日文65

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以下为收费内容(by http://www.prretyfoot.com)邻居姐姐

――身体が、ビクッと震えた。
このあと更に、してほしい事なんて、一つしかないじゃないか……。

僕はあの時の約束通り、このお姉さんにたっぷりと下半身を可愛がられ、本当の彼女にも見せたことのない顔を晒して……とうとう射精までしてしまった。
大切な彼女、麻友(まゆ)を裏切っての射精。
最低の行為なのに、それは病みつきになってしまいそうなくらい、最高に気持ち良くて。
僕は、せっかく麻友のために一人暮らしを始めたのに……隣人の悪いお姉さんの誘惑に負け、淫らなテクニックでメロメロにされて……自ら望んで、ペットになってしまったんだ。
もう、戻れない。もう、逃れられない。それならもっと先に、進むしかない……。


ああ、だからあの日……隣への挨拶なんて、行かなければ――


…
……
………


今から一週間前の、土曜日の午後のこと。


「へえ、これが翔くんの部屋?なかなか良いじゃない」
麻友はそういうと、物珍しそうに内装を眺めている。
「まあ、古い物件だけどね。リフォーム済みで駅から徒歩10分、それでこの家賃なら悪くないと思って。探すのに苦労したよ」
彼女に褒められて悪い気はしない。僕は少し得意げになって解説する。

僕は中瀬川 翔(なかせがわ しょう)。この春から都内の大学に進学する事になり、この物件に一人暮らしする事になった大学一年生だ。
高校の同級生だった彼女、麻友は、一年生の時に同じクラスで仲良くなり、お互いの実家も近所。ずっと気になる存在だったのだが、高校卒業を機に告白。念願かなって付き合うことになった。
彼女は地元の大学に進学したので遠距離恋愛になってしまうが、それでも電車で1時間半程度だ。今日みたいに、休みの土曜日に会う程度なら何の支障もない。
それに……

「えへへ、これでお互いの実家に通う必要もないね」
麻友が屈託ない顔で笑う。
そう、今までは家デートをしようにも相手の実家に遊びに行っていたので、親の顔を伺いながら遊ぶ必要があった。今度からはそんな心配もいらない。

しばらく部屋の中を見せた後、買ってきたケーキを二人で食べ、お茶を一服した後。
僕は用意していたものを取り出す。
「はい、これ」
ジャラリと音を立て、可愛らしいキーホルダーのついた真新しい鍵を取り出し、麻友に手渡す。

「えっ?……いいの?」
付き合ってまだ1か月程度、同棲とか結婚なんて言う話はまだまだ先……ちょっと早い気もしたが、僕はこの一人暮らしを機に、麻友との仲をもっと進展させたいと考えていた。だから麻友には、いつでも好きな時に遊びに来て貰いたかった。
親のことももう気にする必要はない、お泊りだってできるのだ。
そう、まだちょっと手をつないでキスした程度の関係の僕たちも、大学生になったのだから、もっと先まで……

「……ありがとう、翔くん」
麻友はちょっと驚いたようだったが、少しはにかんだような笑みを浮かべる。
合鍵を渡された意味を察して、満更でもなさそうな感じだ。
……なんだか良い雰囲気になる。
そうだ、今ここで、もう少し二人の仲を進展させても……!

テンテンテンテンポロロン♪

しかし、突然、スマホから能天気な音楽が流れ始め、いい雰囲気が中断される。
母親からの電話だった。

「……なんだよ、こんな時に……」
「ふふふ、お母さん、心配症だもんね。ちょうど私もそろそろバイトの時間だし、帰ろうかな。また遊びに来るね」


母親からの電話の内容は、引っ越しの片づけが終わる前に、ちゃんと隣の人に挨拶に行くように、念を押す電話だった。
あとは大学生活はどうだとか、ちゃんとご飯を食べてるかだとか、大した内容ではなかったので、せっかくの彼女との時間を中断されて不機嫌極まりない僕は、適当に相槌を打って切り上げた。

「……まったく、今時、隣人に挨拶も時代遅れだよな」
今日彼女と一緒に、街で買ってきた挨拶用の菓子折りを眺めながら、僕はひとりごちた。

◆

その日の夜。
僕は菓子折りを持って、隣の部屋のインターフォンを鳴らす。

「……はい……何でしょうか?」
「あっ、あの隣に引っ越してきた者です。引っ越しの挨拶をと思って……」
「あ、今開けますね」
インターホンから聞こえる声は若い女性のものだった。
なんとなく、隣は自分と同じ、くたびれた男子大学生か何かだと勝手に思い込んでいた僕は、若干緊張しながらドアが開くのを待つ。

ガチャリ、とドアが開くと。
中から出てきたのは……想像以上に綺麗な、お姉さんだった。
年齢は20台中盤ぐらいだろうか。
黒く透き通った、切れ長の涼しげな瞳、整った鼻。唇には大人らしい余裕を感じる笑みを浮かべ、艶のある長い黒髪を肩の下まで伸ばしている。
毛先には軽くウェーブがかかっており、一方で目元が隠れるくらいまで伸ばした前髪が色っぽい。
すらりと女性にしては高い身長、スリムで長い手足、大きな胸という抜群のプロポーション。
今日は休日なのだろう、明るい黄色のTシャツに紺のホットパンツ、というラフな格好が、そのスタイルをより際立たせている。
今はほとんど化粧をしていなかったが、それでも美人であることがすぐに分かるほどだ。

僕は思ってもみなかった美女の登場にすっかりのぼせ上ってしまい、腕を真っすぐに伸ばして菓子折を渡す。
「アッアッ、突然すみません!その、ご挨拶に……」
「あらあら、ご丁寧にありがとう。ふふっ、今時珍しいくらい、礼儀正しい子ね。……失礼だけどお名前は?」
「あっ、中瀬川 翔、と言います!この春高校から大学に進学する事になって……」
「翔くんね。私は涼葉。大神 涼葉(おおがみ すずは)よ。今度、お礼しなくちゃね。お隣同士、これからよろしくね♡」

ニッコリと微笑むお姉さんに、僕は顔を真っ赤にしてペコペコと何度もお辞儀をする。
ドアが閉まると、僕はほっと息をつく。
自分の部屋は角部屋なので、隣人はこのお姉さんだけだ。
隣に変な奴が住んでいたら嫌だな、とは思っていたが、こんな綺麗な人がいるなんて……考えもしなかった。

◆

その翌日の日曜日。
昼の3時を過ぎたころに突如、部屋のインターフォンが鳴る。

「……はい」
「今晩は、大神です。今大丈夫かしら?」
宅配便か何かだと思って油断していた僕に、一気に緊張が走る。

「あっ!はい!なんでしょう!」
「実はこないだのお礼にと思って……今日、カレーを作ったの。一人だと食べきれないくらいあるから、良かったら食べに来ない?」
「えっ…!?」
ちょうどこれから晩飯の買い物を、と思っていたところだったから、有難い提案ではあった。
ただ、お裾分けというのはよく聞くが、相手の部屋に食べに行くというのはあまり聞いたことがない。
それも女性の部屋に行くというのは……

「遠慮しないで。じゃあ、夜の7時ごろになったら部屋に来て。待ってるわね」
あっと思う間も無くお姉さんが部屋に戻っていく。
どうしよう。
しばし逡巡した後、せっかく用意してくれたのを断るのも逆に失礼かと思い、ひとまず部屋に行ってみる事にした。

◆

「――それじゃあ、翔くんの引越し祝いに、乾杯!」
「あ、ありがとうございます」
その日の夜7時過ぎ、お姉さんの部屋では、ローテーブルを挟んで、手作りのカレーライスをつつきながらのささやかな引っ越し祝いが開催されていた。
お姉さんは缶チューハイ、僕は20歳になっていないので麦茶で乾杯。
お酒と麦茶を酌み交わしながら、大神さんは上機嫌で色々な話をしてくれた。都内の会社でOLをやっており、土日はお休みであること。この部屋に一人暮らしであることなどだ。
僕もつられて笑いながら、受験の話や初めて一人暮らしをする話などをした。
ちょっと警戒してたけど、悪い人ではなさそうだ。


ひとしきり話し、食事も終わった後。
キッチンに食器を片付けて戻ってきたお姉さんが、僕の隣に座ってきた。
「……ねえ君、彼女いるんでしょ?」
「えっ……?」
急に踏み込んだ事を聞かれ、僕はドキッとしてそちらの方を向く。
お姉さんは少し酔っているのか、頬に赤みがさしている。

「最近出来たばっかりで……でも、大神さんがどうしてその事を……」
「涼葉でいいわ。ふふ、二人が話してるの、昨日聞こえてたんだよね。この物件、壁が薄いんだよねー♡ ……そっかーじゃあ、付き合いたてホヤホヤなんだ……♡」
涼葉さんは目を細め、なんだか嬉しそうに意味ありげな笑みを浮かべながら、少しずつこちらににじり寄ってくる。

「いいのかな?最近出来たばかりの可愛い彼女ちゃんがいるのに、お姉さんの部屋に一人で来たりして……何かちょっと、期待してるんじゃない?」
「そっ、そんなつもりじゃ……!」
涼葉さんは先程までとは打って変わって甘い声を出しながら、僕にピッタリと寄り添い、しなだれかかってくる。
短パンを履いた僕の露出した太ももに、いつの間にか涼葉さんの右手が添えられ、するすると優しくさすられる。
薄い部屋着越しに、大人の女性の柔らかい体を感じる。髪から漂うシャンプーのような甘い香りが鼻孔をくすぐる。
なんだか、変な気持ちになってくる。
何となく、このままだとまずい、と思う。

「涼葉さんっ、ちょっと、酔ってるんじゃないですかっ……」
「……そうねえ……君、本当に美味しいお酒の飲み方、知ってる?」
「え……?」
突然の話題の転換に僕が戸惑っていると、涼葉さんはグラスに入っていたチューハイを一気に口に含む。
どうやって飲むのだろう、そんな呑気なことを考えていると、涼葉さんが急にこちらを向き、両手が僕の頬に添えられて。

ちゅっ。

何の前触れもなく、いきなり、唇を奪われた。

「……んーーーーっ!?」

あまりに突然の出来事に僕はとっさに反応できない。
目を白黒させていると、生暖かい液体が涼葉さんの口から送り込まれてくる。酒だ。僕の唇が涼葉さんの舌でこじ開けられ、間から唾液交じりの酒を流し込まれているのだ。
僕は驚く間もなく、口に送り込まれてくる酒を反射的に飲み干していく。アルコールのツンとした刺激が喉から鼻に抜け、五感を研ぎ澄ませる。
全てをようやく飲み込んだと思ったら、今度は涼葉さんの柔らかい舌が僕の口内に滑り込んできた。

ちゅっ、んちゅっ……

口移しでお酒を飲まされる刺激と、会ったばかりの女性にキスされる衝撃。
色んな事が一気に起こりすぎたせいで、どう対処していいか分からない。
ただ、密着した唇の甘い感触と、自分の舌に絡みつく涼葉さんの舌のしっとりとした感触だけを感じる。
そして、いつの間にか背中と後頭部に回された手でがっちりと頭を固定され、キスから逃げようにも逃げられないまま、服越しに涼葉さんの柔らかい肢体に沈み込んでいく。
その間にも、涼葉さんの舌は僕の舌を味わうかのように絡みつき、口粘膜の上を這い回り、僕の身体にディープキスの気持ちよさを刻み込んでいく。

一体どれほどの時間が経っただろう。
涼葉さんがスッと僕から唇を離すと、二人の唇の間にいやらしい銀の糸が引かれる。

「あっ……あの……っ」
頭がボーッとしてしまい、ようやく開いた口から出た言葉がこれだった。

「……こういうキスは初めて?……その様子じゃ、ほとんど経験はなさそうね♡」
キス自体は、今の彼女としたことがある……が、何しろ、付き合ってまだ日が浅い。
勇気を振り絞って、ようやく唇と唇が軽く触れるようなキスをしたぐらいだ。
こんなにいやらしいキスなんて、ネットで得た乏しい知識でしか知らない。

「な……なんでっ……」
ようやく状況が呑み込めてきた僕だったが、それでも何から言っていいのか分からなかった。
どうして涼葉さんは、いきなり僕にキスを。
それに僕には大事な彼女がいるのに……他の女の人と、こんなこと……

「ふふ、君みたいな可愛い男の子……好きなんだよね……♡」
涼葉さんが好色な笑みを浮かべ、舌なめずりをしながら再び僕の方に近づく。
手の甲を、細い指先で、つう、となぞられる。
身体がビクンと震える。
涼葉さんの全身から立ち上る妖艶な雰囲気に、呑まれてしまいそうだ。
このまま流されたら……ダメだ……。

「ぼ、ぼくっ、帰らなきゃ……」
僕は慌てて立ち上がる。
しかし、急にアルコールを摂取したせいか、それとも他の理由か。
足に力が入らず、足元がふらついて転びそうになってしまう。

「……大丈夫?ちょっと、休んだほうが、いいよ?」
涼葉さんが、僕の肩を支えてくれる。
自然と手を引かれて、ベッドの上に誘導される。
涼葉さんと並んで腰掛ける。
女性のベッドの上。こんな所に座って良いのだろうか。
混乱した頭でそんなことを考えていると、僕の左側から、涼葉さんがぴたりと体を密着させてくる。

「ほら、これでどう……?♡」
涼葉さんの右手が、僕の右腕を巻き込むようにして、腰に回される。
さらに、左手が、僕の左手首をつかみ、さらに細い指先で僕の太ももを優しく撫でまわしてくる。
艶めかしく伸びた長い脚が僕の左足に絡みつき、爪先で僕の足の甲をなぞってくる。

まずい。まずい。
いつの間にか、僕は涼葉さんのベッドの上で、涼葉さんに四肢を拘束され、動けなくなっていた。
あまり頭は働かなかったが、危険な状況になっていることは分かった。

「す、涼葉、さんっ……!」
僕が思わず涼葉さんのほうを向くと。
涼葉さんの顔が、思ったよりも近くに来ていて。

ちゅっ♡

「……んっ……!!」

二度目の、キス。
気づいた時には、再び涼葉さんの柔らかい唇全体が、僕の唇に押し付けられていた。
先ほど、大人のキスの気持ちよさを教えられた僕の身体は、この後襲ってくるであろう快楽に期待してしまって、抵抗する力を失ってしまう。

柔らかい舌が、唇を割って中に侵入してくる。
濡れた舌が僕の舌に絡みつき、かき回してくると、視界がピンク色に染まり、何も考えられなくなる。
さらに涼葉さんは僕の背中に手を回し、その豊満な身体をまとわりつかせてくる。

んちゅっ、ちゅっ、ぬちゅ……

「ん、んんっ……♡」

僕の口は再び、涼葉さんの舌に犯される。
先ほど、酒を口移しされた時よりも、もっといやらしく艶めかしい舌使い。
驚きのほうが強かった先ほどと違い、今度は純粋な快感だけが僕の脳神経を甘く刺激する。

ややあって、ふと涼葉さんの唇が離れたかと思うと、その唇が今度は左の耳元にやってくる。

「君のこと……虐めたく、なっちゃった♡」
そう囁かれながら耳たぶをれろりと舐められる。背筋がぞくっと震える。
涼葉さんはそのまま、僕の耳から頬、頬から首筋へとキスの雨を降らせながら、舌で快感を焼き付けるかのように僕を責めたてる。
一方で、僕の後頭部に回されていた右手の先が、僕のもう片方の右耳に回り込む。
女性らしい細い五本の指が、耳穴の周辺をさわさわとくすぐる。

「んあっ……はあっ♡」
「ふふ、耳、弱いんだね……食べてあげる♡」
そういうと、僕の首筋を責めていた涼葉さんの唇が、僕の左耳のほうに寄せられる。
唇で耳朶を咥えられ、舌先でチロチロと舐められ、くすぐったいような快感に悶えていると……次の瞬間。

じゅぷぅぅぅっ……♡

涼葉さんの舌が、一気に耳穴に差し込まれる。

「……んっああああ!♡」

予想もしていなかった舌の動きに、僕の口から、喘ぎ声が漏れる。
右耳を責めていた右手の小指が、耳の穴を塞ぐようにずぶりと差し込まれる。
そうして涼葉さんは舌先を尖らせ、僕の左耳の奥にまで、口の粘液をまとわせた舌を何度もねじ込んでくる。

じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっっっぽ♡

「あっ♡あっ♡……あっああ♡」

左耳の穴は舌で塞がれ、右は小指で塞がれ。
両耳を塞がれた状態で周囲の音が聞こえなくなり、その状態で耳穴を責められているので、涼葉さんの舌が僕の耳穴に抜き差しされるジュッポジュッポという音だけが聴覚を支配する。
まるで、脳を直接犯されているようだった。脳みそが、ドロドロに溶かされてしまいそうだった。

「耳責められるの、好きなんだね……ふふ、開発しがいがありそう♡」

舌を引き抜いた涼葉さんはそのまま僕の耳元で囁いてくる。

「フフ、ここ、すごいことになってるよ……♡」
「……んんっ!♡」
突然、股間をするりと撫でられ、僕は思わず切ない声を上げる。
僕の股間はいつの間にか大きく盛り上がり、ズボンの上からでも分かるぐらいに勃起していた。
耳を責められるという未知の快楽に、僕は恥ずかしいくらいに感じてしまっていたのだ。

「じゃあ、こっちはどうかな……♡」
股間を擦っていた手が少しずつ這い上がってきて、僕のシャツの上から、乳首の辺りをくにくにと弄る。

「……んっ♡」
「あはっ、やっぱり、こっちも弱そうだね♡」
涼葉さんの手が、服の上から僕の乳首の正確な位置を探り当て、カリカリともどかしい快感を送り込んでくる。

「あっ♡ んあっ♡」
「アハッ♡ 男の子って、こうやってあげると、みーんな堕ちちゃうんだから……♡」
涼葉さんはベッドの上で僕の背後に座り、両脚で僕を挟み込むようにしながら、両手で僕の乳首を弄り回し始める。
シャツ越しに撫でられているだけなのに、脊髄をゾクゾクと電流のような快楽が駆け抜けていく。
僕は全身をびくつかせ、アンアンと弱々しい声を上げて喘ぎまくることしかできない。

「気持ちよさそうな顔……直接、触ってあげるね♡」
手が、するりとシャツの下に潜り込んでくる。
滑らかな指が直接肌に触れる極上の感覚に、頭がおかしくなりそうだった。
これ以上責められたら、どれだけ気持ち良いんだろう、という期待と、このまま流されたら僕はどうなってしまうんだろう、という恐怖が綯交ぜになる。

しかし、そうやって葛藤している間にも、僕の服の下に入り込んだ、すべすべとした指先が僕の乳首に到達し。
スッと、ひと撫でされた瞬間、考えていたことが霧散してしまう。

「……あんっ♡」
「くすっ……女の子みたいな声♡」

涼葉さんは、左手の親指と中指で僕の乳首を直接つまみ、人差し指でこね回しながら、右手では再び耳をこしょこしょと擽ってくる。
さらに首筋を舌で嘗め回され、僕は快感に悶える。
もう僕は、全身が性感帯のようになってしまい、服の中で肌の上を滑るように愛撫してくる指一本の動きだけで、ビクンビクンと感じてしまう。
大きく張り詰めた股間のテントは、触られてもいないのにギンギンに勃起し、先走り汁がズボンに大きな染みを作っている。

じゅぷっ、ちゅう、ぐちゅっ……

艶めかしく蠢く舌は、時々首筋から唇、再び耳、と場所を移しながら、僕を舐め溶かしていく。
やがて涼葉さんはベッドから降り、僕の前方にかがみ込むと、僕が着ているシャツを大きくたくし上げる。
何をされるのかと思っていると、涼葉さんの唇が、僕の右乳首に狙いを定める。

じゅぷっ♡

「ぅあぁぁっ……!」

やわらかい唇が、乳首にしゃぶりついてくる。
乳首を襲うあまりの快感に、僕は甲高い声を上げ、弓なりに体を反らせて仰向けにベッドの上に倒れこんでしまう。
涼葉さんは僕をベッドに押し倒すようにのしかかると、僕の両手首を抑えつけ、胸板に顔を埋め、まだ穢れを知らない僕の乳首に吸い付いてくる。

じゅぷ、じゅるっ♡ れろっ♡れろぉっ♡

「ぅあっ♡ はぁっ♡……んんああぁぁっ♡♡」

服越しに指で擦られるだけで気持ちよくなっていたのに、直接舌で舐められる快感は刺激が強すぎた。だが強すぎる快感から逃れようともがいても、上に乗られ、抑えつけられているので、逃げられない。
右乳首の次は左乳首をしゃぶられる。
左を舐められている間、もう一方の右乳首の方は、涼葉さんの唾液で滑りの良くなった状態で、細い指先でクニクニとこねくり回される。
左、右、左、右……と交互に乳首を襲う至福の快感の波に、僕は手足をピンと伸ばしベッドシーツを掴んでなんとか耐えていたが、やがて頭が真っ白になってしまい、涼葉さんの淫らな舌使いに溺れてよがりまくる事しかできなくなる。

やがて、乳首を苛めていた右手が、するすると胸板から腹部、下腹部へと降りていく。
これまでお預けにされ、いよいよはち切れんばかりに股間で主張していた僕のペニスが、ズボン越しにそっと握りこまれる。
その硬さを確かめるように優しく、どこまでも優しく、にぎにぎと力を入れたり抜いたりする涼葉さんの手技は極上で、僕はもはや抵抗する意思も失ってしまい、射精すること以外何も考えられなくなっていく。
これまでの、指と舌を巧みに使った前戯で、今まで経験したこともないような未知の悦楽に散々昂ぶらされていた僕は、固い布に覆われたズボン越しに性器を触られている感触だけで、もう達してしまいそうだった。

……だめだ、もう……出るっ……!

しかし。
突然、涼葉さんはピタリと責めの手を止める。

「今日はここまで、かな……」

「……えっ……!?」
「あまり一気にシてあげるとショックが強過ぎるから……ね♡」
唐突に訪れた終わりに、僕は唖然とする。
眼も眩むようなテクニックに誘われて、天国の目前まで連れて行かれていた僕の意識が、スッと地上に引き戻されたような気がした。

「この続きは、また今度ね。」
涼葉さんは僕の体から離れて、
「……たっぷり可愛がってあげる。今度は、こっちを特に念入りに……ね♡」
そういうと、盛り上がった股間を最後にもう一度、人差し指でつーっとなぞり上げる。猛り切った僕の分身は、それだけで、またビクンと反応してしまった。

◆

結局、その後は本当になにもされず、あっさりと部屋に返されてしまった。
部屋に戻り、引っ越しの荷物も片付け切っていない自分の散らかった部屋が視界に入ると、急に現実世界に帰ってきた感じがした。
今日の出来事は、本当に現実に起こったことなんだろうか。
夢でも見たのではないかと自分を疑いたくなる。
会ったばかりのお姉さんにキスされ、耳をしゃぶられ、乳首を弄られ、そして……

お姉さんから一方的にされた行為とはいえ、大切な彼女がいる身で、誘惑を断り切れなかったのもまた事実だ。
犯してはならない罪を犯してしまった気分で、僕は自己嫌悪に陥る。

……とりあえず、今日はもう寝よう。
いつもならこの時間帯には麻友と電話するのが日課なのだが、今日は合わせる顔がない。
電気を消し、ベッドに横になると、ぐったりと疲れきった体がマットレスに沈み込んでいく感触が心地よい。
すぐに眠れるかと思ったが、目が冴えてなかなか眠れない。
目を閉じても、涼葉さんの顔と、ついさっきまでされていた事が次から次へと蘇ってくる。
射精を目前にしながらお預けを食らってしまった僕の息子は、まだ硬さを保っており、ピクピクとカウパー液を垂れ流している。
下着の上から自分でそっと触ってみると、お姉さんにやわやわと、優しく触られた感触を思い出す。
もどかしくてたまらなくなり、僕はとうとう自分で自分の性器を弄りだす。
涼葉さん、涼葉さん……
僕は横になったまま、枕元にティッシュのボックスを引き寄せる。

いつもなら、大好きな彼女……麻友の事を想いながらやっていた自慰行為。
僕は、何をやってるんだ。
彼女ではなく、まだよく知らない隣のお姉さんの事を考えて……こんな……
いけないと思いつつも、一度動かし始めた自分の手を止めることができない。

(……たっぷり可愛がってあげる。今度は、こっちを特に念入りに……ね♡)
涼葉さんに言われた最後の言葉がいつまでも耳に残り、たっぷりと可愛がられる自分を想像し……そのまま僕は果ててしまうのだった。

◆

それからの数日間。
僕は何となく隣の部屋が気になってしまい、お姉さんの部屋の前を通るたびに玄関のドアをチラっと振り返ったり、部屋の中でも隣に聞き耳を立てたりした。
この物件の壁が薄いというのは本当で、夜になるとドアが開く音や、時々洗濯機や水道の音といった生活音が聞こえたりして、部屋にいることは分かったが、だからといって何が起こるわけでもなかった。
あれ以来、彼女の麻友のことより、涼葉さんの一挙手一投足が気になってドキドキしている自分に気付き、僕は自分に嫌気がさしていた。
僕はいつまで涼葉さんのことを考えているんだ。
あの時の涼葉さんは酒に酔っていた。一時の気まぐれで遊ばれただけなのに。

しかしそんなある日。
もう夜の10時を回ろうかという頃、自室でゴロゴロと横になっていると。
何やら、どこからともなく、押し殺したような声が聞こえる。

「……っ♡」
「…………だよ♡…………くん……♡」

隣の、涼葉さんの部屋から、何やら聞こえてくるようだった。

「……ダメっ……! す……さんっ……♡ きもち……い……」

この会話は……?
僕は思わず飛び起き、隣室に面する壁に耳を押し付け、息を潜めて聞き耳を立ててしまう。

「……あはっ♡相変わらず、乳首が弱いね♡」
「涼葉さん……♡ イキたい……♡ いつもの……シて……くださ……♡」

はっきりと聞こえた。
声から想像するに、涼葉さんと、僕と同じくらいの年齢の男の声だ。
隣で、僕くらいの若い男子が……涼葉さんと、情事に耽っている……?

