も、もう………」 精嚢の中は精液で充満し、頭の中は射精する事だけで一杯一杯だった。 「いいよ。今度はおちんちんを気持ちよくしてあげる♪」 菜々姉が、俺の足の間に跪く。 その眼前で、快楽を待ち望んでひくひくと震えるおちんちん。 先端からは、涙の如き我慢汁が止め処なく溢れ続けている。 菜々姉が至近距離で観察しながら、おちんちんを握った手をしこしことリズミカルに動かす。 無論、他人にそれを握られること自体初めての経験である。 「どう、女の子の手で握られる感じは?」 「や、柔らかくて……はふぁっ……温かくて……気持ちいいっ……」 「イきたくなっても、できるだけ我慢するんだよ」 感じている俺の顔を上目遣いで見つめ、捻りを加えながら徐々に扱き上げるリズムを速めていく。 「泡と我慢汁が混じり合って、エッチだね。じゅるっ。もうパンパンで、すぐにでも爆発してしまいそう」 耳朶に舌を這わせ、変わらずに乳首を弄りながら、寿々姉がおちんちんの様子を実況する。 扱かれているおちんちんは勿論、しゃぶられている耳も、弄られている乳首も、背中に当たる寿々姉の柔らかなおっぱいの感触も、すべてが気持ちいい。 ここまで焦らされ続けてきたおちんちんが、こんな快楽に耐えられようはずもなかった。 瞬く間に射精感がこみ上げてくる。 「あぁっっ、出るっ、出ちゃうっ……!!」 「まだダメだよ、優馬。もっと我慢しな」 「頑張って、優馬君」 我慢しろと言いながら、菜々姉は螺旋を描くようにおちんちんを扱き上げ、どんどん射精に追い込んでいく。 お尻に力を入れて、何とか耐えようとするが、無理だった。 精嚢から込み上げてくる精液が、我慢の堰を遭えなく決壊させる。 「もっ、もうっ、だ、だめっぇぇぇっ」 「しょうがないなぁ。いいよ。出しな」 「どびゅどびゅって、出しちゃえ、優馬君」 菜々姉と寿々姉。 二人の許可を受けて、俺は爆ぜた。 どくんっ、どびゅっ、びゅるるるるっ、どびゅどびゅっ、どびゅるるるっ………!! 大量に放たれた精液が、菜々姉の綺麗な顔も、茶色い髪も、滑らかな肌も白く染め、汚していく。 これまでの人生で、経験した事のない、頭の中が焼き切れるような快楽。 菜々姉はびくびくと震えるおちんちんをゆっくりと扱き上げ、最後の一滴まで丁寧に搾り取ってくれた。 射精の余韻に浸り、力が抜けてぐったりとする身体を、後ろから寿々姉が優しく支えてくれる。 「うっわ。めっちゃ出たじゃん」 「凄いよ、優馬君」 二人の驚嘆の言葉が、男としての満足感をさらに高めてくれる。 「でもま、やっぱり早すぎだけど」 「っ………」 しかし、続けて浴びせられた言葉は、男としてはショックなものだった。 「気にしなくても大丈夫。大丈夫だよ、優馬君。初めてだったんだし」 寿々姉に頭を撫でられる。 その優しさが、余計に惨めさを痛感させる。 「そうそう。それに、持続力はあるようだし。悪くないよ、うん、悪くない」 菜々姉の視線の先で、おちんちんは未だ硬さを失ってはいなかった。 「じゃあ、今度は私」 そう言って菜々姉と寿々姉が位置を入れ替える。 「座ってんのしんどいだろうから、横になりな」 そう促され、正座する菜々姉の太ももの上に頭を載せて仰向けになる。 「シャワー掛けるよ」 全身にシャワーが掛けられ、泡と精液が洗い流される。 「―――じゃ、いただきます♪」 寿々姉が、軽く手を合わせた後、俺の股間に顔を埋める。 おちんちんが、温かく、ぬめりのある感触に包まれていく。 (く、咥えられてる………!) 無論、その行為がフェラであることは知っている。 だが、AVで見るのと実際にされるのでは全く異なるという事を、まざまざと思い知らされた。 「あっ、あぁぁっ………」 温かな口内で、おちんちんがずぶずぶと蕩けていくような心地よさ。 寿々姉が頭を上下に振る度、舌や唇、頬粘膜が絡みつき、真綿で締め付けるように優しく扱かれる。 時折当たる歯の感触もアクセントとなって、さながら雲の上にいるかのような、ふわふわとした極上の悦楽に包まれる。 (もう、戻れない………) 若干の恐怖とともに、訳もなく理解してしまう。 この快楽を知ってしまったら、もう知らなかった頃の自分には戻れないという事を。 「気持ちいいだろ」 なぜか自分の事のように得意げな笑みを浮かべつつ、菜々姉が俺の、情けなくも蕩け切っているであろう顔を見下ろす。 悔しいという思いもどこかにあったが、俺は素直にこくりと頷いてしまう。 抵抗しようという思いさえも消え去るほど、寿々姉の口の中は気持ちよかった。 「へへ」 菜々姉はそんな俺の様子を見て笑みを零す。 「でも、まだまだこれからだよ」 そう言って菜々姉は俺の胸元に両手を伸ばし、寿々姉によって開発された乳首を摘まむ。 寿々姉よりも遥かに強く、本来ならば痛みに顔を顰める様な強さで。 しかし―――。 「んふあぁぁぁっ………」 俺の全身を貫いたのは、純然たる快楽だった。 すっかり性感帯と化した乳首は、痛みすらも快楽に変換するようになってしまっていたのだ。 背中を逸らし、目を剥き、涎を零しながら喘ぐ。 おちんちんはさらに硬度を増し、睾丸はキュウッと押し上り、精嚢では精子の増産に拍車がかかる。 頭の中で、閃光が何度も瞬く。 感じている俺の顔を上目遣いに見つめつつ、寿々姉が限界まで深く、おちんちんを飲み込む。 その目が、「イっていいよ」と促してくれているような気がした。 「ふわぁぁぁぁぁぁっ………!!」 そんな喘ぎとも悲鳴ともつかぬ声を上げながら、どくんっと腰が大きく跳ね上がる。 それによって喉奥を突いてしまい、その刺激がトドメとなった。 どびゅぅっ、びゅるるるるっ、びゅくびゅくびゅくっ、どびゅるるるるっ………!! 一度目の射精にも劣らない量の精液が寿々姉の喉奥に叩きつけられる。 寿々姉は目尻に涙を浮かべ、何度もえずきそうになりながら、ヨーグルトのような粘り気の強い精液を飲み込んでいく。 最後に尿道に残った精液も吸い出し、ちゅぽんっという音とともに口内から解放されたおちんちんが久々の空気に触れる。 「また大量に出して。量は凄いね。さっきよりさらに早かった気もするけど」 「ふふ、気持ちよかった?優馬君」 「はぁ、はぁ、はい……すごく」 「そう。ありがと」 寿々姉が嬉しそうに微笑む。 と、視界が突然闇に覆われる。 「ふえっ」 それは先ほども体験した感触だった。 目隠しである。 「な、なんで……」 「次は童貞を貰う」 耳元で菜々姉が宣言する。 「キスの時と同じ。どっちとシたのかは、内緒♪」 楽し気な寿々姉の声。 「そ、そんな……!」 「おっと。自分で、目隠し外すのはナシだよ。外したら………」 目隠しに伸ばしかけていた手をおずおずと下ろす。 「ふふ、いい子いい子」 頭を撫でられる。 声は寿々姉だが、撫でているのも寿々姉かどうかはわからない。 浴室の床に仰向けになる。 先ほどまであった菜々姉の柔らかな太ももの感触もなく、硬い床の感触によって心細ささえ感じてしまう。 少しでもヒントを得られないかと視覚以外の感覚を研ぎ澄ます。 かぷっ。じゅるるるるっ♪ 「あああああっ………!!」 前触れもなく耳が咥えられ、激しく吸い上げられた。 頭の中に啜られる音が木霊し、訳が分からなくなる。 さらに固くしこった乳首もカリカリと素早く弄り回されて、全身がびくびくと震えてしまう。 とてもヒントを探るどころではない。 二度の射精にも拘わらず、硬さを失わずに屹立し続けているおちんちんを握られ、位置を調整するように動かされる。 やがて、先端が柔らかく、湿った感触に触れる。 と、思った次の瞬間には何の躊躇もなく、ずぶずぶと飲み込まれていった。 「おっ、あああっ、な、なにこれっ……すごっ、こ、これっ、あぁぁあっ……!!」 未知の感触に圧倒される。 四方八方からぬるぬるの襞が無数に絡みついてきて、ぐちゅぐちゅと締め付けられ、奥へ奥へと引きずり込まれていく。 脳裏に、蛇に丸飲みにされるイメージが思い浮かんだ。 「童貞卒業おめでとう♪」 「気持ちいいっしょ?もっと気持ちよくなりたいよね?だったら我慢して。我慢して我慢して、限界まで我慢して。それからイくのが一番気持ちいいんだからさ」 一度、根元まで飲み込まれたおちんちんがゆっくりと引き抜かれていく。 襞は抜かさせまいとするかのように絡みついてくる。 先端まで引き抜かれたところで、再びずぶずぶと飲み込まれていく。 まるで、蟻地獄に引きずり込まれていくような。 その動きが徐々に速さを増していく。 単調な上下運動だけでなく、捻りを加えたり、石臼で粉を引くように回転したり、ぎゅっと締め付ける強さを増したり。 多彩な技術に、俺はただただ翻弄されるだけ。 括れた腰に手を置き、自らの意思とは関係なく、体が更なる悦楽を求めて自然と突き上げる。 その動きが、さらに快楽のバリュエーションを多彩なものにしていく。 パンッパンッパンッと肉と肉がぶつかり合う音と、二人の喘ぎ声が浴室内に反響し、共鳴し合うかのように徐々に大きく、早くなっていく。 その喘ぎ声がどちらのものか判別しようとするものの、激しく耳をしゃぶられているせいもあって判然としない。 どちらかを識別しようという思考さえも、暫くすると朧に霞んで、消えて行ってしまった。 あとに残されたのは、単純な欲求のみ。 とにかく腰を突き上げる。 女の最奥に、己の分身を突き立てる。 快楽を貪り、その頂を目指す。 全身から汗が噴き出る。 理性などかなぐり捨てて。 ただただ、本能の赴くままに、獣の如き唸り声を上げながら、ただ只管に貪り食らう。 理性の皮を被った人間とて、薄皮一枚取り払ってしまえば、ただの獣に過ぎないのだと思い知らされる。 頭の中で無数の閃光が炸裂する。 或いは、脳細胞が破裂でもしているのではないだろうか。 閃光が一つ炸裂する度に、どろりと何かが溶け出していく。 とても甘美な感覚。 自分という存在が作り変えられていくような。 (これが、大人になるって事………?) 今にも消えそうになっている“子供”の自分が、半泣きで問いかけてくる。 その問いに答えようとして、手を伸ばそうとして。 伸ばした手が握られる。 指と指を絡め合う、恋人握り。 安心感が膨らんでいく。 幸福感に満たされていく。 唇を重ねられる。 大量の唾液とともに、舌が入り込んでくる。 縋るような思いで、舌に己の舌を絡めていく。 乳首に爪が立てられ、摘ままれ、思いきり引っ張られる。 鋭い痛みさえ、快感になって、腰の奥にガンガンと響く。 頭の中で白い閃光が次々に炸裂し、すべてが白く塗り潰される。 絶頂した女の叫びが、世界を圧する。 ぎゅんっ、とこれまでにない力で締め付けられ。 “子供”の自分に、なんと答えようとしたのかも忘れたまま、俺は絶頂の頂に駆け上った。 どびゅっ、びゅるるるっ、びゅくびゅくびゅくっ、どびゅぅぅぅっ……!! 体中、すべての水分が精液となって噴き出しているのではないかと思うほどの快楽。 身体に力を入れ過ぎて、全身の骨が砕けてしまったかのような脱力感。 その心地よさと睡魔に身を任せて、俺は意識を手放した。 *** 『もしもし、優馬?お母さんだけど』 「あ、あぁ、うん、か、母さんっ、な、なにっ……んぁぁっ……ふ、ふぁっ……」 『どうしたの、優馬?風邪でも引いた?』 「ふぁぁっ、ご、ごんごん、するぅっ……」 『ごんごん?箪笥の奴?』 「な、なんでも、んんっ、なんでもない、からぁっ……あぁぁあっ……」 『そう?……菜々ちゃんと寿々ちゃんとはうまくやってる?』 「う、うんっ……と、とても、よっ、ふぁぁっ、よくっ、し、してもらって、あぁぁっ……も、もうっ……」 『そう。お母さん、また余計な事言っちゃったかもと思って。ほら、彼女の事。大丈夫だった?』 「あひぃっ……っっ、んああぁっ……だ、大丈夫ぅっ……」 『そう、よかった。明日には帰るから。お土産楽しみにしててね。あと、彩加ちゃんの事もいろいろ聞かせてね、ふふ♪』 「わ、わかったぁぁぁっ、わかったからぁぁっ……あふぁっ、んあぁぁっ……」 「電話切れたよ、優馬君」 「あぁぁっ、いぐっ、いぎまずぅぅぅぅっ!!!」 びくびくと震えながら、精液を吐き出す。 正常位で繋がった相手の胸の谷間に顔を埋め、谷間の底を涎で汚しながら。 その相手は、俺の耳元に当てていたスマホを傍らに放り捨て、優しく頭を撫でてくれる。 だが、そのまま絶頂の余韻に身を任せて脱力することは許されなかった。 「ほらほら、もっと突いてあげるよ!」 「あぎひぃぃぃっ………!!」 俺の背中に覆い被さったもう一人が、腰をめちゃくちゃに動かす。 俺の尻穴を貫く極太のペニバンに付いた無数のイボイボが柔らかな腸壁をゴリゴリとえぐっていく。 全身を貫く快楽によって背骨が折れるのではないかと思う程仰け反ってしまう。 その刺激で、射精したばかりのおちんちんは瞬く間に硬さを取り戻し、絡みつく膣壁によって締め付けられ、作られたばかりの新鮮な精液が子宮口の奥へと搾り取られていく。 少しでも気を紛らわせようと乳房を口に含み、乳首に舌を這わすが気休めにしかならない。 逆に、俺がおっぱいを舐める度、お返しとばかりに乳首を強くひねられ、時に爪を立てられ、引っかかれる刺激の方が強く、頭の中をどろどろに溶かしていく。 上下サンドイッチ状態で責められ、快楽の逃げ場もない。 さらに、両手は後ろ手に手錠を掛けられ、目は目隠しに覆われ、今、自分が貫いているのがどちらで、自分を貫いているのがどちらなのかもわからない。 喋り方で分かりそうなものだと思うかもしれないが、双子を舐めてはいけない。 確かに、普段、菜々姉は男っぽい喋り方をしており、寿々姉はおしとやかでおっとりした話し方をしている。 しかし、その気になれば、二人は互いに喋り方を変えられるのだ。 互いに位置を変えたり、位置を変えた振りだけして喋り方を変えたり。 もうどちらがどちらなのか、全くわからない。 土曜日こそ、ベッドを汚してしまうからと言って浴室で事に及んだが、日曜日からは所を選ばなくなった。 「まぁ、掃除すればいいもんね」 と言うのが菜々姉の出した結論である。 勿論、掃除するのは俺なのだが。 その為、部屋でもリビングでも風呂場でもトイレでもベランダでも。 常にどちらかに責められ続け、もはや何度射精したかも覚えていない。 ありとあらゆる性感帯を開発され、かなりアブノーマルな方向への成長を余儀なくされている。 もう、初心だった頃の自分には戻れそうにもなかった。 月曜日以降、学校に行っている間だけは解放された。 このままいっそのこと、家に帰らないという事も考えた。 友人の家に泊まらせてもらってもいい。 或いは、カラオケでも満喫でも、時間を潰す手段など幾らでもある。 だが。 「学校が終わってから30分以内に帰ってこなかったら………わかってるよね?」 笑顔でスマホを掲げられれば、その選択肢は採りようがなかった。 しかも、そのスマホの中に収められている写真は、あの精通写真だけではない。 この数日間で、俺が晒した膨大な痴態が収められているのだ。 パシャッとシャッター音が響く。 今もまた、穴と言う穴から液体を垂れ流しながら情けなくよがり狂っている姿が1枚、スマホの中に刻まれた。 その音を聞く度、腰の奥がずんっと甘く痺れ、頭の中でどろりと何かが溶け、びゅっと精液が噴き出す。 例え脅されていなかったとしても、俺は学校が終わればダッシュで帰ってきただろう。 授業を受けていても、全身の疼きが止まらないのだ。 胸や背中に刻まれたひっかき傷が疼き、おちんちんは勃起し、だらだらと我慢汁を垂れ流す。 我慢しきれずに休み時間の度にトイレに駆け込み、扱きまくった。 だが、射精できない。 もう、自分では無理だった。 もう自分は、昔の自分ではないのだと、その度に痛感させられる。 彩加はそんな俺を心配して、あれこれと声を掛けてくれた。 休み時間の度にトイレに駆け込むのを腹具合が悪いと思ったのか、胃薬をくれたりもした。 本当に、優しくて、いい子だった。 自分には勿体ないような、素晴らしい彼女だと何度も思った。 自分も、何かしらの答えを返していたはずだ。 だが、何を喋ったのか、全く覚えていない。 頭の中の大半を占めるのは、どろどろとした欲情だった。 そして、今日は金曜日。 「週末、どっか遊びに行かない?」 そんなことを言われたような気がする。 だが、一刻も早く帰りたかった俺は、「ごめん」とだけ謝って学校を飛び出してきた。 そのまま、一目散に帰ってきたのだ。 玄関を開け、階段を駆け上り、自室へ。 扉を開けて。 ただいま、と声をかけて。 おかえり、と言われて。 服を脱いで、目隠しをして、手錠をしてもらって。 それから、どれほどの時間が経ったのだろう。 どれほどの射精を繰り返したのだろう。 すべての感覚が溶けて、崩れて、搾り尽されて。 ただただ、気持ちいいという感覚に満たされる。 気持ちよくなることだけを考えていればいい時間は、幸福そのものだった。 だが、そんな生活も間もなく終わる。 明日には両親が帰ってくるし。 明後日には、双子も帰るはずだ。 それを考えると、安堵感とともに恐怖感が込み上げてくる。 この二人がいなくなる。 この快楽が、もう得られなくなる。 そんな生活に、耐えられるだろうか。 元の自分に戻れるかどうか、自信がなかった。 「気持ちいい、優馬君?」 「ぎもぢいいですぅぅぅっ………」 「でも、もうすぐこんなこともできなくなっちゃうねぇ」 「っっ……い、いや、嫌ですぅぅぅっ」 「嫌って言われてもねぇ。そうだ。何なら私たちと一緒に住む?」 「はへ……?」 「大学生になると忙しくなるし、家事をやってくれる人がいると助かるなぁ」 「部屋は余ってるから大丈夫」 「高校は転校すればいいし」 「ヴェイン学園なら転校大歓迎だよ。可愛い子も一杯いるし。手続きなら私たちに任せて」 全身を貫く快楽のせいで、二人の言葉がうまく頭に入ってこない。 流れるように繰り出される言葉は、まるで予め用意されていたもののようにも感じられた。 一つだけ確かにわかった事は、彼女たちの言う通りにすれば、この快楽をずっと味わっていられるという事。 「彩加ちゃんとはお別れすることになっちゃうけど」 「どうする?」 おちんちんを締め付けられ、腸壁を抉られ、乳首を摘ままれながら耳元で囁かれる。 「私たち、優馬君が本当に嫌がる事はしたくないから。だから」 「どうして欲しいのか、教えて?」 耳にスマホが押し当てられる。 聞こえてきたのは、すすり泣く女の子の声。 聞き覚えのある声だった。 その声を聞いて、ずきんと胸が痛んだ。 と、同時に、射精した。 危険な脳内麻薬が頭の中に分泌され、全身を襲う快感をさらに強く感じてしまう。 そして、俺はなけなしの思考力を振り絞って、従姉妹達からの問いを思い浮かべる。 その問いに、答えを迷うことはなかった。 大使 中東、某国―――。 大使着任を祝うパーティーがお開きとなって、俺は大使館内にある大使の私室に戻った。 俺の名は瀬崎竜。日本の大使として、今日、中東のこの国に赴任してきたばかりだ。 上着を脱ぎ、ネクタイを外してベッドに横になる。 「はぁ。まったく、なんでこんな辺境に………」 酒臭い息とともに、思わず愚痴が零れ落ちる。 最初はイギリスの一等書記になるはずだったのが、先任の大使が倒れたために大使ポストが一つ空き、俺の所に打診が来た。 一等書記よりも位では上だからと承知したが、失敗だったかもしれない。 中東と言えば石油と言う印象だが、この国には石油資源がない。 かつてはシルクロードの交易で栄えた歴史を持ちながら、現代の中東でもかなり貧しい国である。 日本からの経済支援で成り立っているような国だ。 経済支援を続けていても、日本にとってメリットにはならない。 それだけに、日本にとってこの国の優先度も低い。 (にしても、なんだあの体たらくは………) 大使館職員たちの顔を思い出して腹が立つ。 着任の挨拶をする自分を見る目に、一切の覇気が感じられなかった。 30代の若造が大使になる事が気に入らないと敵愾心を剥き出しにしているというのならばまだマシだった。 自暴自棄になったような冷めた目つき。 それでいて、口元にはニヤけた笑みを浮かべ、追従の言葉ばかりを吐きやがる。 (胸糞悪い) 仕事への情熱など当に失せ、すべてがどうでもよくなっているという態度だった。 