「じゃあ、いつもみたいに四つん這いになって?……これで、どうかな♡」

「……あっ♡あっ♡……涼葉さんの手っ……気持ち、良すぎてっ……♡」
「ほうら、我慢しなきゃダ・メ♡ まだ、始めたばかりでしょ?」
「あああそれダメっ!出るっ!出ちゃうっ……♡」

最初は彼氏かと思ったが、それにしては男の方が、一方的にされるがまま、といった様子だ。
この間の僕と同じではないか。涼葉さんは、僕以外にも若い男の子を捕まえて……いやらしい事をしているのだ。
それも、会話の内容から察するに、今日が初めてではなさそうだ。

「イクっ!イクっ!イクうううう……っ♡」
「あーあ♡こんなに出しちゃって……我慢しなきゃダメって言ったでしょ♡」

ムクムクと、僕のペニスが大きくなっていく。
こないだの僕は、耳や乳首を責められはしたが、射精まではさせてもらえなかった。
しかし、今日の男の子はどうだ。四つん這いにされて、最後まで、性器を扱かれて……射精までさせてもらって。
……あの涼葉さんの綺麗な手で、ペニスを最後まで扱いてもらったら、どれだけ気持ちいいんだろう。
僕の胸に、羨望、そして嫉妬のような、得体の知れない黒い感情が持ち上がってくる。

「ほら、まだ出るでしょ……こっちはどうかな♡」
「ああだめっ……そんなとこ……触られたら……あああっ♡イグッ♡ いくうううう♡」
「あはは♡すごーい♡ 今日は一杯出るね……♡」

声を聴いているだけで、自分のペニスはもうガチガチに硬くなっている。
忘れようと思っていた記憶が、怒涛のように蘇ってくる。

……ぼくも、ああなりたい。

僕の頭の中に、どす黒い欲望が首をもたげてくる。
考えちゃダメなのに。
麻友のことを想って、なるべく考えないようにしていた涼葉さんとの「行為」の妄想がどんどん広がってくる。
どうして、ぼくは寸止めで……彼は、最後までしてもらえて……

隣室からは、まるで僕に聞かせようとでもしているかのように、男女の矯声が響き続ける。
いつの間にか僕の右手は、自分の性器を握りしめていた。
聞こえてくる涼葉さんの声と、顔も知らない男の子のよがり声をオカズに。
自分が四つん這いにされて、涼葉さんに後ろからペニスを握りしめられてグチュグチュと扱かれる光景を想像しながら、己のペニスを扱き始めてしまう。
だめだ、だめだ、こんなこと……

しかし自慰を始めたは良いものの、どうも物足りない。
それはそうだ。この間、あれだけ涼葉さんに全身を使って耳を、乳首を責められて。
あんな気持ちの良い体験を一度覚えてしまったら、もう忘れられない。自慰で満足できるはずもない。
ましてや、今隣でされているように、涼葉さんの柔らかい手で扱いてもらうのに比べれば……
自分の手では、もう満足できない。

……羨ましい、うらやましい……!
ぼくも、ぼくもっ……
涼葉さんに、思い切り、扱いてもらいたい……



それから数日後の金曜日だった。
そろそろ夜の9時を回ろうかという頃。
いつも通り麻友に電話をかけようかと思っていた時、突然部屋のインターフォンが鳴る。
こんな時間に来客なんて、心当たりがない。

「はい?」
「……こんばんは、大神です」
涼葉さんだ。
ドキンと心臓が跳ねる音が、インターフォンを通じて外まで聞こえたような気がした。

慌ててドアを開けると、白いブラウスに黒いミニスカート、小さなバッグを抱えた涼葉さんが立っていた。
仕事から帰ってきたばかりといった出で立ちだが、石鹸の良い香りがする。シャワーを浴びて来たのだろうか。

「……こんばんは、遅くにごめんね。ちょっと、上がってもいいかな?」
「えっ! ……え、ええと……」
僕は口ごもる。心臓の鼓動が早くなる。
別に、部屋に上げるだけなら、特に断る理由はない。こないだは僕のほうが涼葉さんの部屋にお邪魔したのだから。
だが……部屋に上げただけで、終わるとは思えない。
先週、部屋にお邪魔した結果、どうなったのかを思い出してしまう。

それに加えて、先日、隣から聞こえて来た声の記憶も蘇ってくる。
男の子のよがり声と、今のOLらしい格好をした涼葉さんからは想像も出来ないような、艶っぽい声。そこで行われていた行為。
このまま、僕が涼葉さんを部屋に上げたら……?

ダメだ、家に入れてはダメだ。
また、彼女を裏切ることに、なりかねない。

しかしそうは言っても、こないだ涼葉さんの部屋に上がっておいて、ウチには入るなとは言いにくい。
そもそも、僕が勝手にエッチな妄想をしているだけ、という可能性も捨てきれない。
頭の中で、いろんな考えがぐるぐると回る。

ああでもないこうでもない、と僕が逡巡していると、無言は肯定、と受け取ったのか、
「それじゃ、お邪魔しまーす♡」
涼葉さんはまた、僕の返事を待たずに部屋に入ろうとする。

「あっ、その……っ 今日は……っ!」
慌てて呼び止めようとすると。
部屋に入ろうとしていた涼葉さんが急に振り返り、僕のほうに一気に体を預けてくる。
ふわりと、いい香りがしたと思うと、ドアを支える腕を軽く握られ、耳元に口を寄せてきて。

「……こないだの続き、しなくていいの?」

耳元で囁かれたと同時に、白い手が僕の太ももに添えられ、するりと撫でられる。
その瞬間、僕は全身から力が抜けてしまった。
こないだの続き。こないだの続き……。

(この続きは、また今度ね。……たっぷり可愛がってあげる。今度は、こっちを特に念入りに……ね♡)
前回言われた言葉、この一週間、忘れようにも忘れられない言葉が、頭の中に反響する。

もう疑いの余地はなかった。涼葉さんは、僕を誘っているのだ。
こないだみたいに。いや、ひょっとすると今度は、昨日の男の子のように。
夢にまで見た、涼葉さんの綺麗な手で、たっぷりと搾り取られる情景が頭に浮かぶ。
涼葉さんを部屋に入れたが最後、昨日の男の子みたいにされてしまうんだ。

シャンプーか香水か、大人の女性の良い香りがする。
仕事から帰って、軽くシャワーを浴びて、準備は万端といった感じだろうか。少し濡れた黒髪が、色っぽい。

昨日の男の子みたいに……
されたい。されてみたい。
いやだめだ、そんなことになると分かってて部屋に招き入れたら、今度こそ浮気だ。
今度こそ断らないと……

同じ考えが頭の中をグルグル回っているだけで、ちっともまとまらない。
そんなことを考えているうちに、玄関のドアが、バタンと音を立てて閉まる。
涼葉さんの細い腕が伸びてきて、カチャリと鍵がかけられる。
そのまま、腕が僕の背中に回り込んできて、抱きしめられる。
大きな胸が僕の目の前で柔らかく潰れる感触、白いブラウスの首元から覗く魅惑の谷間。
涼葉さんの一方の手が僕の手首を掴んで、指先で手の甲をなぞってくる。
もうそれだけで、僕の頭の中は電気ケトルのように沸騰してしまい、股間がむくむくと大きくなり始める。

「……来て」
お姉さんは手際よく僕の手を引き、リビングの方に僕を連れ込む。
部屋を綺麗にしておくんだった、とか、余計なことを考えているうちに、ベッドの上に座らされる。
横に並んで座った涼葉さんが、室内用の半ズボンを履いていた僕の露出した膝の上に手を置くと、膝から太ももへと指先が滑る。
さらに半ズボンの中へと手が入り込んできて、太腿から腿の内側、脚の付け根へと、敏感な部分を優しく何度も撫でまわされる。
僕の頭の中はお姉さんの妖しい手つきのことでいっぱいになってしまい、背筋がゾクゾクッと震えてしまう。

「またすぐ来てくれると思ってたんだけど……こないだの約束、忘れちゃったかな?」
忘れるわけがない。
この一週間、ずっとお姉さんのその言葉が耳から離れなかった。

「続き、しようね」
隣に腰かけた涼葉さんは、僕を抱きしめ、一気に顔を近づけて、キスをしてくる。
唇と唇が重なり、涼葉さんの舌が僕の口内に侵入してきた瞬間、僕は魅了魔法にかけられたみたいに、思考が真っ白く飛んでしまった。

テンテンテンテンポロロン♪

スマートフォンから、何やら着信音が鳴る。
いつもなら彼女と電話する時間だ。きっと、麻友から……
そこまで考えて、あとは僕の口内で蠢く艶かしい舌の動きのことしか考えられなくなる。

涼葉さんは慣れた手つきで、僕の来ていたシャツを脱がせる。
しなやかな手で頬から顎の下、首筋を慈しむように愛撫すると、その動きは首筋から鎖骨、胸板へと少しずつ下がっていく。
その細い指先が僕の乳首に到達すると、トン、トンと乳首の先端をノックする。
僕はその微弱な刺激だけでも、ビクン、ビクンと身体を震わせてしまう。

「あ、あっ……♡」
「まだ何もしてないよ?こないだのこと、思い出しちゃった?」
涼葉さんが楽しそうに耳元で囁く。
涼葉さんは僕の背後に回ると、脇の下から両腕を通す。
両手の滑らかな指先が、焦らすように、乳首の周りでクルクルと円を描く。
やがて、その細い指先が、僕の乳首に到達してーー

◆

この日も僕は、涼葉さんに、嫌と言うほど責められた。
先週と同じように、性器には一切触れてもらえず、射精もできないまま、乳首や首筋、耳といった弱点を丹念に責められる。
すっかり性感帯を開発されてしまった僕は、涼葉さんに触れられるたびに全身をビクつかせて、哀れな声を上げてアンアンと喘ぐ事しかできなかった。

「……そろそろ、いいかな♡」
ついに、パンツが脱がされる。
涼葉さんの手が僕の太腿の方に降りてきて、普段はパンツの中に隠れている足の付け根の内側、今まで他人に触られたことのない敏感な部分を、さわさわと執拗にくすぐってくる。
お姉さんのすべすべとした指先とつるつるの爪が僕の肌に触れるか触れないかの絶妙な感触が気持ちよすぎて、僕は脚をバタつかせて逃れようとするが、涼葉さんの綺麗な長い脚が絡み付いてきて、動くことができない。
力で勝る僕が本気を出せば逃げられるのだろうけれど、ここまでの前戯で僕は四肢から力が抜けてしまっていたし、その余りの気持ち良さに逃げる気力すら奪われていた。

しかしいつまで待っても、涼葉さんが触れるのは股間の周囲だけで、決してペニスには触れてもらえず、ギンギンに反り立った肉棒がビクン、ビクンとむなしく脈打つ。
発射の瞬間を今か今かと待ちわびながら、何時までたっても絶頂を迎えられないその先端からは、粘着質で透明な涙がダラダラと溢れている。

「さわってっ……さわって……くだっ……さい……っ♡」
僕はもう、一刻も早く射精したいという欲望に勝てなくなり、思わず懇願してしまう。

「……どこに触って欲しいの?」
「う……その……ぼくの、僕のっ……」
「……イきたいの?」
イきたい。イきたいに決まっている。
しかし、それをはっきりと口にするのは憚られた。
僕の頭の中に、麻友の無邪気な笑顔が浮かぶ。
彼女がいるのに、ほかの女の人にイカせてもらいたいだなんて、言えない……!

「イかせてあげてもいいよ……ただし……」
涼葉さんは、意味ありげに笑う。

「私の、ペットになるって約束してくれたら、ね」
「ぺ、ペット……?」
「そう、ペット。毎日、私に可愛がられて、射精するの。そのうち、射精することしか考えられない私だけのワンちゃんにしてあげる……♡」

ペット。
その単語を聞いた瞬間、これまでの経緯全てが腑に落ちた。
そうか。先日、隣から聞こえてきたよがり声。あの男の子は、涼葉さんのペットにされてしまった子なんだ。
涼葉さんに決して逆らえないように、夜な夜な、躾けられて。男としての尊厳を失ってしまった代わりに、思う存分射精させてもらっていたんだ。
そして僕も、その候補。ここで頷けば、同じような目に……

だけど、ペットだなんて。
流石に、抵抗があった。
涼葉さんが、危険な女性だということはもう分かっている。
このまま言いなりになっては、取り返しのつかないことになる気がした。

それに……ここでやめておけば、まだ、麻友とやり直せると思った。
そうだ、もう終わりにしよう。ペットになんて、なりたくない。
ここまで一時の快楽に流されてしまったが、もうこれ限りにすれば。
麻友にも何も言わなければ、傷つけることもない……。
僕はまだ、少しだけ残っていた理性をフル回転させ、冷静な判断を下した。

「い、いやです……ペット、だなんて……!」
「……ふふ、そうだよね。分かった、無理にとは言わないわ」
スッと、涼葉さんの手が僕のペニスから離れる。
射精を求めてわななくペニスが、ビクンと切なげに跳ねる。
一瞬、後悔の念が脳裏をかすめるが、必死に自分を律する。
これでいい、これでいいんだ……!

「……みんな最初はそう言うの。だからキミも……」
一旦は離れたはずの涼葉さんの細い人差し指、中指、薬指の3本が、再び陰嚢を包み込むように添えられて。

「……こうしてあげたら、気が変わる、かな?♡」
裏筋に沿って、竿の根本から亀頭までをゆっくりと撫で上げてくる。

つぅーっ。

たったそれだけの刺激で。
ペニスが一回、ぶるんと震えたと思うと。

「…………あっっ!♡」

ぴゅっ。

鈴口から、少量の精液がじわっと滲み出してくる。
……甘イキ、してしまったのだ。
ここまでの燻されるような焦らしに爆発寸前だった僕のペニスは、予想外のタイミングでの一撫でに、耐えきることができなかったのだ。
だが、それは僕が期待していたような射精ではなかった。
しっかりと最後まで手で扱いてもらえたわけでもなく、中途半端な快感に身悶えするような、異常な射精。
涼葉さんの男の弱点を知り尽くした絶妙な指使いによって、僕は本当の絶頂の悦びをお預けされたまま、漏れるような射精を味わうことになったのだ。

「あ……あ……」
白い精液が、だらだらと竿を伝って流れてくる。
出したい。最後まで出したい。
一度は理性が勝ちかけていたのに、ほんの少量の精液を『お漏らし』させられてしまった僕は、もっと思い切り射精したい欲望に囚われてしまう。
あと、ちょっとだったのに。
あとちょっと扱いてもらえば、最後まで気持ちよく射精できたのに。
もうすぐ絶頂を迎えることができたはずの僕の股間の拳銃は、弾丸一発分の精液のみをどろっと吐き出してはみたものの、まだ何発もの残弾を残し、物足りなそうにびくびくと痙攣している。

「いっ……イかせてっ……♡」
先ほどまでの、これで終わりにしようという決意はどこへやら、僕は情けない声で射精を懇願してしまう。
涼葉さんの指がぞろりと竿を這い上がっていった時の甘い快感がいつまでもペニスに残り、その上で完全には絶頂出来なかった物足りなさが、僕を狂わせる。
すると、その言葉を待っていたかのように、涼葉さんは五本の指をペニスの周りにぬるりと巻き付けてくる。
鈴口から垂れ流される白い粘液をまとわりつかせて、性器の奥底にまで快楽を刻み付けるがごとく、指の一本一本が別の生き物のように蠢き、ペニスにまとわりついてくる。

にゅるにゅる、にゅるにゅるっ♡

「……っアっあっ♡♡」

僕の口からだらしない声が漏れる。
イかせてもらえる、今度こそ、絶頂できる……そう思ったが、そんなに甘くはなかった。
さっきはすぐそこまで来ていた射精感が、なかなかやってこないのだ。
今まで味わったことのないような、じんわりとした甘い快感がじわりと股間を襲う。

「なっ、なに、これ……♡」
「うふふ、甘イキは初めてかしら?……これからずーっと、気持ちいいのが続くよ……♡」
先ほどの甘イキで少量の精液を漏らしてしまったせいで、僕のペニスは絶頂するでもなく、さりとて絶頂しないでもなく……じわじわとした、もどかしい快感に包まれていく。

もし仮に精液を完全に出しきった後……通常の射精を終えた後ならば、ペニスに刺激を与えられてもそれほど快感を感じない。
逆に、全く射精をしていなければ今の刺激だけですぐに絶頂してしまっていただろう。
だが、先ほどの甘イキのせいで、僕のペニスは勃起状態のまま、簡単に射精できない状態になっていた。
白くて細い指がペニスを滑る感覚が気持ちよくてたまらないのに、精液を完全に吐き出すことが……できない。

にちゃっ、にちゃっ、ぬちゅっ……

「あッ♡ああッ♡ ……それダメっ……アッ♡アッ♡♡」
声が、抑えられない。
焦らし地獄は終わっていなかったのだ。
むしろ、一度イきかけた分、快感が倍増している。
今までとは比べ物にならない快感が全身を襲う。

ぬっちゅぬっちゅ、ぬっちゅぬっちゅぬっちゅ♡

手で扱くスピードが上がってくる。
涼葉さんは、嗜虐的な笑みを浮かべ僕を見つめながら、男の急所を手で責め続ける。
涼葉さんはわざと僕を一旦甘イキさせたのだ。
いつまでも終わらない快感で僕を縛り、僕の口から直接、絶対に逃げられない服従の言葉を引き出すために。

にゅるっぬちゅっ♡にゅるっ、ぬちゅうう♡

「あっああっあああああっ♡♡♡」
思考が桃色に染まり、目が霞み、口の端からは涎が溢れる。
全身から力が失われ、自力で体を支えることができなくなり、背後から僕を抱きしめる涼葉さんの柔らかい体に全身が沈み込んでいく。
涼葉さんに体を支えられながら、延々と涼葉さんのテクニックを凝らした手淫を受け続ける。
僕のペニスは通常なら既に絶頂しているラインを超え、限界を超えた快楽に晒され続けていた。
射精寸前特有の、甘く痺れるような切ない快感。いつもなら射精の絶頂とともにあっという間に消えてしまう最高の瞬間、天にも昇っていくような感覚が、涼葉さんに手コキされている間、いつまでも終わらない。
細い指が僕のペニスを扱き上げるたびに、鈴口からは精液まじりの我慢汁がとめどなく溢れてくる。
それなのに僕は完全にイくことができず、精液まみれの白い指にぐちゃぐちゃにされながら、ただひたすら切ない快感が僕の脳随に送り込まれてくる。

にっちゃにっちゃ♡にっちゃにっちゃ♡

やがて、ようやく射精の衝動がジワジワと立ち上って来る。
とうに限界を超えたペニスが、今や遅しと最後の瞬間を待ちわびる。
イくっ、今度こそ……

「ああイグっ、イくっ、イっちゃう……!」

しかし、またもそこでお姉さんの手がピタリと止まる。

「だーめ♡」
「ああっ……そ、そんなっ……」
「私のペットに、なる?」
「う……それはっ……」
ダメだ、ペットになるなんて、いやだ。
いやだけど、射精したい。出したい。でも、でも……誰か、助け……

少し経つと、また涼葉さんの細くしなやかな指が、柔らかく絡みついてくる。
先端から溢れる粘液を亀頭に塗りたくり、グニュグニュと揉み込む。棹の先端から根元まで5本の指をヌルヌルと滑らせながら、僕をじわりじわりと逃げ場のない袋小路に追い詰めていく。

にちゃっ♡ にっちゃにっちゃ、にっちゃあ………♡

「あぁダメっ…僕…おかしくなっちゃう……っ♡」
「おかしくしてあげてるのよ……オチンチン、バカになっちゃうまで……そうして君も、私に気持ちよーくして貰う事しか考えられない、可愛くておバカなペットちゃんになっちゃうの……♡」

僕の脳内に再び、隣の部屋から聞こえた男の子の声が再生される。
四つん這いになって涼葉さんに責められ、扱かれ、従順なペットに成り下がってしまった男の子の、嬉しそうな鳴き声。
彼もきっとまた、この躾をうけたのだ。
涼葉さんの手と口といやらしい身体による、決して逆らうことのできない躾を。

にちゃっ♡ にちゃっ♡ にちゃっ♡ にちゃっ♡

「アッ♡あっ♡ ああああぁぁぁ……」

………
……
…


にちゃっ♡ にちゃっ♡ にちゃっ♡ にちゃっ♡

「……ぁ……ぁ……」

一体、どれほどの時間、責め続けられただろう。
一定のリズムで上下しては絶妙なタイミングで止まる涼葉さんの魔法の手によって、もう何度目かも分からない、気が遠くなるほどの寸止めを受け。
僕の顔は悦楽に蕩け、目は霞み、開きっぱなしの口の端からは涎が溢れ、下半身の血流は全て股間のシンボルに集まって、もう、立ち上がろうにも足腰が立たない。
もはや正常な思考ができなくなった僕は、とうとう気持ちよさに負けて、敗北の言葉を口にしてしまう。

「なるっ……ペットに、ペットになりますっ……♡」
「ふふっ……♡契約、成立ね。それじゃあ……イかせてあげる♡」
ついに射精の許可が下りる。
やっと、絶頂を迎えることができる。僕の心に、喜びが溢れてくる。

「じゃあ、こっちに来て」
涼葉さんはバッグの中から小さなシーツのようなものを取り出すと床に敷き、僕をそこに座らせる。

「ペット用のシーツよ。これからペットちゃんがお漏らしするから、床が汚れないようにね♡ それと、少し乾いてきちゃったから、最後はこれを使おうかな……」
お姉さんはバッグの中から、何やら液体の入ったボトルと円筒状の物体を取り出す。

「これ、何だかわかる?……ローションと、オナホール♡」
大人のオモチャ。エッチな動画で見たことがある。
もちろん現物を見るのは初めてだが。

「このローションをこの中に、タプタプーっと入れて……ふふ、もう分かったでしょ?」
「あ……あ……」
涼葉さんが指を二本揃えて、オナホールの中に抜き差ししてみせると、粘ついた液体が指に纏わり付き、テラテラと妖しく光る。
……あの中に僕のペニスが入れられてしまうのだ。
一体どうなってしまうのか、想像もつかなかった。

「オナホールって女の子の大事な所に似せて、作ってあるのよ。……私の中に挿れるのを想像しながら、気持ちよくなってね♡」
涼葉さんが左手で僕のペニスを支えて、右手でオナホールの口を僕のペニスの先端に当てがうと、入り口からドロリと粘液が垂れ落ちてくる。
これから何をされるか理解したペニスが、ぶるんと震える。
入り口の柔らかい素材がムニュリと亀頭に触れる感触だけで、この中に入れたらもう、耐えられないだろうことを察する。

「あっ、これっ♡だめえ……♡」
「……挿入♡」
涼葉さんが、一気に手を下ろす。

ぐっちゅうぅぅぅ♡

「あ……!がっ……!!♡♡」
想像をはるかに超えた快楽が、性器から脊髄を伝って脳天を直撃する。
僕のペニスを襲う快感はとっくに臨界点を超えていたが、何度も寸止めされていたせいで感覚が麻痺し、うまく射精することができない。
涼葉さんはそれをいいことに、容赦なくオナホールを上下させ、僕を快楽の無限回廊に誘っていく。

ぐちゅぐっちゅ♡ぐちゅぐっちゅ♡

「はっ♡はっ♡はっ♡はっ♡」
僕は身体を弓なりに反らし、天を仰ぎ、敷かれたシーツを握りしめて快感に耐える。
開きっぱなしの口からは涎が垂れ、喉からは声なのか呼吸なのか分からないような音を出すのがやっとだ。

と、愉しそうに僕を責めていた涼葉さんが急に手を止めて、口を開く。
「……ねえ君、最近彼女出来たんだったよね?」
「……っ!!」
心臓が止まったかと思った。
快楽に溺れ、真っ白に染まっていた頭が急に像を結び始める。
無意識的に、彼女のことを考えないようにしていた僕の頭は、突然現実に引き戻される。

最初に涼葉さんとご飯を食べながら彼女の話をして以来、その後は一度もその話題に触れられもしなかった。
何故、そのことを。何故、今のタイミングで……

「彼女とはもうエッチしたの?」
涼葉さんが、どこまでも楽しそうに聞いてくる。
戸惑う僕を、快楽と理性の狭間で葛藤する僕を見るのが愉しくて仕方ないといった様子で。

「う……♡あっ♡まだ……です……っ♡」
「ふーん♡まだ童貞なんだ……♡」
エッチはおろか、キスだってやっと一回したばっかりなのだ。
それなのに僕は……僕は、彼女とは別の女性と、こんないやらしいことを……
考えないようにしていた、罪悪感が、僕の中に蘇ってくる。
と、止まっていた涼葉さんの手が再びゆっくりと動き始める。

ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡

ペニスがホールの内側のやわらかい襞とこすれ合い、粘着質な音を立てる。
ホールの先から、暖かくなったローションがどろりと零れ落ちる。

「あっ♡あっ♡あっ♡」
声が漏れる。
一度理性が戻りかけた僕の目は再び欲望に濁り、口の端からよだれが零れる。
麻友への罪悪感を感じておきながら、股間を襲う気持ち良さに勝てなくなってしまう背徳感がゾクゾクと立ち上ってきて、癖になってしまいそうだった。

「彼女に黙ってこんなエッチな顔しちゃって……悪いと思わないの?」
悪いに決まってる。
まだ彼女にも、こんな姿を見せたことがないのに。
本当はこの新居で、麻友との仲を進展させ……やがては初めての夜を迎えるのが目標だったのに。
会ったばかりのお姉さんに、恥ずかしい姿を晒して。
いけない事をしていると、思ってるのに、もう身体がいうことを聞かない。
涼葉さんに与えられる快楽の虜になってしまった僕は、もはや自分の意思で抜け出すことが出来なくなっていた。

「ううっ♡ごめ……♡ごめんなさいっ♡ごめんなさい……っ♡♡」
この謝罪は、誰に向けられたものだったのか。
涼葉さんに詰られることへの謝罪か、彼女への謝罪か。

「倫理観ゼロのダメダメくんには、お仕置きしないとね?♡」

ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡……ぐちゅぐちゅっ♡ぐちゅぐちゅっ♡

涼葉さんの手の動きが徐々に激しくなる。

「あっ♡あっ♡だめえ……♡」
「ペットだから、浮気にならないとか思ってない?ダメだよ、そんなの……射精しちゃったら、それは浮気♡ 浮気したくなかったら、我慢しなきゃ……♡」
図星を突かれて、僕はギクリとする。
涼葉さんは、浮気の罪悪感を僕に感じさせた上で、僕を射精させるつもりなのだ。
ただ気持ちよくなるだけなんて、許されない。
罪悪感と背徳感を感じたまま僕に絶頂を迎えさせ、快楽に抗えない従順なペットとして躾けるために。

「射精しちゃいそうだね?彼女ちゃんを裏切って……♡でもしょうがないよね?君はペットだから、おバカなワンちゃんだから、仕方ないね……♡」
先ほどの厳しい言葉の後、今度は僕を許すような甘い言葉。
飴と鞭の巧みな使いわけで、僕は涼葉さんの望み通りに調教されていく。
そうか、ぼくはペットなんだ。気持ちよくなることしか考えられない、おバカなワンちゃん。
仕方ない、仕方ないんだ。

「ほらほら♡裏切り射精しちゃおうね~♡ ……ふふ♡ 彼女ちゃん、かわいそう……♡」

涼葉さんは、いよいよ僕から精を搾り取るための動きを見せ始める。
オナホールをグッと降ろした先からわずかに除く亀頭を、柔らかい掌でぐりぐりと擦り上げる。
時々ホールを外し、しなやかな指先を使って直接ニュルニュルと揉みしだいてくる。
涼葉さんの滑らかな女の柔肌が、ローションでヌルヌルにされたペニスの表面を滑る刺激は極楽としか言いようがない。
女性器を模したオナホールに搾り上げられる強烈な快感と、つるつるとした手淫の優しい触感が交互にペニスを襲う。

さらに、空いた右手が、右乳首に襲い掛かる。
細い指先が、すっかり性感帯にされてしまった乳首をコリコリとこね回す。
左耳に、舌が入り込んできて、耳の中をグチュグチュと犯される。
先日開発された乳首と耳を責められながら、同時にペニスを扱かれると、前回与えられた快感の記憶と今の快楽がごちゃ混ぜになり、その相乗効果で僕はいとも簡単に射精の直前まで追い詰められてしまう。

「あっ!♡だメッ! 出ちゃう……出ちゃうよおおっ!♡♡」
「まだ誰にも見せたことのない顔、私に見せて?まだ一度も、大事な彼女ちゃんにも出したことのない君の精液……いっぱい出して♡」
大切な彼女を裏切って他の女性に射精するという、背筋がゾクゾクと痺れるような背徳感をこれでもかと感じさせられながら、僕は最後の瞬間を迎える。

「うあっ!あっ♡あっ♡いぐっ♡いくうううう♡♡」
「ほーら、おねえさんの手で……イッちゃえ♡♡♡」
この言葉が、最後の引き金になった。

どぴゅっ!
どぴゅぴゅぴゅぴゅ!どくどくどく……!

精子が、噴水のように噴き出してくる。

「あーあ♡射精しちゃった~♡♡ ……浮気確定だね?♡♡」
耳をしゃぶられながら涼葉さんに囁かれ、浮気の罪悪感を植え付けられながら、絶頂する。
涼葉さんは、ホールを器用に使って、追い打ちをかけるように僕の性器を扱き上げる。

ぬちゅっ♡ぬちゅっ♡

「やっ♡♡やだっっ♡いやだああっ♡ ……んあああああっ♡♡」

どくっ、どくっ……

精液とローションが混ざってぐちゃぐちゃになったオナホールの中で、僕はペニスをめちゃくちゃに扱き立てられる。
焦らされに焦らされ切ったペニスを執拗に搾り上げられると、次から次へと精液が吹き上げてきて、その体験が心に焼き付き、僕の脳を桃色に犯していく。

「はあっ♡はあっ♡」

熱がまだ収まらない身体を収めようと荒い息をつく僕を、涼葉さんは背後から優しく包み込むように抱いている。
じゅぽっ……と音を立ててオナホールが外され、外の冷たい空気に触れたペニスに、左手がゆっくりと絡みついてきて、残った精液を絞り出すように扱いている。乳首をいじめていた右手は、僕の胸板を優しく溶かすように愛撫する。
そうされているうちに、徐々に涼葉さんへの愛しさがこみ上げてくる。
僕を堕落した道に引き込む、悪い女性だと分かっているのに、そのいやらしい身体にずぶずぶと、のめり込んでいくようだった。

「……このあと、どうしてほしい?♡」


身体が、ビクッと震えた。
このあと更に、してほしい事なんて、一つしかないじゃないか……。

僕はあの時の約束通り、このお姉さんにたっぷりと下半身を可愛がられ、本当の彼女にも見せたことのない顔を晒して……とうとう射精までしてしまった。
大切な彼女、麻友を裏切っての射精。
最低の行為なのに、それは病みつきになってしまいそうなくらい、最高に気持ち良くて。
僕は、せっかく麻友のために一人暮らしを始めたのに……隣人の悪いお姉さんの誘惑に負け、淫らなテクニックでメロメロにされて……自ら望んで、ペットになってしまったんだ。
もう、戻れない。もう、逃れられない。それならもっと先に、進むしかない……。


「――オナホなんかじゃなくて、本物のお姉さんの「中」に、挿れてみたい……そうでしょ?」
「……で、でもっ……」
涼葉さんに、頭の中の考えを言い当てられる。それでも、まだ僅かに残っている良心が咎めた。
挿れてみたい。それが男性としての本能。
だが最後までしてしまったら……それこそ、もう、言い逃れできない。

「まだ彼女ちゃんのこと気にしてるの?もう、私の身体でイッちゃったんだから、いまさら止めても遅いよ?一度射精しても、二度射精しても、浮気してるのは一緒♡」
多分、それはその通りだった。
最後までしてないから、浮気じゃないなんて言い分が通るわけもない。
どうせ、麻友には隠し通すしかないのだ。
だったらいっそ……やること全部やってしまって……
僕の頭の中は、徐々に、黒い欲望に満たされていく。
一度射精までしてしまった僕は、その先の背信行為への抵抗感が徐々に消えていくのを感じていた。

僕のペニスはあまりに長時間責められて疲労していたせいか、まだ完全に精液を出しきれていないようだった。
オナホールが外され、涼葉さんの綺麗な指で直接、ゆるゆると揉み解されている僕の男根は、再び大きくなりかけている。
もうここまできたら……最後まで……


………
……
…


小休止を挟んで数十分後、僕はベッドの上に横たわり、涼葉さんに騎乗位で犯されていた。

パン、パン、パン、パン。

肉と肉がぶつかり合う無機質な音が、狭い6畳のリビングに響き渡る。

涼葉さんが激しく腰を上下に動かすと、僕のギンギンに直立した男根が涼葉さんの女体の中に、出たり入ったりしている光景が見えて、たまらない。
涼葉さんに股がられて、僕は自室のベッドの上で、口をパクパクさせて、快楽にのたうち回る。
いつか彼女と、麻友と一緒に寄り添って眠ることを夢見て購入した、真新しく広いセミダブルのベッドの上で、彼女ではないお姉さんに跨られて、喘ぎまくる。

ぬちゃっ♡ ぬちゃっ♡

「あっ♡ あっ♡」

喘ぎ声が止められない。
涼葉さんが顔を紅潮させ、長く黒い髪を振り乱して腰を上下させる。
顔を僕の胸に埋め、僕の乳首にレロリと舌を這わせ、しゃぶり付く。

この1週間で涼葉さんに開発され尽くした乳首と、股間に同時に与えられる快楽で狂ってしまいそうだ。
僕は雄としての本能に従い、腰を動かす。涼葉さんの上下動に合わせ、僕の腰は自然とピストン運動を始める。

「アハッ♡ 彼女がいるのに、私で童貞卒業なんて、ひどい彼氏さん……♡」
「だめっ、言わないで……ダメっ……♡」

一度射精しても、二度射精しても一緒。
そう言われて自分もそう思っていたが、それは涼葉さんの巧みな嘘だったかもしれない。
コンドームをつけているとは言え、己の男性器が生まれて初めて女性器の柔らかい内部に迎え入れられ、粘膜が擦れ合う感覚は、何物にも代えがたい快感だった。
先ほどの手淫とオナホールだけでも確かに気持ち良かった。だが、こうして肌を重ね合い、身体と身体を繋げ合って、互いに獣のように悦楽を貪るのは、まさに本能的な衝動だ。
生まれて初めて体験するセックスは、一生忘れることができないだろう。僕は、涼葉さんのことがどんどん愛しく、好きになってしまうのを感じた。
もう一生、この人のペットになってしまっても、かまわない……

「涼葉さん……好き、好きい……♡」
「ふふ、好きになっていいよ♡ 私も君が好き♡ これで君も、身も心も……私のペット♡♡」

涼葉さんの両手が、僕の掌の方へ伸びてきて、愛おしそうに指と指とを絡めてくる。
僕は涼葉さんのことが好きになってしまったのに、涼葉さんにとっての僕はあくまでもペットとしての「好き」。
そこにあるのは絶対的な主従関係だ。先ほど僕が口走った「ペットになる」というような口約束だけでなく、こうして身体を繋げることで、涼葉さんは僕のような獲物を完全に支配してしまうのだろう。

「頂戴♡ ……君の、私への忠誠の証……♡」
「ああっ出るっっ!♡ ぼく、ペットに……涼葉さんの、ペットに、なっちゃううう!!♡♡」

どぴゅっ!

その瞬間、僕の若い情欲が、感情が、爆ぜた。

どくどくっ!どくどく、どくっ……

僕の体内に滾る熱い衝動が。
ペットとして完全に躾けられてしまった証が。
涼葉さんの中に、注ぎ込まれていく。

◆

元々、初めて会った時から、涼葉さんは僕をペットに加えるつもりだったのだろう。
だから、最初はあえて僕を射精させず、性欲で僕を縛り付けて。
その後、わざと隣室にいる僕に聞こえるように、他の「ペット」との情事中の声を聞かせたのだ。
涼葉さんのペットになれば、どんなご褒美が待っているかを、僕の脳裏に焼き付けるために。

結局その思惑通り、この日から僕は、身も心も涼葉さんのペットになってしまった。
来る日も来る日も、僕は隣の部屋に通い、忠実なペットとしての躾を受ける。
四つん這いにされて、お尻の穴をほじられ、背後からいやらしくペニスに絡みついてくる細くて柔らかい指に、乳搾りのように精液を絞り尽くされたり。
大きな胸にペニスを挟まれて、谷間に垂らされたローションで表面をぬるぬるにされ……そのままやわらかな乳房に挟まれ、ムニュムニュと上下に揺さぶられて、喘ぎ声が枯れるまで絶頂させられたり。
まさに僕が羨望し、望んでいた通り。僕はこの世のものとも思えない男の悦びを享受し続けた。

涼葉さんは時々、自ら僕の部屋にもやってきた。
僕は涼葉さんの姿を見ただけで勃起するようになってしまっていたから、なんの抵抗もできず、自室のベッドの上で手足を押さえ付けられて何度も犯された。
またある時は、玄関先でそのままパンツを下ろされて、涼葉さんの生暖かい唇でペニスを咥えられ、じゅるじゅるとしゃぶり尽くされて、腰がガクガクになるまで口内射精したこともあった。

もはや僕は、涼葉さんのことを忘れて生活することなんてできなかった。
何しろ、隣に住んでいるのだ。嫌でもその生活音が聞こえてくるし、油断していると、いつ他の「ペット」との情事が始まるかもしれない。
やがて僕は、本当の彼女である麻友の事よりも、涼葉さんを他の「ペット」に取られたくない、そんなことばかり気にするようになってしまった。

――こうなった以上、もう麻友とは別れたほうが良い。
そう思ったが、麻友を嫌いになったわけでもなく、そもそも彼女になんの落ち度もないのだ。
毎晩続けていた彼女との電話は徐々に頻度が少なくなっていたが、それでも電話するたびに嬉しそうな麻友の声を聞くたびに、僕の胸は罪悪感と未練で潰れそうになり、なかなか言い出すきっかけが掴めなかった。
彼女と電話しては、その後夜遅くまで涼葉さんに精を搾り取られる毎日。人として最低の事をしている自覚はあったが、涼葉さんとの目眩くような毎日に没頭してしまっていた僕は、また今度、また今度と問題を先送りにしていた。
涼葉さんは涼葉さんで、彼女持ちの僕が涼葉さんのテクニックに負けて堕ちていく様を愉しんでいるような節があったし、僕は僕で、恋人がいるのにエッチなお姉さんの誘惑に負けてしまう背徳感、倒錯感を感じながら絶頂する快感が癖になってしまっていた。
その快感は麻薬のように徐々に僕の脳を蝕み、僕はもうその悪循環から抜け出せなくなっていた。

◆

そんな生活が2週間も続いた後の、土曜日の昼。

買い物を済ませて部屋に戻った僕は、玄関を開けた瞬間、何やら違和感を覚えた。
足元を見下ろすと、玄関に自分のものではない靴が揃えられている。

……麻友の、靴だ。
どうやって中に……そうだ、合鍵を渡していた……
最近麻友への連絡が途絶えがちになっていた。
だから久々の土日である今日、麻友が家を訪ねてくることは十分考えられる事だった。

そう気づいた瞬間、全身が総毛立つような恐怖を覚えた。
考えうる限り最悪の事態が、僕の頭を掠める。
この2週間、僕は部屋の中で、毎日のように涼葉さんとの行為に明け暮れていたのだ。
あまりにも頻繁だったから、後片付けもせず、繰り返し、繰り返し。
そして、今、麻友に部屋の中を見られて……

僕は玄関とリビングを隔てるドアを、恐る恐る開く。
そこに、麻友がいた。
こちらに背を向けて、ローテーブルの前にちょこんと座って。
僕が帰ってきた音が聞こえているはずなのに……こちらを振り向きもしなかった。

何か声をかけようと思ったが、何を話していいか、わからない。
声が出ない。
そうしているうちに、麻友がゆっくりと口を開いた。

「……翔くん、私に何か、隠していることない?」

その声は、今まで聞いたことがないくらい、暗く、低い声だった。
僕はあまりに突然訪れた事態に、目の前が真っ暗になり、一言も発することができない。
口が乾く。目が泳ぐ。
胸の鼓動がどんどん早くなる。
一方で、悪事がバレる時ってこんな気分なのだろうか、と妙に冷静に考えている自分もいる。
黙っていると麻友が続ける。

「……最近あまり電話できなかったから、いきなり来て驚かそうと思ったの。そしたら、部屋が散らかってたから、片づけてっ……あげようって……そしたら……」
麻友の声は、悲しみに震え、最後の方はよく聞き取れない。
胸がズキズキと痛む。心臓が飛び出すのではないかと思うぐらい早鐘を打つ。
確かに部屋が少し片付いていて、よく見るとベッドの上に、自分の置いた覚えのないティッシュペーパーが二包み、広げてある。
一つには、どう見ても女性と分かるような長い髪の毛が、沢山集められていて。
もう一つには、使用済みのコンドームが載せてあって。
麻友が、この部屋の中で、見つけたのだろう。

時間が止まったみたいだった。
終わり。終わりだ。
膝が震える。
何か言いたくても、喉が枯れてしまったように何も言葉か出てこない。
なんと喋ればいいかわからない。
言い訳の言葉?謝罪の言葉?
何を言っても、墓穴を掘る。何を喋っても、麻友を傷つける。

麻友が勢いよく立ち上がる。
初めてこちらを振り向いたその目は、真っ赤に泣き腫らしていた。
つかつかとこちらに歩み寄ってくる麻友に対して、僕は棒みたいに立ち尽くすことしかできない。

パァン。

目にも止まらない速さで平手打ちが飛んできた。
僕は何もできずに、それをまともに左の頬で受け、よろめいて座り込む。
部屋を出ていく麻友が、勢いよく玄関のドアを閉める音がする。
僕は、性欲に流されて、気持ち良い事にうつつを抜かして……大切な彼女を失った。
ローテーブルの上に無造作に置かれた合鍵を見ながら、これは当然の報いだと、思った。



一時間弱もそうしてボンヤリしていただろうか。
僕は、ふと立ち上がり、ふらふらと、隣の部屋に向かう。

「あら?今日はずいぶん早く……」
玄関を開けた涼葉さんを見るや否や僕は何も言わず、涼葉さんに抱き着く。
やわらかい大人の身体を、いつも以上に強く抱きしめながら。
僕は泣いていた。
麻友との別れが辛い?いや違う、それは当然の結果だから。
ただ、純粋で何の穢れも知らない麻友を、これ以上ない残酷な方法で深く傷つけたことが辛くて。
自分のことが憎くて、悔しくて、仕方なかったのだ。
涼葉さんは最初、さすがに驚いていたようだったが、特に何も言わなかった。
ただ、何かを察したように僕の肩をかき抱いて、優しく抱きしめ返してくれる。

……しばらくの間、そうやって抱きしめられながら、背中を撫でられていると。
涼葉さんの口元にスッと笑みが浮かび、意地悪そうに聞いてくる。
「……なんで、大きくなってるのかな?」
涼葉さんの手が、背中から腰、下半身へと下りてきて、僕のズボンの股間のふくらみをそっと撫でる。
……僕の性器は、勃起していた。

涼葉さんは器用にジーンズのファスナーを外す。
白い手が、僕のパンツの中に入り込んでくる。
パンツの中に入ってきた手が、硬くなったペニスを撫でまわし、揉みくちゃにする。
「あ……♡ 涼葉さ…ん……♡」
それだけで、たったそれだけで、僕の性器はもう限界で。
僕は服を着たまま、パンツの中に入り込む涼葉さんの手の中に……どくどくと、射精してしまった。

涼葉さんは僕の手を引き、僕をベッドに連れていく。
そのまま押し倒される。あおむけに倒れた僕に涼葉さんが馬乗りになる。
涼葉さんはもう、いつも通り……いや、いつも以上に嗜虐的な笑みを浮かべて、僕を見下ろす。
一気に唇を奪われ、ディープキスされる。
シャツをたくしあげられ、乳首を指先で摘ままれる。

僕の意識はたちまち欲望に濁り、顔にはだらしのない笑みが浮かんでいた。



ああ、ぼくは、どうしようもない、最低の人間だ。

美容院姐姐

「本日担当します白河綾花(しらかわあやか)です。よろしくお願いしますね」


目を奪われるような美人だった。
漆のように黒く美しいロングヘア、長いまつ毛に大きく澄んだ瞳。
整った顔とスタイルの良い身体に、白を基調とした清潔感のある服が良く似合っている。
美容師さんというと、もっと明るいヘアカラーの、派手めな人を想像していたが、その対極とでもいうか。
年齢は23から25ぐらいだろうか。清楚な、正統派美人、といった印象だった。

見惚れてしばらくボーッとしていたが、ふと我に返る。

「あ……お、お願いします!」

いかんいかん。今日はこれから彼女とのデートなのだ。
これからは彼女一筋。他の女性に目を奪われている場合ではない。


僕は近所の高校に通う18歳の男子高校生。
最近、人生初の彼女ができた。
名前は由美という。ショートカットの良く似合う、活発な女の子だ。
中学の時から好きだったのだが、同じ高校に進学することになり、思い切って告白したらOKを貰ったのだ。

それから、学校から手を繋いで一緒に帰ったり、ファミレスに寄ってみたり、楽しく過ごしていた。そして日曜日の今日、初めて休日のデートに誘った。
恋人になったばかりとはいえ、まだキスもしていない。今日はその最初のチャンスだった。バッチリ決めてやる。
だから、普段は行かないようなちょっと高めな美容院を予約してやってきた。


「それではカットを始めていきますね。ご希望はありますか?」
「髪型とかよく分からないので……お任せで、カッコイイ感じにしてください!」
「どこかへお出かけなんですか?」
「彼女とデートなんです、初めての休日デートなのでバッチリ決めていきたくて…」
「あら、それは責任重大ね」
白河さんがクスッと笑う。素敵な、蠱惑的な笑顔だった。

それから僕は、カットの間色々なことを喋った。
初めての休日デートに浮かれていたのだろう。
白河さんに聞かれるまま、付き合ってからどのくらいだの、彼女の好きなところだの、まだキスはしていないだの。
普段なら恥ずかしくて言えないようなこともベラベラ喋ってしまった。
それを聞いている白河さんの雰囲気が、少しずつ変わってきたことにも気づかなかった。



「それでは細かい毛を流して、シャンプーに移りますね。今日は初めてのご来店なので、シャンプーの後ヘッドスパをサービスさせていただきます。こちらの部屋へどうぞ」
なるほど。そんなサービスが付くのか。流石高めの美容院なだけはある。
カットがひととおり終わり、白河さんに移動を促される。
ヘッドスパ用の部屋は別室になっており、席は一つだけ。
簡易な仕切りもあり、外からは見えない個室のような作りだ。普通はもっと高い料金を取られるのだろう。

案内されたリクライニングチェアに座ると、背もたれが倒されベッドのようになる。
身体に毛布が掛けられて、顔には厚手のタオルがかけられると視界が遮られて暗くなるが、
その間も白河さんはテキパキと何かの準備をしている。
お湯が出されシャンプーが始まる。
「お湯加減は如何ですか?」
「ちょうどいい……です」
他人の手でシャンプーをされるのは、気持ちいい。
特に、白河さんの細く、きれいな指先で頭皮をさわさわと刺激されると、妙な快感がある。
なんだか、変なことを考えそうだ。


シャンプーが終わるとタオルで頭を拭かれて、背もたれが少し起こされる。
白河さんが僕の頭のすぐ後ろにたち、ヘッドスパが始まる。
しなやかな指で、頭がマッサージされる。
グッと押したり緩めたり、強弱織り交ぜられ、徐々に気持ちよくなってくる。
正直、白河さんのような綺麗な女性の手で肌を直接触られているだけで気持ちいい。
それに、僕の頭が、何かやわらかいものに当たっている。立っている位置から考えて、胸が当たっているんじゃないだろうか。
そういえば、そこそこ大きな胸だったと思いだす。
意識すればするほど、余計に胸の形を意識してしまう。

少し、下半身に血が集まってくるのを感じる。

白い手が、頭皮だけでなく、耳のあたりや、顔の周りにも伸びてくる。
耳の横を通るとき、触れるか触れないかぐらいの感覚で耳をくすぐられる。
頬や顎を優しく撫でられたと思ったら、首筋をつうっとなぞられる。
これも、ヘッドスパなのだろうか。
白河さんの顔が近い。シャンプーのような、香水のようないい香りがする。
僕の股間の一物はいよいよ大きくなってくる。まずい。バレてしまわないだろうか。
顔にかかっていたタオルが少しずれる。白河さんの口元が、少し笑っているように見える。

白河さんが僕の身体の横に移動し、ずれたタオルが再度、顔に掛けられる。
視界がまた暗くなり、かえって落ち着く。
ホッと一息ついた次の瞬間。

ちゅっ。

ふわっといい香りがしたと同時に、唇に、柔らかいものが押し付けられるのを感じた。
白河さんの両手が僕の頬に回され、顔が動かないように固定される。
突然のことに、何が起きたかを理解するのに時間がかかる。

(……キス、されてる……!!??)

僕が状況を把握するより一瞬早く、白河さんの舌が唇を割って、ぬるりと僕の口内に侵入してくる。

んちゅっ、ぬちゅっ、じゅるるっ…

舌で舌をなぞられ、濡れた唇で唇を愛撫される。
キスなどしたこともない僕には、強すぎる刺激と快楽。
快感で頭がピンク色の靄に包まれるが、
あまりに異常すぎる状況に、反射的に体が飛び起きる。
いや、飛び起きようとした。しかし、起きれない。

(毛布が…重い……!?)