そして、この国の外務省主催で行われた歓迎パーティー。 王族や貴族と言った特権階級の連中は、街角で見た庶民とは比べようもなく豪奢な衣装を身に纏い、宝石をじゃじゃらとぶら下げ、鼻が曲がりそうな香水をつけまくっていた。 だが、そんな事よりも気に食わないのは、彼ら彼女らの目だった。 まるで、何か哀れなものを見る様な目。 (胸糞悪い………) 無論、そんな感情を表に出しはしない。 愛想笑いを浮かべ、ウィットに富んだ会話を楽しむ風を懸命に装った。 だからこそ、疲れた。 肉体的にと言うよりも、精神的に。 身体が泥のように重い。 だが、自分まで腐ってしまうつもりはなかった。 (俺はこんなところで終わらない……) その為にも本国から課された使命を果たさなければならない。 即ち、この国に対する経済援助の削減を、機嫌を損ねないように納得させること。 日本にとって優先度の低い国とは言え、国連で一票を投じる権利を持っている事には変わりない。 安保理常任理事国入りという、いつ果たせるともしれぬ悲願を成就させるためには、どんな小国の一票とて無駄にはできないのだ。 酒が入っているとは言え、怜悧な頭脳で知られた俺の思考は狂わない。 (援助を減らしたとしても、友好関係は維持しなければならん………損な役回りだ……) 難しいミッションだが、これを成し遂げれば将来は安泰だ。 (だが、外務省で聞いた話は本当だろうか………?前任の大使が倒れたのは………) コンコンコンコン。 外務省で先輩から聞いてきた話を思い出そうとしていたところで、部屋の扉が軽やかなリズムで4度、ノックされた。 「…。鍵なら開いていますよ」 答えながら、手は懐へ。 触り慣れない冷たく、武骨な感触を確かめる。 平和な日本で生まれ育つと遂忘れがちだが、それは世界では例外中の例外。 古今東西、世界共通の普遍原理は今でも普遍原理のままなのだ。 即ち、弱肉強食・油断大敵。 用心に越した事はない。 だが、俺は扉を開けて入ってきた人物を見て、思わず口の中でうお、と呟いてしまった。 その相手が、思いがけない相手だったから。 褐色の肌と薄紫色の髪、琥珀色の瞳、妖艶な紫リップに彩られたぷるぷるの唇。 すらりとした四肢と豊かな胸、くびれた腰、長い足。 まるで、砂漠に一輪の花が咲いたかのような華やかさと艶やかさ。 その艶めかしい肢体を包むのは踊り子の衣装。 いや、包むという表現は不適切かもしれない。 僅かばかりの布が、魅惑的な裸体に絡みついていると言った方がしっくりくる。 その女は先ほどのパーティーで、この国伝統の歓迎の舞を踊っていた踊り子の一人だった。 数十人はいたであろう飛び切りの美女たちの中でも、俺が一番美人だと思った女だった。 「貴女は確かパーティーの時に」 ダンスの時の艶っぽい仕草も鮮明に覚えている癖に、わざとうろ覚えのように口にすると女はにこりと微笑んで、優雅な仕草で一礼する。 一つ一つの動作が洗練されていて、気品に溢れ、そして妖艶だ。 「ターニャと申します。瀬崎様」 美しく、思わずぞくりと来るような甘い声だった。 流暢な日本語を操る事にも驚きを禁じ得ない。 「ターニャ。どうしてここへ?女性が男性の部屋を訪れるには非常識な時間かと思うが」 「ふふ、女が殿方の部屋をこのような時間に訪れたのです。その理由を問うのは野暮というものでは?」 「…つまり?」 「王に命じられて、夜伽に参りましたの」 「夜伽!」 この国にはまだそんな風習があるのか。 そう驚くと同時に、俺がどの女を一番気に入ったのかを完璧に見破られていることにも驚いた。 脳裏を、王侯貴族たちの哀れむような眼差しが過る。 完璧に取り繕っていたつもりだったが、権謀術数渦巻く宮殿内で鎬を削る猛者たちの前では児戯にも等しい僅かばかりの抵抗に過ぎなかったのかもしれない。 (油断できないな………) 「そうか。それはご苦労様。でも俺………は………はぁ」 断ろうとした俺は思わず絶句し、嘆息していた。 ターニャがゆっくりと衣装を脱ぎ捨てたのだ。 アクセサリー以外、全裸。 美しい裸体が、俺の眼前に惜しげもなく晒される。 そのまま、妖しい微笑を浮かべながら腰をくねらせ、手をくねらせ、俺の方にゆっくりと近づいてくる。 動く度に、金のアクセサリが揺れ、涼やかな音を立てる。 俺は言葉も失って、近づいてくる麗しい肢体に見蕩れるばかり。 猛烈な勢いで、下半身に血が流れ込んでいく。 (まずい、まずいぞ。ここで女を抱くのは………) 2004年に起こった上海総領事館員の自殺事件が脳裏を過る。 いや、それだけじゃない。世界何処の国でも外交官に美女は危険なのだ。 外交官は多くの機密情報を持っている。 それを閨で聞き出すために、各国は選りすぐりの美女を送り込む。 この女も間違いなくそうだろう。 わざわざ王が送り込んできた事からもそれは分かる。 俺を篭絡し、情報を聞き出すための刺客なのだ。 まさか、赴任当日に送り込んでくるとは思わなかったが。 (そもそも、どうやってここまで………) 今更ながらにそんな疑念が浮かび、愕然とする。 脳裏に、にやけた笑みを浮かべる覇気の感じられない大使館員たちの姿が思い浮かぶ。 この大使館内には、既に協力網が張り巡らされているという事なのだろう。 蜘蛛の巣に掛かった哀れな羽虫。 それが俺だ。 外務省内でも切れ者で通っている俺の頭脳は懸命に警鐘を鳴らしている。 この場を切り抜けなければ、外交官としてのキャリアは終わる。 それがわかっていながら。 「た、ターニャ………」 呼び掛ける声が震える。 視線は妖艶にくねる、くびれた腰の辺りを行ったり来たり。 脳内には先ほどのパーティーで見せられた彼女の濃艶な舞が何度も何度も再生されている。 誘うような微笑。 柔らかな腰の蠢き。 淫らな手の動き。 身体が燃えるように熱い。 鼓動が高鳴り、煩いほどだ。 「安心してください、瀬崎様」 結局、抵抗もできないまま、ターニャの接近を許してしまった。 ターニャは俺の首にふわりと両手を掛け、俺の太腿の上に腰掛ける。 俺の胸に、彼女の胸の先端が当たり、彼女のすべすべでむちむちの太腿が俺の股間を刺激してくる。 日本ではまず嗅ぐことのない汗と香油の混ざった香りが容赦なく本能を直撃してくる。 「私は王の歓迎の印なのですから」 「し、しかし………うぁ……」 俺の耳にふ~っと息を吹きかける。それだけで、ぞくぞくと快美な感覚が背筋を走り抜ける。 「安心して受け取ってください❤❤…んちゅっ❤❤」 彼女が俺の耳にキスをし、そのまま舐めまわしてくる。 「う、うう………」 「それに、我慢はよくないですよ❤❤」 「あ、そこは……あ、ぁぁっ❤」 ズボンにはっきりと張ったテントの形をなぞるように撫でられる。 俺のそこは既に彼女を受け入れる気満々だった。 「ほら、こんなに大きく、硬くなってる……パーティーの時からずっと。そうなんでしょう?」 そう言われるとそんな気がしてくる。 彼女の舞を見てからずっと、興奮していたのかもしれない。 酒を飲んでいるせいか、体が非常に火照る。 これまでに経験した事のないような情欲を感じる。 ターニャを抱きたくて抱きたくて溜まらなくなる。 それほど、彼女が魅力的だという事なのか。 (それとも、まさか、媚薬でも飲まされた………?) ありえそうな話だ。だが、体が全く言う事を気かない。 懸命に、この窮地から脱する手段を考える。 「瀬崎様。何も考えないで。私に身を任せてください❤❤」 ターニャが優しく囁きながら、その豊満な胸の狭間に俺の頭を導く。 「あぁ……」 抵抗することもできずに、柔らかな胸に包まれてしまう。 幸福感が心を満たしていくままに、身を任せたくなる。 思考が、雲散霧消していく。 余りにも魅惑的な感触に、危機感が鈍っていく。 少し汗ばんでいるのか、より濃厚な芳しい香が肺を満たしていくのが心地よい。 ターニャは俺の頭を優しく撫でる。 (ああ……良い匂い……癒される……だんだん、頭がボーっとしてきて……四肢から力が抜けていく……あぁ、まるで花畑にいるみたいな、良い気持ち……) こんな風に、誰かに優しく頭を撫でられるなど、いつぶりだろう。 「私に身を任せてくださいますか?」 優しいその問い掛けに俺はこくりと頷く。 ターニャは俺の頭を胸の谷間に挟んだまま、ゆっくりと俺を横たえて行く。 俺を横にするとシャツ、ズボン、下着を脱がし、それからゆっくりと俺にキスをした。 「用心深い事はいい事です。でも今は、こんなものは要りません」 懐に忍ばせていた拳銃も取り上げられる。 僅かに抵抗しようと身動ぎしたが、 ちゅ……むちゅ……れろれろ……❤❤❤ ゆっくりと、優しく、丁寧な甘い口付けに頭の中がとろとろにされて、抑え込まれる。 (俺は、怜悧な……こんな色仕掛けなんかに……あぁ、だめだ、気持ち良い……❤❤) ターニャのさらさらの髪が頬に当たるだけでも気持ち良い。 んちゅ…あむ、はむはむ…れろれろ……❤❤❤ 舌を吸い込まれ、甘噛みされ、舐めまわされる。 ターニャの唾液がとても甘い。 舌が戻されるのと同時に、その唾液も流し込まれ、俺は思わずこくこくと呑み込んでしまう。 蜂蜜のような甘露な味わいに、魅了される。 思わずこちらから舌を伸ばし、ターニャを求めてしまう。 「んふ❤❤……瀬崎様、可愛いですよ、とても❤❤」 ターニャは甘く鼻を鳴らし、俺の求めに応じてくれる。 二人の口の間を二枚の舌が絡み合いながら行ったり来たり。 その度に、唾液が攪拌され、交換され、俺はこくこくと飲み込まされる。 やがて、俺の四肢が完全に脱力するとターニャはキスを止め、首筋に唇を這わせる。 「はぁぁ……❤❤」 情けないとは思うものの、喘ぎ声が止められない。 更に鎖骨を経由して、胸へ。 ちゅっ、ちゅちゅ、とキスを降らせる。 紫色のキスマークが刻まれる度、何かを失っていくような喪失感と、その間隙をターニャの齎す快楽が埋めていく感覚が強くなっていく。 「くすぐったいよ、ターニャ………」 「瀬崎様、綺麗……とても滑らかで、白い肌……」 胸に丁寧に唇と舌を這わせる。ターニャの息吹が妖しく性感帯を擽る。 「あぁぁ、ターニャぁぁ……❤❤」 「まるで女性みたい、ふふ。羨ましいです」 「んぁぁぁ………❤❤」 深い深い嘆息。ターニャの唇がふわりと乳首を包む。 舌がちろちろと擽られ、乳首が勃起してしまう。 「こういうのはどうですか?」 カリっ 「んっ」 勃起した乳首を軽く噛まれる。 砂糖のような甘い快楽に浸っていた体にぴりっと香辛料の快楽が波紋を描く。 きりきりきりっ……… 「っ、痛い、ターニャ、痛い!」 歯を立てられる痛みに、苦悶の声を上げる。 「ごめんなさい、ふふ、でも、こうしたらどうです?…れろぉっ……❤❤」 強めに噛まれたところへ、舌が慰めるように這わされる。 「あぁぁぁ❤❤……気持ち良い……❤❤」 歯型がつくほどの強さで噛まれる痛みによって、神経が剥き出しになっているところへ、純度100%の快感を流し込まれて、他愛もなく蕩けさせられる。 「気持ちよくなるのはこれからです」 唇と舌で唾液の線を俺の体に刻みながら、ターニャが俺の体を滑り降りていく。 臍の中に舌を突っ込み、うねうねと蠢かせたかと思いきや、陰毛を掻き分ける。 「んっ……」 思わず喘いだのは舌が触れたからではなく、俺の肉棒にターニャの滑らかな頬が触れたから。 すりすりと頬ずりされる。 「ああっ、すべすべして、気持ち良い……」 もはや、ターニャの肌に触れるだけで、驚くほどの快楽を感じてしまう。 「ありがとうございます❤❤❤」 嬉しそうに微笑み、舌はそのまま太腿へ。 「え……」 ペニスへの愛撫を期待していただけに、はぐらかされて僅かに失望が顔に浮かんでしまう。 「まだです。気持ちよくなるのはまだこれから。瀬崎様。夜はまだ長いんです。王の歓迎のしるしは、たっぷり、ねっとりと、ね❤❤」 ぞくぞくするような甘い声音で紡がれる囁きが俺の脳を溶かしていく。 抵抗しなければ、逃げなければという外交官としての思いが、甘い甘い絶望に塗りつぶされていく。 ターニャの言葉は、朝までこの部屋に誰もやって来ないことを示している。 助けは来ない。 朝まで、責められ続ける………。 (そんなの、耐えられる訳ない………) 蜘蛛の巣に掛かった虫に、もはや逃れる術はない。 甘く絡めとられ、ゆっくりと貪り食われるのを待つしかないのだ。 ターニャは唇だけでなく、指も太腿に這わせる。 十本の指がばらばらに動き、さながら楽器を奏でるかのように太腿を愛撫する。 「あぁっ、んんんっ、ひっ、た、ターニャ、す、凄いっ……❤❤」 舌と唇と指。 俺の体を這うそれらがまるで無数にあるかのような錯覚。 快楽に、喘ぐのを止められない。 俺のペニスはひくひくと震え、涙を流している。 最初は一滴、二滴だったものが、片足への愛撫が終わるころには既に幾筋もの流れに変わっていた。 足の指の一本一本を口に含み、ねっとりと唾液をまぶして丹念に舐め回し、ちゅぽんっと音がするほど吸う。 股の間も丹念に舐める。 もう片方の足を、ターニャは自分の体全体を使って這いあがってくる。 唇、舌、胸、腹、あそこ、太腿、足、指……。 女のありとあらゆる場所を駆使しての愛撫に、股間の逸物が切なさに震える。 「ターニャ、早くぅ……」 ゆっくり焦らすような至極の快楽に、もはや俺の頭の中に外務省で恐れられた怜悧な判断能力は残されていなかった。 柔らかな女の肢体に包まれ、ベッドの上に四肢を投げ出し、ただただ極楽を漂う。 (早くすっきりしたい……) ぼんやりとした頭で思うのは、射精の事ばかり。 (何時になったら、射精させてくれるんだろう………) ターニャが俺の足を這いあがってくる。 同時にぞくぞくとした快楽も這いあがってくる。 早く来てくれと叫んでいるかの如く、俺のペニスは震えていた。 「ふふ、瀬崎様。こんなに期待してくださってるんですね」 遂に。俺の物にターニャが顔を近づける。 赤黒く勃起し、震えるペニスを前に、ターニャが目を細め、口元に微笑を浮かべる。 「ふふ、瀬崎様、凄いぴくぴくしていますよ。それに我慢汁が凄い染み出てます」 「ううっ……」 我慢汁なんて日本語まで知ってるのか。 「まるで泣いているみたい。ふ~っ」 「あうっ!!」 息を吹きかけられただけで、ぴくんっと震える。 「ふふふ、可愛いです」 「ああ、焦らさないで……」 「あ、ごめんなさい。別に焦らしてるつもりはなかったんですけど」 嘘だ。絶対に焦らしてた。 ターニャは軽く謝ると根元を握って、見せつけるように舌を伸ばして見せる。 赤く、ぬらぬらと輝く舌。 それがゆっくりと、ペニスに近づいていき―――裏筋を舐めあげる。 肉厚な舌にれろぉ~っと舐め上げられただけで、濃厚な快楽が背筋を駆け上がって、脳髄を直撃する。 先端からは次々と我慢汁が湧き出してきてしまう。 「あぁっっ……❤❤」 待ちに待った肉棒への愛撫に、高い喘ぎ声が漏れる。 「すごぉい。我慢汁がぴゅるぴゅるって。まるで射精しているみたいですよ」 「あぁ、ターニャぁ……❤❤」 「ふふ」 蕩けている俺の様子に、笑みを見せ、俺の肉棒にキスをまぶす。 くちゅ、ちゅ、くちゅ。 赤黒いペニスに、ぷるぷるの唇が押し付けられる度、紫色のキスマークが刻まれていく。 それはまるで、何かの呪印のようだった。 「んあぁ……❤❤」 さらに、ねっとりと舌を這わせて来る。 舌に載せられたたっぷりの唾液が、ペニスをコーティングしていく。 「うはぁ……❤❤」 「気持ち良いですか?」 「凄い良い……❤❤!」 「それじゃ、もっと気持ちよくなってください」 笑みを浮かべてそう良い、丁寧に舌と唇を這わせていく。 れろれろ、ぺろぺろ。 俺の肉棒が飴菓子と化して溶けていきそうな快楽。 どこまでも優しいその愛撫に、全身が震える。 (まずい、魅了されかけている………) 俺はターニャに恋をしようとしている。 (まずいまずいまずい……) 心の中で警鐘が鳴り響く。 ここでもしターニャに惚れてしまったら………。 想像するだに恐ろしい。世界の大使達を見舞った数多の悲劇。 それらの多くが女性関係で引き起こされているのだ。 ―――美女に気を付けろ。 それは、外交官にとって基本中の基本である。 (まずいまずいまずい……) そんな感情が自然と体に現れたのか。 ターニャはふと俺を見て、にこりと微笑む。 「もっと体の力を抜いてください❤❤……今はただ、気持ちよくなる事だけ、考えてください❤❤❤」 そう言って、俺の亀頭を咥える。 はむはむ、もぐもぐ、ちゅうう❤❤❤ 「うあぁぁ❤❤はぁぁ❤❤んあああっ❤❤❤」 咀嚼され、吸い上げられ、強制的に四肢から力が抜けていく。 「気持ち良いですか?」 「あひっ……良い……❤❤」 涎を垂らして答える。俺の思考が再び悦楽に染まったのを確認して、ターニャは穏やかに微笑む。 「なら、もっともっと気持ちよくなってください❤❤」 そう言って、ターニャは再び俺の股間に顔を埋める。 ちゅるっ、はむっ、はむっ❤❤❤ 「あぁぁっ!」 玉袋を口の中に含まれ、唾液と舌をたっぷりとまぶして咀嚼される。 じゅるじゅるじゅるっ……❤❤❤ 「だめぇぇっ!!」 睾丸を吸われて、俺の腰が跳ねる。 「我慢できませんか?」 「あぁぁっ…❤❤…はぁはぁはぁ」 「ふふ、可愛い」 れろれろれろ……❤❤❤ 「はうっ!」 ターニャの舌が蟻の門渡りを通り、菊門の方へ這い進む。 柔らかな舌の感触が移動するにつれて、ぞくぞくとした快感が背筋を駆け上がる。 俺の物はびくびくと振るえ、先走りの涙を流す。 ターニャはそんな俺の様子を見て、ゆっくりと俺の物に指を絡め、リズミカルに扱きながら菊門の皺を一本一本伸ばすように舐める。 「た、ターニャ……も、もう……」 「イきたいですか?」 「い、イきたい……」 「それじゃ、最高に気持ちよくイってください❤❤❤」 何かの呪文のようにそう言うとターニャは俺を跨ぐ。 ま、まさか……… 俺の物の頭上で、指で秘所を開いてみせる。 俺を愛撫している間に自分も濡れていたのか。そこからはねっとりとした愛液がぽたぽたと俺の物に振りかかる。 ひくひくと蠢く膣。 ぴくぴくと震えるペニス。 互いに互いを呼び合っているように………。 「あぁぁぁ………❤❤❤」 いけないと分かっている。ここで女を抱くのが外交官としてどれだけ不利に働くかと言う事は。 しかし、男としての本能の方がより強烈に訴え掛けてくる。 あの中に入れば、とてつもない快楽を感じられるだろう、と。 俺を見下ろすターニャの優しい笑顔。 その汗で耀く美しい裸身。 甘い香り。 ひくひくと震える俺の分身。 本能に味方するものは多々あれど、理性に味方するものはなく………。 「私の中に、たっぷりと出しちゃっていいですから」 「え、それはまず―――」 ぐちゅ 俺の言葉を遮って、ターニャの陰唇が俺の先端に触れる。 「あぁぁぁっ……❤❤❤」 ただ、陰唇が亀頭に触れているだけ。 であるにも拘らず、俺の全身に陶酔感の嵐が吹き荒れる。 四肢の力を強制的に吸い上げ、頭の中を真っ白に染め上げてしまう悦楽。 じゅるじゅると陰唇は俺の物を奥に引き込もうと啜っている。 入り口だけでこれなら、中は一体どのような魔窟なのか……。 俺が戦々恐々としているにも関わらず、ターニャはゆっくりと腰を沈めていく。 「た、ターニャ、凄い、凄過ぎる……!」 ターニャの中で、無数の肉襞が絡み付き、肉壁が締め付け、奥へ奥へと誘うかのように甘く蠕動している。 まるで、何本もの触手に絡みつかれ、奥へ奥へと引きずり込まれていくような……。 「気持ち良いですか、瀬崎様」 「ああっ、気持ちいい、こ、こんなの、だめだぁ……❤❤」 「ふふ、存分に感じてください。私の膣、まるで何本もの触手が絡みついて奥に引きずり込むようでしょう?だから―――《クラーケン》って呼ばれてるんです」 船乗りを海中に引きずり込むとされる海の魔物。 「あっ、あぁぁっ❤❤」 その触手のように絡みつく襞が、奥へ奥へとと引きずり込んでいく。 「さぁ、引きずり込んで差し上げます。光も届かない、快楽の深海に❤❤」 頬を上気させ、胸を抑え、ターニャが笑みを浮かべる。 その笑顔を見ただけで、俺の鼓動が高鳴る。 (駄目だ。完全に……捉われた……) 俺の中の冷静な部分が絶望的に呟く。 もう俺は完全に彼女に恋をしてしまっている。 彼女の虜になってしまっている。 