身体にかけられた毛布が動かないのだ。
よく見ると、重くて動かないのではない。リクライニングチェアの後ろまでぐるりと回され、後ろで固定されているようだ。
タオルが顔にかけられて、視界が奪われてからが少し時間があった。そのぐらいのことは容易に行えるだろう。
つまり僕はいつの間にかこの椅子に軽く拘束されてしまったことになる。

そんなことを考えているうちに、舌による口内への蹂躙はより深く、奥へと進んでいた。
ぬるぬると舌が絡みつき、唾液が混ざり合う。最初抵抗のあったその感覚にも徐々に慣れてきて、
それが背徳的な興奮となり溶けるような快感に変わってくる。
気持ちいい。

そう、とても、気持ちいい。
もっと、もっとキスしたい。

僕は白河さんのキスのテクニックに骨抜きにされ、いつしか抵抗する気力を失っていた。
それどころか無意識に、相手の舌を求めて自分から舌を絡めようと動かす。

……たっぷりと口内を苛め抜かれた後、ぬるりと舌が引き抜かれる。
顔にかけられていたタオルはとっくにずり落ち、舌と舌との間に唾液の糸が引きいやらしく光る。
端正な顔立ちが、最初会った時よりずっと魅力的に見える。
まだ由美ともしていない、ファーストキス。
今更ながら、心臓の鼓動がバクバクと早くなっているのを感じる。

「ぷはっ…どっ、どうして……」

僕の質問には答えず、白河さんが妖艶に笑う。

「どうですか、初めてのキスの味は?」
「えっそれは…………ああっ!!」
それに答える時間は与えられなかった。
白河さんの右手が毛布の中に潜り込み、ジーンズの上からでもはっきりわかるぐらい大きくなった股間を、細い二本の指先でつーっとなぞり上げ、下半身がビクンと反応する。
「口で言わなくても、この子は気に入ってくれたみたいですね♡」
「うっ……」
「こんなに大きく……私が責任取ってあげないとね?」
「せっ…責任って…?」
「……溜まってるもの、全部、」

屹立したペニスをジーンズの上からやわやわと揉み込みながら、白河さんの顔が近づき、

「一滴残らず、私の手で搾り取ってあげようか……♡」

口調が、今までの事務的な丁寧な言葉遣いから、甘く誘うような言葉遣いに変わり、細い爪の先で先端をカリカリとなぞりながら、耳元で囁いてくる。

元気も性欲も有り余った15歳の高校生である。出したくないわけがない。
自慰は時々しているが、女性に触られたことなど勿論ない。
キスでさんざん高ぶらされ、その上こんなきれいなお姉さんにしてもらうなど夢のような話だ。
これまでネットの怪しい動画でしか見たことがないようなエッチな映像が頭の中に浮かんでは消え、
これから起きることへの妄想と期待で頭がいっぱいになる。

……はい、と言いかけてハッとする。
今日美容院に来た目的は。
この後、彼女とデートなのだ。初めての休日デート。
それを、他の女性に気持ちよくしてもらった身体で行くなんて。
自分の中で到底許容できることではない。

「だっ……ダメです」

はっきり断ったつもりだったが、出た声は弱々しかった。
だが、言えた。ちゃんと断れた。

「そうよね、彼女さんに悪いもんね……偉いわ、そういうマジメな男の子、好きよ」

残念がるどころか、嬉しそうにしている。
むしろ、表情が一層淫らな色彩を帯びたような気がしたが、気のせいだろうか。

白河さんは、僕から一旦離れると椅子の背後に回り、僕の寝ていた椅子の背もたれを半分ほど起こした。
どうやら諦めてくれたようだ。少し残念なようなホッとしたような気持ちで起きあがろうとすると、椅子の背後から細い腕が伸びてきて、僕の身体に柔らかく絡みつく。
さらに、背後から僕の耳元に口を寄せ、声を潜めて囁いてくる。
「じゃあ一回だけ…♡大丈夫、手でするだけなら浮気にはならないでしょ…♡」
「なっ……それじゃ話が…っ」
「それに、いつか彼女さんとエッチする時に何も知らなかったら、リードができない男だと思われるよ?」
「それは……」
一瞬納得しかけたが、それは詭弁だ。
どんな理由であれここで誘惑に乗ったら、彼女を裏切ることには変わりない。
だが、身体に絡みついてくる綺麗な手で、腕や太ももを優しくさすられながら言われると、一度決めたはずの意志が鈍ってくる。
「……私も最近ご無沙汰で、ちょっとスイッチ入っちゃったの。ね、お願い♡」
お願い、と言われてしまうと気持ちが揺らいでくる。
これほど綺麗な人が男性に困ることなどあるのだろうか。白河さんも、興奮しているのだろうか。
正直、美人のお姉さんにこんなお願いをされるチャンスなんてない。
悪い気はしないし、ここまで言わせて無下に断るのもかわいそうだ。

いつの間にか下半身に伸びてきた手が、股間の周りをスリスリと這いまわり、紡ぎだされる快感で、思考が曇る。
どす黒い性欲が毒となって全身に回り、脳が蝕まれる。
気持ちよくなれる方へ考えが傾き、自分で自分を納得させようとする。
一回だけ、それも手でするだけだ。今後の経験にもなる。誰にもバレないだろう。
由美のことも、白河さんのことも傷つけないで済む。
そうだ、それがいいんじゃないか。

「う……ううん……」

肯定の返事が喉まで出かかったが、最後の理性が警鐘を鳴らし、僕を押しとどめる。
何か、何かが引っかかる。話がうますぎる。

「決められない?じゃあ、もう少し私の手の感触を試してから考えようか♡」

僕が煮え切らないでいると、『手の感触を試す』というこの上なく煽情的な言葉が耳に飛び込んできて。

「えっ……あっ……はい……」

結論を後回しにできる気楽さと、その甘美な響きに負けて、つい返事してしまった。
相手の望み通りに誘導されているのではないか、そう疑念を抱く前に、
厚い生地の上からペニスを弄んでいた白河さんの手が、ぞろりとジーンズの中に入りこんできた。
まだ下着一枚を隔てているが、その細い指が入ってくる感触が鮮明に伝わり、声が漏れる。

「あっっ…!」

下着の上から、人差し指と中指を器用に使いカリカリと亀頭を引っかかれる。
さらにしなやかな親指と人差し指で作った輪の中にカリ首が捉えられ、ゆっくりと上下する。
既にパンツに染みを作っていた粘液が、次から次へとどんどん溢れて、太もものあたりに漏れ出てくる。
たちまち息が荒くなる。

すべすべの左手が、服の中に入り込んでくる。
シャツ一枚を隔てた上から、人差し指で左の乳首の周りをなぞられる。
むずむずとした快感に悶えていると、指先が乳首の先端に触れる。
未知の快楽に身体がビクンと反応してしまう。

「男の子でも乳首って感じるんだよ、知ってた?」

初めて女性に触られたのだ。知ってるわけがない。
自分にこんな性感帯があるなんて。

「ちょっと弄ってあげただけで女の子みたいにビクビクしちゃって、可愛い♡」

言葉でも責められる。女性に一方的に責められているという倒錯的な快感に悶える。
左乳首をたっぷり苛めた左手が、右乳首の方に這うように伸びてくる。

「何度も何度も触って開発して、病みつきにしてあげる」

耳元で囁かれながら責められる。耳がムズムズして、快感が増幅する。
いつしか、僕はお姉さんの指先に溺れ、そのテクニックの虜になっていた。

「もう、まだ始めたばっかりなのにぐちょぐちょになっちゃってるよ……ほら♡」

ジーンズの中から右手が引き抜かれ、綺麗な指先が、ペニスの先端から滲み出た粘液でねっとりと糸を引いているのが見える。
まだパンツの上から触られただけでこんなになってしまうなんて。
もし直接触られでもしたら……。

「じゃあ、そろそろ本気でシてあげるね」

そう言うと、白河さんは後ろの台から高級そうなシャンプーか何かの容器を取り出す。
蓋を開けて中身を手に出す。粘性の高い透明な液体がトロリと流れ出てくる。

「これ、何だかわかる?ローションよ。外から見るとシャンプーの容器だけど、中身を入れ替えておいたの。」

ローション。エッチな動画で見たことがあるが本物を見るのは初めてだ。
だが、何故そんなものが美容院に…?
疑問を抱きかけるが、次の一言で何も考えられなくなってしまった。

「これを私の手にたっぷり載せて、君のおちんちんを苛めてあげると、どうなっちゃうのかな……♡」

右手にローションを塗り込み、ぐっちゅぐっちゅと手を開いたり閉じたりすると、その粘液がたっぷりと糸を引き、美しい手がぬらぬらとした淫靡な姿に変わる。
さらにそのしなやかな指をぐにぐにと動かし、何か棒状のものに絡みついてしごくようなジェスチャーを見せてくる。
僕はこれから何をされるのか理解し、心臓が跳ねるように早鐘を打ち始める。

白河さんは再び椅子の背後に回ると、何も塗っていない左手を僕の前に回し、シャツをたくし上げる。
そして、ローション塗れの右手で直接、僕の腹部をさすってくる。
ひんやりとした手が肌に直接触れる感覚と液体の冷たさで一瞬身が縮むが、徐々に体温で温まってくると、ヌルヌルに塗れた手のひらが腹から胸にゆっくりと這いあがってくる。
指先で乳首の周りにゆっくりと円を描くように愛撫されると、もどかしい快感に理性が溶かされる。
充分に焦らされた後に濡れた指先が乳首に到達し、ぬるっとした液体を塗り込まれながらクリクリと刺激される。

「ひぁっ♡」

先ほど散々快感を教え込まれた乳首に、さらに甘い刺激を与えられると、
身体が跳ね、喘ぎ声が漏れる。

「これだけでそんなに声上げちゃってると、この先持たないよ……外に聞こえないように我慢して♡」

そう言うと白河さんは、顔を拭くための暖かい蒸しタオルを取り出し、僕の口に詰め込むように載せてくる。
さらに、左手にもローションを追加し、両手をぐっちゃぐっちゃと粘液塗れにしながら、

「これでどれだけ喘いでも、叫んでも、誰も助けに来れないね♡」

さらっと恐ろしいことを言ってくるが、恐怖を感じる前に両手の指先がぬるぬると両乳首に這いよってきて、こねくり回される。
ローションのヌルヌル感と滑らかな指の感触が合わさり、舌で舐められているような快感で何も考えられなくなる。

「……っ♡……っ♡♡」

身をのけ反らせて、タオルの中で声にならない声を上げる。

「舐められてるみたいでしょ?次も来てくれたら、本当にお口でも苛めてあげるからね……♡」

淫らな言葉が、脳裏に刻み込まれる。
聞かされながら散々乳首を苛め抜かれ、息も絶え絶えになっていると、白河さんの左手が下に滑り降りていき、とうとうジーンズの留め具が外される。
そのまま、20センチほどジーンズを下ろされ、履いていたボクサーパンツが外気に触れる。
ペニスはこれまで見たことがないほど勃起しテントを張っており、先端から流れ出た透明な汁が染みを作って冷たさを感じる。

「流石にお店の中で全部は脱がせられないから、この中で触ってあげる……♡」

膝まで落ちて外れかけていた毛布を腰のところまで上げてくれて少し暖かくなる。
下半身が毛布の中に隠れ、外からでは一見して毛布の中がどうなっているかまでは見えない。
ただ、僕と、背後に立っている白河さんの二人からはその中が良く見える。

白河さんは右手の上にたっぷりとローションを追加すると、いよいよ毛布の中にその右手を滑り込ませる。
僕からは、綺麗な右手が、ぬらぬらと光る美しい手が、パンツに大きく張ったテントに近づいていくところが良く見える。
これから起きることへの興奮に、ペニスがどくんと大きく跳ねる。

ぐじゅうっ。

「はぁッ……!」

ついに右手が屹立したテントに到達すると、上からローションを垂らされ、そのままローション塗れの手で握りこまれる。
まだ直接肌に触られたわけでもないのに、甲高い声が漏れる。
既にカウパーで染みだらけだったパンツが、追加されたローションでぐじゅぐじゅになり、そのローション塗れのパンツごと右手でゆっくりとしごかれる。

ぐっちゅ ぐっちゅ ぐっちゅ ぐっちゅ

「っ……んんっ!!!!!」

口をタオルで塞がれているのでくぐもった喘ぎ声しか出せない。
続いて、左手も股間に侵入してくる。両手を合わせて、テントを両側から握りこむようにして、
何度も、何度もこね回される。

ぐっじゅぐっじゅぐっじゅ!ぐっじゅぐっじゅぐっじゅ!

手の動きが早くなる。ローションと僕の体液が交じり、僕のパンツはもうなんだかわからない液体でグズグズになっている。

「そろそろいいかな……♡」

白河さんは左手でパンツのゴムをつかみ、少し浮かせる。
右手がパンツの中に侵入してくる。
ついに僕のペニスが、今日初めて会った女の人の手に、直接。

「捕まえた……♡」

耳元で囁くと、しなやかな指を一本一本、ペニスに絡めてくる。
直接触られたことで快感が数倍に膨れ上がる。
一気にはしごかず、指先を小刻みに蠢かせ、棹の表面に滑らせる。
やがてゆっくりと右手が上下に動かされる。ローションが潤滑剤になり、ぬるぬるとしごかれる。
頭がおかしくなる。

左手もパンツの中に入ってくる。
両手を使っての巧みな愛撫が始まる。
左手で竿を握りこまれ、右手の平を亀頭に刷り込んでくるように撫でてくる。
右手で球袋をこしょこしょとくすぐりながら、ローションをたっぷり載せた左手を筒状にして、根本からカリ首、亀頭までを何度も往復し、ぐじゅぐじゅとしごき上げる。

ローションが渇き、足りなくなってくると右手に唾液を垂らし、
それをまたペニスに塗り込み、揉みこんでくる。
僕のカウパーと白河さんの唾液。お互いの体液が混ざり合って、にちゃにちゃと粘ついた音を立てる。
その音が耳に、光景が目に焼き付き、忘れられない記憶が脳裏に刻まれていく。
自分の体内にまで白河さんの唾液に侵入され、蝕まれていくような気がして、全身を支配されていく気持ちにさせられる。

もっと、もっと支配されたい。
もっといじめて欲しい。

右手はペニスをこねくり回したまま、左手が引き抜かれ再び乳首をクリクリと引っかかれる。
予想外の動きに全身がビクビク跳ねる。
さらに、右耳に柔らかい唇が吸い付いてきて、耳たぶをしゃぶられる。
レロリと舐められたと思ったら、耳の穴に舌が侵入してきて、ジュプジュプと抜き差しされる。
全身に快感を送り込まれ、絶頂へと引きずり込まれる。

もうダメだ。
出る。
とうに限界を超えていたペニスがひときわ大きくなる。
身体の底から、精子がぐんぐん上ってくるのが分かる。

「いふっ!……いっひゃう……!!」

蒸しタオル越しに声にならない声を上げたその瞬間。
白河さんが、ペニスからパっと手を放し、身体を放す。

快楽の毒に犯されきっていた身体が突然その放出の行き場を失い、脳がパっと現実に引き戻される。

「手の感触お試し、どうだったかしら?……続きがしたかったら、この先どうしてほしいのか、ちゃんと自分で決めて、お願いしないと♡」

「!!っ…………」

そうだった。
快楽に溺れてすっかり忘れていたが、僕はまだ、その返事をしていなかった。
最初は断るつもりだった。でも、ここまでされて、やめられる訳がない。
このまま何もせず、焦らされたまま終わるなんて、狂ってしまいそうだ。
罠だったんだ。
でも、この後は恋人と、由美とデート。
こんなこと許されるわけがない。断らなきゃいけないんだ。
由美への罪悪感が、僕の理性を保つ最後の砦だった。

「ふふ、気持ちよくって今更やめられないんでしょう…?答えは決まっているのに、それでもまだ返事ができないのかな……?」

また、身体と身体が近づく。
初対面ではあれほど清楚に見えていた白河さんが、もう、淫靡な情欲に塗れた雌の顔を隠そうともしない。

「……じゃあ、正直に答えられるようにしてあげる♡大きな声出しちゃ、だめだよ♡」

口からパッと蒸しタオルが外される。
再び背後から腕が絡みついてくる。左手が服の中をまさぐる。右手が毛布の中に入ってくる。
やめろ。
白河さんに近づかれると、触れられていると、おかしくなる。正常な判断ができなくなる。
その手、その唇。その声、その匂い。
もうそれだけで身体が反応してしまう。何度も快感を教え込まれて、全身に刻み込まれてしまっている。

容赦のない責めが再開される。
ぬるぬるの細い指で乳首を弄られる。やわらかい手のひらがペニスを優しく包み込み、人魚のようなしなやかな指がにゅるにゅると蠢く。

たったそれだけの動きで、また僕の理性は遥か彼方に消えていく。
一度収まった射精欲が、ぐんぐんと呼び覚まされていく。

ぐちゅっ ぐっちゅ ぐちゅっ ぐっちゅ

「あっあっあっあっ……!」

イキそうになると、ペニスを刺激していた手の動きが止まる。
落ち着いたと思うと、どろどろの右手が再びゆっくりと上下に動き出す。
怒張が一段と硬くなり、暴発しそうになるとまた動きがピタリと止まる。
射精できそうなのに最後まで行かせてくれない。
気が狂いそうになる。

「はぁっ……はぁっ♡♡」

何度も、何度も寸止めを繰り返され、僕は喘ぐのを我慢できなくなる。
僕の下半身の分身からは透明な涙が次から次へとこぼれ出す。
それでも左手で乳首を転がす動きは止めず、右耳をレロレロと舐めしゃぶりながら、
耳元で白河さんが囁く。

「……出したいの?」
「……出したい…っ、出したい…です……」

度重なる誘惑に負け、とうとう僕は屈服してしまう。

ぐちゅっ。

「誰に、出させてほしいの?」
「白河さんに…白河さんの手の中に……」

ぐちゅぐちゅっ。

質問に答えるたびに、ご褒美のようにペニスをしごいてもらえる。
まるで調教を受ける犬のように。

「これから彼女とデートなのに、私に出しちゃっていいの?」
「ダメッ……だけど……っ」
「ダメなのに出しちゃうんだ?悪い子だね♡」
「はいっ……悪い子です……あっ♡」

じゅぷっ。

今度は、耳の穴に舌を入れられる。
耳の中で舌を動かされる音しか聞こえなくなる。
脳が直接かき回されているようで、恋人の、由美への想いが塗り潰されていく。
白河さんは耳元でさらに低い声で囁く。

「悪い子だって正直に言えたね、偉い偉い♡」
「はいっ……ひゃいっ……♡あっあっ♡」

じゅぷじゅぷぐちゅぐちゅ。

耳の穴とペニスを同時に責められる。
口が半開きになり、涎が垂れる。
頭がおかしくなる。まともに喋れない。
もう、白河さんのエッチな手で射精させてもらうことしか考えられない。

「じゃあもう一回最初から、ちゃんと自分でお願いできたら、ご褒美あげる♡」
「白河さんっ……白河さんの手に、出したいでしゅ……♡出したい…♡」
「私のこと、好き?」
「すき…♡しゅきです…♡」
つい反射的に答えてしまった。
そこまで言わなくても良かったのかもしれない。でも、こんなに気持ちよくしてくれる綺麗なお姉さんの事を好きにならないわけがない。
今この瞬間は、世界一好きだと心から思った。
一度声に出してしまうと、恋人への罪悪感が徐々に小さくなっていき、代わりにその背徳感が快感に変わる。
「ふふっ、好きなんだ……堕ちちゃったね♡ いいよ、じゃあもっと私のこと好きにしてあげる、こっち向いて♡」
右耳に囁く白河さんの方向に、僕が顔を向ける。綺麗な顔が近づいてくる。

ちゅぷっ。

今日二回目のキス。
濡れた、やわらかい唇がバキュームのように吸い付いてくる。
唇を割ってぬるりと侵入してくる舌。
今度は自分から舌を絡めにいく。
一回目はあんなに抵抗があったのに、今度はなんの抵抗も感じない。

ちゅうっ…ちゅぷ…。ぬちゅ…。

さっき、自分から好きと言ってしまったからだろうか。
ここまでしてくれる白河さんに愛おしさを感じ始めていた。
キスをすればするほど、愛しさが溢れてくる気がする。
ねっとりと互いの舌が絡み合う。
一回目よりもっと激しく、恋人同士のような情熱的なキス。

もっとしたい。
すき。だいすき。

同時に、いやらしい手による責めが再開される。
左手が胸板を這いまわり、乳首を甘く弄ぶ。
右手が、慣れた手つきでペニスを握りこみ、にちゃにちゃと上下運動を始める。

にっちゃにっちゃにっちゃにっちゃ

白河さんは一旦顔を僕から話すと唾液を右手に追加し、ぬるぬるにして唾手コキを再開する。
指が妖しく蠢き、それまでのゆっくりとした動きから、徐々に激しく、絞り出すような動きに代わる。

にっちゃにちゃ、ぬちゃ、ぐじゅぐじゅぐじゅっ!

「あっ…♡あ…っ……白河さん…♡」

「綾花って呼んで♡」

「綾花さん…♡綾花さん……♡♡」

そしてまた僕の方を向き、キスを続ける。
激しく、貪るようなキス。
舌と舌がじゅぷじゅぷと絡み合う。唾液が混ざり合う。
綾花さんの唾液が口内に溢れる。それをこくこくと飲み込む。ますます、好きになる。
最後まで残っていた理性と恋人への罪悪感も、消えていく。
目の前にいる綾花さんのいやらしい顔が目に焼きつく。
何に対して罪悪感を持っていたのか、思い出せなくなっていく。

しゅき。あやかさん、しゅき。だいしゅき。
イく。あやかさん、イっちゃう…!

キスで口を、左手で乳首を、右手でペニスを、三か所を同時に責められ、頭の中が綾花さんへの愛で溢れる。
綾花さんのことしか、考えられない。

限界だった。
頭の中に白い閃光が走る。精液が前立腺からどんどん送り出され、身体の中を駆け上がる。

「イくっッ♡ イくぅぅぅっ!!!!!!!!♡♡」

どくっ!どくどくどくっ!どくどくどくどくどくっ!

口を塞がれたまま、まともに声も出せず、見たことのないような量の精液が引きずり出され、綾花さんの手をべったりと汚す。パンツの中が、精液で溢れる。
今まで経験したことのない、天国に連れていかれるような、圧倒的な快楽。
綾花さんの細い指がやわやわと蠢き、絞り出すようにしごきあげられると、まだ新たな精液がどくどくっと勢いよく出てくる。四肢が痺れ、腰がカクカクと痙攣する。
自分の手では到底辿り着けない高みに、綾花さんの滑らかな手で連れて行かれる悦びを知ってしまった。
その体験が脳と身体に何度も、何度も刻み込まれる。

残っていた精液がどくっ、どくっと何度か吐き出され、ようやく収まる。

「凄い量だね♡ 気持ち良かった?」
「……ひゃ、ひゃい……」

まだ天国にいるようで、呂律が回らない。現実に戻るのに時間がかかる。



事が済んで、僕は倦怠感と余韻に浸ってボーッとしていたが、
白河さんの動きは素早かった。
ウエットティッシュと濡れタオルで手早く僕の股間や身体を拭く。
汚れたものは廃棄。慣れた様子で椅子の周りを片付ける。
僕の下着はぐずぐずになっていたが、白河さんは代えの下着まで用意していた。
新しいものに履き替えてジーンズや服を元通り着ると、一見何事もなかったかのようだ。
徐々に頭が冴えてきて、冷静になってみると、とんでもないことをしてしまったという罪悪感と羞恥心で顔が真っ赤になる。

結局、誘惑に負けてしまった。
由美にどんな顔で会えばいいのか。

白河さんはどうしてこんなことを。
いつも、こういうことをしているのだろうか。

色々な考えが一度に頭の中を巡る。
聞きたい事が山ほどあったが、
「これ以上時間をかけると怪しまれるので、こっちへ」
促されて慌てて立ち上がると、白河さんの後をついて個室を出る。
他の店員さんは忙しそうに働いておりバレている様子はないが、他の店員さんの目を見れない。
カット用の席に戻るとさっとドライヤーで乾かされ、席を立つ。お会計を済ませる。
「またのご来店をお待ちしております。よろしければ次回もご指名くださいね」
名刺を渡され、ニッコリと笑いかけられる。もう営業スマイルに戻っている。
こうしていると一見、普通の、清楚な美容師さんにしか見えない。
さっきまでのいやらしい白河さんを思い出し、そのギャップにまた股間に血が集まりそうになる。
「ど、どうも」
まともに挨拶もできず、僕は逃げるように店を出た。



その日のデートは散々だった。
店から直接、由美との待ち合わせ場所に行く予定だったのに、家に帰ってシャワーを浴びる必要があった。
髪型も決まらず、慌てて家を出るも10分遅刻。
由美に会ってからも、デートに集中できない。
今日の出来事が頭に浮かんでは消え、何を話していても上の空。
最初は頑張って盛り上げてくれていた由美も、徐々に不機嫌になり、
晩御飯を食べたらすぐ解散となった。



帰宅すると、僕は自分への嫌悪感と後悔で何もする気が起きず、
倒れこむように自室のベッドに横になった。
由美に悪いことをした。自分が悪いんだ。
一時の快楽に流されるべきではなかった。

もやもやと悩んでいると、スマホに一通のメッセージが届く。
ぎょっとして見ると由美からだった。
恐る恐るメッセージを開いてみる。
「今日、ひょっとして体調悪かった?
 よく考えたらいつもと様子が違ったなって…
 私もつい不機嫌になっちゃってゴメンね。」
「体調良くなったらまた改めてデートしよ!
 明日また学校でね。」

彼女の優しさが心に響き、胸がいっぱいになる。
やっぱり、ぼくの好きな人はこの人しかいない。
昼の事は一時の気の迷いだ。
性欲に負けてつい好きだとか口走ってしまったが、本心ではない。
今回の一回限りだ。
白河さんだって、好奇心で、ちょっと魔が差しただけだろう。

明日、ちゃんと由美に謝って、来週こそちゃんとデートし直そう。
ファーストキスもそこで…
そこまで考えて、今日白河さんにされた濃厚なキスを思い出す。
大人の、官能的な……
そこまで考えて、慌てて考えるのを止める。幻影を振り払うように、布団を被る。

大丈夫だ。日が経てば記憶も薄れる。
自慰もしばらくやめよう。今日されたことを思い出してしまいそうだから。

明日から毎日、由美と一緒に帰ろう。たくさん話して、いっぱい思い出を作ろう。
来週のデートはきっと、うまくいく。


この時は、そう思っていた。



堕弱


世界中に悪の組織が生まれた世界。悪の侵攻から人々を守るため日本でも各町に一人以上ヒーローが存在するようになった。
 訓練を受け、また新しい力に目覚めたヒーロー達の活躍により、だんだんと悪の組織や怪人は駆逐され、平和は、もはや目の前にまで来ている。その、はずだった。
 
 しかし、その明るい未来は脆くも崩れ去ることとなる……。ある、一つの組織の誕生によって、ヒーロー達は次々と敗北していく……。
 その組織が最初に現れたのは、日本の、なんの変哲もない普通の町だった……。
 
 
 
 ビービーと機械音を撒き散らす腕時計型変身機具の警報に従い、怪人が現れたという場所に急ぐ。
 日頃の周知や避難訓練のお陰か、住民の避難はおおむね済んでいるようだ。
 機具が示す方角は北。比較的発展していて、企業のビルが建ち並ぶ地域。
 学業に励む身としては、あまり馴染みがない地域でもある。
 
 到着したが、辺りは怪人が出たとは思えないほど整然としている。普通怪人が出たとなれば、暴れた痕跡や破壊跡、それに多少は逃げ遅れる住民も出て怒声や泣き声が聞こえてくるはず。それも、日中のビル街ともなれば尚更のことだ。
 それなのに、まるで人間だけが忽然と消え去ったように周囲に音はない。
 一瞬誤報を疑うが、そもそも誤報であれば人が消えているのもおかしい。
 
 どうやら、今までとはタイプが違うようだ。
 
 そう判断し、両の手でパンッと頬を叩き気合いを入れる。今まで出てきた怪人はただ闇雲に破壊を繰り返すことが多く、多少理性的な個体でも必ず暴力的な面が見える。
 
 だが今回は、建物の破壊もなく、血痕も落ちていない。
 
 そして何より、俺が姿を見せても一向に現れない。怪人というのは、強大な力を身に宿す代償なのかそのほとんどが知性を失っている。残っているのは基本的な欲求や、自分の力を知らしめたい、敵であるヒーローを怖じ気づかせたいという見栄のような感情だけだ。中にはそれを抑える理性を持つ怪人もいるが、挑発してしまえば呆気なく怒りから姿を現す。
 
 しかし今回はそれがない。
 
 とりあえず、怪人は居ると考えた方がいい。居ないと油断するなんて馬鹿な真似は犯さない。もし仮に居なかったとしたも既に立ち去っているというのも大事な情報になる。
 視界には映っていない。だが、確実にどこかに身を潜めている。そう考えて周囲に意識を飛ばす。
 
 俺が背後を見せた瞬間襲撃するつもりだろうか。それとも、長時間探索させて集中力が落ちたときに不意を討つつもりなのだろうか。
 正直、それをやられると普通のヒーローでは厳しい。一日に変身できる時間は三時間。それ以上の長期戦となると、必ずどこかで変身を解き時間を節約する必要が出る。人の身で人を越えた驚異である怪人に勝つために科学の力を結集した力。三時間を越えてしまうと、中の人間の身体への負担が高まりすぎると強制的に変身が解除されてしまう。そして十二時間のクールタイムに入ってしまうのだ。
 最も、三時間かけても倒せないような怪人が出たときは応援要請をすればいいだけなのだが。
 
 その特性を考えると相手が隠れてしまうのは不味い。かなり効果的だ。俺以外のヒーローならば上手くいっただろう。
 
 だが怪人よ。相手が悪かったな。
 
 ニヤリと笑い、右腕を掲げ変身する。粒子化していたパワードスーツが全身を包み、機械然とした姿に変身する。
 頭に装着されたヘルメットとも言うべき装置の目の部分に指を当て、周囲を見回す。
 建物の全てが線へと変わり、まっすぐと遠くまで見通せる。
 
「……見つけた……!」
 
 線と線で彩られた視界の中、黒い人影が映る。間違いない、怪人だ。
 怪人が放つ特殊な物質を解析し、怪人を見つけることに特化した俺の能力。
 パワードスーツに備えられた、ヒーロー一人一人の才能を強化するためにつけられた特殊能力。俺の特殊能力は相手を見極める目。敵を見つけるだけでなく、視界を切り替えれば敵の弱点すら探れる。今まで数々の怪人を葬った自慢の能力。
 
 怪人の姿が見えたのは三つ先のビルの裏路地。膝を曲げ、大きく飛び上がる。常人ならまず間違いなく届かない距離でも、スーツで強化された脚力なら余裕だ。風を切る感覚と共に大きな浮遊感、そして重力に従い、身体は地面に吸い寄せられる。
 内蔵を持ち上げられるような感覚には未だ慣れないが、それを嫌って逃がす訳にもいかない。
 これが一番早いのだ。
 
 内蔵の不快感を我慢した甲斐もあり、怪人が居る路地にはすぐにたどりつく。
 ドンっという衝撃音と、コンクリートに放射状に広がるヒビ。
 
 さぁ怪人退治だ。
 
 勢い込んで見上げた視界には、予想だにしていない存在が立っていた。
 
 きっちりと女性用のスーツを身に纏い、キリリと怜悧な美しさを持った女性。冷たい印象を与えるであろうつり目気味の瞳に、タブレットのような物を片手で持って、まさしく仕事のできる女性という雰囲気の美人だ。
 着地の衝撃起きた風に黒く長い髪が靡き、キラキラと日の光を受け輝いている。
 スタイルも良く、胸の前で何か書き込むように持ったタブレットに胸が押し付けられ形を変えている。
 この美貌の持ち主ならばさぞや人目を引くであろう。
 
 だが、そんな女性がここに居るというのはおかしい。
 
 それに、機具の反応は明らかに目の前の女を示していて、怪人探知機も彼女を指している。
 
 今までに現れた怪人は一目でそうとわかるような異形の姿をしていた。
 しかし目の前の女性は普通に生活していても全く気づかないであろう人間にそっくりな姿。
 
「お早い登場でしたね……まさかもう見つかるとは……。データを修正しておきましょう」
 
 タブレットに何かを書き加えている姿を見ても、とても怪人とは思えない。実はイタズラでした!と言われた方がまだ納得できる。
 だがそれでも、未だ反応を示している探知機や彼女の言動を見るに怪人であることは間違いないのだろう。
 固く拳を握りしめる。強化された力で殴れば、例え怪人でもただではすまない。人間ならば木っ端微塵だ。
 ヒーローの身体能力ならば一瞬で踏み込み、瞬く間もなく拳を叩き込める。
 
 普段ならば、怪人が目の前に現れれば考えることなく反射的に拳を奮える。妥当することが出来る。
 しかし、仮にも相手は人の姿を、それも見目麗しい女性の姿をしている。人生十六年間で培った倫理観や、ヒーローとして当たり前に備えている正義感が、最後の一歩を躊躇わせる。
 
 そうこうしているうちに、怪人は書き終わったのかタブレットから顔をあげ、無表情で真っ直ぐに俺を見てきた。男の性か、怪人だと分かっていてもその美貌に一瞬胸が高鳴ってしまう。
 
「修正完了しました。高木駿、年齢十七歳ヒーロー歴三年。戦闘能力はDからCに修正。性格はやや直情的だが心優しい。彼女はこれまでに無し。性欲は男性平均より少し上。初恋の女性は小学校の時の担任で、好きなタイプも……」
「ちょ、ちょっと待て!なんの話をしているんだ!」
 
 名前や素性がバレているのはヒーロー活動をしている以上しょうがない。覚悟の上だ。
 問題はその先。彼女だとか、性欲だとか戦いに関係がないことばかりだ。そもそも俺の何故好きなタイプや初恋の相手を知っているんだ!
 情報を読み上げるのを妨げられたためなのか、やや不機嫌そうに眉を寄せた怪人。
 
 しばし無言で睨み合う。何か仕掛けてこればいくらでも対応できる。こちらから戦うとなると良心が邪魔をするが、あちらから仕掛けてくるとなれば話は別だ。
 しかし、女は攻撃をする素振りも見せず再び口を開いた。
 
「……以上のデータを解析した結果、作戦遂行に支障は無し。計画通り、作戦を開始します」
 
 独り言のように小さな声で呟く怪人。作戦? 計画? 何かを仕掛けるつもりなのか?
 集中力を研ぎ澄ませる。女は歩数にして十歩ほど離れた距離。飛び道具の類いは見られない。何か仕掛けてきても、こちらが先に距離を詰め息の根を止められる。
 三年間のヒーローとしての経験から、そう判断し女の動き全てを見逃がさないように集中する。瞳の特殊能力が発動し、やや距離があるなかくっきりと鮮明に見える。相手の弱点、重心がかかっている場所、エネルギーが集まっている場所。全てが手に取るように分かる。
 
 ついに怪人は動いた。タブレットの画面をこちらに向ける。盾にするつもりなのだろうか。それとも、何かを射出でもするつもりか。
 戦い続きの日々によって培われた、反射的に敵の行動をまず目視しその性質を見抜く癖。見ることに特化した能力を使っていくなかで編み出した、有効的な使い方。
 
 それが、今回に至っては最悪の方向に向かった。
 
 確認のために目を向けたタブレットの画面。それを見た瞬間、今にも踏み出そうとしていた足が止まる。戦わなければいけない筈の女に意識を向けられなくなってしまう。
 そこに映っていたのは、目の前に居る女の姿。だが、決定的に違うのは、映像の女は目を潤ませ、頬を赤らめ、もじもじと冷たい印象を与えるクールな姿からは想像も出来ないいじらしい動きをしている。
 着ているスーツも乱れ、豊満な谷間が僅かにだがちらりと見える。熱っぽい吐息を吐きながら上目遣いで俺を見ている。
 その姿は、さながら甘い恋人同士がキスをねだるような、そんな官能的な光景だった。
 
 怪人とは言え、外見はただの人と変わらない。いや、ただの人ではない。モデルも足元に及ばないほど美しさをもっている人間の姿をしているのだ。
 例えそれが映像であろうと、そのあまりに扇情的な姿に目が吸い寄せられざるをえない。
 
「いかがでしょう。我が組織が開発した洗脳映像は。眼球を通し組織への忠誠を脳に刷り込む素晴らしい発明なのですが」
 
 誇らしげな女の声。その言葉の通りならば一刻も早く目を背けなければならない。
 映像から目を逸らし、敵を見据え、撃滅しなければならない。それが、ヒーローとしての責務。人々を守るヒーローという存在の最大の意義。
 それでも、理性では分かっていても、全く目を逸らせそうになかった。いじらしく愛らしい仕草で、唇を軽く突き出しカメラに向かいキスをしようとする女の姿。何度も唇は近づくが、ギリギリでまた離れ焦らすようにキスをお預けされる。
 
 戦わなければと思っても、もしかしたら映像内の彼女の唇が今度こそ来ると思うと、目を離すことなどできない。
 
「ふふふ……そのまま夢中になっていてください。このビルに居た人間たちと同じように心から組織に仕える忠実な兵に生まれ変わるまで……」
 
 女のその言葉が耳に届いた瞬間、無様に消えかけていた闘志に小さな火がついた。
 そうだ。この戦いは俺だけじゃない。俺が負けたらこの町はどうなる。奴の言った拐われた人たちはどうなる。
 小さかった火がどんどん大きくなる。歯を食い縛り、気力を振り絞り、タブレットから目を離す。名残惜しいと思ってしまう弱い心など、噛み砕くように振り払う。
 
「この地域に居たざっと五千人程ですかね。私が放つ洗脳ウイルスと、電子機器をハッキングして見せた映像で男女問わず皆私の操り人形へと生まれ変わりましたよ」

 さっきまでと同じ静かな口調だが、心なしか自慢気に聞こえる。
 この地区の住人は避難などしていなかった。破壊ではなく、洗脳という新たな手口になすすべなく操られ、連れ去られていた。今まで破壊にばかり備えていたせいで、搦め手の存在に気づく間もなく彼らは洗脳されてしまったのだろう。
 
 もはや、正義の心は完全に復活した。腑抜けていた心は追い払った。この怪人は生かしておいてはいけない。
 ここで逃がせば、これまでにない甚大な被害が世界中に広がることは明白だ。
 拳を握りしめ、開き、もう一度握りしめる。二度目は力強く。もう惑わされないという強い気持ちを込めるように。
 ザッと石を踏みしめる音をたて、女を見据える。今度は迷わない。見た目が人間であろうと、あれはれっきとした怪人。もう、悩まない。
 右の拳を固め、真っ直ぐ女に向ける。左手はそれを補助するように添えられ、両足は開き衝撃に備える。そして全身全霊をかけて攻撃を叩き込む。
 どんどんと高まるエネルギー。眩い光を放つ光弾は発射の瞬間を今か今かと待ちわびる。後はこのエネルギーを放ちさえすれば、この怪人を打倒できる。掛け声をあげ、全力の攻撃を撃ち込むというその瞬間──
 
──女がクスリと笑った。
 
 心臓がドクンと跳ねた。
 後は発射をするだけ。だというのに、体は女の笑みを見た瞬間一時停止されたかのように動かない。あれだけ高まっていたエネルギー弾が霧散するように消えていく。動けと指令を送っても、体もスーツも言うことをきかない。
 
「さすがに少しヒヤリとしました……。ですがヒーロー。これで貴方はおしまいです。貴方のパワードスーツはもう戦えません。すでに貴方のスーツは私の手中にあるのですから」

 なんてことのない事を告げるように呆気なく、女は言い放った。
 そんな事はあり得ない。あり得るはずがない。このスーツは人類の叡智から産み出された最後の希望。システムも全てブラックボックスで、ハッキングなど到底出来るはずもない。ましてや、まだ俺はこいつと対峙して三十分も経っていないのだ。仮にハッキングが出来たとしても、スーツの動きを支配するほどのハッキングなど出来るはずがない。
 そう思った途端、嫌な予感がよぎった。反射的にスーツの残り時間を見る。視界の、右端に表示される残り時間。デジタル数字で表記されたそれは、はっきりと0:00と表示されていた。
 
「っ!? なんでっ!?」
「気づいたようですね。貴方が映像に夢中になっている間、貴方のスーツにハッキングを仕掛けていたのですよ。とはいってもさすがパワードスーツというべきか、時間をかけて一つの機能しかハッキング出来ませんでしたが」
 
 動けなくなった俺を嘲笑うように、無表情の中に確かな笑みを口元に浮かべ女が種明かしをする。
 
「あれだけの時間をかけてたった一つ……スーツ内の時計を進めることしか出来ませんでしたよ」
 
 スーツが、光の粒子となって消えていく。殴りかかる瞬間で固まっていた体が、その動かし方をやっと思い出したかの如く動き出す。
 スーツが消えた今、身を包むのは学生服のみ。もう変身は出来ない。
 制限時間を越えたスーツは例外なく十二時間経たねば再使用は出来ないのだから。
 
 つまり、今目の前に居る怪人と生身で戦わなければいけない。
 
 だが、そんな事が出来るわけがない。出来ないからスーツが生まれたのだ。スーツを身に纏うことだけが、怪人と互角に戦うための唯一の手段なのだ。
 恐怖に震える手で、腕に装着された変身機具を触る。緊急時、例えば変身の残り時間が少なくなった時や、怪人にやられそうになった時に、周囲の町のヒーローに応援を要請するためのコマンドがあったはずだ。
 震えで思うように動いてくれない指で必死にコマンドを打ち込む。普段は意識していなかった為かどうしても手間取る。
 それでも、ついに押しきった。後は、決定キーを入力するだけで応援を呼べる。
 
 しかし、命懸けの状況で目的を達成する直前の瞬間。張り詰めていた糸が僅かに緩むその瞬間を、狡猾な怪人が黙って見逃してくれるはずがなかった。
 
「こちらを見なさい、ヒーロー」

 エコーがかかっているように、声が耳のなかで何度も響き渡る。
 後はボタンを押すだけ。それだけで全てが解決に進む。それなのに、何故だかその言葉が鼓膜を震わせた瞬間、全てを忘れて従ってしまった。
 なぜ、なに、と疑問を抱く間もなく、目の前の怪人の顔を凝視してしまう。
 黒く涼やかな魅力に溢れた双眸、仄かに赤く色づき楚々として可愛らしい唇。真面目な印象を与えるキャリアウーマン然とした服装を大きく押し上げる胸が、ギャップを生みどこか背徳的な感情を抱かせる。
 つい先ほどまでスーツ越しに見ていたときと姿は変わらない。それなのに、ずっと美しく官能的に見える女の姿。見た目の美貌に加え、大人の色気というべきか男を手玉にとる悪女の雰囲気というべきか、内から醸し出す魅力というものが格段に強く思える。
 今までも美女だとは思っていたが、直接目の前で見る女の姿は、絶世のだとか、傾国の美女と呼ばれるに相応しい女性としての魅力の頂点にあるようなそんな圧倒的な魅力に包まれている。
 今の絶望的な状況も忘れて、思わず女に魅入ってしまう。知らず知らずのうちに、機具にかけていた腕はだらりと垂れ下がり、棒立ちになってただ女に見蕩れてしまう。
 
「貴方の脳と体は既にウイルスによって掌握済みです。貴方はもう、私の命令一つにすら逆らえない……。いえ、逆らう気になれない」
「私が放つウイルスは相手の眼や鼻から侵入し脳内にアクセス、そして直接脳に私の魅力を刷り込んでいくもの。ただ振り撒くだけでこの一帯を支配出来たものを、目の前で、それも生身の少年が受けてしまえば結果は考えるまでもありません。恐怖や正義の心で最初は耐えられようとも……一度ウイルスに蝕まれてしまえばもはや堕ちる他ありません」
 
 クスクスと勝利を確信したのか笑みを浮かべ語る女。
 
 一刻も早く助けを呼ばねばならないと分かっているはずなのに、一度垂れ下がった腕は動いてくれそうにない。
 心とは裏腹に体は息も荒く女を見つめ、早く助けをと叫ぶ思考は時を経る毎に虫食いのように穴が開いて劣情へと変わっていく。
 
 今の俺の表情はどれだけ情けないものだろう。鏡が無くとも、だらしのない色に腑抜けた男の顔になっているということはなんとなく理解できていた。頬は緩み、口は開き、目元はやに下がり、そこにヒーローとしての面影はない。
 ツカツカと小気味のいい足音で、女が呆然とする俺の元へと向かう。美しい女性は足音まで美しいのかと愚にもつかない考えが頭をよぎる。
 ついには、女は体と体が触れあってしまいそうなほどの距離にまでやって来た。少しだけ女の方が背が高く、僅かに見下ろされる。その僅かなはずの身長差に何故だか埋めようのない隔絶された格差を感じてしまう。これも、心が敗北を認めていってしまっているが故なのか。
 
 その答えが出る前に、女の手が、細く長い指が、クイと上顎を持ち上げる。それだけの動作でふわりと香る実物としての女性の匂い。どこかフローラルなその香りは、何よりも目の前の女という存在を象徴しているようで、その香りに包まれている今の状況がたまらなく被虐的なものに感じてしまう。
 しなやかな指先が顎に触れただけで、そこに電気が走ったかのように衝撃と甘い疼き。ウイルスにやられ、そして女の色気にやられていた俺にとって、今までのような視覚に訴える誘惑とは全く違う直接的な刺激はあまりに強烈なものだった。
 
「ヒーローとはいえ所詮は人の子、脳を直に操られてはなすすべもありませんか。ですが、最後くらいはヒーローである貴方に敬意を払い、特別な洗脳を施して差し上げましょう。口内粘膜の接触……人で言うキス、ヴェーゼ、接吻というものです」
 
 そう言うや、顎を持ち上げていた手を離しスルリと首の後ろに腕を回す。
 恋人同士が抱き合うように身体を密着させ、その端整な顔つきで真っ直ぐに俺を見つめてくる。
 近くで見つめ合ったからなのか、はたまたウイルスで女への劣情や恋慕を掻き立てられているからなのか。
 
 その冷たい印象を与える風貌も、どこか愉悦を感じているように弧を描く口元も俺の目を惹き付けて止まない。視線が逸らせない。逸らそうと思えない。
 
 女の黒い瞳に映る俺の顔は、ダメだと思う内心とは裏腹に期待の色に染まっていた。
 
 
「ふふ……もの欲しそうな顔をしてしまって……。そんなに私の口付けが恋しいですか?でも……」
 
 ぐいと女の腕が背中に回され、引寄せられる。ただでさえ密着していた身体。その動きによってさらに触れ合う面積は増え、豊かで柔らかな双乳が俺の身体に押し付けられるようにふにゅりと潰れる。
 谷間の中に濃縮されていたフェロモンが一気に広がり、瞬く間に男を容易く雄に変える魔性の空間を作り上げていった。
 女の顔もさらに近付けられ、もうその間は手のひらほどもない。お互いの熱が狭い空間で混ざりあい、溶けていく。
 
「まだダメ」
 
────ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ
 
 女の唇がややにすぼめられ、吐息が吹き掛けられる。口から吹き掛けられた風は頬を撫で、俺の頭を、感覚器官の集合体を包み込んでいく。
 甘い甘い、脳があまりの淫靡な甘さに蕩けてしまうのではないかと錯覚しても尚足りないほどの甘ったるい吐息。
 ただの一呼吸で肺胞の全てが雌の色香に染められてしまいそうになる。
 
 無防備に吐息を受けた身体は、余すことなくその快楽を受け入れる。全身がこれまでに無いほど熱く火照り、ズボンの上からでも分かるほど怒張した肉棒は、先走りだけで黒の学生服をさらに深い色合いに変えていた。
 体内で燻り続ける快楽を逃がそうとしているのか、身体が痙攣するようにビクビクと震える。
 だが、むしろその動きにより触れ合った女の柔らかさを意識する結果となり、ふるふると擦り付けられる豊乳の存在が快楽の種火に薪をくべていく。
 
 時が経つごとに、女の身体を、香りを、存在を感じるごとに劣情の炎が高く舞い上がる。
 
 いつしか俺は、自ら女を求めていた。言葉はない。離れたくないとせがむ子供のように、女の背中に腕を回していた。自分から、抱きつくように女の身体に擦りついていた。
 
 俺を背中で捕まえていた両腕が離れ、頬に添えられる。
 もはや、振り払おうとなど思わない。
 むしろ、その行動の先にある未来を心待ちにしていた。
 正義感も、敵であるという事実も、そしてヒーローとして歩んだ人生の全てをかなぐり捨てて、女の唇が俺のソレへと重ね合わされる事を望んでいた。
 
「あぁ……いい顔になりましたよ……ヒーロー。どうせ堕とすのなら、やはり求められた方が気持ちがいいですから」
 
 唇が、どんどん近づいてくる。吐息が重なり、熱が重なり、唇が重なるその瞬間、女は嗜虐的で、それでいて優しげな声で囁いた。
 
「いただきます」、と。
 
 柔らかな唇が押し付けられ、温かな舌先が俺の唇の表面を撫でる。皮膚の上からじわりと女の唾液が染み込み、血液に乗り全身を駆け回る。
 
 
──どぴゅ……びゅくびゅくびゅくびゅく……
 
 
 気付けば、それだけで絶頂を迎えていた。唇が重なった瞬間頭の中から幸福感が溢れだし、それに押し出されるようにとぷとぷと精液が漏れだす。
 身体の芯が甘くふやけ、どろどろの液体になって流れ出しているような、そんな絶頂。
 唇が塞がれていなければため息をついてしまっていたに違いないほどの余韻を残して、白い液体がズボンを内側から汚していく。
 
 だが、女は俺に余韻に浸らせる時間を与えるほど優しくはない。快楽に弛緩した唇の隙間からぬるりと舌先をねじ込み、蛇のようにのたうち抉じ開ける。
 侵入を果たした舌は俺の口内の隅々まで一点の残しもないように嘗めあげ、唾液を塗布し、刷り込むように愛撫する。
 さっきから気持ちのいいところにばかり舌を這わせてくる。舌同士が絡み合っているだけだというのに、まるで自分の分身が絡み付かれているような心地さえしてくる。
 性感帯を責められ快楽を感じているのか、女に責められた場所が性感帯に書き換えられているのか、もはや区別がつかない。
 
 女の舌が這い回り、艶やかな水音をたてお互いの唾液が混ざりあっていく。それが喉に流れ落ちていく度、俺の中の大切ななにかが真っ白に上書きされていった。
 
 長い長い口付け。いつしか腰は砕け、ひけていた。それでも尚、快楽にむせぶように震え、白い欲望を放つ。
 背筋は常にゾワゾワと粟立ち、身体中の水分が精液という形で排出される。 
 全身から力が抜け、立っていることもままならない。今すぐにでも地面に倒れこんで恍惚のままに眠ってしまいたい。
 それでも、それ以上に、女と唇を重ねていたかった。微睡むように意識が薄れていく中、身体は愚直に口付けを求める。
 接吻とは名ばかりの蹂躙劇に、いつまでも浸っていたかった。
 
 
 
 日が落ち、街灯の灯りが点き始めた頃に、ようやくお互いの唇が離れた。それを、名残惜しいとは思わない。
 そんな事を思う隙間もなく、心の中が言い表せぬ充足感で満たされていた。その得も言われぬ恍惚をあえて無理やり表現するのなら、自分の全てを支配し、委ねるに値する相手と出会えたという悦びというものに尽きるだろう。
 
 精も魂も尽き果て、立っていることすらままならない俺を女は柔らかな身体で支える。
 俺が敗北し、ヒーロースーツを奪われ、あまつさえ敵に協力する。彼女たちの侵攻をまだ誰も気づいていない。そして、侵攻に気づいたヒーローは、仲間にそれを知らせることもできず堕ちていくのだろう。
 今の、俺のように。
 
 きっと、世界は変わる。俺が守ろうとしていた世界はきっと変わってしまう。
 
 堕ちきった精神の僅かに残ったそんな悔恨の気持ちも、女の甘い香りを嗅いでいるうちに消えていった。
 
 

世界には魔王と呼ばれる悪がいて、魔王を倒すために勇者が生まれる。
 物心ついた頃から、両親にそう教わってきた。かつては魔王などいない時代があったというが、それも物語の世界でしか無くて、生まれ育った村の周りにはいつも魔物が潜んでいて、やっぱり今僕が生きている時代には魔王はいるらしい。
 だから幼き頃の僕は、子供特有の英雄願望の例に漏れず願ったのだ。
 
「ねぇママ!ボク将来勇者になりたいっ!」
 

 そして──
  
「おめでとうラルス君。今年度の最優秀生徒は君に決まったみたいだよ。正式発表はもう少し先になるがね」
 
 渋い灰色の髭を生やした教頭に呼び出された先の部屋で、開口一番そう言われた。
 勇者になりたいと願ったあの日から十年。勇者学校と呼ばれる学校に入り三年。ついに僕は、勇者への、英雄への道のスタート地点に立った。
 
 
 大きな夢を持った幼き僕は、勇者になるための訓練を始めた。村の兵士や元冒険者だったというおじさんに剣を習い、魔法を習い、そして勇者のなりかたを学んだ。昔は、勇者は神のお告げで決まっていたらしい。だが、そのお告げもいつの間にか無くなってしまい、今では勇者学校というところで最も優秀な成績を修めることで勇者となれるらしい。つまり、一年に一人だけ勇者が生まれる。魔王が一人なのに対し勇者の数が多いと、不公平だと思わないでも無かったが、後から魔王も何十年もすると復活すると知り、そんな考えも消えていった。
 ちなみにおじさん達も昔は勇者学校を目指していたらしい。だが入学は叶わず、勇者にはなれず、魔王を倒すためではない、人々を魔王から守るための仕事についたんだとか。
 別に情けないとは思わない。むしろそれが当たり前のことなのだ。勇者学校に入るだけで並の才能ではない。厳しい試験を越えたほんの一握りの人間だけが入学でき、その中で最後は一人にまで絞られる。天才だと言われてきた人間の中で、一番以外は勇者にはなれない。
 勇者になる人間は、そんな彼らの思いも背負って戦わなければいけないのだ。
 一年に世界でただ一人だけ、世界を維持する為でなく、世界を変える為に戦える人間。
 だからこそ、勇者と呼ばれるのだ。勇者と呼ばれる特権を得るのだ 。
 