「私の中で、瀬崎様のがぴくぴく震えています……」 「ああ、ターニャの中、気持ち良い……」 「私、瀬崎様と一つになれているんですね。とても嬉しいです。瀬崎様は?瀬崎様はいかがですか?」 「ああ……お、俺も、嬉しいよ」 「嬉しい。動きますね」 にこりと笑って、ターニャが腰を蠢かす。 「うああああああああああああっ!!」 俺は絶叫していた。 ターニャの腰の動き。それはパーティーの時に見たあの動き。 ぐねぐね、うねうね、ぐにょぐにょと関節があるのかと思うほどに自由自在に蠢く。 蠢くのは腰だけではなくその内部、膣全体が蠢いて、俺の物を締め付ける。 締め付ける場所も自在に変わり、無数の肉襞が全体を舐めしゃぶり、子宮口が強力に吸引する。 その予想もつかない動きは、確かに《クラーケン》の名に恥じない。 ぐじゅぐじゅ、くちゅくちゅ、ずちゅずちゅ……❤❤❤ 俺の物を咀嚼するかのようにターニャの腰が動き、結合部から攪拌された愛液と先走りの混じった液が溢れ出す。 「あああっ、そ、それ、だめぇっっ!!」 俺は必死にターニャの腰にすがりつくが、その動きを止められない! 「あぁぁぁ……」 目の焦点が合わない!ターニャが何人にも見える。 何人ものターニャに微笑み掛けられる! 「瀬崎様」 ターニャの細腕が首に周り、ふにっと胸の谷間に挟められる。 騎乗位から座位に変わる。 だが、俺はまったく動けない。 動いているのはターニャだけ。それでも、凄まじいばかりの快楽が俺を襲う。 俺は少しでも快楽に耐えるために、ターニャの乳房に吸い付いた。 「あぁんっ、気持ち良いです、瀬崎様」 ターニャが俺の頭を撫でる。 しかし、それでも、彼女の腰が齎す快楽は一向に衰える事はなく。 むしろ、口の中に広がる彼女の乳房の味に、俺は止めを刺された。 自ら快楽を求め、腰を突きあげてしまう。 「ぬおおおおっ!!」 凄まじい快楽に、神経がぶちぶちと切れていく。 「全て何もかも忘れて、私に溺れてください、瀬崎様」 ターニャは妖艶に笑み、俺の突きあげを柔らかく受け止めつつも、自在な動きで締め付けてくる。 それが、真正の止めとなった。俺の脳内で白色の爆発が起こる。 「むをををををっ!!」 どびゅぅっ、びゅくびゅくびゅくっ、びゅるるるるっ、どびゅっ、どくっ、どくんっ、びゅるぅっ………❤❤❤❤ 口一杯に彼女の柔らかな乳房を頬張ったまま、彼女の中に大量の、それこそ生まれてこの方これ以上はないだろうと言うほどの精子をどばどばと注ぎ込む。 「ふぁぁぁぁ………」 俺の全身の血が一気に下がり、俺は気を失って仰向けにベッドに倒れた。 「あは。瀬崎様のが、私の中に……凄い量です……❤❤」 ターニャが俺の物を抜くと結合部からぐぼっと大量の精液が零れる。 ターニャはそれを指で掬い、ちろっと舐め、うふ、と笑う。 「美味しい♪…やっぱり、前任のおじさんより瀬崎様の方が美味しいです❤❤」 快楽に蕩けきった表情で眠っている瀬崎に向かって優しく微笑む。 その身に布団を掛けてやり、自身も布団に入り、彼の体に四肢を柔らかく巻きつけながら、 「もう逃がしませんよ。たっぷりと経済支援を頂かないと。それに、瀬崎様には総理大臣の訪問を準備していただきたいのです。ご安心ください。我々が責任を持って、総理大臣を歓待申し上げますので❤❤」 耳元に甘く甘く囁くのだった………。 3か月後、内閣総理大臣は中東歴訪の途次、現職の内閣総理大臣として初めて、この国を訪れる事となる。 そして、日本からこの国への経済援助は減額どころか3倍に増額される事となった―――。 総理が経済援助の増額を発表するのを、瀬崎は会見場の後方から眺めていた。 その瞳からはかつての怜悧さも覇気も消え失せていた。 その顔には、居並ぶ大使館職員たちと同じにやけた笑みが張り付いたように浮かんでいた。 甘美なる監獄 単発物 #28  12,644文字 往前1 / 1 页继续 夢か幻かわからない暗闇の空間に、美しい女の囁き声が響く。 「―――ようこそ、お出でくださいました、勇者様」 声に驚き、口を開こうとしたが、なぜか声が出なかった。 それどころか、何も見えない。 どうやら寝かされているようだった。 手足も感覚はあるものの、動かすことができなかった。 「余計なことは考えなくてよろしいんですよ、勇者様」 「そうよ、勇者様。さぁ、こちらを見て」 女の声に導かれるように、目の前に目を凝らす。 すると、闇の中に淡い光が浮かび上がってきた。 ゆらゆらと、まるで蛍かのように虚空を揺らめく光。 青、オレンジ、赤と次々に色を変えながら、左右に、上下に、時に円を描きながらふわふわと漂う朧な光。 「ふふふ」 「あはは」 女の妖しい笑い声がし、その声が不思議と何重にも反響して聞こえてくる。 まるで頭の中で囁かれているかのように。 「さ、こっちを見て」 不思議な光が二つに増え、ゆらゆらと揺らめく。 必死に目を凝らすが、何が光っているのかはわからない。 光を見ているうちにだんだんと、頭の中がぼーっとしてくる。 「こっちを見て」 「いいえ、こっちを見て」 妖しく、煽情的な女の声が頭の中で幾重にも反響する。 だんだんと、身体の力が抜けていく。 「いい子ね……ふぅっ❤」 びくぅっ。 突然、耳元に吐息を吹きかけられて、身体が震える。 「ふふ、驚いた?私の、吐息に集中して。はぁっ❤」 「私の吐息に、集中して。ふぅっ❤」 左右から交互に甘く、微かに熱を帯びた吐息が吹きかけられて、徐々に体が熱くなっていく。 少しずつ闇に慣れてきた視界の中、笑みを湛えた女たちの笑顔が浮かび上がる。 左側の女は茶髪のミディアムヘア。 右側の女は金髪のボブヘア。 潤んだ瞳。 整った顔立ち。 鮮やかな唇。 甘い香り。 思わず見惚れてしまうような美しい女たちの顔が交互に視界に現れ、微笑みかけてくる。 視界から消えた女は、耳元に顔を寄せ、吐息を吹きかけてくる。 今がどういう状況なのか必死に考えようとするが、吐息を吹きかけられる度、思考が霧散し、記憶を辿る事が出来ない。 「ほら、身体の力を抜いて❤」 「私たちの呼吸に合わせて、ゆっくりと深呼吸して❤」 「すー❤」 「はー❤」 女たちの呼吸に合わせ、ゆっくりと深呼吸をする。 「そう、その調子。すー❤」 「どんどん、リラックスできますよ。はー❤」 女たちの唇を、身体を、今にも触れてしまいそうなほど近くに感じる。 「吸って。すー❤」 息を吸う度、肺の中が甘い香りで満たされていく。 「吐いて。はー❤」 息を吐く度、女たちの息が耳に吹きかけられ、頭の中まで桃色に染められていく。 「ふふ、耳が敏感になってきたでしょう?」 「息を吹きかけられるだけで、もう溜まらない程に❤」 女たちの言う通りだった。 息を吹きかけられる度、びくびくと体が震えてしまう。 「どきどきしてきたでしょう❤」 「興奮するでしょう❤」 「耳が、まるでおちんぽみたいに敏感になってきて」 「犯してほしく堪らないでしょう?」 交互に、息を吹きかけられながら淫らな言葉を囁かれて、異常なほどに鼓動が高鳴っていく。 「耳だけでなく、頭の中も、ぜ~んぶ、おかしくなっちゃいましょう❤❤」 「私たちに、ぜ~んぶ、任せて。快楽に身を委ねましょう❤❤」 「そう。おちんぽ。お耳はおちんぽ❤」 「もっと硬くして❤あなたの体は、全身おちんぽ❤❤」 囁かれているだけなのに、本当に耳がおちんぽになってしまったかのように、全身がびくびくと震える。 普段、おちんぽなどと言う言葉を使ったことすらないはずなのに、女たちの囁きのせいか、思考の中に自然とその言葉が浮かんでくる。 まるで、おちんぽと言うのが当然であるかのように。 「これから、たぁっぷり気持ちよくして差し上げます、勇者様❤」 「耳だけで射精させてあ・げ・る❤」 「全身もたぁっぷりマッサージして差し上げます❤」 「心も体もトロトロになってぇ❤❤」 「何も考えられなくなるくらい❤❤」 「勿論、本物のおちんぽがビンビンになっちゃったら、そちらもたぁっぷりマッサージして差し上げます❤」 「なので、期待していてくださいね。これまでに体験した事のない快楽をお約束します❤」 「それでは早速、初めて行きますね―――それでは、ズボンを脱がせていただきますね」 「私たちはシャツを………」 「もうこれは必要ありませんから、切ってしまいますね」 最初は二人だったはずだが、いつの間にか女たちは三人に増えているようだった。 新たに加わった足元の黒髪ロングの女がズボンを脱がし、先ほどからいる左右の女がシャツにハサミを入れ、遠慮なく切っていく。 いつもなら鎧や剣、盾なども装備しているはずだが、なぜしていないのか。 そんな疑問が微かに脳裏に浮かんでくるが、纏まらぬうちに消えていってしまう。 程なくして、全裸にさせられてしまった。 少しずつ目が闇に慣れてきたおかげで、三人の女が皆、白衣を纏っているらしいことは何となくわかった。 三人の女が、何かボトルのようなものを手に取り、中身のとろりとした液体を自身の掌に垂らしていく。 左右の女が手を耳元にまで移動させる。 ぐちゅぅっ。 粘性を感じさせる音が、耳のすぐ傍でする。 ぐちゅっ、ぐちゅぅっ。 敏感にさせられた耳のすぐ傍で響く淫らな音に、今後の展開を予期して鼓動が高鳴る。 「こちらは特製のオイルです」 「このオイルを使って、たぁっぷり全身をマッサージして差し上げます」 「じっくり、味わってくださいね❤」 「両手と両足、同時にさせていただきますね」 「失礼します」 左右の女が手を取り、指を絡めるようにマッサージを始める。 足元の女は、太ももをゆっくりと撫でまわすようにマッサージをしていく。 ぬるぬるとした感触と女たちの指の柔らかな感触にくすぐったさと気持ちよさが織り交ざったような感覚に襲われる。 「力加減はいかがですか?」 「なんでも、遠慮なく仰ってくださいね❤」 「リラックスしてくださいね」 「体の力、抜いてくださいね」 「気持ちいいですかぁ? 「気持ちいいですよねぇ」 手足を揉み解される快感に、思考が鈍くなっていく。 「オイル追加していきますねぇ」 ぴちゃぴちゃと、身体に直接オイルがかけられる。 ぐちゅっ、ぐじゅっ、と厭らしい音が脳内に響き渡る。 「たぁっぷり、楽しんでくださいね」 「オイルの、じゅるじゅるっていう音、聞こえますか?たぁっぷり、全身に塗っていきますからねぇ」 「全身、てかてかですね」 「だんだん身体が温かくなってきますよ」 「特に、下半身が❤」 「もっと、足を大きく広げてください❤」 先ほどまで自分の意志で動かせなかった足を、女に促されるまま大きく開いていく。 「鼠径部のマッサージをしますよ❤」 「全身、隅から隅まで、マッサージしていきますからね❤❤」 「鼠径部と一緒に、敏感な乳首もマッサージしていきますよ❤」 女たちの手がより敏感な部分を這いまわる。 「いかがですか?すっごく、コリコリしてますよ、勇者様の乳首❤」 「ふふ、こちらの乳首もマッサージする前からビンビンになってますよ❤」 「尋常じゃない程、硬くなってますよ❤」 「鼠径部も、とぉっても熱くなってきましたよ❤」 勃起した乳首を指の腹や爪、掌まで駆使して解され、ぴりぴりとしたこれまでに感じたことのない快感に身悶えする。 「お客様、おちんちん、凄く勃起してますよ」 「おちんぽの先っぽから、何か出てます❤❤」 「ひくひくして、とても可愛らしいです❤❤」 女たちの視線が股間に集まり、余計に熱くなってくる。 敏感な部分を手が通る度、切ない気持ちになる。 触ってほしい。 そんな願望が、ゆっくりと全身を支配していく。 「で・も、おちんぽのマッサージはまだですよ」 あと少しで触ってもらえる!と言う位置にまで近づいてきた手が、すーっと離れていく。 もどかしい気持ちが膨れ上がっていく。 「乳首、敏感なんですね」 「オイル、追加しますね。もっと、もぉっと、乳首をぬるぬるにして差し上げますね❤」 「滑りがよくなって、どんどん気持ちよくなっていきますよ❤」 「マッサージもどんどん進めていきますね」 先ほどまで、足元にいた黒髪ロングの女が右側に、右側にいた金髪ボブの女が左側に、そして左側にいた茶髪ミディアムの女が足元へと時計回りに位置を入れ替える。 「私のマッサージ、気持ちよかったですか?」 黒髪ロングの女が耳元に吐息交じりの囁きを吹き込む。 「三人それぞれ、異なった気持ちよさがありますので、存分に堪能してくださいね❤」 「下半身、とっても元気ですねぇ❤びくんびくんって震えて、苦しそう」 「そろそろ、おちんぽのマッサージも始めていきましょうか❤」 オイル塗れでぬるぬるの手が、限界ギリギリまで勃起し、我慢汁を垂れ流しているおちんぽに絡みつく。 「耳はぁ」 「私たちの舌で、マッサージして差し上げます❤」 柔らかな舌が左右から耳に挿入され、ぴちゃぴちゃと唾液の音を立てながら嘗め回される。 「おちんぽマッサージはいかがですか?片手でも、両手でも、しっかりとマッサージして差し上げますね❤」 「勿論、乳首の方もしっかりマッサージして差し上げます❤❤」 「指でも❤」 「舌でも❤」 敏感な乳首がコロコロと転がされ、さらに唾液とオイルをたっぷり絡めながら舐められる。 おちんぽをくちゅくちゅと扱かれ。 乳首をじゅるじゅるとしゃぶられて。 耳をぺろぺろと舐められて。 頭の中で、いくつもの閃光が閃き、ぶつぶつと何か大事なものが切れていく。 どうしてこんなことになっているのか。 この女たちは何者なのか。 どうやってこの状況から抜け出せばいいのか。 そんな事を考えようと思っても、齎される圧倒的な快楽の前に、何もかもが霞んでいく。 どうでもよくなっていく。 「いかがですか?まるで、舌が生き物みたいに動いて、気持ちいいでしょう❤」 「おちんぽ、お口でもマッサージさせていただきます❤」 おちんぽの表面を舌が這い、やがてぬるぬるの口内に収められていく。 「おちんぽ、じゅるじゅるって音を立てながらしゃぶられてるの、聞こえますか?」 「しっかり耳を研ぎ澄ませて、音を聴いてくださいね。そうすればもっともぉっと、どんどん、気持ちよくなっていきますよ❤❤」 「お口マッサージ、気に入っていただけましたか、勇者様❤」 「まだまだ、続けさせていただきます❤❤」 女たちが再び位置を入れ替え、おちんぽは金髪ボブの女の口中に飲み込まれていく。 「乳首もおちんぽもマッサージされて、幸せでしょう?」 「ふふ、勇者様ったら、とぉってもだらしなくて、とぉっても素敵なお顔をしてますよ❤」 「そのまま、私たちに身を任せて。もっともっと、気持ちよくなってくださいね❤」 「たっぷり囁いて差し上げます。耳までマッサージされて、もう夢見心地でしょう?」 「おちんぽも、乳首も、耳もとぉっても気持ちよくて気持ちよくて、脳みそが溶けてきちゃいそうでしょう❤❤」 「私も、勇者様のお耳、たぁっぷり舐めて差し上げます❤」 「私のおちんぽマッサージは、いかがですかぁ?勇者様のおちんぽ、どんどん硬くなって、どんどん熱くなって、ずぅっとびくびくって震えていらっしゃいますよ❤❤」 「指も綺麗にしゃぶって差し上げます❤❤」 「金玉も、蟻の戸渡もしっかりと舐めて差し上げます❤❤」 「脇の下も、ぺろぺろして差し上げますね❤」 「もう、全身、どこもかしこもぬるぬるでぇ、どこもかしこも気持ちよくて、おちんぽ、おかしくなっちゃいそう❤」 「脳までおかしくなってください❤」 「おちんぽのお口マッサージ、次に行きますよ❤」 女たちが三度位置を入れ替え、最初の態勢に戻る。 「まだ、おちんぽは耐えられますか?ふふ」 「なんてみっともない恰好。とても素敵ですよ❤」 「いかがでしたか?私のお口マッサージ❤楽しんでくださいましたか?」 「おちんぽ、もう耐えられそうにありませんか?」 「だめですよぉ、勝手に射精したら❤」 「我慢してくださいね❤」 「射精のタイミングも、私たちに任せてくださいね❤」 「すべて、私たちに身を委ねてくださいね」 「おちんぽの限界まで❤」 黒髪ロングの女が、股間をおちんぽに擦り付ける。 「いかがですか?パンツの奥にある、熱くてぇ、トロトロしたおまんこ、感じられますか?」 左右の女がゆっくりと白衣のファスナーを下ろしていく。 白いブラに包まれた、豊かな乳房が目の前で柔らかそうに弾む。 「耳でも❤」 「おちんぽでも❤」 「乳首でも❤」 「目でも❤」 「いっぱい興奮してくださいね❤」 足元の女がむっちりとした太ももでおちんぽを挟みながら、他二人と同様にファスナーを下ろし、胸元をはだける。 太ももに挟まれ、すりすりと揉まれているところへ、さらにオイルが追加され、感触がどんどんぬるぬるへと変化していく。 太ももと陰唇とによって形成される魅惑の三角地帯で、おちんぽは揉みくちゃにされながら随喜の涙を流し続ける。 左右の女によって耳と乳首がしゃぶられ、身体全体がびくびくと震える。 射精欲が込み上げてくる。 女たちは、こちらの状況などお見通しで、決して最後の一押しを与えようとはしない。 常に限界ギリギリで、コントロールしている。 「ふふ、全身で悶えて❤」 「もう我慢の限界ですか?」 「我慢の限界、越えてみませんか?」 「もっと、もぉっと、気持ちよくなれますよ?」 「勇者様が知らない、快楽を」 「私たちが教えて差し上げます」 「限界の❤」 「その先まで❤」 「お連れ致します❤」 再び女たちの位置が入れ替わり、おちんぽが茶髪ミディアムの女の股間に擦り付けられる。 「気持ちいいですかぁ?一杯擦れていますよぉ」 「もっともっと、気持ちよくなってくださいね❤」 「耳元で厭らしく囁いて差し上げます❤頭の中を真っ白にしてしまいましょう❤」 「心を解放して❤快楽を受け入れてください❤❤」 「ずぅっと勃起して、こりっこりの乳首も丹念に、丁寧に、心を込めてマッサージして差し上げます❤」 「他の事なんて、なぁにも考えず、今はただ快楽に溺れてください❤❤」 「女の子みたいに、喘いでもいいんですよ?あん❤あん❤って、声出しちゃっても」 それまで言葉を発することはできなかったのに、女に囁かれた途端、止め処もなく喘ぎ声が漏れ出す。 だが、意味ある言葉を口にしようとしても、言葉にはならなかった。 ただただ、喘ぎ声をあげるのみ。 「ふふ、もっともっと喘いでください❤」 「気持ちよさそうな声❤」 「喘げば喘ぐほど、どんどん気持ちよくなっていきますよ❤」 「ふふ、おちんぽが爆発しちゃいそうです❤」 「乳首も取れちゃいそう❤」 「耳もふやけて、お顔も溶けてしまいそう❤」 「おちんぽとパンツが擦れる刺激、いかがですか?気持ちいいですよねぇ❤」 「一杯擦れて、おちんぽ、もう真っ赤になっちゃいましたね❤」 「今度は、こういうのはいかがですかぁ?」 茶髪ミディアムの女がブラを外し、露になった乳房におちんぽを押し付ける。 「見てください❤赤黒く、パンパンになったおちんぽがおっぱいにめり込んでますよ❤❤」 「柔らかな乳肉にめり込んでいく感触が溜まらないでしょう?」 「挟んで差し上げますね❤」 おちんぽを谷間に挟んで、上下に扱き出す。 「勇者様、すっかり蕩けきったお顔❤」 「勇敢な勇者様のお顔も素敵ですけれど、今の勇者様のお姿もとぉっても素敵ですわ❤」 「なんだか、私たちも興奮してきてしまいました❤」 またまた女たちが位置を入れ替え、金髪ボブの女の股間におちんぽが擦り付けられる。 「敏感な勇者様、とても素敵です❤」 「もっと、もっと、体中がびくんびくんってなるくらい感じてください❤」 「頭の先から、つま先まで、どこもかしこもおちんぽになったみたいに敏感になって❤」 「とろとろと蕩けてしまうくらい❤」 「涎も、舐めて差し上げます❤❤」 口元に舌が這いまわり、涎を掬い、唇を重ねられる。 ぬめる舌が口内に侵入してきて、舌を絡め、歯茎の裏まで蹂躙していく。 「い~っぱい我慢してください、勇者様❤」 「もっと、もぉっと、気持ちよくなってください❤」 「そんな勇者様の健気なお姿を見ていると……私のあそこもキュン❤ってしちゃいます」 「一生懸命我慢している姿を見ていると、もっと激しく動きたくなってしまいますぅ」 股間に擦り付ける動きがどんどん早くなっていく。 射精欲はとっくに限界値を越える水準に達し、今にも射精してしまいそうだ。 もはや、頭の中はとっくに射精の事しか考えられなくなっている。 だが、どうしても射精することができない。 女たちが動けと言わなければ動けず、喘げと言わなければ喘げなかったように、彼女たちの許しがなければ射精することもできないのだろう。 我慢しているのではなく、させられているのだ。 射精したくてしたくて、必死に足をばたつかせる。 「ふふ、勇者様ぁ❤そんなに足をばたばたさせて、どうされたんですか?」 弾むように股間を擦り付けながら、女が笑う。 残り二人も乳首を舐めながら、笑みを浮かべてこちらの様子を窺っている。 「もう限界なんですかぁ?」 「もっともっと我慢してください❤」 「まだまだ、マッサージは続きますよ❤❤」 「おちんぽみたいにギンギンに勃起している乳首も、もっともっとマッサージして差し上げます」 「勇者様、指がお寂しそう」 右側の女が手を取り、自らの乳房に誘導する。 柔らかな乳房に、まるで手が沈んでいくような感覚。 「指は、おっぱいでマッサージして差し上げます。ゆっくり、揉んでみてください❤」 動くことを許され、これまで動かすことができなかった指を動かす。 柔らかく、淫らで、決して飽きる事のない感覚に、止めることもできず、揉み続ける。 左側の女もブラを外し、胸板に押し付けてくる。 「勇者様、乳首同士が擦れているのわかりますか?私の乳首ももうビンビンなんです❤」 「おちんぽ、このまま溶けちゃいそうなぐらい熱くなってますよ❤」 「これから、三人のお口でおちんぽをマッサージしていきますね❤」 三人が、ゆっくりと足元に移動する。 「ふふ、待ちきれないって感じですね❤」 「それでは、三人でゆっくりと舐めて差し上げます」 「三人それぞれの舌の違い」 「じっくり感じてくださいね❤」 赤黒く、限界を超えて屹立するおちんぽに、三人の女が顔を寄せ、舌を這わせる。 上目遣いにこちらの様子を窺いながらゆっくりと舐め上げる女たちの表情はとても淫らで、その光景を見ているだけで頭がどうにかなってしまいそうだった。 「いかがですか?」 「三人の舌がそれぞれいろんな動きをして」 「最高ですよね❤」 「もっともっと、おかしくなっていいんですよ❤」 「おちんぽ❤もう限界なんですもんね」 「こんな風におちんぽをたくさんの女性から舐められるって、なかなかないですよね❤この状況、脳とおちんぽでしっかり噛みしめてください❤」 「きっと、一生忘れられない思い出になりますよ❤」 「もうおちんぽ、堪らないでしょう?」 「気持ちよくて、射精したくて射精したくて、頭の中どうにかなっちゃいそうでしょう?」 「びくびく震えて❤」 「我慢汁もだらだら出して❤」 「目を血走らせて❤」 「涎垂らして❤」 「もう、射精する事しか考えられないでしょう?」 「ぺろぺろって舐められて❤」 「ちゅうちゅうって吸われて❤」 「ずちゅずちゅって、扱かれて❤」 「厭らしい音に、耳も脳も犯されて❤」 「射精したいでしょう?」 「私の口の中に❤」 「私の顔に❤」 「私のおっぱいに❤」 「じゅぼじゅぼじゅぼ❤」 「おちんぽ、じゅぼじゅぼ❤」 「おちんちん、じゅぼじゅぼ❤」 「沢山しゃぶられて❤❤」 「一杯舐められて❤❤」 「散々吸われて❤❤」 「と~ってもエッチで❤」 「すっご~く気持ちよくて❤」 「溜まらなく幸せ❤」 「ガチガチのおちんぽ、じゅぼじゅぼ❤」 「厭らしい舌遣いで悶絶❤」 「もう我慢できない?限界?」 「でも、もっともぉっと我慢すれば、その分、もっともぉっと気持ちよくなれますよ❤」 「オイルももっと追加して❤」 「もっともっとぬるぬる、とろとろにして差し上げます❤❤」 三人の女たちに代わる代わるおちんぽを舐められ、乳首を愛撫され、耳元で厭らしい囁きと吐息を吹きかけられ続けて、頭の中はもはや射精することで一杯になり、この状況から抜け出さなければならないという思考は完全に駆逐されてしまっていた。 おちんぽを咥え込んだ黒髪ロングの女が頭を激しく上下に振る。 ずじゅっ、じゅちゅっと厭らしい音が響き、唾液と我慢汁とオイルの入り混じった液体が周囲に飛び散る。 「ふふ、容赦ないわねぇ」 「体中びくびくさせて、バラバラになっちゃいそう❤」 「ふふ、こんな厭らしい舌遣いで責められたら、さぞかし辛いでしょうねぇ」 「―――ふふ、もう射精しちゃいたいですよね?」 「で・も、勇者様、射精しちゃってよろしいんでしたっけ?」 左右からの女たちの囁きに、脳内にかすかな疑問が生じる。 「勇者様、すっかりトロトロになっちゃった頭でちゃ~んと思い出してください❤」 「ここは魔王様のお城❤」 (魔王の………城………) 「勇者様は、魔王様を倒すために、お仲間や大勢の軍隊を引き連れて果敢に攻めてこられたんですよ?とても、凛々しくて素敵でした❤」 (そうだ………俺は……魔王を……倒すために………軍勢を率いて攻め込んで……仲間たちと先行して魔王城に侵入して………) 「今でも、勇者様の加護を受けた軍勢は魔王城の外で戦い続けておられます❤」 「お仲間たちも、この城の各地で魔王軍の幹部の皆様と戦っておられますよ❤」 (そうだ………俺は……魔王軍の幹部に遭遇する度に、仲間たちに任せて先行して………) 「そして、勇者様は魔王様が控える玉座の間の一つ手前、この部屋に辿り着かれたんです」 「とても勇ましくて、素敵でした❤」 (そうだ……俺は……この部屋に入った途端、トラップ魔法に引っかかって気を失ったんだ………) 普段ならば決して引っかからないだろう簡単な罠に。 部屋に飛び込んだ瞬間に感じた甘い香りと、三人のあまりの美しさに一瞬、ほんの一瞬だけ集中が乱れてしまった。 「ふふ、思い出されたようですね、勇者様❤」 「勇者様にとって私たちは憎むべき淫魔。その淫魔から受けるマッサージはいかがだったですか?」 「とても気持ちよかったでしょう❤……ふふ、感想をお聞かせくださいな」 「っ、ふざけるなっ……とても気持ちいいでふぅ❤❤……なっ、お、俺は何を………」 自分の口から発せられた言葉に愕然とする。 「ふふ、嬉しいですわ、勇者様❤」 金髪ボブの女が満足そうに笑う。 「お礼に、勇者様のお望みをおひとつ叶えて差し上げますわ❤」 茶髪ミディアムの女の提案に、息を呑む。 茶髪ミディアムの女は続けて、部屋の奥を指さす。 そちらを見ると、大きな扉が見えた。 「あの奥に、魔王様はいらっしゃいます」 「もし、勇者様が魔王様を倒される事を望まれるなら、このまま解放させていただきますわ」 「っ………」 「で・も❤」 金髪ボブの女が右乳首を弄りながら、吐息を吹きかけてくる。 「他の願いでも構いませんよ❤」 茶髪ミディアムの女が左乳首を愛撫しながら、耳の中を舐めあげる。 視線は自然と足元へと向かう。 そこでは、一切会話に加わらないまま、黒髪ロングの女がおちんぽを咥え、舐め、しゃぶり、啜り上げている。 上目遣いの眼差しと目が合い、鼓動が大きく高鳴る。 「そんなの………決まっているじゃないか……お、俺は……勇者……なんだから……」 「ええ、そうですわね❤」 「とても勇敢で、強くて、素敵な勇者様です❤」 「そ、そうだ……だから、解放されなくたって……自力で何とかして見せる……」 「さすがです❤」 「とっても素敵です、勇者様❤……それでは、願い事を教えてください?」 「―――せてください」 「はい?」 「聞こえませんわ、勇者様。もう一度、大きな声で仰ってください❤」 「俺を……イかせてくださいっ!!!」 「ふふ、あらあら、魔王様を倒さなくてよろしいんですか?」 「いいっ、そんなの……い、いやっ、あ、あとで!後で倒すから!」 「まぁ❤さすがは勇者様。たしかに、勇者様ならその気になれば、魔王様も倒せるかもしれませんわね。その気になれば、ですけど❤」 「お、お願いだ……お願いだから……ぐすっ」 「あらやだ、勇者様ったら、泣き出しちゃった。ふふ、可愛い❤」 「ご安心ください、勇者様。勇者様の願い、喜んで叶えさせていただきますので❤」 「ほ、本当に………?」 「ええ、思う存分、射精なさってください❤」 許可の言葉を口にし、三人の女が一斉におちんぽに群がる。 亀頭に柔らかな舌と唇が這いまわり、棹やカリ首、玉袋に20本の指が襲い掛かる。 さらに、両乳首も忘れずに左右5本ずつの指が、それそれがまるで別個の生き物であるかのような複雑にして繊細な動きで快楽を紡ぎだす。 腰の奥底から、これまで抑えに抑えられてきた射精衝動が凄まじいまでの勢いで膨張していく。 「くちゅっ。ほら、イってください、勇者様❤❤」 「じゅるっ。仲間も大義も誇りも何もかも捨てて、気持ちよーくどびゅどびゅしちゃいましょう❤」 「ちゅるぅっ。射精❤射精❤天井まで届くぐらい、思い切り射精しちゃってください❤❤」 「あっ、あぁぁぁっ、あああああっ!!!!す、すごいっ、これ、気持ちいいっ、だめっ、こんなの、我慢できないっっ、あひぃぃぃっ❤❤❤」 女たちの連携業の前に、射精衝動が爆発する。 どびゅーっ!!!どびゅるるるるっ!!!!びゅくびゅくびゅくっ!!!びゅるるるるっ、どびゅどびゅどびゅっ、びゅるるるるっ、どびゅっ、どびゅっっ、びゅくっ、びゅるるる――――!!!! 次から次へと放たれる白濁液。 天井に当たり、びちゃびちゃと周囲に降り注ぎ、俺自身も女たちも、当たり一面を白く染め上げていく。 間違いなく、これまでの人生で味わったことのない快楽。 人間相手では決して味わうことのない破滅の悦楽だった。 射精をし続けている最中も、女たちは手を止めない。 降り注ぐ白濁液を全身に浴びながら笑い声をあげ、一向に射精が止まらないおちんぽを扱き続ける。 射精はたっぷりと数分は続き、止まった。 「―――ふふ、すごぉい、沢山出ましたね❤」 「とても濃くて、匂いも凄い❤」 「見てください❤」 俺の眼前で、三人の女たちが体を絡ませあい、互いの体に付着した白濁液を舐めあう。 その煽情的な姿に、射精して尚硬さを失わないおちんぽの先端から我慢汁が溢れ出す。 「勇者様の体もザーメンまみれ❤」 「お掃除していきましょうね❤」 白濁に塗れた姿のまま、女たちの舌が再び全身に這いまわる。 「残っているザーメンも、ぜぇんぶ出してしまいましょう❤」 「金玉の中、カラカラになるまで、私たちがしっかり搾り取って差し上げます❤」 「ひぃっ❤あふぅっ❤気持ち、気持ちいいよぉっ❤❤」 二度目の射精は一瞬で訪れた。 元々、彼女たちがその気になれば、人間の勇者など簡単に射精させることができるのだ。 「ふふ、すっかり堕落し切ってしまわれましたね❤」 「これでは、きっと外の軍勢もお仲間さんも勇者の加護が切れてしまってますね」 「そうなると、大勢の方が亡くなってしまうかと思いますが」 「そんなのっ、も、もう、どうでもいいよぉっ❤」 少し前までの自分だったら、決して口にしなかったであろう言葉を口にする。 今はただ、快楽だけがすべてだった。 「あらあら❤」 「ふふ、凛々しいお顔も素敵でしたけど、今のお猿さんみたいなお顔もとても可愛らしくて素敵です❤」 「ひぃっ、あんっ、お、お尻の穴にっ、指がぁっ❤そ、それジンジンするぅぅ❤」 「ご安心ください、勇者様……いえ、元・勇者様❤……勇者様に危害を咥えるつもりはありません。勇者様は亡くなられると転生してしまわれますので」 尻穴に指を突っ込み、前立腺を巧みに刺激しながら黒髪ロングの女が嫣然と微笑む。 「そう❤ほら、私たちのおっぱいをお飲みください❤……私たち、淫魔のお乳を飲んでいれば絶対に死にませんから」 口元に宛がわれた茶髪ミディアムの女の乳首に吸い付き、ちゅうちゅうとお乳を飲む。 信じられないほどの幸福感に満たされていく。 「ずぅっと、永遠に、気持ちよぉく、マッサージして差し上げます❤❤」 金髪ボブの女が囁き、茶髪ミディアムの女と両側から同時に耳たぶが咥えられる。 たったそれだけの事で、精が噴き出す。 「オイルを足しましょう❤」 「手でもお口でもおっぱいでも、おまんこでも気持ちよくして差し上げます❤」 「耳だけじゃなくて、乳首を触られるだけでも、お尻の中を弄られるだけでも射精できるようにして差し上げます❤」 女たちによる奉仕は終わらない。 永遠に。 もはやそれは、幸福以外の何物とも感じられなかった。 女たちは宣言通り、ありとあらゆる方法でマッサージを続け、俺は精を放ち続けた。 それから一体、どれほどの時間が経ったのか。 それすらも忘れかけた頃―――人間の国の一つが滅びた事を聞かされた。 それは、俺が生まれ育った国だった。 だがもはや、それすらも、どうでもよく。 俺は首を横に振って話を遮ると、その話を泣きながらしていた赤髪ショートの女を組み敷き、悲鳴を上げ、抵抗するのを抑え込んで、着ていた服を引き裂き、濡れてもいない秘所を貫いた。 処女血が周囲に飛び散るのもお構いなしに腰を振り、女の悲鳴が嗚咽に代わり、やがて何の反応も示さなくなるまでその最奥に精を放ち続けた。 痙攣する女から身を放した俺に、黒髪、茶髪、金髪、三人の女が抱き着く。 「いかがでしたか?あなた様の初恋の方と聞いてますが?」 黒髪ロングの女にそう聞かれて、改めて赤髪ショートの女を見下ろす。 今初めて気づいたが、確かに、幼馴染で、秘かに恋心を抱き、ともに魔王城に乗り込んだ女だった。 かつては、とても大切な感情を抱いていた相手である。 だと言うのに、自分はそんな彼女に気づく事すらなく、あろうことかその処女を奪ったのだ。 だが、今は罪悪感の一つさえ抱くことはなかった。 ただ、一言。 「気持ちよくなかった」 俺はただその一言のみを吐き捨てて、黒髪ロングの女と唇を重ねる。 金髪ボブの女がおちんぽを谷間に挟み、茶髪ミディアムの女が尻肉を割って顔を埋める。 黒髪ロングの女の手が胸板を這う感触を感じながら、俺は金髪ボブの顔に向けて精を放つ。 赤髪ショートの女のことなど忘れたかのように、俺は三人の女が齎す快楽に没入していった。 「Dランクに昇格、おめでとうございます!カーディフさん」 「はは、ありがとう、メアリちゃん。随分、時間掛かっちゃったけど」 ギルドの受付嬢メアリの弾けるような笑顔に照れ笑いを浮かべながら後頭部を掻く。 親の反対を押し切る形で故郷を出て、この辺境の町―――ロマリアにやってきて、ギルド《三頭の子犬》所属の冒険者となってから約半年。 漸く、ギルドの規定に定められたレベル、クエストクリア数に達し、新人冒険者を意味するE級から冒険者として一人前と認められるD級に昇格を果たしたのだ。 「そんなことないですよ。十分に凄いです♪」 「そ、そう?えへへ………」 褒められて悪い気はしない。 特に冒険者連中からの人気も高いメアリ嬢からの言葉とあれば猶の事だ。 「―――ところで、カーディフさん。今までお一人でクエストを受けていらっしゃいましたが、今後もそうされるおつもりですか?」 「え?う~ん……いや、実はちょっと迷っててね。俺は剣士だから、できれば後衛で戦える魔法使いか回復役として僧侶なんかを仲間にした方がいいのかなって。メアリちゃんはどう思う?」 「そうですねぇ。一人で行動されている冒険者の方も多くいらっしゃいますが、より上位のクエストを受けるのであればやはりパーティーは組んだ方が無難だとは思います」 頬に指を当て、可愛らしく小首を傾げながら俺の相談に答えてくれる。 それから少し恥ずかしそうに俯き、 「できれば、カーディフさんにはあまり危険な目に合ってほしくはないんです。それに、もっと上のランクに進めるだけの素質があると思いまして……」 「うぅ、メアリちゃん、なんてええ子やぁ。俺の心配までしてくれて……」 「と、当然です!カーディフさんは私にとっても大切な方なんですから」 「えっ、め、メアリちゃん!?そ、それって……」 意味深な言葉に、思わずどきりとしてしまう。 「冒険者さんがクエストを成功して、ギルドに手数料が入ってこないと私たちの給料も出ないんですから」 だが、メアリちゃんは受付嬢らしい完璧な笑顔で身も蓋もないことを言ってくれる。 「あはは。そりゃそうか……」 一瞬だけ舞い上がってしまった分気恥ずかしくもあったが、メアリちゃんの言う事は正しい。 苦笑を浮かべつつ、頷く。 「でも、うん、やっぱ、そうだよね。よし。じゃあ、ちょっと酒場に行ってよさそうな人がいないか探してみるよ」 「承知しました。ご存知かとは思いますが、パーティーを組む際にはギルドでのパーティー登録手続きが必要になりますので、お仲間が見つかったらお知らせください」 「了解♪」 笑顔で見送ってくれるメアリちゃんに軽く手を振りながらギルドを出て、俺は仲間探しのために酒場へと足を向けるのだった。 クエストの報酬に加え、ギルドからの昇給お祝い金も出ているので、今日は珍しく懐が温かい。 例え、仲間が見つからなくても、久々にうまい飯と酒が飲めれば十分。 俺の足取りは軽かった。 *** 酒場兼宿屋薄明の夜明け亭。 「おっちゃん、肉と酒をくれ」 カウンターに座り、大将に注文する。 血管の浮いた禿げ頭に、ごりごりの筋肉、太い眉毛に濃い口髭と子供だったら一目見て泣き出しそうな風貌の大将は眉をピクリと上げ、 「珍しいな」 「あぁ。漸く、昇格できたもんで」 「ほぉ。やっと一人前になったわけだ」 「そういう事」 「それで、祝いにうちに金を落としてくれようってか。ありがたいこって」 「そういう事、そういう事。あと、仲間も探してる」 「なるほど。一匹狼を廃業して、パーティーを組もうってか」 「そういう事」 「―――ふむ。お望みは?」 人の集まる酒場では、往々にして冒険者同士の斡旋業も営んでいる。 要望を尋ねてくる大将に、俺は先ほどメアリちゃんにしたのと同じ考えを伝える。 「後衛か……しかも、魔法使いか僧侶」 話を聞いて、大将の表情が曇る。 「いないか?」 「まぁ、どちらも人気だからな」 「そうだよな」 一匹狼でやってきた冒険者がパーティーを組もうと考えるなら、まず最初に仲間にしたいと思うのはやはり魔法使いや僧侶など後衛を任せられる職業の者になる。 「―――まぁ、のんびり探すさ。別に急いでるわけじゃない」 肩を竦めて言い、運ばれてきた酒を、喉を鳴らしながら半分飲み干し、肉に嚙り付く。 「まぁ、そうだな。誰かいいのが来たら紹介してやる。とりあえず、今日のところはゆっくりしていきな―――こいつは、俺からの祝いだ」 大将がそう言って煮込み料理を置いてくれる。 「ありがとう。そうさせてもらうよ」 会話を終え、大将は仕事に、俺は食事に取り掛かる。 ややあって。 「―――ねぇ、お兄さん」 と、俺に声をかけてくる者がいた。 「ん?……うおっ」 何気なく振り返って、思わず驚きの声を上げてしまう。 一言で言えば、バニーガールだった。 鮮やかなピンクの髪、ちょっとそこらでは見かけないほどの美貌。 特に、目元の泣きホクロが色っぽい。 だが、やはりバニーガールだった。 布面積が限りなく小さく、俺の頭ぐらいありそうな乳房の上半分も、綺麗なお腹も、くびれた腰も露になっている。 さらに、むっちりとした太ももを半ばまで包むニーハイソックスが作り出す絶対領域が目に眩しすぎる。 そして、頭の上には申し訳程度のウサギの耳。 やはり、どこからどう見てもバニーガールだった。 こんなボロい酒場には似つかわしくないようなとびっきりの美女。 しかも、何度も言うが、バニーガールだ。 「私に一杯奢ってくださらない?」 突然、目の前に華が咲いたかのようなバニーガールの登場に言葉を失う俺に、女がそんな事を言ってくる。 まるで、体中に絡みついてくるような甘ったるい声音だった。 「な、なんで俺が………」 目線が泳いでしまっているのを自覚する。 顔を見れば、ハッと驚くほどの美貌。 かといって胸元を見れば、あまりにも深い谷間に眩暈がするし、くびれた腰や太ももを見ていると思わず口中に涎が溢れてくる。 結局、俺は耳まで顔を真っ赤にしながら、正面を向いている事しかできなかった。 するり、と隣の席に女が座る。 グラスを握る俺の手に、女の指が絡みついてくる。 柔らかくて、細くて、傷一つない指。 (白魚の如き指ってのは、こういうのを言うんだろうな………) ゆっくりと手の甲を指が這いまわる。 それだけで、股間が熱くなってくる。 さらに、女がぐっと身を寄せてくる。 視界の端で、谷間がより深い峡谷を形作るのを確認して、ごくり、と喉が鳴る。 「―――お兄さん、羽振りがとってもよさそうだから❤」 耳元に顔を寄せ、熱い吐息とともに囁かれる。 