 そんな事を教わりながら僕は村でメキメキと腕をあげ、そして勇者学校に入った。入学する中では、比較的若い方だったらしい。
 入るとき神官コースや魔術師コースなどがあると初めて知ったが、特に関係はない。僕が入るのは勇者コースただ一つ。それ以外に目移りなどするはずが無い。
 勇者学校では、より実践的に、それこそ命を失ってもおかしくないくらいの指導を受けた。実際に一年が終わる頃には、最初の半数程になっていった。何人かは命を失い、何十人かは手足を失い、何百人かが自信を失って学校を去っていった。
 それでも僕は食らいつく。絶対に勇者になるために。ただ目標を見据え、皆が寝静まった後も訓練を続ける。そんな生活が三年間。
 
 ついに今までの十六年間が、報われる言葉を聞くことが出来た。
 教頭は他にも色々言っていたが上の空で正直覚えていない。ただ、勇者になれるという事実だけで胸がいっぱいだった。
 
「あぁそれと、授業でも聞いたと思うが仲間の希望があれば聞こう。まあ基本は各コースの最優秀者がつくんだがやはり人間関係ってものがあるからね」
 
 仲間……。頭の中に候補は何人かいる。だが、共に魔王討伐するのに会ったことのない人を仲間にするのは気が引ける。
 
「今はそんなに悩まなくても大丈夫だよ。とりあえず今日は急な話だっただろうし、また決まったら聞かせてくれ」
 
 悩む僕に朗らかにそう言い、先生が部屋から出ていく。
 一人きりになった部屋の中で、僕はいつまでも喜びと達成感、そしてついに掴んだ未来への使命に燃え、固く握り拳を作った。
 
 窓の外、僕を見つめる三つの影に気づくことなく。
 
 
 勇者になれると聞いてから心がそわそわとしいつまでも高揚感が湧き出てくる。
 何かに突き動かされるように部屋を飛び出し、気づけばいつもの場所に出ていた。
 校舎外れの森を少し入ったところにある小川に面した古びた小屋。
 三年間一人で訓練してきた特別な場所。おそらくこんなところに小屋があるなど誰も知らないだろう。僕自身森の中で訓練する場所を探していなければ見つけることなど無かっただろう。
 人目につかず、汗をかいても川で身を清められ、身体を休められる小屋がある。訓練にはほぼ理想的と言っても過言ではない。
 
「はぁっ……!ふぅっ……!」
 
 いつものように剣を振り、技を磨く。勇者になることがゴールではない。むしろここからがスタートなのだ。
 そう気合いを込めていたからだろうか、夢中になって剣を振っているとすでに太陽は山陰に半分ほど沈んでいた。
 
 光の世界から闇の世界へ。いくら勇者になれると言えど、世の摂理までは変えられない。
 そろそろ戻るべきだろう。あまりに帰るのが遅くなってしまえば寮の門限を破ることになる。最悪窓からでも入れないことはないが、わざわざ規則を破る必要もない。
 いつものように小川の水を手のひらで掬い、顔を洗う。訓練で火照った体に冷たい水が気持ちいい。
 
 ほうと一つ息をつき、幾ばくか逡巡してから木刀を戻すために小屋に向かう。
 さすがに部屋にまで木刀を持って帰る気はない。いや、別に持って帰ろうと咎められる事はないだろうし、そもそも木刀を含め訓練を隠していたのは勇者になるために集中して訓練に明け暮れるため。すでに勇者の内定が出た今となっては特に隠すこともないだろう。
 だが、持って帰る理由もないのだ。咎められないからと言って、わざわざ無駄に好奇の視線を向けられる理由もない。
 
 いろいろと考えたが、結局はいつも通り片付けをするだけのことだ。
 
 それほどかからずに小屋に着き、扉を開ける。
 この三年間でずいぶんとボロくなり、開きづらくなった扉。特に金具に錆がつき始めたせいか一日放置するだけでいやに開けづらくなる。
 
 だが、今日はやけにスムーズに開いた。想定よりもずっと軽い扉に、勢いを殺しきれず小屋の中に二、三歩ほど歩みいってしまった。
 
 勇者になれるからと少し気が抜けていたか、そう反省し自嘲の笑みを浮かべ顔を上げた瞬間、
 
「!?」
 
 視界に二人の女の姿が映った。同時に、視界に薄い桃色のもやのようなものがかかる。
 目の前には赤い髪を肩の長さで切り揃えた活発そうな少女と、小柄で無口そうな黒髪の少女。
 
 そして二人の姿を認めたのを見計らったかのように、背後の扉がガタリと音をたて締まった。
 
 急いで振り替えると、いつの間に現れたのか金髪のおっとりとした見た目の少女、修道服を着ている事から恐らくシスターだろう少女が後ろ手に扉に鍵をかけていた。
 
 
 前の二人も同じように服装から推測するに恐らく赤髪は魔術師、小柄な方はシーフだろう。
 三人とも容姿は人並み以上に整っている。
 シーフは動きやすさを求める故か露出の多い扇情的な姿をしていた。子供のような体型だが下半身の肉付きはよく、見た目と相反する大人の色気を醸し出している。
 シスターも、もともとは清楚な印象を持たせたであろう修道服を大きく盛り上げる二つの膨らみが動く度ふるふると震え、こんな状況であるのに思わず目が引き寄せられてしまいそうになった。
 
 そして魔術師の少女だ。他の二人も十分に、いや十二分以上に美少女と言って過言ではなかった。整った容姿に方向性は違えど扇情的な服装。
 しかし、赤髪の少女はそれ以上に何か男を惹き付ける魅力が備わっていた。服装も野暮ったいローブで露出は少ない。だが、そんなもの些細な問題に過ぎないと思えるほど強烈に僕の心を惹き付けてやまないその唇。
 
 別に厚ぼったい訳でも、何か特筆すべき特徴があるわけでもない。
 だが、なぜかその唇を見た瞬間僕はそれから目を離すことができなくなってしまった。
 うっすらと微笑むように弧を描く唇。薄い桃色に瑞々しくプルンとその絶妙な弾力を主張する少女の口元に、僕はどうしようもないほどの劣情と魅力を感じてしまっていた。
 思わず、生唾を飲んでしまうほどに。
 
「……君たちは、なんでこんなところにいるんだ……?」
 
 唾を飲みこみ少し潤いを取り戻したばかりの喉で、平静を繕いながら問いかける。
 だが、やはりかなり動揺していたのだろう。それに、この胸の高鳴り。小屋に入った瞬間無警戒な僕にかけられた魅了の魔法の効果は覿面で、彼女達のもともとの美貌もあってかどれだけ自分を律しようとしても目の前にあるムチムチとした下半身に、そして魅惑的な唇に視線を吸い寄せられてしまう。
 
 僕の問いに、赤毛の少女は投げキッスで応えた。
 
 少女の唇から、実体を持ったハートの形をした魔力がふわふわと浮かび僕へと飛んでくる。
 最初にかけられた周囲にばらまくような魔力ではなく、一点に集中させ指向性を持たせた強力な魅了の魔術。
 その効果は、恐らく今の状態の比ではない。
 確実に今日一日は魅了の魔力に心を犯された状態に陥るであろう危険な魔法だ。
 避けないと、当たることだけは絶対に避けなければ。そう思い、少女たちに見蕩れてしまいそうになる瞳を閉じ、横に飛び退こうと足に力を入れる。
 しかし、その目論みはもう一人の少女、いつの間にか僕の背後へと忍び込み逃がさないように抱きつくシスターの存在によって失敗に終わる。
 
 筋力的には余裕で振り払える。でも──
 
──むにゅん♪
 
 背中に押し付けられた大きな膨らみがむにゅりと形を変える感触を感じた途端、振り払うことなどできなくなってしまった。
 視界のもやが強くなり、一瞬逃げることも忘れて背中に当たる柔らかな感触に酔いしれる。
 その一瞬が命取りだった。
 ハッと目を覚ました時には、すでに魅了の魔術は目と鼻の先で、僕が見ている前で悠然と浮かびながら僕の胸の中へ吸い込まれるように消えていった。
 
 一拍おいて、心臓がこれまで以上に高鳴る。心臓に溶け込んだ魅了の魔法が、血液に混じり全身に送り届けられていく。鼓動が一つ重なる度身体が心地よいダルさに包まれ、得も言えない幸福感が全身を襲う。
 少女たちへの思慕が増幅し、どうしようもないほど股間が膨張する。
 立っていられないほどの脱力感。それでも倒れなかったのは、後ろでシスターが抱きついていたからだ。
 そんなくたりとした僕を尻目に、三人は張り詰めていた気を緩めていた。
 
「はぁーい命中っ!スピカちゃんもよく取り押さえてくれたね」
 
「ふふふ…当然のことですよミリアさん。ラルス様たら三人で魅了をかけてもまだ動けそうでしたし……お二人が警戒されていたお陰で上手くいけました」
 
「……あ、魔力が動いてる……まだ余力があるみたい……でも……逃げようたって無駄……」
 
 そう言って、シーフは僕の口元になにやら布を押し付けてきた。仄かに甘い香りのする布。その布が女性物の下着だと気づいたときには、なんとか魅了を解除しようと動かしていた魔力は一気に霧散し、全身が麻痺したように自由が効かなくなっていた。
 
「いやーさすがはラルスくんだねぇ。よくやったぞアヤメちゃん! ナイスナイス!」
 
「……お手柄」
 
「うんうんお手柄お手柄!うーんでもこれだけ魅了をかけてもまだ抵抗できるんだねぇ…。まぁそれならそんな事考えられないくらいヘロヘロにしちゃえばいっか!そんじゃさっそくスピカちゃん打ち合わせ通りあれやるよ!ラルスくん寝かせてあげて!」
 
「了解です」
 
 そういうや、そっと僕の身体を床に寝かせるスピカと呼ばれていたシスター。その豊満な胸が離れていくことにどこか勿体ない気持ちを感じ、我にかえる。
 一体僕は何を考えているんだ。
 少しずつ、この状況に呑まれている。魅了をかけられ、怪しいとはいえ美少女と言っても過言ではない少女三人に囲まれ襲われる。
 このままでは確実に彼女達の毒牙にかかってしまう。なんとかして逃げなければならない。
 そしてそれ以上に、いつか逃げられる瞬間が訪れるまで彼女達に呑み込まれないように強い心を持たなければいけない。
 誘惑に負けないという強い気持ちを。
 取り戻さなければならない。
 
 赤毛の少女が仰向けに寝かされた僕の上に跨がる。鍛えてきたおかげか少女一人が乗ったところでそれほど重さは感じない。それとも、この少女が軽いだけだろうか。
 今まで女子に跨がられる体験などしたことがないからわからない。
 魔術師の少女は、跨がったままずいと僕の顔にその綺麗な顏を近づけてきた。
 スピカと呼ばれたシスターほどではないが、女性らしい膨らみが僕の身体を刺激する。
 仄かに甘い香りがする吐息がくすぐったい。
 あの魅力的な唇がすぐ目の前に迫っている。
 こんな状況だというのに、こんな状況だからこそ、その事実に幾ばくかの興奮を覚えてしまう。
 
 
「ねぇねぇラルスくん…なんでこんなことされるか気になってるよね……。実はねぇ私たち知ってるんだぁ…ラルスくんが勇者になるってこと。それに旅に連れていく仲間も決まってないってことも……」
 
 赤毛の少女は熱を帯びた視線で僕を捕まえながらもさらに語る。
 
「だったら今ラルスくんにお願いすれば仲間になれるかもしれない…。でもきっと真面目なラルスくんのことだから普通に頼んでも断られちゃうと思ってね。だからこうやって“説得”してるってわけなんだぁ」
 
「……僕はこんなことされても君達を連れていくことはしない」
 
「あはっ…。これを受けてからも同じ事を言えたら帰してあげるよ」
 
 そう言うと、赤毛の少女は少し顔をあげ、唇に魔力を集める。さっきの投げキッスの時よりも、ずっと強い魔力が唇に集まっている。
 ヤバい。これはヤバい。思わず、少女を振り払い逃げようとする。
 しかし、その動きはまたしても止められてしまう。それも、今度は二人で。
 仰向けに寝かされた僕の両隣、耳元にぴったりと口元を寄せ両腕に抱きつく二人の少女。
 
「ふぅー♪」
「あっ……ふっ……。逃げないで……次期勇者……」
 
 二人は絶妙なタイミングで逃げようともがく僕の耳に息を吹き掛け、甘い声色で囁きかけ、女を意識させ力を奪っていく。
 もちろん、その間自らの肢体を僕に擦り付けることも忘れない。
 衣服越しとはいえ若く柔らかい女の子の身体は想像以上に僕の理性を削り取っていく。
 
 シスターはその豊満な胸の谷間に僕の腕を挟み込み、もっちりとした柔らかな肉の感触で包み込んでいる。お互いに少しでも身動ぎすればその柔肉がこれでもかと僕の腕にまとわりついて離さない。
 時には学生だとは思えないほどの包容力溢れる声色で「楽になってください……」「肉欲に溺れてください……」と囁きかけられ、思わずその声に従って身を任せたくなってしまう。
 
 アヤメと呼ばれていた少女もそうだ。彼女は僕の腕をその小柄な体躯で包むように抱きつき、僕の手をその不釣り合いに成熟し妖しい色気を放つ太ももで挟んでいる。手のひらに吸い付くように密着する太もも。高い体温ゆえかちょうどいい具合に温かく蒸れたそこは、確実に僕の腕に堕落と快楽を刻み込んでいる。
 なんとか抜こうともがくも、少し指先を動かすだけで艶やかな喘ぎをあげる。冷静沈着な口調の中に女を感じさせる喘ぎが混ざり囁かれると、少女の太ももとその奥にある秘部の存在をどうしても意識してしまい、魅了も相まって動くことが出来ない。
 
 逃げようともがけばもがくほど、少女達の魅力が魅了を深めがんじがらめにされていく。
 少しずつ麻痺がとけ魔力も動かせるようになってきたが、この状況を打破できるものでもない。
 
 打つ手がなくなった僕を見て、赤毛の少女──ミリアは獲物を追い詰めた肉食獣のように唇をペロリと舐めて湿らせた。
 
 そして──
 
──ちゅううううううううっ♡
 
 僕の唇にゆっくりと重ねた。
 
 そして、それと同時に訪れた深い、あまりに深過ぎる絶頂。僕の存在そのものにミリアという少女の存在を刻み付けるような、そんな口付け。
 
 最初は、ただ唇を重ね合わせるだけの軽いキス。しかし、唇が触れた瞬間、ふわりと香る甘い匂い。一気に魅了の魔力が注ぎ込まれた。僕が下でミリアが上。魔力であろうと、必然上から下へ流れていく。
 
 
──どくっ……どくどくどくどく……
 
 
 僕という器に、ミリアの魅了の魔力がいっぱいになるまで注がれていく。それが僕を満たそうとお構い無く次から次へと流れ込んでくる。
 そして、いっぱいになった僕という器から、僕の魔力すら押し退けて魅了が貯まっていく。支配していく。追いやられ行き場のない僕の魔力は、押し出されるように体外から吐き出されていった。
 魅了の魔法によりいきり立った僕のアソコから、精液という形で。
 
 精液と共に魔力が今までにない勢いで吐き出されていたが、ミリアの魔力が僕をいっぱいにする頃には射精の勢いは収まり、膨張した海綿体も幾分か落ち着きを取り戻している。
 
 だが、それでもミリアは口付けを止めない。いや、むしろ、さらに激しさを増していく。
 唇が触れ合うだけのキスは、いつしかお互いの舌が触れ合い、ついには絡み合い唾液を交換する。
 魔力混じりの唾液は、ただそれだけで甘く夢中になってしまう。
 酸欠になってしまうほどの激しいキス。常に主導権はミリアに握られ、僕の舌は翻弄されるばかり。
 周囲は魅了魔法特有の甘い香りが充満し、酸素と混じり嗅覚をどろどろに浸食していく。
 はねのけようと伸ばした舌は一瞬のうちに絡めとられ、ニュルニュルと蛇のような愛撫でその力の悉くを舐め溶かされていく。
 
 視界がチカチカと雷魔法を浴びた時のように点滅する。その時と同じなのは、意識を失ってしまいそうなこと。その時と違うのは、その原因が痛みや衝撃ではなくただただ純粋な快感だということ。
 
 ズボンを黒く湿らせるほど出したというのに、また大きくなっていく。
 もう僕の魔力はない。出せるものなどない。そのはずなのに何かが僕の身体の中をぐるぐると蠢きそこから飛び出そうとしている。
 必死に、耐える。
 だが、唇で弄ばれている最中にそんな事が出来るはずもなかった。
 ゆっくりだった舌の動きが急に速くなり、僕の舌を性器に見立てるように舐め回し絡めていく。
 びくびくと全身が震える。
 背筋から反り返り、腰を突き上げるようにして訪れる快楽にせめてもの備える。
 あぁ、ダメだ!
 何かが来る!せり上がってくる!イッてしまうっ!
 
「んっ……ふぃー。口は魔術師の最大の武器ってね!ってあらら?どしたのそんな顔して。もっと私にキスしてもらいたかったのかなぁ?」
 
 まさに弾けるという瞬間、唐突に絶頂が取り上げられた。思わず、ミリアの顔をまじまじと見つめてしまう。
 何故最後までしてくれないのか、そう訴えるように。
 その考えが浮かぶこと自体、心が既に負けかけている証左だということに気づいたのはその直後。
 先ほどまでの懇願を誤魔化すように、ミリアを睨み付ける。
 
 そんな僕の姿を見て、ミリアはニヤニヤと笑っていた。ぷるぷると柔らかい唇をニヤリと歪ませて、もがく僕を面白い玩具を見るように笑みを浮かべていた。
 
 不意にミリアが立ち上がり、腹部への圧迫感が無くなった。
 
「ふぅ…これで私の説得はおわり。私を連れていくかはラルスくん次第だね」
 
 最後にペロリと舌を覗かせるミリア。その光景を見ただけで、ズグンと腰の奥で熱い脈動が起きる。ジンジンと疼きを訴える股間。一度味わってしまった快感はきっといつまでも僕を苛むだろう。
 心の奥で、彼女を連れていけばまたこの快楽を味わえると訴える僕がいる。
 それでも、まだ全部は堕ちきっていない。断れる。まだ僕は彼女を拒める。
 
「……ぃ…ひみふぉ……っ!?」
 
 君は連れていけない。僕は僕の選ぶ仲間と戦う。
 そう言葉にしようとして、しかしそれは叶わなかった。
 口から出たのは言葉にならない情けない声。呂律の回らない口。
 ミリアが施した魔性のキス。
 それは、僕から心だけでなく言葉まで奪おうとしていた。彼女に弄ばれた舌はその卓越した技巧に呑まれ、言葉を紡ぎだすだけの力すら絡めとられている。
 
 驚愕する僕に、ミリアは悪戯気な笑みで語りかける。
 
「気が早いよぉラルスくん。言ったでしょ?私の説得はおわりって。まだあと二人、スピカちゃんとアヤメちゃんの説得もしっかり受けてあげないと」
 
 その言葉と同時に僕の腕を包んでいた温かで柔らかな感触が離れる。
 
「ふふふ。今度は私が誠心誠意ラルス様を説得させていただきますね」
 
 そう言ってシスターが、スピカと呼ばれた少女が再び僕に跨がる。
 さらさらと清らかな川の流れのようにまっすぐな金の髪に、見るものを安心させてしまうような微笑み。女性的な柔らかさと包容力を全身から放つその体躯。彼女のその豊かな胸部は、僅かな身動ぎにもたゆんと震え、その柔らかさを余すことなく主張する。
 いつの間にかアヤメと呼ばれた少女も僕の腕を離し、ズボン覗くと元へ移動しカチャカチャとベルトを外そうとしている。
 
「それでは早速……失礼させていただきます」
 
 その言葉とともに、スピカがゆっくりと僕に向かって身体を倒す。同時に僕の後頭部に腕を回し持ち上げる。どんどんと迫る大きな胸。圧倒的な女性としての魅力に、僕はただ目を見開き息を呑むことしか出来ない。
 
────そして、

「むぐっ……!?」
 
 柔らかな感触が、僕の顔を包み込んだ。
 
「ラルス様がおっぱいから離れられなくなるくらい魅力を刷り込んであげます」
 
 スピカは、僕の頭をぎゅうと抱き締め、逃さないとばかりにその豊かな胸の中に閉じ込める。
 
「いかがですか?私のおっぱいに包まれた気分は。幸せで…ふわふわして…なんにも考えられないでしょう……?これをされると男の子はみんなダメダメになっちゃうんです……」
 
 優しく、それでいて男など皆こうすれば堕ちると言わんばかりの優越感を感じさせるスピカの言葉。
 でも僕はそれを否定することはできない。
 今まさに僕は彼女の胸にダメにされているのだから。
 
 彼女のほんの小さな身動ぎが、たぷたぷと震える双乳を伝わり大きな振動となって僕の脳ミソをかき乱す。
 胸の谷間にたっぷりと蓄えられた濃厚な甘い香りが、鼻から取り込まれ、肺の細胞の一つ一つに染み込み支配していく。呼吸をするだけで、この匂いを嗅ぐだけでいくらでも気持ちよくなれるように。
 
「いいんですよ……そのままおっぱいに夢中になっていてくださいね……。ラルス様はなにも考えずに甘えていればいいんです……気持ちよくしてあげるのは私の役目ですから」
 
 スピカはそう言うと抱き締める力を強くする。むにゅうと乳圧が強まり、吸い付くようにもちもちとした柔肉が僅かな隙間もなく僕の顔を覆い包む。
 
 一瞬、わけもわからないまま腰が浮いた。
 
 そして僅かに遅れて、それは訪れる。
 顔を包まれただけなのに、全身をスピカの谷間の中に埋められてしまったかのような錯覚。ズブズブとどこまでも堕ちていってしまいそうな感覚。
 それは、幼き頃に母に抱かれていた時のような安心感。そして、その時にはなかった男としての劣情。母性の象徴に人体で最も敏感な部位を包み込まれ、呼吸もできぬほど強く抱き締められている。
 全身から力が抜けていく。スピカを突き放そうと弱々しい抵抗をしていた四肢が弛緩する。
 あまりの快感に自分という輪郭がぼやけ、スピカの胸の中でどろどろに蕩け出していく。
 
 苦しいという感情はなかった。それどころか、今の状況も、何故自分がスピカに抱かれているかもわからない。何もかもを受け入れられているような甘い揺りかごに、身を委ねることだけが今の僕にとっての全てだった。。
 
 だが、それでもいつかは終わりが来る。人間として生まれた以上、呼吸はしなければいけない。それはどれだけ身体を鍛えようと変わることのない事実だ。
 身体が、酸素を欲する。その苦しさが、スピカに溺れていた僕の理性を甦らせた。
 一瞬だが、完全に魅了されていた。精神が屈服し、スピカを受け入れていた。
 朦朧とする頭を無理やり叩き起こし、思考を回す。
 だが、なんとか耐えている。まだ終わっていない。細い細い小さな糸が、辛うじてだが繋がっているのだから。
 
「ふふふ……すっかり耐え抜いたつもりなんですね……可愛いラルス様……♡
苦しいなかお疲れ様でした。さ、それでは思う存分呼吸してくださいな♡」
 
 スピカの言葉の意味がなにか。それにたどり着く前に、肉体に答えが叩き込まれる。
 
──とぷ……とぷとぷとぷ………
 
 スピカが腕の拘束を緩め、僅かな隙間を生み出す。僕の顔と胸の間に生まれたほんの僅かな空間。
 酸素を失った僕の身体は、なんの躊躇もなく息を吸い、そして最後の理性の糸が乱暴に千切られる。
 
 スピカの谷間の奥、そこに潜んでいた男の本能を一発で屈服させるフェロモン。
 蒸れてより濃密になった女の芳香に、男を誘惑し堕とす魅了魔法の香り。
 肉の牢獄の中で削りに削られた理性が、それに耐えられようはずがなかった。
 アヤメという少女がやったのだろういつの間にかズボンは脱がされ、下半身は外気に触れている。
 とろとろと溢れ緩やかに流れ落ちる絶頂。マグマのように粘度の高い液体が、肉棒を白濁にまみれさせていく。
 
 あぅ……と気の抜けた情けない声が、スピカの谷間のなかで小さく響き、誰にも気づかれることなく消えていった。
 
「あぁ……とっても素敵です……。ラルス様の癒されっぷり最高……ふふ…本当ならもっと癒して差し上げたいんですが今はまだお預けですね」
 
 僕の絶頂をひとしきり確認してから、名残惜しげにスピカが立ち上がる。乱れた髪をかきあげるその姿に、僕は蕩然と見蕩れてしまった。
 さっきまであんな美人の胸の中に包まれていたんだというどこか現実味のない感覚。
 だが精液にコーティングされた陰茎と顔に残るふわふわとした感触が、その時間が確かな現実なのだと否応無しに教えてくる。
 
 彼女の発したお預けという言葉。その言葉の意味が、彼女自身に向けられたモノなのか僕に向けられたモノなのかもう理解できるだけの理性は残っていない。
 彼女達に抱いていた敵意も猜疑心も、もはやズブズブに犯されきっていた。
 
「ん……最後はアタシ……堕ちかけの次期勇者なんて、すぐに天国に連れていってあげる……」
 
 そんな声が聴こえたときには、僕の顔の上に何かがのし掛かっていた。
 むぎゅりと、小さな圧迫感。暗くなる視界。むわりと温かな感触。さっきまでのふわふわとしたモノとは違う、確かな質量がありながらもどこか心地のいい感覚。
 