ぞくぞくと背筋が震える様な囁き。 花の蜜のような甘い香り。 はっきりと、ズボンの中で硬くなっていく肉棒の滾りを感じる。 「―――わ、わかった。た、大将、この人にも酒を」 「エミリアよ、お兄さん❤……ふふ、ありがとう」 「偉い別嬪さんだな」 「あら、ありがとう♪」 女の格好に鼻の舌を伸ばしながら、大将が酒を置く。 そして、俺に向かって下手糞なウインク一つ。 気を利かせたつもりなのか、話が聞こえない位置に移動して、女に見えないように親指を立ててくる。 (余計なお世話だ………) 「あら。女が名乗ったのに、お兄さんはだんまりなの?」 「…。カーディフだ」 「家名じゃなくて」 「……。ライオネル」 「じゃ、ライちゃんね❤」 「ライって………」 「だって、ライオネルじゃ呼びにくいでしょう?……ほら、乾杯しましょ、ライちゃん❤」 すっかり女―――エミリアのペースに乗せられたまま、グラスの縁を合わせる。 エミリアがグラスに口をつける。 形のいい柔らかそうな唇が僅かに形を変えるのを見て、慌てて虚空に視線を逃がす。 「―――実は、さっきちょっと話を聞いちゃって」 「え?」 「仲間。探してるんでしょう?」 「………ああ」 「なら、私を仲間にしてみない?」 「………。はい?」 突然の、予想の斜め上を行く提案に、思わず間を開けてから聞き返す。 「お宝やドロップアイテムの獲得権は貴方にあげる。その代わり、毎日銀貨10枚を報酬で頂戴。どうかしら?」 「―――本気で言ってるのか?」 「当然」 呆れを多分に含んだ俺の言葉に臆することもなく、エミリアは大きく頷く。 「……。君は……」 俺は改めて、エミリアの外見を確認する。 頭のてっぺんから足元まで。 (改めて、凄い美人で物凄いスタイル………だけど) 「君は………バニーガールだろ?」 「そうよ。それ以外の何かに見える?」 「茶化すな。俺だって、自分で馬鹿な事を聞いてる自覚はある」 笑みを含んだ声音で聞き返してくるエミリアに憮然とした態度で酒を煽る。 「俺が言いたいのは、バニーガールに何ができるのかって話。実は攻撃魔法が使えるとか?」 「使えないわ」 「…。回復魔法は?」 「いいえ」 「補助系魔法」 「からきし」 「……。実は、無茶苦茶力持ち?」 「あら、こんなかよわい女性を捕まえて、それは失礼なんじゃないかしら」 「それはすま―――じゃなくて。じゃあ、一体何ができるのさ」 「そうね………貴方を癒してあげられる、かな」 「癒す………?」 「そう。例えば………」 エミリアの手が俺の太ももに置かれ、きわどい内ももを指先がくすぐってくる。 「ぅ………」 俺の耳元に顔を寄せ、吐息を吹きかけながら囁く。 「私の身体を見ておっきくなっちゃってる、おちんちん、とか❤」 「っ………」 囁きと同時に、耳をれろっと舐められ、太ももに置かれた手が股間に移動する。 股間に張ったテントが撫でられる快感に、背筋が震える。 エミリアがさらに身を寄せてきて、大きな胸が俺の肩に押し当てられ、ぐにゃりと歪む。 さらに、俺の右手を手に取ると、自身の股間に誘導し、むっちりとした太ももで挟み込む。 柔らかな肢体の感触を存分に感じさせられて。 甘い香りに包まれて。 心臓の鼓動がどんどん早くなり、撫でられる股間へと血を送り込んでいく。 ぐんぐんと硬さを増していく肉棒に、5本の指が絡みつき、ズボンの上からだと言うのに得も言われぬ快楽を紡いでいく。 「確かに、私には魔法使いや僧侶みたいなことはできない……で・も、魔法使いや僧侶にはできないようなことが、できるの❤」 心がぐらぐらと揺れていく。 「銀貨10枚………」 「そう❤たったそれだけ」 たったそれだけ、と言えるほど安価な金額ではない。 だけど、払えないほどの金額ではない。 絶妙な設定金額だと言えた。 「―――でも、そ、それだけなら」 「売春婦でも抱けばいいって?」 反論の言葉を先に言われて、言葉に詰まる。 「ふふ、それはどうかしら。考えてもみて。売春婦は町でしか抱けない。でも、クエストの間は何日も移動したり、ダンジョンに潜ったりしなきゃいけないでしょ?溜まり過ぎちゃって自分で慰めた経験、ライちゃんにもあるんじゃない?」 「そ、それは………」 「性欲が溜まり過ぎると判断も鈍っちゃうでしょう?実力のある冒険者が焦りで犯した思わぬミスで死んじゃうケース、結構あるじゃない?」 「確かに………」 「それに、もし性欲が溜まってる時に淫魔に遭遇しちゃったら?万事休す、でしょ?」 「うーん………」 エミリアの言う事は確かにあり得る。 だが、とてもレアケースであり、早々起こりうることではない。 しかし、エミリアの誘惑によって思考能力が鈍ってしまい、うまく考えが纏まらない。 「でも、仲間ならその間もずうっと一緒に行動しているのよ?この意味、ライちゃんならわかるわよね?私なら―――いつでも❤どこでも❤移動中でも❤ダンジョンの中でも❤ライちゃんが気持ちよ~く、癒されたい時に、癒してあげることができるのよ❤」 「う………」 ズボンの上から、玉袋を擽られる。 「ここに悪いものが溜まっちゃったらすぐにぴゅっぴゅって❤……ふふ、むしろここに溜まる前に、ぴゅっぴゅってしちゃうこともできるのよ❤」 甘い甘い誘惑の言葉に、淫らな想像が広がる。 移動の馬車の中で。 泉で水浴びをしながら。 野営している時も。 ダンジョンの中でさえ。 いつでも、どこでも………。 ぴちゃぴちゃと耳がしゃぶられる。 「いつでも❤どこでも❤」 しゃぶられながら囁かれ、まるで頭の中まで侵されているような気分になってくる。 「いつでも……どこでも……」 「そう。しかも、たった銀貨10枚で❤」 「銀貨10枚………」 「高くないでしょう?❤」 「高く……ない……」 売春婦の場合、当たりはずれもある。 だが、エミリアの場合―――。 改めて、彼女の顔を見る。 その美貌に鼓動が高鳴る。 そして、この魅惑の身体。 この美貌を、この身体を、一日当たり銀貨10枚で自由にできるなら、確かに悪くはない話だ。 かりかりと肉棒の先端部分をズボンの上から刺激され、射精感が込み上げてくる。 「―――とはいえ、初めての仲間選びだもの。ライちゃんが慎重になるのもわかるわ。だから、こうしましょう?」 このまま粘られたら、きっと俺は承知してしまっていただろう。 だが、エミリアはさらにきつく俺を抱きしめる。 どこまでもどこまでも、その柔らかな体に沈んでいってしまいそうな幸福感にも似た感覚を覚えながら、エミリアの提案に耳を傾ける。 「私、今日ここに部屋を取ってあるの❤」 どくん、と鼓動が大きく脈打つ。 「だから、私の癒し……試してみない?❤仲間にするかどうか、それから決めてくれればいいから❤……ね?❤❤」 「う………」 「こうやってズボンの上から触れられているだけじゃもどかしいでしょう?直接しこしこってシテあげる♪」 エミリアの甘美な囁きが脳裏にこだまする。 この綺麗な手で握られ、扱かれたらきっと物凄く気持ちいいだろう。 「手だけじゃないわよ。この唇で、全身にキスマークをつけてあげる❤ぶちゅぶちゅって❤全身を舐めて、唾液塗れにするのもいいかも♪れろれろぉ、ぺろぺろぉって❤貴方が何度も盗み見てるおっぱいで包んであげたら、喜んでくれるかしら。顔でも、おちんちんでも、蕩けさせてあげる。ぱふぱふ❤もちゅもちゅ❤貴方の手を挟んでる太もも、滑々で気持ちいいでしょう?ここにおちんちん挟んだら、気持ちよさそうだと思わない?スリスリって❤それともやっぱり、おまんこがいいかな♪私のトロトロのおまんこに、ライちゃんのギンギンに勃起したおちんぽをずっぽり嵌めて、パコパコって❤そして、私の一番奥に、ライちゃんの濃~い精液をどびゅどびゅって注ぐの❤」 エミリアの囁きによって、脳内に次々に映像が浮かぶ。 ありとあらゆる奉仕を受け、情けない顔で射精を繰り返す自分の姿。 「しこしこ❤ぶちゅぶちゅ❤れろれろ❤ぺろぺろ❤ぱふぱふ❤もちゅもちゅ❤スリスリ❤パコパコ❤どぴゅどぴゅ❤」 厭らしく囁かれる度、次々に浮かんでは消えていく妄想。 頭の中がどんどん淫らな妄想に埋め尽され、理性が溶けて崩れていく。 ズボンに、我慢汁の染みが広がっていく。 「………ね?試してみない?今日一晩だけ❤」 顔を覗き込んでくるエミリアの笑顔。 その、あまりにも魅惑的すぎる提案を断る理由など、俺にあろうはずもなかった。 *** 冒険者ギルド《三頭の子犬》に勤める受付嬢メアリにとって、冒険者カーディフは単なる冒険者ではなく、秘かに想いを寄せる相手でもあった。 他の荒くれ者とはどことなく違い、そこはかとなく漂う気品のようなもの。 人当たりもよく、仕事も熱心。 困っている人を放っておけない性質で、報酬の悪いクエストでも頼まれれば嫌とは言えない。 そのせいで、Dランクへの昇格は他の冒険者に少し遅れを取ってしまったが、依頼人からの評判も良く、最近では彼指名で入るクエストも少なくない。 新人冒険者としては異例の事だ。 それだけに、彼のDランク昇格は自分の事のように嬉しかった。 嬉しさのあまり家でも彼の話をしてしまい、普段仕事の話をしないことから妙な勘繰りまで受けてしまった。 言動の端々から、彼が自分に対して好意を抱いてくれている事も何となく感じていた。 もし、彼が告白してくれたら。 そんな妄想に頬を朱く染めたことも一度や二度ではない。 きっと将来は、このギルドを背負って立つような冒険者になってくれるのではないか。 そんな期待も込め、仲間を募ってパーティーを組むように奨めたのだ。 だから。 「おはよう、メアリちゃん。パーティー登録手続きをお願いしたいんだけど」 「は、はい………」 ギルドへとやってきたカーディフを見て、思わず頬が引き攣ってしまった。 いつもの精悍な顔つきとはまるで違う、腑抜けきったにやけ顔。 その腕に自身の腕を巻き付け、豊満な胸を押し当て、ぴったりと寄り添うバニーガール。 「えっと………」 あまりにも予想の斜め上を行く展開に、頭がついて行かない。 「パーティー登録………ですか?」 「うん。彼女……エミリアとパーティーを組みたいんだ」 「そう……ですか……では、こちらの書類に必要事項の記入を……」 淡々と事務作業を進めながら、心の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。 記入内容を確認していく。 見た目に反して、実は魔法使いや僧侶なのではないかという淡い期待は、職業欄に書かれた【バニーガール】の文字に崩壊していった。 「それでは宣誓を行います。冒険者の証を掲げてください」 メアリの指示に従って、二人が冒険者の証を掲げる。 「それでは、復唱してください。まずはカーディフさん。我、パーティーのリーダーとして、仲間を信じ、その声に耳を傾け、己の全知全能を用い、パーティーを良き方向へと導くことを誓う」 「我、パーティーのリーダーとして、仲間を信じ、その声に耳を傾け、己の全知全能を用い、パーティーを良き方向へと導くことを誓う」 「はい。次に、エミリアさん。我、パーティーの一員として、リーダーを信じ、その声を頼りとし、己の全知全能を用い、パーティーに貢献することを誓う」 「我、パーティーの一員として、リーダーを信じ、その声を頼りとし、己の全知全能を用い、パーティーに貢献することを誓う」 「―――これで登録手続き完了です」 「これからよろしくね、ライちゃん❤」 ギルドと言う人の多い場所で、白昼堂々と、エミリアとかいうバニーガールがカーディフの頬にキスをする。 「ああ、よろしくな、エミリア」 頬にキスを受け、だらしなく表情を崩すカーディフ。 メアリは自身の中で、カーディフに対する恋慕の情が失望へと変わっていくのを確かに感じていた。 *** エミリアと出会った日、俺は“お試し”と称してエミリアに散々犯され、その身体と卓越した性技の虜となった。 一体自分が、どれほど射精したのかも覚えていない。 部屋に入った途端に抱きしめられ、キスをし、彼女の圧倒的な技巧に骨抜きにされた俺は服をはぎ取られ、ベッドに押し倒された。 ベロチューをしながら手コキをされて射精。 胸の谷間に顔を埋めさせられながら、太ももに挟まれて射精。 乳首を愛撫されながらフェラチオで射精。 パイズリで射精。 パイフェラで射精。 玉袋をしゃぶられながらの手コキで射精。 そして、彼女の膣に挿入してからは抜かずの三連射。 その辺りまでは覚えている。 だが、その先の記憶がない。 次の記憶は朝起きた時。俺の肉棒は彼女の口中にあった。 そのままフェラとパイズリで2度ずつ射精させられた後、彼女はこう尋ねてきたのだ。 「私の事、仲間にしてくれる?」 断れるはずもなかった。 俺が頷くと、彼女は、 「嬉しい♪」 と笑って、再び俺の肉棒を咥え込んだ。 そのまま、2連射。 たぶん、気を失っていたのだろう。 次に目覚めてから、二人でギルドに出かけて行ってパーティー登録の手続きをした。 応対をしてくれたのはメアリちゃんだったろうか。 彼女がどんな顔をしていたか、なぜか思い出せない。 でもたぶん、いつも通り可愛らしい笑顔を浮かべてくれていたのではないだろうか。 無事に手続きを終えた後、《薄明の夜明け亭》に戻り、パーティー結成のお祝いと称して飲み、食べた。 夜も更けてから、大将に冷やかされながら部屋に戻り、再び僕たちは身体を重ねた。 パイズリで。 或いは、彼女の膣で。 何度も何度も、精を放った。 次の日、ギルドに行ってクエストを探そうと提案する俺の頭を乳房でぱふぱふしながら、彼女は頷いた。 「そうね。クエストを受注しなくちゃね。でも、おちんちん、こんなに大きくしてたら大変でしょう?一発抜いて、すっきりしてからにしましょう❤」 俺はその提案に乗り、夜までパコパコと腰を振ってしまっていた。 次の日、今日こそはギルドに行こう、と決意していた俺だったが、彼女からの、 「お尻でもしてみる?」 と言う誘惑にあっさりと屈し、ぎゅうぎゅうと強く締め付けてくる絶妙な快楽の前に何度も何度も精を放つ事となった。 次の日、今日こそはギルドに、と言う俺の決意は、エミリアの太ももで責められて呆気なく雲散霧消した。むっちりとした太ももで窒息寸前まで顔を挟まれたり、弾力ある肌に亀頭を擦り付けたり、膝裏で扱かれたり、ニーハイと太ももの間に肉棒を挿入して腰を振りまくったりして、射精しまくった。 その次の日は、一日中乳首を開発された。 最後には、乳首を責められただけでがくがくと絶頂してしまうようになった。 その次の日は、髪コキだった。 綺麗で滑らかで、とてもいい匂いのする髪の毛が全身に絡みつき、何が何だかわからないまま精を放ち続けた。 その次の日は、キス責めだった。 全身ありとあらゆるところに、キスマークをつけられた。 その次の日、ギルドに全然顔を出さない俺を心配してくれたメアリちゃんが様子を見に来てくれた。 だけど、昨日のキスマークが全身につけられている状態で、彼女に会う訳にもいかなかった。 そう言い訳をしながら、俺は快楽に溺れていった。 僕に代わって、エミリアがメアリちゃんと話したようだったが、二人の間でどんな会話が為されたのかは知らない。 だが、この日以降、メアリちゃんがやってくることはなかった。 その次の日、彼女はローションを持ち出してきた。 ぬるぬるの身体を重ね、一日中、ベッドをぎしぎしと言わせていた。 その次の日、ちょっと趣向を変えてみよう、という彼女の提案で、俺は彼女に踏まれる事となった。 形のいい足指に挟まれて扱かれて。 ぐりぐりと踏まれて。 これまでに感じたことのない高揚感に、俺はエミリアの足を白く汚しまくった。 彼女の事を様付けと呼ぶと、とても興奮した。 その次の日、ひたすら一日中、アナルを開発された。 じっくりと皺を伸ばされ、ローションを垂らされ、指を入れられ、やがて張り型を挿入されて。 茜色の光が部屋に差し込む頃、俺はアナルだけで逝けるようになっていた。 その次の日、ぬるぬる、ぐちゅぐちゅのオナホで、俺は絞られまくった。 その次の日、エミリアは俺に、ひたすら「好き」と言う言葉を求めてきた。好きと言う言葉を口にする度に、ペニスを扱いてもらえる。連呼すればするほど激しく。 日が暮れる頃には、俺の心にはしっかりとエミリアへの恋情が刻み込まれていた。 その次の日、一日中、ちゅうちゅうとエミリアのおっぱいを吸った。 無論、お乳など出ない。 ちゅうちゅう、れろれろ、ちゅぱちゅぱとおっぱいを吸う。 エミリアは俺の肉棒を扱き、射精させてくる。 授乳手コキで、俺から精を搾り取りながら、エミリアは自分の事を「ママ」と呼ぶよう要求してきた。 ママと呼ぶ度、気持ちよくしてもらえる。 俺は、本当の母親にもした事がないほど、エミリアに甘えまくった。 その次の日、ベッドに縛られ、射精を禁止させられた。 「エミリア様」と懇願しても。 「好き」と言っても。 「ママ」と呼んでも。 一切、射精させてもらえなかった。 その次の日も、その次の日も、その次の日も。 ローション塗れにされた身体を、ぬるぬるとエミリアの手や舌、胸、足、髪が這う。 その感触に悶えながらも、決して射精させてもらえない日が続いた。 そして、今日。 「ふぅーっ❤……ふぅーっ❤……」 ベッドの上で縛られ、散々焦らされた俺は、血走った目で、エミリアに射精を懇願していた。 しかし、猿轡のせいで、懇願は言葉にはならなかった。 「ライちゃん……これ見て……」 エミリアが持ち出してきたのは、俺の財布。 エミリアがそれを逆さにして、中身を振る。 中身は空。 当然だろう。 エミリアを仲間にしてから、一度もクエストを受けていない。 にもかかわらず、エミリアには毎日銀貨10枚の報酬を支払っているのだ。 宿への支払いもある。 食事代もある。 収入がない中で、こんな生活を続けていれば、早晩お金が尽きることは予想できた。 これまで受けてきたクエストを通じてコツコツと貯金してきたお金も、Dランクへの昇格祝い金としてギルドから支給されたお金も、遂に底を突いてしまったのだ。 「どうしようか、ライちゃん。何かいい考えはないかしら?」 エミリアが猿轡を外す。 「はぁ、はぁ……だ、だから、クエストを受ければ……あひぃっ❤❤」 根元を縛られ、射精を禁じられ、とろとろと我慢汁を流し続ける肉棒を、つぅーっとエミリアが撫で上げる。 「私、バニーガールだから。そういうのできないの❤」 「な、何を……今更……んひゃぁっ❤❤」 すっかり開発され、もはやそれだけでも絶頂に達してしまえるようになった乳首を弾かれて、情けない声が漏れる。 頭の中で閃光が瞬き、危険な脳内麻薬が分泌される。 だが、それでも射精には至らない。 「だ、だったら……お、俺、だけでも……おふぉ❤」 すっかり開発され、性感帯と化したアナルに指が侵入してきて、ぐりぐりとかき回される。 舌を突き出し、半ば白目を剥きながら喘ぎ声をあげることを強制される。 頭が沸騰しそうなほどの射精衝動に襲われながら、噴き上がろうとする精液が肉棒の根元を縛る紐によって無理やり堰き止められる。 その苦しさに、目尻から涙が零れ落ちていく。 「だぁめ❤私、ライちゃんと離れたくないの。ライちゃんはママの事嫌い?」 「しゅきっ、ママの事、しゅきぃっ❤❤」 反射的に返事をする。 どろり、と頭の中で何かが溶け出す感覚。 「嬉しい❤ママも、ライちゃんの事好きよ❤」 「えへへ❤んっ、ぅんっ、ぁぁっ❤❤」 エミリアに好きと一言囁かれるだけで、どうしようもない幸福感が頭の中一杯に広がっていく。 涙は乾き、自然と笑みが零れる。 「じゃあ、ライちゃん。こういうのはどうかしら❤」 エミリアが添い寝するような形で横たわり、くるり、くるりと乳輪に指を這わせながら耳元に顔を寄せる。 「んっ❤ふぁっ❤あ、あぁっ❤……な、なに……?」 「御実家にお願いしてみるの❤」 「っ………」 「いい考えだと思わない?ライオネル侯爵家のお坊ちゃま❤」 「な、なんでそれを………」 ショックのあまり、僅かに正気を取り戻し、思わず声が震える。 親の反対を押し切って、この辺境の町にやってきて冒険者となって半年。 俺の身分や家の事を気づかれたことなど一度もなかったのだ。 「ふふ❤……ま、いろいろ情報網があって❤うちのギルド、そういうの調べるの得意なの」 「ぎ、ギルド……」 そういえば、エミリアが冒険者であることはその証を持っている事からわかっていたが、どこのギルド所属であるのかまでは確認していなかった。 改めて、エミリアが冒険者の証を掲げて見せる。 「改めまして。ギルド《白鳥亭》所属のエミリアよ❤」 「ギルド《白鳥亭》………」 聞いたことのあるギルドだった。 サキュバスがギルドマスターをしているとか。 あちこちで、駆け出し冒険者を襲っては身包みどころかレベルドレインで経験値さえ奪っているとか。 あまり良い噂を聞かないギルドだった。 「ね。困った時の実家頼み♪きっと援助してくれるわ」 「そんな事……」 「御実家にお願いしてくれたら……逝かせてあげる❤」 「ぅ………」 至近距離から、エミリアに見つめられる。 ゆっくりと俺の身体を跨ぎ、我慢汁を垂れ流す肉棒に股間を擦り付ける。 射精したいという欲求が膨れ上がっていく。 「私の中にどぴゅどぴゅって………金玉に溜まっているもの、全部出したいでしょ?❤❤」 耐えられるはずもなかった。 「わかった、わかったから……ぁぁ……逝かせてぇ❤❤」 「ふふ、ありがと、ライちゃん❤」 エミリアが紙とペンを持ってくる。 ぬるぬると肉棒を扱かれ、耳たぶをしゃぶられながら、囁かれるままに文言を紡いでいく。 手紙が完成した後、漸く拘束が解かれ、数日ぶりの精を思う存分エミリアの中に注ぎ来んだ。 数日後、実家からの援助が届いた。 お金と、手紙。 冒険者になる時には、あれほど反対していた癖に。 勘当だ、とまで口走っていたのに。 手紙には、子の身を案じる当たり前の親らしい言葉が連ねられていて。 その手紙をエミリアが読み上げてくれる。 聴いているうちに、涙が込み上げてきた。 ああ、俺はいったい何をやってるんだろう。 情けなくて。 申し訳なくて。 それでも、もう俺はエミリアの齎す快楽に逆らうことなどできなくて。 エミリアが少し腰を動かすだけで、俺は喘ぎ声をあげ、その中に精を注いでしまう。 「素敵なご両親❤」 エミリアが手紙を折り畳み、俺と唇を重ねる。 涙を流しながら―――俺は、エミリアを抱きしめ、その最奥に精を放ち続けるのだった。 冒険者としての夢は潰えた、のかもしれない。 親からの仕送りを、すべてエミリアに捧げながら、ただただ快楽を享受する怠惰で堕落した日々。 徐々に、俺はその生活に満足感を抱きつつあった。 もし、こんな俺が後輩冒険者たちに送れるアドバイスがあるとすれば唯一つ。 《仲間選びは慎重に》 月下美人 学校の七不思議と言えば、トイレの花子さんだったり、歩く二宮金次郎だったり、喋るベートーベンだったりと、どこの高校にでもあるありきたりな怪談話だろう。 それは僕―――高月浩太の通う私立ヴェイン学園にも、やはり存在する。 だけど、よほどのオカルトマニアでない限り、普段の学校生活の中で七不思議を意識することなどないのではないだろうか。 この国でも有数の財閥であるヴェイン・グループの将来を担う優秀な人材を育成することを教育理念とするこの学園において、日々胃を握りつぶされるようなプレッシャーにさらされている僕は勿論、オカルトマニアではない。 残念ながら昨日の小テストに合格する事が出来なかった僕は、補修を受けるために貴重な休日を返上して学園に登校してくる羽目になった。 再テストに挑むこと実に5回目にして何とか合格点を出すことができ、漸く教室から解放された訳だが、辺りはすっかり夕陽色に染め上げられてしまっている。 早急に帰宅し、明日の予習に励まなければならない。 そう思い、人気のない廊下を足早に進んでいた時、ふと七不思議の事を思い出したのだ。 ―――《月下美人》と呼ばれている七不思議の事を。 満月の日の夕方、人気のない廊下を歩いていると、ふととある香りに気づく。 甘くて上品、優美で濃厚な香り。 その香りに誘われるまま、近くの教室を開けると、そこには絶世の美女がおり、エッチなお願いを何でも叶えてくれる―――。 そんな、思考のほとんどを性欲に占められた男子生徒の妄想としか言いようのない下らない与太話。 どうしてそんな七不思議の事が脳裏を掠めたのかと言えば、感じたからだ。 とても甘くて、上品で、優美で、濃厚な香りを―――。 ごくり、と思わず生唾を飲み込む音が無人の廊下に響く。 どくんどくん、と心臓が高鳴る。 感じているのは恐怖心か、好奇心か、それとも期待だったろうか。 香りは右手の教室から漂ってくるようだ。 (きっと、七不思議をネタにしたイタズラだろう………) 淫らな欲望に期待を膨らませながら扉を開ければ、浴びるのは嘲笑。 スケベの烙印を押され、今後の学園生活を肩身狭く暮らさなければならなくなる。 いや、もっとひどい事になるかもしれない。 ただでさえこの学園には、人を陥穽に堕とし、支配しようとする輩が多すぎるのだ。 社会人として生きるには、他者を蹴落とすことも必要。 その為に、蹴落とす術も蹴落とされない術も、蹴落とされたとしても這いあがる術も学ぶ必要がある。 この学園の初代生徒会長・佐伯真央という女生徒が提唱したそんな考えを、学園側も推奨しているというのだから世も末だ。 とはいっても、そんな何年も前の卒業生を恨んでも仕方がない。 とても健全とは思えないが、それがルールならば従うしかないのだから。 つまり、罠の可能性を考慮するのであれば、何も気づかずに通り過ぎるのが正しい判断というものだろう。 無用なリスクは可能な限り回避する、それも生き残るための立派な知恵というものなのだから。 このまま帰って、いつものように好きな人の事を―――片思いに胸を焦がしているあの人の事を思いながら自慰に耽る。 そうやってすっきりしてから、明日の予習に励むのだ。 いつものように。昨日までと同じように。 そこで、どくんっ、と心臓が大きく跳ねた。 (この教室………) 気付いてしまった。 香りが漂ってくるこの教室が、あの人の教室だという事に。 (絶世の美女………) 自分より1個上の学年であるこの教室の生徒を全員見知っているわけではない。 だけれども、今、脳裏に思い浮かべた言葉に、きっとあの人以上に相応しい生徒は居ないのではないだろうか。 そう思った時にはもう―――手が扉にかかっていた。 さして力を入れたわけでもないのに、横開きの扉が滑らかにスライドしていく。 隙間から、さらに濃くなった香りが溢れ出し、鼻腔をくすぐり、鼓動がどうしようもなく高鳴っていく。 教室の中を覗き込んで―――僕ははっ、と息を飲み込み、硬直してしまった。 まるで一幅の絵画のような、美しい光景だと思った。 一人の女生徒が、窓枠に寄りかかって外を眺めている。 開け放たれた窓。 風に翻るカーテン。 射し込む夕陽。 彼女の前にある机に置かれた花瓶。 白く、大きなつぼみを持つ花。 花は咲いていないが、きっと咲けばとても美しい花だろうと容易に想像がつく。 花の名前なんて全く詳しくはないけれど、この花の名前は直感的にわかった。 (月下美人………) このシチュエーションに相応しい花はそれ以外に考えられなかった。 そして―――。 窓枠に寄りかかっていた女生徒がゆっくりとこちらを振り返った。 「姫月…先輩……」 肩の辺りで切り揃えたさらさらの黒髪。 シミ一つなく、輝くような肌。 白くて柔らかそうな頬。 大きくて綺麗な色をした瞳。 可愛らしい唇。 穏やかな微笑み。 女神。天使。聖母。妖精。精霊。 どんな表現でも言い表せないような、可愛さ、美しさ。 頭脳明晰、運動神経抜群、誰にでも分け隔てなく接し、誰をも癒す、まさに絶世の美女という表現にもっとも相応しい女性。 そして―――僕の、初恋の人。 「こんにちは。2年生?」 微かに小首を傾げながら、姫月先輩が聞いてくる。 天上の鈴のような可憐な声。 「は、はい。2年の高月浩太と言います!」 勢い込んで名乗る。 入学式の日に見かけた瞬間、月並みな表現だが、まさに電撃を浴びたが如く恋に落ちた僕だったが、言葉を交わしたことなど一度もない。 いつも、遠くから目で追っていた。 そして―――自慰をする時には、いつも彼女の事を思い描いていた。 可憐な容姿とは裏腹に、制服の上からでもわかる豊満な胸やきゅっと引き締まった腰、スカートから伸びる健康的な脚線美まで、どんな名建築家でも表現しえないのではないかと思うほど完璧な肢体を、己の欲望で汚す様を、何百回も妄想してきた。 「そっか。高月君」 その唇から自分の名前が発せられただけで、どうしようもなく幸福感を感じてしまう。 だが、確かめねばならない。 肯定してほしいのか、否定してほしいのか、それすらもわからないままに。 僕は質問を口にする。 「その、姫月先輩が………《月下美人》………なんですか?」 唇が渇き、喉がひりひりする。 呼吸すらも忘れて、先輩の答えを待つ。 先輩はなんとも言えない表情のまま、窓の傍を離れ、僕のすぐ近くにまでやってくる。 手を伸ばせば届きそうな位置に、恋焦がれる相手がいる。 緊張と興奮で、頭がどうにかなりそうだった。 「ふふ♪」 そんな僕の様子がおかしかったのか、先輩は微かに笑みを零し、 「そう。私が《月下美人》だよ♪」 楽しそうな声音で肯定した。 「そ、そう、なんですね………」 頬が引きつるのを感じながら、ぎこちなく声を発する。 「それで―――」 先輩がかすかに目を伏せる。 長いまつげが悩ましい。 と、思ったら上目遣いに見上げられる。 あざとい仕草だとわかってはいても、抗う事も出来ずに可愛いと思ってしまう。 「高月君は………どうして欲しいのかな?」 ―――《月下美人》は、エッチなお願いを何でも叶えてくれる。 そんなくだらない男子生徒の妄想だとしか思っていなかった状況に突然、何の心の準備もないままに放り込まれて、僕はもう、正気を失っていたのだろう。 「す、好きです!」 「ほえ?」 突然の告白に、先輩も目を丸くする。 「入学した日から、ずっと!ずっと、好きでしたっ!ぼ、僕とっ、付き合ってもらえませんか!」 どもりながら、勢いに任せて告白する。 驚いていた先輩は、やがて穏やかな微笑みを浮かべる。 「ありがと。でも、いいの?私は《月下美人》だよ?…高月君が好きになってくれた私は、本当の私ではないんだよ?それでも―――」 「それでも好きです!」 先輩の言葉を遮るように、大きな声を出す。 「確かにびっくりしましたっ、で、でも、僕、やっぱり、先輩の事が好きなんですっ。こんなに誰かを好きになったのは先輩が初めてで、きっとこれから先もありません。だから―――」 「そっか」 ちょっとだけ困ったような、嬉しいような複雑な陰影の微笑を浮かべて頷いた先輩が、そっと両手で僕の頬に触れる。 柔らかくてすべすべで、ちょっとひんやりとした手。 そして、先輩の顔が近づいてきて―――。 僕の唇と静かに重ねられる。 優しく、一瞬のキス。 唇を離した先輩が、優しく微笑む。 「いいよ、高月君。そのお願い、《月下美人》が叶えてあげる」 驚きに硬直している僕が何か反応を示すよりも早く、再び唇が奪われる。 柔らかな唇の感触。 (キスをしている……のか………僕が、姫月先輩と………?) 「高月君、キスは初めて?」 「は……い……」 「そっか。ふふ、それにしても緊張しすぎ。ほら、座って」 促されるまま、近くの席まで引っ張っていかれ、椅子に座る。 零れ落ちる髪を耳に掛けながら、先輩が再び僕の唇に、自身のそれを重ねる。 鳥が啄むような優しい口づけが何度も何度も繰り返される。 徐々に緊張が解れていくにつれ、僕の鼓動はどんどん早くなっていく。 考えれば考えるほど、この状況が現実のものとは思えなくなってくる。 もしかしたら、これは自分の妄想なのではないか。 勉強の途中で寝落ちしてしまって夢でも見ているのではないだろうか。 そんな気さえしてくる。 「口、開けて」 優しく囁かれるまま口を開く。 上から覆いかぶさるように重ねられた唇から、桜色の舌が伸ばされてきて、甘い唾液と共に僕の口内に入り込んでくる。 (凄く……甘い……) こくり、と唾を飲み込む。 かっ、と全身が熱くなっていく。 (夢なら……どうかこのまま…醒めないで欲しい……) 思わずそんなことを願いながら、僕の方からも積極的に舌を絡めていく。 二人しかいない教室に、ちゅぱっちゅぱっと厭らしい音が響く。 僕の緊張を解そうとするかのように、先輩の手が穏やかに僕の体を撫でてくれる。 撫でられたところから、まるで魔法のようにどんどん力が抜けていく。 「―――んんっ!」 びくん、と身体が跳ねる。 いつの間にかシャツのボタンが外されて、先輩の手が隙間から入り込んで僕の胸板を撫でまわしている。 ひんやりとした手がとても心地いい。 乳首を撫でられて、ぴくん、と身体が震える。 (もう、いいや………) どうして、姫月先輩が《月下美人》なのか、とか。 もしかしたら、これはやっぱり罠なのではないだろうか、とか。 帰って明日の予習をしなくちゃだとか。 そんな事、もうどうでもいい。 ただ、今、姫月先輩と触れ合っている。 それだけが、何よりも大事だった。 姫月先輩の唇が離れると銀色の橋が架かった。 「はぁはぁ……先輩、好きです……」 「ふふ、ありがと♪」 溢れ出す思いが、自然と言葉となって口から零れ落ちる。 その言葉を、先輩は優しく掬い取って微笑んでくれる。 その綺麗な手が、ズボンの上から股間を撫でまわしてくる。 「固くなってる♪」 嬉しそうに囁かれて、頬が熱くなる。 チャックが下ろされ、中にひんやりとした手が入ってきて、パンツの中から僕のおちんちんを優しく掴みだす。 「先輩……恥ずかしい……」 「ふふ、可愛い。でも、おちんちんはとても立派だよ。固くて、熱くて、びくんびくんって震えてる」 姫月先輩が膝立ちになって、僕のおちんちんに顔を近づける。 くんくんと形のいい鼻をひくつかせながら、匂いを確かめる。 「エッチな匂い。ね、高月君。もしかして、普段オナニーする時は私をおかずにしてくれていたりするの?」 「そっ、それはっ………」 如実に動揺する僕の様子は言葉よりも遥かに雄弁な答えとなっていた。 「ふふっ、そーなんだ。嬉しい♪ありがと」 「い、いえっ………」 世の中の女性は、自分がおかずになっていると聞いて嬉しいと感じるものなのだろうか。 それとも、姫月先輩がやはり特殊なのか。 「高月君の妄想の中で、私は君に何をしてあげているのかな?」 おちんちんに鼻が触れそうなほどの距離から上目遣いに見つめられて、全身の血が沸騰しそうなほどの羞恥心に襲われる。 「どうせなら、高月君が一番好きな方法で、気持ちよくしてあげたいの。だから、ね?教えて?」 子どもに優しく言い聞かせるような微笑みを浮かべる姫月先輩。 「手で扱いているのかな?」 勿論、これまでに何十回も、妄想の中で姫月先輩の綺麗な手を汚してきた。 「舐めてほしい?咥えて、しゃぶってほしい?」 姫月先輩の小さくて可愛らしい口におちんちんをねじ込んで、喉奥一杯に白濁液をぶちまける。 やはり、何度も何度も脳裏に思い描いた光景だった。 「ちょっとマイナーかもだけど、踏まれたい、とか?」 答えられない。 だが、この場合の無言は肯定と同義だ。 「ふふ、ヘンタイさん」 笑みを浮かべたまま、悪戯っぽく囁く。 どくん、と心臓が跳ねる。 「でも、やっぱり………おっぱいかな?」 びくん。 そのワードが、可憐な声で囁かれた途端、おちんちんが大きく跳ねてしまった。 「正解みたいだね♪やっぱり、男の子はみんなおっぱいが好きなんだね」 これまでに、何百回も思い描いてきた妄想。 その中でも一番多かったのが、おっぱいに包まれて射精するシーンだった。 どの部位を切り取っても可愛いとさえ思える姫月先輩だったが、その中でも大きなおっぱいは特に魅力的だった。 「じゃあ、おっぱいでしてあげるね♪」 何度も妄想してきた光景。 それが実現する。 興奮で、頭がどうにかなってしまいそうだ。 姫月先輩が、ブラウスの第四ボタンを外す。 深く、魅惑的な胸の谷間が眼前に広がる。 「っ………」 視線が吸い寄せられ、思わず呼吸も忘れてしまう。 さらに、第五ボタンを外すと、もはやブラウスでは乳房を服の中に押しとどめておく事が出来ず、溢れ出てくる。 ぷよんっ。 聞えるはずもない、そんな擬音が脳裏に鳴り響く。 「高月君。さ、入れていいよ♪」 「っ………」 ブラウスによる圧迫で、より深さが強調される谷間。 その谷間に、おちんちんを挿入する、着衣ぱいずり。 (こんなの、どんだけ気持ちいいんだっ………) 膨れ上がる期待の中に、僅かばかりの恐怖心さえ芽生える。 だが、おちんちんは素直なもので、さらに血流が流れ込み、固さを増していく。 荒く呼吸を繰り返しながら、ひじ掛けを掴んで腰を浮かべ、おちんちんを魅惑の谷間に近づけていく。 先端が、姫月先輩の乳房に触れる。 「うっ………」 すべすべで、柔らかくて、温かくて。 肌の感触だけで腰が砕けそうになる。 「頑張って♪」 微笑と共に応援の言葉をかけられて、ぐっと手と腰に力を込める。 「い、いきます………!」 「うん」 意を決して、ぐいっと谷間の中心めがけて腰を突き出す。 むにゅにゅにゅにゅぅぅぅぅ………。 「かっ、はぁっ………」 もっちりと絡みついてくる乳肉をかき分けて進む感触は筆舌に尽くしがたい。 絞り出した音は言葉にならず、肺の中の空気が自然と漏れだしていく。 (な、なんだこれっ………) 今まで、何度も何度も妄想してきた。 おっぱいとは、どんな感触なのだろうか、と。 走る車の窓から手を出して受ける風圧がおっぱいに近いというから確かめてみたこともある。 太っている友人の胸を揉んでみたこともあるし、膨らませたほっぺを一生懸命揉んだこともある。 だけれども、そのいずれとも全く違っていた。 言葉にするならば、柔らかくて温かくて気持ちいい。 だけど、その感触はそのような言語表現だけではとても表現しえないものだった。 天国。極楽。桃源郷。 もう一生、このままでいたい。 「ふふ、どう?おっぱい」 「き、気持ちいいれすぅぅぅ………」 全身の筋肉という筋肉が弛緩していく。 「良かった♪……でも、まだ入れただけだよ?」 「ふぇ?」 「気持ちよくなるのは、まだまだこれからって事♪」 姫月先輩が、おっぱいを両側から圧迫し始める。 もにゅぅぅぅぅっ………。 「あっ、あぁっ、ふあぁぁぁっ………」 圧力が高まるにつれて、谷間でおちんちんが押しつぶされていく。 まるでこのまま溶けてなくなってしまうのではないかと錯覚する。 おっぱいがどんどん形を変えていく。 だというのに、痛みなどまるでない。 感じるのは、途轍もないほどの快楽。 口を閉じておくことさえできず、涎が溢れ出す。 「力を入れて、抜いて、入れて~、抜いて~」 先輩が楽しそうに囁きながら、圧迫する力を入れたり、抜いたりする。 それによっておっぱいの感触が刻一刻と変化し、齎される快楽もまたどんどん複雑なものになっていく。 もにゅっ。ふにゅっ。もにゅっ。ふにゅっ。 まるで、おっぱいに食べられているような。 おちんちんの先端から、どんどん我慢汁が溢れ出していくのがわかる。 それがまた、潤滑油となっておっぱいの感触を変貌させていく。 もちゅっ。ずにゅっ。もちゅっ。ずにゅっ。 先輩が手の動きを変化させ、まるで円を描くように、互い違いに動かす。 感触の変化が更なる快楽を齎していく。 みちゅっ。ぱちゅっ。むにゅんっ。もにょん。 今度は上下に動かし、激しく扱き上げてくる。 たぱっ。もゅんっ。たぱんっ。もっちゅっ。 変幻自在な胸捌きから生み出される快楽。 もはや、おちんちんがどのような状態なのかも定かではない。 普段のオナニーでは決して得られることのない、それどころか、これまでに想像した事すらないほどの快楽に、全身の細胞という細胞が悲鳴を上げる。 今まで自分が味わってきたオナニーによる快楽など、この快楽の前には鴻毛にも等しい。 快楽の深淵。 ばっくりと穴をあけた新たな世界への門。 その先を知る事に躊躇いさえも覚える。 だが、もはや引き返すことなどできるはずもなかった。 これほどの快楽に長く耐えられようはずもなく、身体の奥底から、射精感が込み上げてくる。 これまでの人生で味わったことのない快楽の予感に、ぞくぞくと身体が震える。 「ふふ、イキそう?」 これほどの快楽を生み出しながら、先輩の微笑みは一切変わらない。 「は、ひぃぃっ、も、もう、いきまひゅうぅぅっ!!」 