「どう……?私のお尻……柔らかいでしょ……」
 
 どこか自慢げな響き。押し付けられる小柄な少女の臀部。
 むちむちと肉付きのよいお尻が円を描くように動きながら僕の顔を押し潰している。
 本来なら屈辱を味わう場面なのだろう。
 だが、二度の絶頂により飼い慣らされだした僕の身体は、可愛らしい少女のお尻が密着しているという事実に悦びを感じていた。
 
「ねぇ……気づいてる……?さっきパンツ脱いじゃったから……今は何も履いてない…」
 
 その言葉に、再び僕の陰茎はドクンと膨張を始めた。
 仄かに甘酸っぱく、そして脳の奥を痺れさせる香り。
 その香りが、少女の言葉と結び付く。男であるならばつい視線をやってしまうであろう魅力的なお尻と、少女の甘酸っぱい体臭。その二つが脳内で繋がった瞬間、僕は鼻呼吸をやめることが出来なくなっていた。

「んっ……んふ……♡くすぐったい…♡」
 
 アヤメは悩ましげな吐息を漏らし、くすぐったさを逃がすように腰をくねらせる。
 必然、より強く押し付けられるお尻。僕の顔と、アヤメのお尻がさらに密着し、お互いの熱が混じり合い、蒸れたお尻の隙間から濃厚になった雌の香りが溢れだす。
 スピカの男を甘やかしずぶずぶと堕落させる優しい香りではなく、男の本能を奮い立たせ雌の魅力でいっぱいにさせてしまうような刺激的な香り。
 そして、くにくにと左右に揺れるお尻が、僕の顔をすりすりと擦り、ふにふにとまとわりつく柔肌が刺激され切った雄の本能とともに最後に残った心の抵抗までも優しく削ぎ落としていく。
 
「酒池肉林だねぇ…ラルスくん♡ほらほら…もっと溺れちゃおーよ…♡」
 
 耳元で囁かれるミリアの声。
 僕の腕にそれぞれ抱き抱えるように密着する二人の少女。
 右腕は、ミリアに抱かれ、手のひらは彼女の太ももに包まれるように挟まれている。
 指の先に当たる、柔らかな感触。時折ミリアがなにかを調整するように小さく動き、僕の耳に艶かしい吐息を吹き込む。
 くちくちと、微かに聞こえる水音。指先から伝わるぬるりとした感触。
 ミリアの小刻みな呼吸とともに、耳に微かに触れる唇。
 左腕は、スピカの胸の中。
 豊かで深い谷間の中に、しまいこまれた僕の腕。
 腕にのし掛かる柔らかな乳肉は片方だけでも他しかな質量を持っていて、それに上下に挟み込まれた腕はまるで柔乳に同化してしまったように心地いい。
 そして、スピカはすりすりと自分の身体を擦りつける。
 上下に、左右に。
 僕の腕を、なにかに見立てているかのように。
 
 アヤメのお尻に顔を塞がれて、僕の視界は肌色以外にはなにも見えない。
 それでも、感覚として、股間が硬く張り詰めていることだけは分かる。
 何度も絶頂して、味わったことのない、いや、味わってはいけない快楽を注ぎ込まれて、心を貪られて、それでもなお身体は更なる絶頂を求める。
 耳元の扇情的な吐息が、腕を包み擦りあげる柔らかな感触が、胸いっぱいに広がる甘酸っぱい雌の香りが、僕の大事なものを入り込んで混ざっていく。
 
「次期勇者…私の香りをたっぷり覚えて…胸に刻み込んで…♡」
「ラルス様…♡早く素直になって……我慢なんてやめてしまいましょう…♡」
「ラルスくん……一緒に、イこ……♡ほら、もう…ラクになっちゃえっ…♡」
 
 アヤメのお尻が、秘部が、ぎゅうと押し付けられ鼻先に触れた。
 スピカの豊乳が、肘から肩まで思い切りズリあげた。
 ミリアの唇が、舌が、僕の耳に吸い付き、舐めあげ、同時に指先がトロリと湿り生暖かいナニカの中に誘われる。
 
 その瞬間、僕の心は、少女達の魅力に完全に敗北した。
 
────どぷぅっ!びゅぷるるるびゅぷっ!
 
 それは、まさしく屈服の白旗だった。頭の中は少女達の感触と香りでいっぱいになって、それ以外は考えられない。
 ただ彼女達の囁きにこくこくと虚ろに頷くばかりで、それに応えるように与えられる快楽とクスクスとした愛らしい笑い声だけが今の僕の全てだった。
 
「ふふっ♡私たち四人で、たくさん頑張ろうね…♡未来の勇者さまっ…♡」

 そう囁きかけたのは誰だったか。
 もう分からない。誰だっていいのだ。彼女達三人はそれを望み、僕はそれに応えるだけなのだから。
 
 小さく、こくりと頷く。首肯に対し帰って来た少女達の反応は、どこまでも甘く蕩けるような快楽で、三人の大切な仲間から与えられるその悦びに僕の意識は微睡んでいった……。
 
 
 
 

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次期勇者は色香に惑う

女干部

町を一つ壊滅させるほどの爆弾がどこかに仕掛けられた、と予告を受けた。止めるためには二日以内にあちこちに仕掛けられたスイッチを時間内に全て押す事。俺達三人は手分けしてスイッチを探した。

制限時間も押し迫ってきたがスイッチも最後の一つだ。近場で合流したイエローとブルー、つまり俺はその場へ向かった。レッドとも合流したい所ではあったが彼は遠方のスイッチの元にいたためそれでは間に合わない。やむを得ず二人だ。
目的のスイッチがあるのはいくつもの仕掛けを越えた先の部屋だった。
早速中に入ると奇妙な香りと共に変わった光景が広がっていた。女性が生活していたと思われる化粧台が置かれ何より目を引くのは中央のベッドである。ともあれそれを気にしている場合ではない。部屋の中を見回しスイッチを発見し押すと俺達に渡されていた制限時間を表示するタイマーが点灯を止めた。
とその時
「あらぁ?ブルー君にイエロー君じゃない」
絡み付くような声。そちらを向くとそこにいたのは
「ヴァネッサ…!?何でここに…?」
女幹部のヴァネッサであった。
「実はここ私の部屋なのよねぇ。軍の本拠地は別にあるんだけどあそこ地下だし陰気で嫌だし…。だから基本的にはここに住んでるの。まあボスに呼ばれればすぐに行けるようにはしてるから問題ないって感じかしら。ところでちゃんとスイッチ見つかった?」
ここが彼女の根城とは意外だった。まあ何にしろこれで奴らの企みは阻止出来た訳だが。
「残念だったな。スイッチは全て押して解除させてもらった」
タイマーを投げて渡すもヴァネッサは特に驚いた様子も見せない。
「あ~あ。やっぱ君達にはちょっと簡単過ぎたかしら?作戦失敗ね…」
そう言ってその場から去ろうとする。しかし
「待て!ここで決着を着けろ!」
彼女を呼び止める。三人揃っていないとはいえ勝算はあった。彼女の主な役目は戦闘ではなく諜報。大抵様々な服装でこの世界に溶け込んでは情報を探りこちらに見つかると逃げるという事を繰り返していた。幹部の中では純粋な戦闘力では最も劣り何度も見た限りわざと弱い振りをしている様子もない。正直言って真正面からぶつかれば一人でも勝てる相手だろう。
その言葉を聞きヴァネッサはため息をついてベッドに腰を下ろす。
「はぁ…正直戦うの苦手なのよねぇ。今日は見逃してくれない?」
「ふざけるな!」
しかしヴァネッサはこちらをじっとりとした目で見つめつつ続ける。
「仕方ないじゃない…。だってお姉さん胸もお尻もこんな張っちゃって素早く動けないのよ?」
そう言いながらゆっくりと胸を揉む。
「……!」
すらりと伸びた脚から繋がる滑らかなとした太腿。その先のくびれたウエスト。彫刻のような彼女の美貌と肢体でありながら下品とも言えそうな色香を漂わせるむっちりとした尻。更にその乳房は彼女の小さな顔よりも大きくまともに直視するのも憚られるような艶かしさを放っている。そして何よりその服装だ。彼女が俺達の前に現れる時はいつも申し訳程度に胸と股間を隠すようなふわふわとした布のような物を纏っているだけ。その白い肌も吸い込まれそうな谷間も見せつけて来ていた。
「あらぁ?どうしたのかしら?ひょっとしてお姉さんに見とれちゃった?」
「ち、違う!」
「あらあら図星かしら?仕方ないわよねぇ?男の子がお姉さんのカラダ見てエッチな事考えずにいられる訳ないわよねぇ?」
「ぐ……!」
こちらを挑発してくるヴァネッサに何も言い返せない。
「と・こ・ろ・で❤私をやっつけるなら早くした方がいいと思うわよぉ?この部屋変わった匂いがすると思わない?」
確かにそうだ。部屋に入った時から違和感を覚えていた。
「この香りは君達を堕落させちゃう魔性の香り❤まともに吸いこむとお姉さんの事しか考えられないおバカさんになっちゃうの❤早くしないと変身して防いでてもスーツの隙間からじわじわ侵されて負けちゃうわよぉ?」
この言葉で非常に危険な状況に追い込まれている事に気づく。既にヴァネッサの顔を見るだけで息が荒くなってしまっていた。ここは一度退いて態勢を立て直した方が良い。イエローの腕を掴み外へ出ようとする。しかし
「あ、開かない…!?」
「残念でした❤スイッチを押すとそこの扉が閉まる仕組みになってたの。開く方法はお姉さんを倒す事❤これで何でこの部屋に最後のスイッチがあったか分かったかな?」
最初からスイッチは撒き餌だったようだ。バラバラに配置する事で俺達を分断し最終的にこの部屋に辿り着いた奴を有利なフィールドで始末するのが狙いだったのか。しかし気づいても遅い。再びヴァネッサの方に向き直ると俺達に対し誘うように言ってくる。
「ほら❤私こんな無防備なのよ?一発でも受けたらやられちゃうかも~❤」
平常時なら手を出せていただろう。しかし今の俺達は既に彼女の美しい身体に傷を付ける事に抵抗を感じるまでになってしまっていた。そして俺達が手を出せないと見るやヴァネッサの行動は次の段階に移った。
「そっちが攻めてこないならこっちから攻撃しちゃおうかしら❤ねえイエロー君?」
彼女の突然の呼びかけにイエローがそちらを見てしまった。その瞬間ヴァネッサの目が赤く光り
「!?」
イエローの身体が震える。そして
「ああ…❤はあ………❤」
腑抜けたような声を上げる。
「ほら、イエロー君?ちゃんとお姉さんの所まで来れるわよね?」
「はい……❤」
ヴァネッサの言葉に従いフラフラと彼女の元へ近寄ろうとする。
「待て!何やってるんだ!」
慌ててイエローを羽交い締めにする。
「俺は…ヴァネッサ様の所に……」
「冷静になれ!」
しかし理性を失ったかのように抵抗する彼の力には及ばず
「ぐっ!?」
腹に強烈な拳を打ち込まれ崩れ落ちる。
「ちゃんと一人で来れたわねぇ❤えらいえらい❤う~ん、ご褒美にキスしてあげようと思ったんだけどマスクが邪魔ねぇ…。変身解いちゃいましょう?」
言われるがまま変身を解除した瞬間無防備になったイエローの身体を部屋に立ち込める淫臭が襲う。
「ひ…!?ぐ……」
イエローの体がふらつく。
「あらかっこいい❤イエロー君の身体も見てみたいわぁ❤」
「はひぃ……❤」
彼女の言葉に促されるようにスーツを脱ぎ捨て裸になる。既にペニスは勃起しきっている。服を脱いだイエローを抱きしめながらこちらを向いて告げる。
「ブルー君にもどうやってイエロー君をこんな甘えん坊さんになっちゃったか教えてあげる。実は私催眠術が使えるの❤」
「催眠術だと…!?」
ヴァネッサにそんな能力があるなど知らなかった。
「何で今まで使わなかったか教えてあげましょうか?この催眠術の効果は『私と目が合った瞬間に私が思ってる事と同じ事を妄想してたらその妄想に逆らえなくなる』。分かったかしら?普通のヒーロー君ならわる~いお姉さんを利するような事なんて考える訳ないわよねぇ?だから本来君達相手には使い道がないんだけど…」
確かにそれならば特に使い所のない能力のはずだ。
「さっき掛けた催眠は『ヴァネッサ様にひれ伏したい、下僕になりたい❤』…そうよねぇイエロー君?悪いお姉さんと戦ってるのにずっとそんな妄想してたのよねぇ?」
「はひい…してまひたぁ……❤ヴァネッサさまに負けたいってずっと……❤」
「な、何言ってるんだイエロー!?」
「仕方ない子❤じゃあお姉さんの妄想でどれくらいオナニーしてたのかな?」
「毎日…ですぅ……」
「あらあらスケベなヒーロー君❤じゃあこれからお姉さんにどうして欲しいの?」
 「おっぱいで…いじめてほしいですぅ…❤」
「ほんとに男の子は皆おっぱいが好きねぇ❤そんな素直な子にはご褒美あげないとね❤」
そう言って胸の部分の布を触る。はらりと布が消え去りヴァネッサのあまりに魅惑的な乳房が露わになる。
そして
「これはお・ま・け❤」
乳房を自分の手で揉みしだく。むっちりと重そうな乳肉にしなやかな指が食い込む。そして数度揉むと
「ほら見てぇ❤おっぱいからミルクが出てきちゃうの❤」
ヴァネッサの勃起したピンクの乳首からとろりと白濁液が流れる。
「このミルクぜ~んぶ飲んでもいいのよぉ?」
目の前で乳房を揺らすだけでも男を跪かせるのには十分すぎるほどなのにその乳房の表面を母乳が伝ってくるのを眼前で見せられては抵抗など出来なかった。我を忘れイエローがヴァネッサの乳首に吸い付く。
「あん❤もうそんなに慌てなくても逃げないわよ❤ふふ、どうかしらぁ?甘くて美味しいでしょう?」
その言葉など耳に入らないように吸い付き母乳を吸う。そんなイエローの様子を見て下半身に目を遣る。
「あらあら❤もうおちんちんパンパンじゃないの。しょうがないわねぇ❤」
そしてペニスに手をやると
「ぜーんぶ絞り出してあ・げ・る❤」
ペニスを勢い良く扱き出す。
「ん、むうううう!?」
突然の刺激に驚いた様子を見せる。しかしヴァネッサの細い指で柔らかく包まれ扱かれるとあっという間に蕩けた顔を浮かべてしまう。
「は~い❤じゃあそろそろ出しちゃいましょう❤」
そう言って手の動きを速める。そして
「んんんんーーーーー!」
どぷっ❤どぷっどぷっ❤
「やん❤もう手がイエロー君のザーメン塗れ…❤」
精液を放出し力が抜けたような顔を浮かべるイエロー。その口には依然としてヴァネッサの乳首が咥えられ母乳を流し込まれ続けている。一段落したように見えたがしかしまだ終わらない。
「このヌルヌルの手でシゴいてあげればまだまだ出るわよねぇ?」
そう言うと射精したばかりのイエローのペニスを掴み再び扱き出す。
ぐちゅ❤ぐちゅ❤くちゅ❤
彼女の手の動きに合わせて手とペニスに付着した精液が擦れ合い音を立てる。流石に連続で扱かれ辛そうな表情を見せるイエローだったがその感情もすぐに快楽に塗り替えられていったようだ。
そして
「は~い二発目~❤」
あっという間に二度目の射精を迎えてしまった。更にイエローの様子など意にも介さず
「まだまだイかせちゃうわよぉ❤」
そう言って扱き出す。一方のイエローはと言えば限界を越えてしまったのか全く辛そうではない。ヴァネッサのなすがままに母乳に塗れペニスを勃起させ続ける。

「と・こ・ろ・で❤ブルー君はいつになったら私に攻撃してくるのかなぁ?」
いきなり標的がこちらに替わる。
「イエロー君に攻撃されてからずっと倒れこんでるけどあの程度の打撃でまだ立てないなんて訳ないわよねぇ?」
「……!」
「じゃあ当ててあげる。本当はおちんちんがギンギンになっちゃってて恥ずかしくて起き上がれないのよねぇ❤」
「う、く……!」
「はい図星~❤」
楽しそうに笑う。
「でもいいのかしらぁ?早く助けないで❤今イエロー君がどうなってるか分かる?射精させて母乳飲ませて体の中身入れ替えちゃってるの❤」
「……!?」
「ふふ、じゃあもうちょっとちゃんと教えてあげる。イエロー君は射精する度に精液と一緒に君達の正義の心も出しちゃってるの❤それからその空っぽになった部分は母乳で埋め尽くして…私に対する忠誠心に変えちゃうの❤ほらほら早くしないと仲間がお姉さんのおもちゃになっちゃうわよぉ?」
「くっ…」
近づけないのを分かっていて嘲ってくる。そして言葉を続ける。
「ところでさっきからどうして目合わせてくれないのぉ?私寂しい…」
「そ、それはお前が催眠術を…!」
「あらあら、さっきも言ったじゃない普通のヒーローなら催眠になんか負けないって❤まさかブルー君までお姉さんとエッチな事したい…なーんて思ってないわよねぇ?」
「そ、そんな事考えていない!」
「へ~❤じゃあ私の目見れるわよねぇ?」
こんな見え透いた挑発に乗ってはならないと分かっていたはずだった。しかしヒーローとしてのプライドなのかそれとも内に秘めていた破滅願望が頭をもたげてきたのかは分からない。気が付くとちらりと彼女の顔に目を遣ってしまっていた。そして待ち構えていた彼女の赤く光った目を見た瞬間
「あ…が……」
意識が遠のくような感覚を覚えた。少しずつ足が前に出て行く。…そうだ、彼女にひれ伏さなくてはいけない。自分は彼女の下僕となるためにここに……違う!頭の片隅に残っていた意識の欠片が踏み止まらせる。
「はぁ……はぁ……」
「あらぁ?まだ頑張ってるの?早く堕ちた方が幸せになれるわよぉ?」
「だ、黙れ!」
「あ~ん❤もう強がっちゃって可愛い~❤でもぉ催眠にかかっちゃうなんてブルー君もやっぱり男の子なのねぇ❤」
少しでも気を抜けば一瞬で先ほどのように意識を支配され操られてしまう。こちらを挑発してくるヴァネッサに対しまともに反論するのは止めた方が良いだろう。
その後も何度か言葉を投げかけられるがまともに反論せず躱している内にようやく何とかこの催眠にも対応出来そうな感触を掴み始めた。
「…どうした……?こんなものか……?」
逆に言葉を投げかけるとヴァネッサは微笑む。
「ふふ❤ブルー君の必死に頑張る姿も見れたしじゃあトドメ刺しちゃおうかしら❤」
「な…!?」
彼女の言葉とともに閉じられていた脚が開かれる。そして股間を覆っていた布が滑り落ち秘部が露わになる。限界寸前のところで耐えていた理性が脆くも崩れ去る。
「あ……ああ……❤」
「ほら…もっと近くに来てぇ…❤」
誘われるままに彼女の脚下に跪く。目には愛液で濡れる彼女の秘部しか入らなかった。
「こんなトロトロになっちゃってるのぉ…❤早く舐めてぇ…❤」
言葉通りマスクを取る。すると
「あっ……ひ……!」
無防備になった鼻孔が部屋に立ち込める淫臭をまともに吸い込んでしまう。それだけで脳が快楽を覚え思考がおぼつかなくなっていく。
「ふふ、頭の中犯されて気持ちいいでしょう?その邪魔な服脱いじゃえばもっと気持ちいいわよぉ?」
最早考える事など不可能だった。服を脱げばこれ以上気持ちよくなれるという言葉がストレートに頭に響き続ける。ヴァネッサの狙い通り敵の目の前で裸になり思考力を失った俺は彼女の餌同然だった。
「は~いよくできました~❤じゃあご褒美にお姉さんの一番エッチなとこ舐めさせてあ・げ・る❤」
そう言ってイエローのペニスを握っていないもう片方の手で俺の頭を引き寄せ秘部に押し付ける。
「ん!?んーーーーー!!」
「あらあら❤そんなに嬉しいのぉ?じゃあもっといいところで独り占めさせてあげる❤」
ヴァネッサが開いていた脚を閉じる。頭は完全にむっちりとした太腿にロックされただただ彼女の股間を舐め匂いを嗅がされ続ける。とろりとした愛液が口に流れ込み続け溢れていく。
しかしそれだけでは終わらない。
「ブルー君もこんなにおちんちん腫らせちゃって仕方ない子❤」
「!?」
俺のペニスの裏筋を何かがなぞる。程なくそれが彼女の脚先だと分かった。
「どこ責められてるか分からないと興奮しちゃうでしょう?ほ~ら今度はおしっこ出るとこすりすり~❤」
「んんんんーーーーー!?」
それほど強く踏みにじられている訳ではない。しかし見えない場所から与えられる刺激は通常以上の快感をもたらす。数度撫でられただけで即座に限界に達してしまい
「ん…んんんん………❤」
彼女の脚に精液を放つ。
「もう❤こんなに足汚しちゃって❤」

そしてようやく解放される。蕩けた表情の俺の顔を見て粗方勝利を確信したらしい。
「ふふ❤もう堕ちちゃったみたいだけど君は意志が強そうだから…もっとお姉さんの事好きになってもらおうかしら❤」
そして俺をベッドの上に座らせるとピンクのルージュが引かれた唇を近づけ
じゅる❤じゅる❤じゅうううううううう❤
「ん!?んううううううう!!!」
口吻されたまま舌を吸われる。更に舌で口内を舐め回される。その度に脳内にまで伝わる卑猥な音が感覚を麻痺させる。
ぐちゅ❤ぐちゅ❤じゅりゅうううううう❤
そして数度その仕打ちを受けた俺はまたもや精液を噴き上げていた。
「あ……❤はぁ……❤」
「キスされただけでイっちゃったのぉ?ふふ、じゃあブルー君はも~っとキス大好きにしてあげる❤」
そのまま俺の後頭部を掴んで顔に近づけると
ちゅっ❤
「ひぅ!?」
頬にキスをされ情けない声が出てしまう。しかしこんな物では終わらなかった。
ちゅっ❤ちゅっ❤ちゅっ❤ちゅっ❤
「あ……❤ひああぁぁ……❤」
顔中にキスをされ意識が遠のいていく。そしてヴァネッサの唾液の匂いが快楽を強めてくる。更に
ちゅっ❤じゅるじゅうううううう❤
「キ、キスやめへえ……❤」
頬に吸い付かれ唇を吸われるような濃厚なキスをされる。キスマーク塗れにされながら俺は何度も射精させられそして
どぷっどぷっ…❤

「………………」
「ふふ、気絶しちゃったかな❤これでキス奴隷の出来上がり~❤さーて、後はあの子だけ…❤」
ブルー、イエローと別れてから一日、二人ともまだ帰ってこない。それどころか連絡すらつかない。本部で不安に駆られながら待っていると突然モニターが外部からの通信を受け取った。この通信手段を知るのは自分達のみ。何か緊急の用件があるのかとモニターを見る。
「はぁい❤レッド君久しぶり❤」
「お前は…!」
何故ヴァネッサがこの通信を利用している?動揺する俺に更に告げる。
「ああ、レッド君じゃなかったわね。ごめんなさい、ユ・ウ・君❤」
「な!?」
突然甘ったるい声で名前を呼ばれ背筋がぞくりとする。俺の反応を知ってか知らずか言葉を続ける。
「あらぁ?そういえばどうしてそこにユウ君一人しかいないのかしらぁ?」
「ぐ……」
「まあ仕方ないわよねぇ?だってブルー君とイエロー君…ふふ、キミにはトウマ君とリク君って言った方がいいかしら?二人とも私と一緒にいるんだから❤」
「ど、どういう事だ!?」
「あらあら❤まだ分からないのかしら?じゃあごたいめ~ん❤」
その声と共にカメラがゆっくりと下りていく。
そこには確かに二人がいた。しかしまともな姿ではない。トウマは顔から胸にかけてヴァネッサのルージュの色と同じ赤いキスマークがいくつも付けられている。一方リクの体は白い液体で濡れきっている。二人に共通しているのは裸で寝転がらされ敵の元にいるとは思えないほど幸せそうな顔で涎を垂らしている事。そして二人の勃起したペニスはヴァネッサの足裏で撫で回されている。
「……!?」
俺の反応を楽しむようにじっくりとこちらを見て楽しげに言う。
「ユウ君の仲間は今こんな事になっちゃってま~す❤」
「ふ、ふざけるな!」
「ふふユウ君顔が真っ赤よぉ?大事な仲間がお姉さん一人に負けちゃって悔しいのかしらぁ?」
「それは…!」
「ああ、違ったわね❤悔しいんじゃなくてぇ❤う・ら・や・ま・し・い❤のよねぇ❤」
「な……!?」
「敵だって分かっててもヴァネッサ様みたいなセクシーなお姉様といやらしい事したいって妄想しながら毎日チンポシコりまくってたのよねぇ?目を逸らしてもだーめ❤ほんとは今すぐオナニーしたくて仕方ないんでしょう?ユウ君の勃起チンポ見せてくれたらお姉さんが手伝ってあ・げ・る❤」