ただ、僕だけがどんどん追い詰められていく。 「いいよ。私のおっぱいに、い~っぱい出して❤」 身の危険さえ感じるほどの快楽に、燃やし尽くされていく。 「だ、出しまひゅっ!、へ、へんぱいのおっひゃいにっっ!」 「ふふ。もう、高月君ってば。ダメになっちゃってるよ」 「なってまひゅぅぅっ、こ、こんなにょ、耐えられ、耐えられないでひゅうぅ……!」 ダメになる。 姫月先輩の言葉が脳裏を駆け巡る。 このまま射精すれば、もはや自分はかつての自分ではいられなくなる。 予感ではなく、確信だった。 だけどもう、ここから引き返すことなどできない。 込み上げてくる射精感に身を任せ、僕はありったけの力を振り絞っておっぱいの最奥めがけて腰を押し付ける。 それに合わせるように、先輩も両側から思い切りおっぱいを締め付ける。 これまでに感じた事のない締め付けの中で、僕は射精した。 どっびゅぅぅぅぅうっっ、びゅるるるるっ、びゅくんっびゅくんっ、びゅるるるっぅぅぅ………!!! 信じられないほどの勢いと量の白濁液が、おちんちんを通って先輩の胸の谷間へと吐き出され、隙間からびゅくびゅくと溢れ出し、先輩の顔や制服をも白く汚していく。 体内のすべてを振り絞るような射精。 頭の中がすべて白く塗りつぶされる。 人生観が変わってしまうような圧倒的な幸福感、満足感。 びくんっびくんっと体を震わせながら精を吐き出し続ける事、実に2分以上。 教室中に濃厚な精の匂いが充満する。 どさっ、と力を失った体が椅子の座面に落ちる。 にゅぽんっ、と胸の谷間から抜け落ちたおちんちんからは湯気が立っていた。 「ふふ、一杯出たね♪」 先輩が胸の谷間を開くと、そこは信じられないような量の白濁液で染め上げられていた。 先輩が机の中からボックスティッシュを取り出し、手早く胸元の白濁液をふき取る。 僕は先輩の手慣れた様子を見つめながら、何とか呼吸を整える。 改めて、先輩が《月下美人》だという事を思い知る。 (こうやって、先輩はいったい何人の男と………) 憧れていた先輩の、真実の姿を知って、複雑な感情が込み上げてくる。 悲しみ。 怒り。 絶望。 屈辱。 そして―――欲望。 どんな事情があるのかはわからない。 聞いて、答えてくれるのかどうかも。 聞いて、自分に何かできるのかどうかも。 だけど、ただひとつわかっている事は―――。 彼女が、《月下美人》だという事。 エッチなお願いを叶えてくれるという事。 もう元には戻れない。 恋情が、腐り、崩れていく。 暗い欲望の炎がめらめらと燃え上がっていく。 むくむくと、あれだけ大量に精を放ったばかりだというのに、おちんちんが屹立していく。 その様子に、姫月先輩も気づいた。 綺麗な瞳が、僕の瞳と合わさる。 僕の心の変化を読み取ったのだろうか。 何も言わず、ただ穏やかで、優しそうな微笑みを浮かべる。 「―――ね、高月君。《月下美人》の花言葉って知ってる?」 「………」 ぎらぎらと欲望に歪んだ光を瞳に宿しながら、僕は何も答えない。 「『儚い恋』。月下美人は夜に咲き、夜明けを待たずに萎んでしまう花だから、そういう花言葉なの。だから―――」 いつの間にか太陽が沈み、月光が差し込む教室の中、さっきまでは開いていなかった月下美人の花が開花していた。 白くてきれいな、大輪の花が月光に照らされている。 同じように、冴え冴えとした光に照らされた姫月先輩は美しく、妖しささえ漂わせながら、ただ優しく、儚く、微笑む。 空中に掲げた先輩の手から、丸まったテッシュが空に解き放たれ、くるくるとまるで花弁のように舞いながら、教室の床に落ちる。 僕はその行く末を目で追ってから、先輩の瞳を見つめ、彼女の言葉を待った。 可愛い唇が開き、可憐な声が言葉を紡ぐ。 「―――次は、どうして欲しい?」 僕が願い事を口にする。 先輩が優しく頷き、願いを叶えてくれる。 手でも。 口でも。 足でも。 髪でも。 太ももでも。 セックスだって、正常位から騎乗位、後背位、対面座位でも。 アナルセックスさえも。 何度も何度も、僕は精を吐き出し続けた。 気付けば、僕の瞳からは涙が流れ落ちていた。 さらに、何度も何度も、僕は先輩を白く汚した。 次に気づいた時、涙は乾いていた。 飽きることもなく、僕は先輩を汚し続けた。 自分のどこにこんなに体力や性の知識があったのか呆れてしまうほどに、快楽を貪るためのアイディアは尽きることなく湧いてきた。 気づいた時、僕はタガが外れたように笑っていた。 教室の床は、さながら月下美人の花びらを敷き詰めたかのように、僕の精を吸ったティッシュで覆われていた。 僕の願望を、先輩は穏やかで優しく、儚い微笑を浮かべながら、そのすべてを叶えてくれた。 月下美人の花が萎み、とても甘くて、上品で、優美で、濃厚な香りが消えるまで―――。 15 現代日本を代表する文豪の一人、霧生門左衛門。 ミステリーや歴史物を中心に、数々の作品を世に出し、数多の賞を受賞してきた彼はまた、新興財閥ヴェイン・グループの広報に身を置くサラリーマンでもある。 多忙なサラリーマン生活の傍ら数々の作品を生み出し続ける彼だったが、その活躍を支える影の存在がいる事は、誰も知らなかった。 その影の名は風間雄司。 高校を卒業すると同時に、霧生の元に弟子入りした小説家の卵である。 霧生の元で研鑽を積んだ風間はめきめきと腕を上げた。 その作品は霧生の名で上梓され、多くのヒットを生み、ドラマ化や映画化されたものも数多い。 そう、霧生の活躍を支える風間雄司―――彼は、いわゆるゴーストライターと呼ばれる存在であった。 *** 文豪霧生門左衛門の瀟洒な邸宅。 都内の一等地に建つその豪邸は、メディアにも取り上げられ、推定10数億円と世間では羨ましがられていた。 そのもっとも中心にあるのが、霧生の書斎である。 この日、風間はいつになく緊張した面持ちで、霧生と向きあっていた。 27歳の風間と向きあう56歳の霧生は穏やかそうな風貌の中に、言い知れぬ迫力を湛えた光を宿す瞳を持ち、じっと風間を見つめている。 「―――先生、お話があります」 カラカラに乾いた喉を震わせながら、風間が漸く切り出す。 霧生はパイプを咥え、紫煙をくゆらせながら、微かに小首を傾げる。 「なんですか?」 穏やかだが、有無を言わさぬ声音である。 風間はごくりと唾を飲み込み、ぎゅっと拳を握りしめ、 「高卒で先生の元に飛び込んでから早9年。温かいご指導を戴き、恐れ多い事に先生のお名前をお借りして幾つかの作品を世に出す事が出来ました。心から感謝しております。しかし、僕は自分の名前で作品を世に出したいと思うのです。そこで、独立する許可を戴きたいのです。10日後が〆切のヴェイン賞に、私の作品を出させていただきたいんです」 一気に口にしてから、血の気の失せた顔を伏せる。 霧生の顔を見ることなどできなかった。 この恩知らずめが!と怒鳴られる事を想像していた。 霧生の名で出せばこそ売れたのであって、名もない若造の名で出したところで売れるものかと罵倒される事を覚悟していた。 永遠にも似た数秒が流れた後、霧生はゆっくりと煙を吐き出し、 「―――わかりました」 拍子抜けするほどあっさりと、承諾の言葉を口にした。 「え?」 これには、思わず風間も驚いて顔をあげてしまった。 憤怒の表情を浮かべているかと思った霧生は、微かな微笑さえ浮かべていた。 「何を驚いているんです、風間君。君の実力は僕がよく知っている。僕の方こそ、今まで君に多く助けられてきたのだから。君が更なる活躍を求めて高みを目指すというのならば、僕は応援しますよ、心からね」 「せ、先生………」 思いもよらない温かな言葉に、思わず涙腺が緩んでしまう。 溢れる涙を拳で拭い、決然とした表情を浮かべる。 「先生の弟子であった事は僕の一生の誇りです。先生の名に恥じぬよう、更なる研鑽に努めたく思います!」 「期待しています。とはいえ、君もよく知っているように、小説家という職業はなかなか一人でできるものではありません。幾ら君の筆が早くとも、後10日で作品を仕上げると言うのであれば猶更ね。僕に君の支えがあったように、君にも公私にわたって支えてくれる者の存在が重要です。なので、君の巣立ちの餞に、デビュー作を書き上げるまで手伝ってくれる優秀なアシスタントを紹介しますよ」 「ありがとうございます、先生!この御恩は一生忘れません」 「頑張ってください」 穏やかな師の言葉に、感激の面持ちで、風間は書斎を出て行った。 自分の荷物を纏め、早々に霧生家を出ていく。 書斎の窓から、屋敷を巣立っていく愛弟子の姿を見送って、師はふと、呟いた。 「………可哀相に………」 〆切まで―――あと10日。 *** 3日後―――。 一先ず、都内の安アパートに引っ越しの荷を解いた風間は、早速書きためておいたアイデアノートを元に賞に出す作品の構想を練り始めていた。 そこへ―――。 ぴんぽーん。 「―――ん?」 突然のチャイム。 とはいえ、東京に特に親しい友人もいないので、誰かが訪ねてくる当てもない。 (―――いや、先生がおっしゃっていたアシスタントが来たのか……?) 先生には、新居の場所も知らせてある。 そんな事を考えながら、 「はい、今、開けます」 玄関を開けると、そこに立っていたのは、 「!」 思わずびっくりしてしまうほど、可愛い女性だった。 もこもこしたファー付きのニット帽に、セーター、スカートに、二ーソックスと言う冬の女性らしさをこれでもかと詰め込んだような服装をした女の子。 年齢は20代前半ぐらいだろうか。 亜麻色の髪は柔らかそうで、ふわぁっとシャンプーの優しい香りが漂ってくる。 少し垂れ目っぽい瞳には、わくわくと期待が星のように瞬いており、何か嬉しい事でもあったかのような笑顔が、初対面であるにもかかわらず、風間の心をほっこりとさせる。 可愛いだけでなく、スタイルも抜群だった。 セーターを着込んでいるにもかかわらず、胸の膨らみがはっきりとわかるし、白くすべすべの太ももにもむっちりと程良く脂がのっている。 だが、腰からお尻にかけてのラインはきゅっと引き締まり、思わずごくりと生唾を飲み込んでしまう。 全身から「女の子!」を主張しているような、そんな女の子だった。 「あの、風間雄司さん………ですよね?」 玄関を開けた格好のまま、凝固している風間に、女の子が微かに首を傾げつつ、不安げな上目遣いで尋ねてくる。 (ぐわぁっ………) そんな、可愛らしさ満点の仕草に、内心で鼻血を噴き出しながら、風間は慌ててかくかくと頷く。 「そ、そそそ、そうです!」 「よかった♪」 ほっとしたように笑う女の子に、胸がきゅんっとしてしまう。 「あっ、申し遅れました。私、霧生先生から風間先生のお手伝いをするように言われてやって参りました、ヴェイン出版の小泉志保と申します。今日からよろしくお願い致します、先生!」 「せ、先生なんてやめて下さいよ。まだまだ僕は何の実績もない新人なんですから」 差し出された名刺を大切に受け取りながら、はにかむ。 今まで、先生と呼ぶ事はあっても、呼ばれることなどなかったのだ。 しかも、高校までは根暗な文系少年を地でいき、卒業した後は霧生のもとで修業に明け暮れてきたため、女の子と言う存在に対する免疫などまるでない風間である。 全身がくすぐったくて仕方ない。 そこで、はっ、とした表情になり、 「ごめんなさい、こんな外でずっと立ち話ちゃって。寒いですよね?どうぞ中に入ってください、お茶淹れますから」 「ありがとうございます、先生。でも、お茶は私が淹れますよ。先生のアシスタントをするのが私のお仕事ですから♪先生は座ってて下さい」 にっこりと笑って頭を下げ、入室した志保は早速台所に向かう。 とりあえず座布団に腰を下ろし、台所で手際よくお茶を淹れる志保の背中を見詰めながら、 (先生……ほんとにほんとに、ありがとうございます!!) 内心で、霧生の面影に手を合わせる風間であった。 *** 「―――さて、お茶も頂いた事ですし、早速お仕事に取り掛かると致しましょうか♪」 お茶を呑み、自己紹介などを簡単に済ませた処で、ぽんと手を合わせて志保が言う。 「そうだね」 風間としてはもう少しお喋りをしていたかった所ではあるが、志保は仕事で来ているのだから、あまり怠けてもいられない。 それに、彼女はアシスタントである。 これからでも、互いをよく知る為の機会はいくらでもあるだろう。 「次回作については何かお考えですか?」 「うん、一応プロットを少しね」 「拝見させていただいてもよろしいですか?」 「う………」 「何か不都合でも?」 「いや、そう言うわけではないんだけど……なんというか、アシスタントはてっきり男性だと思っていて……」 「アシスタントに男性も女性もありませんよ。どのような内容でも気にしませんので、ご安心ください。頼りなく見えるかもしれませんけど、これでもプロですよ?」 そう言って軽く自分の胸を叩く志保。 風間は彼女の言葉よりも、叩いた拍子にふよんと大きく弾んだ胸に視線を奪われながらも、なんとか頷きを返し、プロットを書いたノートを差し出す。 「拝見します」 志保がノートを開く。 (あぁ……なんでこんな内容にしたんだろう……) 後悔しながら、志保の反応を窺う。 読み進めるうちに志保が怒りださないかと気が気でない。 しかし、志保はさして表情を変えるでもなく読み終えると、ノートを閉じてテーブルの上にそっと置く。 「次回作はラブロマンスと言う事でよろしいんですね?」 「うん、まぁ……」 「と言うよりも、ほとんど官能小説に近いですね。かなり濃密な男女の性交シーンがあるようですが。しかも、プロットの段階で既にかなり細かく書かれてますね」 「うっ……ごめんなさい」 「謝る必要はないですよ。書きたい作品を決めるのは、作者である先生自身です。私は作品をよりよいものにする為お手伝いするのが仕事です」 恥ずかしくて消えてしまいたいほど顔を真っ赤にして小さくなる風間に、志保は朗らかに笑いかける。 霧生の元では一度も書いた事のない分野に挑戦してみようと思ったのだ。 それは、霧生の作品の猿マネと評価される事や、或いは風間が霧生のゴーストライターであった事が露見するのを防ぐ目的もある。 だが、これを機に思春期の頃からの妄想を具現化したいという欲望があった事は否めない。 「ところで、先生。この作品を書き上げられる上で、確認させていただきたい事があるんですが、よろしいですか?」 「な、なんでしょう……?」 「先生は、性交の経験はおありですか?」 「ぶっ―――」 一瞬身構えたとはいえ、想像の遥上を行く質問に思わず口の中の茶を噴き出してしまう。 「な、ななな、何を―――!!」 慌ててテーブルを拭きながら、顔面を真っ赤にさせて、うろたえてしまう。 答えるまでもなく、明快な反応であった。 志保はそんな風間を見て、一つ頷くと、 「では、決まりですね」 「え、何が?」 「まず、私が先生の為にして差し上げられる事です」 「な、何………を………っ!?」 志保はにっこりと笑うと、突然、セーターをめくり上げた。 風間の眼前に、ぷるん、とブラに包まれた大きな乳房が晒される。 余りの事態に脳が追い付かず、愕然とした表情で固まる風間の手を取り、己が胸に誘導する志保。 その手の柔らかさに一瞬どきっとしたのも束の間、さらに柔らかな、幸福感に満ち溢れた感触に手が包まれる。 「しましょう、センセイ❤」 先生、と言う同じ言葉なのに、僅かにイントネーションが変わるだけで、途端にこうも淫らに聞こえるものか。 そんな事を思い浮かべつつ、だらだらと脂汗を流しながら、それでも確認しないではいられなかった。 万が一、と言う事もあり得るのだから。 「す、すすす、するって、な、何を……?」 「決まってますでしょう?性交です❤……より、正確に表現する為には、実際に体験してみるのが一番ですから♪」 「そ、そそそ、それはそーかもだけど………」 「私のおっぱい、如何ですか?」 「う、その……凄く柔らかくて……温かい……」 「お好きなだけ揉んでください❤」 許しの言葉に、思わず手に力が籠る。 「あん、最初はもっと優しくしてください」 「あ、ご、ごめんっ……」 「ふふ、先生、凄く可愛いですよ❤……さて、先生のプロットによれば、まずはキス、ですね。先生、キスのご経験は?」 「な、ななな、ない、です………」 「では、経験してみましょう❤」 「や、やっぱ、だ、ダメだよ……まだ、僕たちは初めて会ったばかりじゃないか……」 弱弱しく抵抗を試みるが、その手は志保の胸を揉み続けている。 そんな様では、説得力など欠片もない。 「くす❤ダメですよ、先生。キスに幻想を抱いているのは、経験がない証拠。キスをしたからと言って、何かが変わるわけではありません。それに、これは飽くまでもよりよい作品を生み出す為の作業です。霧生先生も、風間先生には期待されているんです。その期待に応える為にも、恥ずかしいかもしれませんが、頑張りましょう?」 穏やかな微笑みを浮かべながらの志保の説得に、心が揺さぶられる。 (そう、か……これは、霧生先生の期待に応える為でもあるんだ………) 風間はごくり、と大きく生唾を飲み込み、 「わ、わかった………」 「では♪」 志保の、瑞々しい唇がゆっくりと風間のそれに近づき―――重なる。 ちゅっ❤ (や、やわらかっ………これが、女の子の唇……) はじめての経験に感動していると、 「んふ❤」 志保が、風間の後頭部を抱え込むようにして、強く唇を押し付けてくる。 さらに、唇を割り、舌を挿入してくる。 「んんっ!?」 (こ、これがディープキス……!) 口の中を、志保の舌が、まるでそれ自体が生きているかのように縦横無尽に動き回る。 頬粘膜を舐められ、舌を絡みとられ、唇を吸われ、そして甘味さえ感じる唾液を流し込まれる。 視界がちかちかと明滅する。 脳髄の辺りがじーんと痺れ、全身に幸福感が満ち溢れていく。 んちゅっ、くちゅっ、ちゅぅっ、ちゅるるっ……❤❤ いつしか、風間も夢中になって舌を伸ばし、志保の口中を味わっていた。 互いに唾液を交換し合う。 まるで2つの身体が溶けあっていくような幸福感。 (こんな感覚……知らない……) めくるめく陶酔感の中で、風間はどこまでも堕ちていくような感覚を存分に味わった。 ―――ぷはっ。 「如何でしたか、初めてのキスは?」 「はぁ、はぁ、はぁ………す、凄かった………」 20分以上もキスをし続け、漸く顔を放した時、風間は既に息絶え絶えと言う様子だった。 一方の志保は僅かに頬を上気させている程度で、さほどの変化は見られない。 拙い風間の技能では、必死の応戦にもかかわらず、たいして感じさせる事ができなかった事は明白だった。 「キス一つとっても、やはり実際の体験があるのとないのとでは、雲泥の差が出てくる、と言う事がお分かりいただけましたか?」 「う、うん………」 「では、続けて参りましょう。次は………この、大きくなっている先生のおちんちんを私の手でシコシコしますね❤」 はっきりとテントを作ってしまっている股間を、ズボンの上から撫でながら、志保が宣言する。 ごくり、と大きな生唾を飲み込んでしまう。 志保のほっそりとした指がジッパーを下げ、パンツの中から屹立したペニスを取り出す。 「もうギンギン……キスだけで、こんなにしちゃったんですか?」 「う……」 ペニスの硬さを確かめるかのように握りながら、上目使いにこちらを見てくる志保。 その表情の淫らさに、鼓動がどくんと大きく脈動する。 「我慢汁もこんなにたくさん………❤」 先端から溢れだした大量の我慢汁を指に絡ませながら、志保がうっとりと笑みを浮かべる。 ただの錯覚だろうが、その瞳に❤マークが浮かんでいるような気さえする。 「熱くて……硬くて……素敵です、センセイ❤……こんな立派なものを、今まで使っていなかったなんて、勿体ないです♪」 うっとりと囁きながら、リズミカルに扱きだす。 「うぁぁ……」 思わず、声が漏れてしまう。 風間とて男だ。 自分でする事もある。 だが、志保の手は自分の手とはまるで異なった。 その柔らかで繊細で巧みな技巧が齎す快楽は、思わず腰がびくびくと動いてしまう程だった。 次から次に溢れだす我慢汁を絡ませ、潤滑油としながら、だんだんと扱く速度が上がっていく。 「ぁぁあぅ……」 さらに捻りまで効かせながら、カリ首や裏筋など敏感な部分を責め立てられる。 「ほら、センセイ、聞こえますか?センセイのおちんちん、くちゅくちゅ、ぐちょぐちょって、凄く厭らしい音がしてますよ~?」 「ぁぁ、んぁぁぁ………!」 志保の言葉に反応する余力もなく、ただ喘がされる。 「ふふ、もう喋る事もできませんか。でも、もぉっと気持ち良くしてあげます。私の唾で、もっとぬるぬるにしてあげます❤……ほぉら……私の唾で、ぐっちょぐっちょ……気持ちいいですか?」 志保が垂らした唾液が、我慢汁と混じってさらにぬめりと快楽を増していく。 頭の中でぱちぱちと火花が散る。 身体の奥底から、射精感が込み上げてくる。 直感で分かった。 この射精が、今までに経験した事のないものになるであろうと言う事が。 「あああっ、も、もう、いくっ、出ちゃうっ、出ちゃうぅぅぅっ……!!」 「どうぞ、イッてください♪私の手で、どびゅどびゅ射精しちゃってください❤」 「いぐぅぅぅっっ……!!」 どびゅっ、びゅるるるっ、びゅううっ、どびゅぅっ……!! 腰を突き上げ、思い切り精を吹き上げる。 白い放物線を描いて、精液が志保の顔や胸や手を汚していく。 志保は徐々にスピードを落としながら、最後の一滴まで搾り取ってくれた。 「如何でしたか、初めての女性による手コキは?」 「こんなに気持ちいい射精……初めてだった……」 脱力し、仰向けになって大きく肩で息をする風間。 「いい場面が書けそうですか、先生?」 「うん……頑張る……」 そう言いつつ、疲労感に包まれて、風間は眠りの中に落ちていった。 志保は手早く身繕いし、簡単な夕食を作って冷蔵庫に仕舞ってから、帰っていった。 〆切まで―――あと7日。 *** 翌日―――。 「おはようございます、先生♪」 朝9時かっきりに、志保がやってきた。 「お、おはよう……」 対する風間は、昨日の夜、志保が作り置きしてくれていた食事を食べている処だった。 「昨日は召し上がられなかったんですか?」 そんな風間の様子に、首を傾げる志保。 「うん、実はあのまま眠っちゃって………さっき起きたんだ」 「そうだったんですか」 納得したように志保は頷き、風間が食べ終えた食器を手早く洗う。 そして―――風間の傍らに座る。 「さ、それでは昨日実際に体験したキスと手コキの場面を仕上げてしまいましょう♪」 「う、うん………」 すぐ間近にある志保の顔、その髪の香り、時折触れる肢体の柔らかさに幻惑されながらも、原稿を書き上げていく。 書き上げた原稿を志保に確認してもらい、推敲を受けながら話を進めていく。 実際に体験したこともあり、よりリアリティのある文章が綴れる。 夕方ごろまで掛って、なんとかキスと手コキのシーンを書き上げる事が出来た。 「ふぅ……ありがとう、志保さん。おかげでいい感じに書けたよ」 充実感に包まれながら額の汗を拭っていると、志保がぐいっと身体を近づけてくる。 「それでは……次のプロットの確認をなさいますか?」 「ぅ………」 そう尋ねながら、そっと風間の股間を撫でてくる。 実を言えば、朝志保がやってきてから、風間のそこは勃起したままだったのだ。 気づかれないようになんとか誤魔化し誤魔化しやってきたが、すぐ近くに志保の体温を感じる状況では、完全に鎮めることなど到底できなかった。 テントの先端をくにくにと撫でられて、ますます硬く張りつめていく。 「先生の小説をよりよくするためには、先生にもっと気持ちいい事を体験していただくのが一番だと思うのです。とても、重要な事だと思うのですが……」 ぴったりと身を寄せながら、耳元に囁き、ふぅっと吐息を吹きかけてくる。 全身の鳥肌が立ち、ぞくぞくと震える。 腕に、ふにょん、と当たって潰れる胸の感触を、否応なく意識せざるを得ない。 なぜなら、次のプロットは―――。 「次は……おっぱいを、体験してみると言うのは如何ですか?」 志保の誘惑に、風間が断る術はなかった。 「さ、横になってください……❤」 促されるまま、横になると、志保は風間の腰を、自分の太ももの上に引き上げる。 ズボンから取り出され、天を鋭く突き上げるペニスのすぐそばに、肌蹴られた志保の乳房が迫る。 「っ、あっ……」 不意に、電流が走ったかのような快楽が背筋を貫く。 自分で乳房を持ち上げた志保が、悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、その乳首を、風間の裏筋にこすりつけていた。 少しだけ硬さを感じる乳首になぞりあげられて、ペニスがびくんびくんと震える。 さらに、乳房を亀頭の上に乗っける。 柔らかな肉塊の中に、亀頭がずぶずぶとのめりこんでいく。 「な、なに、これっ……」 未知の快感に、恐怖すら感じる。 乗せられているだけでこれでは、挟まれたらどうなるのか………。 「ふふ、お遊びはこれぐらいにして………それじゃ、おっぱいで挟んじゃいますね❤」 志保が両側の乳房を手に持ち、谷間を広げて、ペニスの両側からゆっくりと包み込んでいく。 「ほぉら、挟んじゃいました♪」 「う、はぁ………」 昇天、と言う言葉の意味を、風間は今、その身を以て味わっていた。 ふわふわの、極上のスポンジケーキに包まれているような………。 全身の細胞が、はうぅっと溜息を漏らすような安堵感。 力と言う力が強制的に抜き取られ、全てを委ねてしまうような心地よさ。 きめ細かい肌の柔らかく、温かな感触に包まれて、まるで―――。 「と、溶けるぅぅ………」 「ふふ、幸せそうな顔❤……私まで、嬉しくなっちゃいます……もっと、気持ち良くしてあげますからね♪」 満面の笑顔を浮かべながら、志保が胸の谷間に唾液を垂らす。 「あ、あぁぁっ……」 唾液と我慢汁が混じり合い、胸の感触が変化する。 ふわふわから、もっちもちに。 包み込むような感触から、絡みつく感触に。 「ぎゅぅってしちゃいます♪」 さらに、両側から乳房を押さえると、乳圧が高まり、さらに快感が増す。 「ぁぁぁぁぁぁっ………」 どぴゅっ、ぴゅるるるっ、ぴゅうっ……… 我慢なんて一瞬たりともできず、風間は射精に追い込まれていた。 静かな射精によって、志保の谷間に精液が充満する。 「あは、出ちゃいましたか………でも、これからもぉっと気持ち良くなりますよ❤」 笑顔のまま、志保がおっぱいを大きく上下に動かし、ペニスを扱き上げる。 「あああっ、そ、そんな、イッたばかりなのにっ……!!」 大量の精液によってさらに滑りを増したおっぱいが、もっちゅもっちゅとまるで咀嚼するかのようにペニスを揉みたてる。 その強烈すぎる快楽に、風間は海老のように身体を反らしながら喘ぐ。 雷に打たれたかのようにびくびくと身体が震え、頭の中が真っ白になっていく。 さらに硬度を増すペニスを、どこまでも柔らかなおっぱいが揉みたて、扱き上げ、精液を搾り取っていく。 「ずっちゅずっちゅ、もっちゅもっちゅ、凄く厭らしい音がしてますよ、センセイ❤……ふふっ、涙と涎と鼻水でひどい顔♪……わかってますよ、溺れてしまいそうなほど、気持ちいいんですよね❤………安心して、溺れてください。このまま眠ってしまうまで、何回でもイかせてあげます♪」 穏やかな笑顔を浮かべたまま、しかし容赦なく胸で扱き上げながら、優しく語りかける志保。 その言葉に、風間が反応する余力はなかった。 「さぁ、トドメです❤」 志保が思い切り、奥までペニスを挿入すると谷間から先端が飛び出してくる。 その、赤黒く膨らみきった先端を咥えこみ、 ずりゅりゅりゅりゅりゅっ……… 舌を絡めながら、思い切り吸い上げる。 「あひぃぃぃぃっ……!!!!」 半ば白目を剥きながら、びくびくと暴れる風間の身体を抑え込みながら、その身体から最後の一滴まで精液を搾り取っていく。 やがて、風間は意識を失った。 それを見届けた志保は身繕いをし、部屋の掃除を済ませ、再び食事の作り置きをしてから、帰っていった。 〆切まで―――あと6日。 *** 翌日。 「さぁ、昨日の体験を元にいい作品を書きましょう!」 9時きっかりにやってきた志保の朗らかな号令に従い、風間は原稿用紙に向かう。 昨日同様に、すぐそばに志保を感じながら、執筆を続ける。 ペニスは勃起しっぱなしで、ズボンに我慢汁の染みさえ浮かんでいたが、血走った目で原稿用紙に向かう風間には気にしている余裕もなかった。 よりよい作品を、より早く書き上げる事。 それだけが、風間の念頭にはあった。 〆切まで日数が少ないという事もある。 だが、それよりも、原稿を書き上げれば、再び志保に快楽を与えて貰えるという事の方が動機としては大きかった。 昨日よりも1時間以上早く、パイズリが関わるシーンの執筆が完了した。 「終わった~………!その、志保さん……」 「わかってますよ、センセイ❤」 志保が、ズボンのジッパーを下ろし、我慢汁でぬるぬるになったペニスを取り出すと、 「あ~ん❤」 大きく口を開けて、頬張る。 「おほぉ……」 待ち望んだ悦楽に、思わず変な声が漏れてしまう。 そう―――今日のプロットはフェラチオである。 唇で締め付け、舌を棹に絡ませながら、鈴口から吸い上げる。 頬粘膜に包まれながら、風間はあっという間に、志保の口中に精を吐き出した。 それを、志保は僅かに苦しそうな顔をしながらも、全て飲み干す。 さらに、頭全体を上下に動かしながら、ペニスを愛撫していく。 「あぁぁっ、し、志保さんっ、気持ちいいっ、志保さんのお口、気持ちいいよぉッ……」 情けない顔で喘ぎ、志保の髪を手に絡めながら、びくんびくんと腰を跳ねさせて精液を吐き出し続ける。 上目使いに、そんな風間の様子を窺いながら、笑う志保。 その目は、無言であっても、雄弁に語っていた。 ―――さぁ、センセイ、今日もタマタマの中、ぜぇんぶ吸い尽くしてあげます♪ 〆切まで―――あと5日。 *** 翌日。 書き終えた原稿を片付けると、志保はテーブルに座り、ゆっくりと風間の眼前で両足を開いていった。 二ーソックスから覗く絶対領域―――さらに、その奥、女性の聖域を包む布が眼前に露わになり、風間は正座したまま目を血走らせ、鼻息を荒くする。 その眼前に、志保が左足を差し出す。 「―――好きにしていいわよ」 いつもの笑顔、穏やかな声音とはまるで違う、無表情、冷たい声音での言葉に、身体全体が痺れるような陶酔感を感じつつ、風間は差し出された足の指先にむしゃぶりついた。 足の指一本一本を丁寧に舐め、しゃぶっていく。 微かな匂いさえ、媚薬のように感じる。 志保は右足を使って、器用にジッパーを下げ、赤黒く勃起したペニスを取り出す。 足先を巧みに使って裏筋、カリ、亀頭を愛撫していく。 溢れだした我慢汁が、瞬く間に足先を濡らしていく。 「濡れて気持ち悪いわ、脱がして」 「は、はいぃぃっ……」 二ーソックスの先端をそっと唇に挟み、ゆっくりと引っ張っていく。 徐々に、徐々に、志保の白く美しい脚が露わになるにつれ、風間の呼吸も狂おしいほどに荒くなっていく。 左足を脱がしてから、右足を脱がしていく。 その間、ペニスは左足によってぐりぐりと踏まれる。 だが、それすらも、甘美な快感として風間の脳裏に刻まれていく。 志保に―――そして、彼女の齎す快楽に溺れきった男の脳裏に。 やがて、2本の美しい素足が、ペニスを両側から挟むようにして扱き上げる。 「ぁぁぁぁっ、い、逝きますっ、逝っちゃいますぅぅうぅぅっ!!」 涎を垂らしながら叫び、そして白濁液を吹き上げる。 白いザーメンが、志保の脚を点々と汚していく。 「舐めて奇麗になさい」 その命令は、もはやご褒美と同義。 風間は自分の出した白濁液を、喜び勇んで舐め、吸いとっていく。 志保の素肌の感触、その甘美さに酔い痴れながら。 白濁を追って、足から脹脛、膝、太ももへと舌を這わせていく。 這いあがっていくにつれ、だんだんと強くなっていく女の香り。 眼を血走らせ、そこを目指す風間。 やがて、その頭がスカートの中に入り込み、懸命に伸ばした舌が下着に触れる。 「そこまで」 だが、無情にも志保がストップを掛ける。 風間は、くぅん、とまるで犬のような鳴き声を上げながら、渋々と引きさがる。 「仰向けになりなさい」 命じられるまま、仰向けになると、志保は風間の顔を跨ぎ―――そして、見せつけるようにゆっくりと、下着を脱ぎ捨てる。 ぽたぽた、と滴る愛液が頬を濡らす。 ゆっくりと―――焦らすように、志保が風間の顔面に秘所を押し付ける。 「―――!!」 あまりの歓喜に、声にならない声を発しながら、風間は舌を伸ばし、懸命に奉仕する。 舐めれば舐めるほどに溢れだしてくる愛液の甘露な味わいはどのような美味にも増して、風間の味覚を満足させてくれた。 側頭部を締め付ける内腿の柔らかさ。 敏感な場所に当たった時に微かに震えるその肢体に、自らが志保を感じさせているのだという喜びを感じて、さらに舌を懸命に伸ばし、必死に愛液を啜る。 そんな風間の献身に報いるかのように、我慢汁を垂れ流すペニスを、志保の伸ばした足が挟み、扱き上げる。 「あぁっ、いい、もうすぐ逝くわ、逝く、逝く―――さぁ、貴方も一緒に逝くのよっ!!」 がくがくと震え、大量の愛液を噴き出す志保。 同時に、風間のペニスからも、信じられないほどの量の白濁液が噴き出した。 〆切まで―――あと4日。 *** 原稿を書き終えた風間に、志保が提案した。 「一緒にお風呂に入りませんか?」 先に入って待っていると、 「お待たせしました、センセイ❤」 裸の姿で、志保が入ってきた。 はじめてみる志保の裸体に、鼓動の高鳴りが止まらない。 「さ、お背中お流しします♪」 促されるまま、風呂椅子に腰を下ろすと、志保は当然の如く自分の身体にたっぷりと泡を纏わせ、抱きついてきた。 むにょんとおっぱいが背中で潰れ、泡に塗れた全身を使って、風間の全身を愛撫する。 「うあぁっ、ちょ、そこはっ……」 ぬるぬるの手で乳首を撫でられて、思わず上ずった声が漏れてしまう。 「あら、センセイ、乳首が感じるんですか?じゃあ、念入りに洗ってあげますね❤」 「はぁうっ……」 勃起した乳首を、撫でられ、つままれ、引っ掻かれ、どんどん開発されていく。 今まで、乳首がこんなに気持ちがいいものだとは思いもよらなかった。 さらに、前に回り込んだ志保が風間の腰を跨ぐ。 「えぇっ……」 股間に走ったぬめった快楽に、まさかと思い目を凝らせば――― 「残念でした、挿れてませんよ♪」 ぬるぬるの秘所で、ペニスを扱き上げる。 素股とはいえ、風間にとっては今までに感じた事のない悦楽。 瞬く間に上り詰め、志保の身体を白く染め上げる事になった。 さらに、湯船に身を浸せば、足元に潜り込んだ志保がペニスを口中に含む、いわゆる潜望鏡と言う奴で精を吸いとられ、さらに、双乳に包まれてお湯が白く濁るまで搾り取られた。 〆切まで―――あと3日。 *** 「さぁ!いよいよですね。順調に執筆も進んでますので、明日中には書き上げて、明後日午前中に全体をもう一度入念に推敲して、午後には提出!というスケジュールでいけそうですね。遂に、先生が作家デビューを果たされるわけです♪」 るんるん♪という様子の志保。 彼女の言うとおり、彼女の献身的な協力のおかげで、執筆は順調に進んでいる。 だが、〆切が近づくにつれて、風間の胸中には暗雲が垂れ込め始めていた。 無論、〆切というものはいつも胃の痛いものではある。 だが、今、風間を暗澹たる思いにしているのは、これまでに経験した事のない感情だった。 なにせ、志保は、風間が作家デビューするまでの間、アシスタントをする為に派遣されてきているのだ。 すなわち、この作品を書き上げ、作家デビューを遂げるという事は―――。 (志保さんとのこの関係が終わってしまうという事………) だが、作家になるのは幼い頃からの夢であり、霧生の元で修業してきたのも全てはこの時の為なのだ。 ジレンマを抱えつつも、風間は原稿を書き進めていく―――。 と、同時に、ジレンマとは異なる感情がどうしようもなく膨れ上がっていく。 ふんふんと鼻歌を歌いながら推敲作業を進める志保の様子をちらちらと窺ってしまう。 原稿を仕上げるにはどうしても最後に―――やらなければならない事がある。 そして、今日の原稿を書き終える。 「さて、センセイ。それでは―――最後に、しましょうか♪」 「うん」 弾んだ声で、志保が告げてくるのに、思わず勢い込んで頷いてしまう。 「ふふ、もう待ちきれないって感じですね❤」 ズボンの膨らみをそっと撫でて笑い、 「では、裸になってベッドに横になってください♪」 言われるまま、すぐさま服を脱ぎ捨て、ベッドに横たわる。 焦らすように、身体をくねらせながら、志保が1枚1枚服を脱いでいく。 露わになる、素晴らしい肢体に、視線も意識も全て釘づけになる。 どくどくと鼓動が高鳴り、ペニスがぴくぴくと躍動する。 「お待たせしました、センセイ❤」 全裸になった志保が、ベッドに上がり、ゆっくりと風間を跨ぐ。 既にその秘所もぐっしょりと濡れそぼっている。 「センセイの逞しいおちんちんで満たされるのが、私も待ち遠しくて、今日はずっと濡れてたんですよ♪」 舌なめずりをするその様は、さながら1匹の女豹。 狙われた獲物は、その美しい獣に全てを奪われるのを心待ちにして胸ときめかせている。 (遂に、志保さんとひとつになる………) 「いきますよ、センセイ………」 「うん」 ゆっくりと、志保が腰を落としていく。 その秘所に、ペニスの先端が触れ、襞をかき分けながらずぶずぶと飲み込まれていく。 「くぅ、熱いっ……!」 予想以上の熱さに、思わず声が漏れる。 「あはぁ❤……センセイの太いのが入ってきて……きゅんきゅんしちゃう♪」 欲情しきった女の顔で、志保は止まらず、ペニスを一番奥まで飲み込んでいく。 「ひ、襞が絡みつく……」 「子宮口まで届いてるぅ……すてきです、センセイ♪」 感極まった声が交錯し、志保は風間の胸に手を置き、腰を上下に振り始める。 くちゅ、くちゅと淫らな音が部屋に響き―――二人の荒い息遣いが錯綜していく。 だんだんと動きが激しくなっていき、音も大きくなっていく。 ぱんぱんと腰がぶつかり合う度、愛液と我慢汁が飛び散り、二人の獣の如き喘ぎ声が空気を震わせる。 古いベッドのスプリングがぎしぎしと悲鳴を上げる中、風間の胸に手を置いた志保はぐりぐりと円を描くように腰を動かし、その腰を掴んだ風間は下から志保を突き上げる。 「あぁ、はぁ、し、志保さんっ、溶ける、僕、溶けるぅぅっ……!」 「あんっ、あんっ、ぜ、全部っ、くださいっ!溶けたセンセイのザーメン、全部私の膣に出してぇっ!!」 「あっぁぁぁっっ、いぐぅぅぅっ!!」 「私も、ダメっ、逝っちゃうぅぅぅうっ……!!」 二人同時に、身体を反らせ、びくびくと震えながら絶頂に達する。 どびゅどびゅと大量の精液が、志保の最奥に注ぎ込まれる。 「あっはぁ………❤」 汗だくの顔を蕩けさせ、志保がぐったりと風間の胸板に頬を預ける。 「はぁはぁ……これで、ラストシーンが書きますね、センセイ………」 「いや………もっと……もっと、したいよ、志保さん……」 未だ硬さを失わぬペニスで、ごりごりと志保の膣を抉る。 「あんっ、もう………センセイったらぁ……❤」 口の端から涎を垂らし、微妙に焦点のあっていない瞳で笑い、志保もペニスを締め付ける。 二人は深夜遅くまで、互いの身体を貪る事をやめようとはしなかった。 〆切まで―――あと2日。 *** 「できた!」 昼過ぎに起きた二人は軽く食事を済ませてから、ラストスパートに掛り、そして遂に、風間雄司渾身のデビュー作を書き上げた。 「おめでとうございます♪先生!」 志保も心から祝福の笑顔を浮かべる。 「こんなリアリティのある作品にできたのも、全部志保さんのおかげだよ」 「いえいえ、お手伝いできて、光栄でした、センセイ!でも、念には念を入れて、明日はしっかりと原稿をチェックしましょう!」 「うん!」 高らかにハイタッチをする二人。 「じゃあ、今回は今までのおさらいをしましょう♪」 そして、いかにも当然という流れで、風間を押し倒す志保。 「え………?」 思わずきょとんとする風間の顔を見下ろして、志保が舌なめずり。 「まずはキスからです❤」 「ちょっ、あぁぁっ……❤❤」 その日、一晩中、風間の嬌声が絶える事はなかった。 〆切前日。
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