「あらあら❤本当に丸出しにしちゃってどうしようもないヒーロー君❤じゃあ約束通りチンポシコるの止まらなくなるくらいいいもの見せちゃう❤ほら、トウマ君ベッドの上に来なさい?さ~て❤じゃあトウマ君のギンギンのチンポにぃ❤」
ちゅっ❤
「ひいいぃぃぃ❤」
「あ~ん❤キスしただけでそんな喘いじゃってカワイイ❤そうよねぇ❤だって私に負けた時からずっとキスして欲しいっておねだりしてたのよねぇ?顔中キスマークとヨダレ塗れにされて嬉しくて仕方ないのよねぇ❤」
「はひぃ…❤うれひいですう…❤」
ちゅっ❤ちゅっ❤ちゅっ❤ちゅっ❤
「あ…❤ひいいいい……❤」
「ふふ❤トウマ君のチンポお姉さんのルージュで真っ赤になっちゃった❤」
「じゃあそろそろ本気出しちゃおっかな~❤ルージュがぜ~んぶ落ちちゃうくらい吸い尽くしてあ・げ・る❤」
じゅううううううううう❤じゅりゅううじゅううううううう❤
「ああああ❤ひいいいい❤あ!?ああああああああああ!!!」
「あはは❤ほらどうしたのぉ?そんな苦しそうな顔しちゃって❤好きなだけお口に射精していいのよぉ?な~んてこうやってチンポの根本押さえてたら全然出せないわよねぇ?」
「い、イかせてえええええええ!」
「そんなにイかせてほしいのぉ?でもトウマ君が気持ちよくなるためだけに利用されてるみたいでお姉さん残念だわぁ…」
「ち、違う!ヴァネッサ様大好きだからああああ!」
「じゃあどれくらいお姉さんの事好きなのか教えて❤」
「毎日ヴァネッサ様の事思い浮かべてオナニーしてましたぁ❤リクがヴァネッサ様におっぱい飲ませれてる間ずっと僕が先にヴァネッサ様にいじめられたいって思ってまひたあああ❤」
「や~んうれしい~❤じゃあこれはご・ほ・う・び❤」
じゅうううううううううううううううううううう❤
「あ、ああああああああ!」
どぷっ❤どぷっどぷっ……❤
「あん❤もうすっごいザーメン❤でもあれだけ焦らしてあげたんだからまだ出るわよねぇ?」
「…!?も、もう出な……!」
「へぇ~それじゃ試してみようかしら❤」
じゅうううううううううう❤じゅるううう❤じゅりゅううううううう❤
「あ…ああああああ!す、吸われ…ひああああああああ!!も、もう出たからぁ❤ああ❤ゆ、ゆるひてええええ❤あ………ああ………………」

「は~いトウマ君ノックアウト~❤ほら、ユウ君見てる?これが君の大事なな・か・ま❤
敵に弄ばれてこんなだらしないアヘ顔晒してチンポからザーメン出しまくってるなんて……❤
こんな目に会いたいわよねぇ?…まあ、そんなの聞くまでも無かったかしら?
ふふ、だってユウ君この光景みながら一人でチンポシゴいてイっちゃってるもの❤
大体いくらズリネタにしまくってた女が目の前でエロい事してくれるからって敵の裸見て我慢出来ずにシコるなんて恥ずかしくないのかしら❤あらあら❤こうやってバカにされたらまたチンポおっきくなっちゃうの?
じゃあこうやって敵の手玉に取られるのが大好きなマゾヒーロー君にはいい事教えてあげる❤
じ・つ・は❤今まで私がこっちに色んな服着て来てたのもほとんど戦わずに逃げてたのもぜーんぶ作戦通り❤
バカなヒーロー君の頭の中にお姉さんのエロコス姿を刷り込んで背徳感だらけのオナニーに病みつきになるようにしてあげたの❤
後はこっちの有利な場所に誘い込んでちょっとこのカラダで誘惑してあげれば簡単に快楽に屈服しちゃうって訳❤おっぱいはちきれそうなくらいのムチムチのナース服もパンチラ見放題の超ミニスカメイド服もぜーんぶ君達にシコらせるためのワ・ナ❤
ふふ❤もう反論するどころか思い出してチンポシゴくの止まらなくなっちゃったわねぇ❤
ほら❤私の指見てぇ❤これを君のチンポみたいに…❤」

ちゅっ❤じゅる…❤じゅるう…❤じゅるるるるるるうううううううう❤

「このいやらしいフェラ音聞くだけでたまらないわよねぇ?どんどんシゴくスピード上がってきちゃって❤
で~も❤ほんとはそれだけじゃ物足りないわよねぇ?だってユウ君このおっきいおっぱいからずっと目が離せなくなってるもの❤
ほら見てぇ❤こんなにおっきくて手から溢れちゃうドスケベおっぱい❤こうやっておっぱい持ち上げて手を離すとぉ❤
は~いおっぱい揺れまくり~❤このおっぱい押し付けられて挟まれてめちゃくちゃに陵辱されるの妄想しながらオナニーしてたのよねぇ?それとも君なら気絶するまでおっぱいでビンタされる方が好きかしら❤おっぱい好きでドMの変態ヒーロー君❤
…じゃあもっといい事してあげる❤おっぱいをぎゅーって揉んだら…見てぇ❤おっぱいからミルクが溢れてきちゃった❤ほらぁ❤これがユウ君が見たかったお姉さんのな・ま・ち・ち❤勃起乳首からミルクがおっぱいに垂れてとっても下品❤ユウ君に飲ませてあげたいけど画面越しじゃ出来なくて残念だわぁ❤でも良かったわねぇ❤だってこのミルクは飲んだ男の子を母乳中毒のおこちゃまにしちゃうわる~いミルクなの❤
まさかヒーローなのにそんなの飲みたい訳ないわよねぇ?あらぁ?顔真っ赤よぉ?ひょっとして頭おかしくなって負けちゃってもいいからミルク飲まされて甘やかされたいのかしら❤ほんと駄目な子❤じゃあユウ君にもその気分味合わせてあげる❤ほらリク君の顔見てあげて❤ミルク塗れにされて幸せそうでしょう?ねぇ幸せよねぇ❤おっぱいだけで負けちゃったお子様ヒーロー君❤」
「はひぃ……❤しあわせれすぅ……❤」
「ふふ❤じゃあまた吸わせてあげる❤ほらおっぱいに飛び込んできていいのよぉ?」
「あ……❤はぁ……❤」

「はい捕まえた❤」
「んむううううう!!!」
「ほ~ら❤リク君の顔谷間に隠れて全然見えなくなっちゃったわねぇ❤でも苦しいからって無理に息しようとすると…❤
ふふ、こうやって力が抜けて抵抗出来なくなっちゃうの❤おっぱいに垂れてるあま~いミルクの匂いで動く力も奪われちゃうのよ❤
ユウ君もこうされたかったのよねぇ❤こうやってお姉さんのデカパイに顔挟まれて抵抗する意志までトロトロに溶かされて負けちゃいたいって❤やわらか~い乳肉に顔も頭も埋められてむにゅむにゅにされてそのままおっぱいでホールドされて窒息死❤
な~んて最高の負け方よねぇ❤
そんな負け方妄想しなかった訳ないわよねぇ?だって君達三人とも私と戦う時は必死でおっぱいから目逸らそうとしてたもの❤ちょっとでも見たら勃起止まらなくなってお姉さんに恥ずかしい姿見られちゃう❤だから私が逃げる時だけおっぱい視姦して思い出してシコりまくり❤デカパイにボコボコにされてあのエロい顔のお姉様に散々バカにされながら無様に負けたいでちゅ~❤って揃いも揃って妄想オナニー止まらなかったのよねぇ❤
…あらぁ?リク君体震わせてどうしたのぉ?ふふ❤このまま気絶させてもいいけどそろそろ許してあげようかしら❤」
「はぁ……はぁ………」
「あらあら随分苦しそうねぇ❤きっと栄養が足りてないのね❤ほ~ら好きなだけおっぱいしゃぶっていいんでちゅよぉ?」
「むうううううううう!!」
「リク君の大好きなおっぱいプレス❤こうやって顔におっぱい押し付けられて独り占めするのたまんないわよねぇ❤
口の中ミルクでいっぱいにしてあげる❤そうそうそうやって好きなだけごくごく飲んでもいいわよぉ❤
ミルク飲まされてますますお姉さんの事大好きになっちゃうわねぇ❤
おちんちんもシコシコしてあげるから好きなだけ出してもいいのよぉ?ほぉら❤リク君の弱点はどこかな~❤
おちんちんの裏筋かなぁ?それともおしっこが出てくる先っぽかなぁ?あは❤責める度に体震えちゃって❤
じゃあ一気にシコシコしてあげるからお手々に出しちゃえ~❤
あん❤もうイっちゃったのぉ?ほんとにおっぱい手コキ大好きなんだから❤

…ねぇリク君?さっきからずっとこっちをガン見してるエッチな男の子がいるの分かる?
仲間が悪いお姉さんに射精させられてるの見ておちんちんシゴくのが止められなくなっちゃうドMリーダー君❤
あらあら❤バカにされてまた興奮しちゃったの?ほんとどうしようもないマゾねぇ❤
どうせ私みたいな女の敵にボコボコにされたくてヒーローやってるんでしょう?あらぁ?否定出来ないのかしらぁ?
じゃあそんなヒーロー失格の変態君に正義のヒーローなんて辞めちゃういい方法教えてあげる❤
今のリク君みたいにお姉さんのミルク飲みながらザーメン出しちゃうだけ❤
そうすれば君達が持ってる正義の心なんて生意気な物もザーメンと一緒にぴゅ~って発射されちゃうの❤
後は頭おかしくなっちゃう母乳飲ませて私に対する忠誠心でぜ~んぶ塗り替えてあげれば
リク君みたいなおもちゃの出来上がりって訳❤
ふふ❤ユウ君もやってみたくて仕方ないわよねぇ❤世界の平和なんて訳分かんない物よりもぉ❤ズリネタにしてオナニーしまくってたお姉さんのためにヒーローやりたいわよねぇ❤」

「あらあら口から涎が出てるわよぉ?それなのにチンポシゴくのは止められないなんてほ~んと男ってバカばっかり❤じゃあ最後にリク君とトウマ君一緒にミルク漬けにしてあげるからいっぱいシコるのよぉ?ほら二人とも膝の上に乗りなさい?そ・の・ま・ま❤二人まとめておっぱいプレス攻撃~❤」
「んんんんーーーーーー!!!!」
「むうううううううう!!!!」
「ほらほらぁ❤どっちがたくさんおっぱい吸えるかしらぁ?
いくらでも出てくるから好きなだけミルク飲んでいいのよぉ❤ふふ君達の方がお姉さんより
体も大きいのに子供みたいになっちゃって❤飲めば飲むほど身も心も敵に服従させられていくのに駄目なヒーロー君❤
ほら、気持よくなりたかったらお姉さんの太腿におちんちん擦り付けて好きなだけ出しちゃえ❤
白くてムチムチでいくら擦っても止まらないわよねぇ❤どうせマンコに顔押し付けられながらこの太腿で締め上げられて失神敗北プレイ❤なんて妄想もしてたんでしょ❤
ふふ❤それ聞いてもっと腰振るの速くなっちゃってるわよぉ?変態ヒーロー君❤
いくらイっても腰振るのが止められない❤頭の中までデカパイとあまあまミルクで溶かされちゃってちょっとエッチな事言われただけでもそれで頭埋め尽くされちゃう❤
自分の顔よりおっきいおっぱいで目の前全部塞がれておちんちんの気持ちよさもミルクのあま~い味も匂いもいやらしい音も言葉もずっと強く伝わってきちゃう❤
ほらほら何度イっても解放してあげないわよぉ?だって君達はもう快楽が痛みを越えちゃってるんだから❤苦しいはずないわよねぇ❤そ・れ・に❤お姉さんのミルク飲んだら君達のキンタマもおかしくなっちゃっていくらでもザーメン出せるの❤
つまりこうしてれば永久に気持よくなれるって事❤
そんなの聞いたらもう離れられないわよねぇ❤そしてこのサイクルが回れば回るほど君達の体はミルクでいっぱいになってお姉さんのこのスケベなカラダと同じ成分で満たされていくの❤あはは❤最高に幸せねぇ❤ほらほら❤もっとおちんちん擦り付けておっぱい吸いなさい❤ミルク漬けのま・ぞ・ひ・い・ろ・お・くん❤」

数十分後。ヴァネッサの脚下には既に堕ち切った元正義のヒーロー二人が転がされていた。
「ふふ❤これでユウ君何回射精しちゃったのかしら❤もう目の焦点も合ってないのにチンポシコるのはまだ止められない❤ザーメンも出尽くしたのにそれも分からない❤よっぽどこのマゾいおっぱい陵辱プレイがお気に入りだったみたい❤このまま壊れちゃうまで射精させてあげてもいいけど…❤せっかくだしおもちゃは多い方が楽しいわよねぇ❤」
そして画面を見据え
「今から私達のいる場所教えてあげるからちゃ~んと覚えておくのよぉ?あ・と・は❤分かってるわよねぇ?」
ヴァネッサの目が赤く光った。

俺はヴァネッサに言われた場所に足を踏み入れた。
「あらぁ?レッド君じゃない。どうしたのかしら?」
笑みを浮かべながらそう言うヴァネッサは既に一糸纏わぬ姿になり脚を組んでこちらを見ている。彼女はベッドの上にはいるがその尻の下ではトウマが顔を潰されペニスを扱き続けている。リクは脚にしがみつきペニスを擦り付けながら一心にそのすらりとした脚を舐め続けている。自分達にとってあまりに屈辱的な光景のはずだった。しかしこれを見るなり思考が惚ける。自分の意思なのか操られているのか分からない。ゆっくりとヴァネッサの元へ近づき…彼女の目の前で膝を着いた。
「ほら、舐めなさい」
勝ち誇った表情で突き出されたもう一方の脚先、言葉に逆らえず彼女の白い肌を舐め回す。
「ふふ、すっかり私の従順な犬ねぇ?」
その言葉を聞き体がびくんと反応してしまう。
「こんな言葉でも興奮しちゃうの?じゃあもっと言ってあげようかしら、ねぇド変態のマゾ犬ヒーロー君❤」
「は、はいぃ…❤僕はド変態のマゾ犬ヒーローですぅ…❤」
既に俺の意思はそこにはなかった。ヴァネッサの言葉を反芻し悦びを得てしまっていた。
「あ~あもうこれじゃヒーローとして使い物にならないわねぇ❤そんな情けないユウ君にはお仕置きが必要かしら❤」
そう言うと立ち上がって跪く俺の眼前に揺れる乳房を突き出し
バシン!
「あ…❤く……❤」
その乳房で顔を張られる。そして仰向けに押し倒され
バン!バン!バシン!
「ああああ……❤ひああぁぁ……❤」
痛みと悦びと快楽が入り混じった情けない悲鳴を漏らす。
「ほらほらお仕置きの乳ビンタ❤何嬉しそうにしてるのかしら?これはお仕置きよぉ?」
屈服させた宿敵が惨めな姿を晒すのを楽しげに観察しながら乳房を叩きつける。いくら柔らかい乳肉とはいえ何度も殴打されて頭を揺らされふらふらとしてくる。
バシン!バシン!
「ああああ……❤ふあああぁぁ………❤」
「ふふ❤もうビンタされる度にヒーローの使命が頭から抜けていっちゃうでしょう?それでいいの❤おっぱいで叩かれて頭の中スケベな事でいっぱいにされちゃう方がユウ君には幸せなの❤」
頭の中はピンク色の靄がかかったようになり思考力も失われていく。このままヴァネッサに服従する…それが最高の幸せなのだ…。
そして俺の思考がストップしてしまったのを見計らってヴァネッサは声をかける。
「せっかく来てくれたんだからユウ君にはもっといい事してあげようかしら❤でもその前にぃ…❤お姉さんでどれだけマゾチンポ弄ってたか白状しなさい?」
この美貌に魅了されてしまった事をヒーロー自らの口から吐き出させ、また自分の魅力を語らせる事でナルシシズムを存分に満たす…そうした意味を含むこの儀式にヴァネッサは悦楽を覚えているようだあった。
「は、はい…❤初めて会った時から毎日ヴァネッサ様に負ける妄想してオナニーしてましたぁ…❤ヴァネッサ様のコスプレ見て勃起してすぐにでもヌきたいって思ってましたぁ…❤ヴァネッサ様のスケベな体もエロい顔も大好きれしゅう……❤世界平和なんかどうでもいいからヴァネッサ様の犬になってマゾチンポバカにされたいですぅ❤」
「あらあら❤ほんと筋金入りのマゾなのね❤こんなのがリーダーなんて世界中の人が可哀想❤ここで始末して二度と正義のヒーローなんかになれないようにしてあげる❤」
そう言うとベッドの上に乗りトウマとリクを呼び寄せる。そして
「ほら❤二人ともお姉さんのカラダ好きにしていいわよぉ❤」
その言葉を聞き二人が飛びついたのはヴァネッサの両乳房。散々映像で見せられたように一心に母乳を吸い続ける。
「あらぁ?せっかくユウ君にもおっぱい飲ませてあげたかったのに取られちゃった❤」
あまり残念そうではなくむしろ期待通りといった感じで声を弾ませる。そのまま次の行動に移行する。
ゆっくりと股を開き
「実はお姉さんにはもう一つ武器があるのよねぇ…❤見てぇこのトロトロマンコ❤この中でイっちゃえばミルク飲ませるなくても一発で私の虜になっちゃうの❤」
言いながら熱っぽい視線を向けてくる。逆らえるはずなどない。虜にされたい…操られたい。その気持ちのままに勃起しきったペニスをヴァネッサの秘部に挿入する。
ぐちゅ❤ぐちゅ❤ぐちゅ❤
「あ、ああああああああああ!!」
ヌルヌルとした愛液に塗れた膣内がペニスに絡み付くように締め付けてくる。今まで妄想だけだったヴァネッサの体でペニスを刺激されているという事態に興奮が収まらない。そしてあっという間に
どぷっ❤どぷっ❤どぷっ❤どぷっ……❤
大量の精液を膣内に放つ。
「あん❤もうこんな簡単にイっちゃって❤ほらまだいくらでも中出ししていいのよぉ?」
この言葉を聞いて腰を振るのを抑えられるはずがない
「あああ、ああああああ❤ヴァネッサ様ああああああ❤」
敵の女幹部を相手にして三人のヒーローの内二人が両乳房に吸い付き一人が服従する言葉を叫びながら性交している。体格で勝り戦闘力で言えば一人でも勝てるような相手に色香で惑わされ敗北しまとめて手駒にされてしまう。しかし最早俺達は屈辱など感じていなかった。自分達の憧れのヴァネッサ様にいいように手玉に取られ陵辱され精液を搾り取られる。これ以上の幸福はないだろう。
「ふふ❤あれだけふざけた強さだったヒーロー君達もみ~んな私にメ・ロ・メ・ロ❤こうやって三人まとめて私のカラダで籠絡されてるの見るのってほんとに気分がいいわぁ❤まあ私の美貌が完璧すぎるのが悪いのかしら❤」
そのようなこちらを舐め切った言葉ももう俺達を興奮させる材料でしかなかった。そして俺に突かれてもヴァネッサはほとんど感じた様子を見せない。トウマとリクを労るようにしながらもこちらにはからかうような視線を向け続ける。
「あああああ❤また出るううううううう❤」
「ほらユウ君もっと突いてぇ❤い~っぱいマゾ犬ザーメン出してお姉さんを孕ませてぇ❤」
「はいいいぃぃ❤ヴァネッサ様のためにがんばりましゅううぅぅぅ❤」
正義のヒーローは一人の女に尽くす奴隷と成り下がっていった…


研究所

現魔界「セントナム」 真夜中のとあるホテルの一室にて……。

 分かっている。
 今日こそは……、この部屋に来てはいけなかったのに……。
 それなのに……、ダメだと分かっている……、のに……。
「きゃは♥ 所長さーん、また来ちゃったんだぁ……」
 アームチェアに座った背の低い色白の美少女が、俺を馬鹿にするようににやにやと笑ってきた。
「ほら。挨拶は? さっさとしなって」
 蔑むように深紅の瞳で睨んでくる。
 その妖しい視線に、言いようのない快感が走り抜けていった。
 くぅ……♥ こ、こんな……。
 こんなガキに負けていいはずがない……。
「だ、だまれ……。お前を倒しに……」
「いや~ん♥ プラナこわいよぉ~♥」
 美少女の本名はプラスナッツ・コパー。
 小柄な身体の夢魔で、薄い赤色の髪は短く、頭に鬼の特徴である三角の短い角が側頭部に2本あった。
 そして、大胆不敵にも、数週間前から俺を籠絡しようと近づいてきた美少女だった。
 最初は返り討ちにするつもりだった。
 だが、会う度に俺はプラナに魅了され、弄ばれてしまっていた。
 もう会ってはいけない。
 そう分かっているのに、会いたくなってしまう。
 分かっている、俺はプラナに深く魅了されている。
 この魅了から逃れるためには、こいつを倒さなければならない。
 そんなことは分かっている。
「今日こそ所長さんに倒されちゃう、いっぱいいっぱいされちゃうよぉ♥」
 プラナはわざとらしく身体をくねらせると、くすっと微笑んで、太ももに手を当てて、俺を笑ってきた。
 そして、黒と赤を基調としたフリル付きのミニスカートを、ゆっくりと少しだけ捲って、柔らかそうな太ももを俺に見せつけてきた。
 ピンクと黒の縞ニーソの間に生まれた肌色の領域に、思わず胸が高ぶってしまう。
 もう少し捲ってくれれば、パンツが見える……。
 見たい、見たい……。
 気持ちが抑えられない。
「く、くそぉ……」
 研究所で働く俺は戦闘に不向きだ。
 非力で小柄なサキュバスのプラナが相手とはいえ、絶対に対峙してはいけない。
 今すぐ逃げなければならない、そして助けを求めなければならない。
 それなのに、俺は自ら、プラナのいるホテルの一室に、来てしまう……。
 それは、こいつを倒さなければならないからであって……。
「ぱ……♥」
「なーに? 所長さんはぁ、なにが見たいのかなぁ……♥」
 我慢が、出来ない……。
「ぱ、ぱんつ……♥」
「きゃははは!!! 負けてんじゃーん!!」
 プラナの甲高い笑い声が部屋に響き渡った。
 可笑しそうに、大袈裟と思えるほどに肘掛けを何度も叩いて、プラナは俺を笑ってきた。
 侮辱されている。
 そんなこと、とっくに分かっている。
 今すぐ、倒さねばならない。
 だから、ここに来たはずなのに……。
 プラナは目に涙を浮かべて笑いながら、落ち着かないまま俺を指差してきた。
「きゃはは、おっかしー♥
 でもぉ……、所長さんも飽きないねぇ。そんなにこのシチュエーションが好きなの?
 倒すつもりだったのに、パンチラ催眠であっさり堕ちちゃって遊ばれちゃうやつ」
「ち、ちがう……。今日はお前を倒しに……」
「きゃはは! そのパターンさぁ、何回目だったっけー?」
「ちがう! 今日こそ俺と正々堂々と勝負しろ!」
「きゃはは♥ それじゃあ……、今日のぉ……♥」
 プラナはそう言って、スカートの裾を両手で押さえた。
 そして、椅子に座ったまま、両足をゆっくりと上げていく。
 背もたれに背中を預け、椅子の上で膝を抱えるようにプラナは座っていく。裾を押さえているために、パンツは見えない。
 そして、裾を押さえたまま足を少しだけ開脚していく。
 このまま足を広げていけば、プラナの太ももがくっきりと見える。
 そして、ぱんつがちらりと……。
「やーん♥ そんなにジロジロ見ないでよぉ♥
 プラナのぱんつが見えちゃうかもぉ……♥」
 裾を少しずつ引き上げていきながら、ぱんつが見える寸前で手を止めてきた。
 そして、にやぁっと笑ってきた。
「見たいならぁ……、ちゃんとおねだりして♥ 所長さーん♥」
「く、くぅ……♥」
 見たい。
 そして、体育座りのときにできる、あの聖域に顔を近づけたい。
 息を切らしながら、足が前に進んでしまう。
 すると、プラナは首を回して、面倒臭そうな表情をした。
「ねえ、おすわり。この前みたいに、顔を突っ込みたいんでしょ。
 ならぁ……、四つん這いになってぇ、可愛らしくこっちに来てよね♥」
「そんな屈辱……」
「ちらっ♥」
 可愛らしい白とピンク色の縞々パンツ。
 甘酸っぱい香りといっしょに脳みそが一気にとろけていった。
「あ……、あぁ……♥」
「きゃは♥ 所長さんもそろそろ飽きちゃうと思ってぇ、お気に入りの柄にしてあげたんだよ♥ きゃはは♥ ほらほら、もっと見ていいよぉ♥
 だからぁ、おすわり♥」
 逆らえない。
 数週間も会っているうちに、すっかり俺は『ぱんつ中毒』になっていた。
「ぱ、ぱんつぅ……♥」
 返事も出来ぬまま、俺は四つん這いになった。
 椅子の足下から顔を上げると、プラナのぱんつを覗き込めた。
「あはぁ……♥」
 ぷっくりとした秘部に、かすかに見える一本の筋。
 どくん、どくんと鼓動が強くなる。
「あぁ……、プラナ様ぁ……♥」
 あの柔らかい秘部に顔を埋めたい。
 この前と同じように、太ももでぱふぱふされながらぐりぐりと顔を押しつけたい。
 お尻。小さなお尻でぷにぷにと潰されたい。
 されたい、されたい……♥
「太もも、お尻、ぱんつぅ……♥」
「あーあ。刺激が強すぎたかぁ……。もう壊れちゃった♥
 所長さん、プラナに遊ばれちゃう妄想でいっぱいでしょ?」
「その通りですぅ……♥」
「きゃはは♥ それじゃあ遊んであげる♥
 所長さんが、二度と生意気なことを言えなくなるように、プラナだけじゃなくて、女の子に絶対に勝てない、情けないロリコンマゾにしてあげるからねぇ♥」
 プラナがにやぁっと笑った。
 そして、指でぷっくりとした秘部を指差してきた。
「所長さん、10秒だけ、埋めていいよ♥
 ただしぃ……、埋めちゃったらぁ……、きゃはは♥」
 埋めたら、さらに魅了される。
 洗脳される。
 それが気持ちいい。知っている。
 気持ちいいのに、ダメだと分かっているのに……。
「所長さんはもうプラナから逃げられないの♥ そろそろ分かってほしーな♥
 ほらほら♥ 今日も朝からずっとエッチなことを考えていたんでしょ?
 へーんたーい♥ ロリコンマーゾ♥ サイテー♥ きゃはは♥」
「く……、今日こそは……」
「所長さんもそうだけどさぁ……。男って馬鹿だよねぇ……♥
 例えばさぁ……、プラナがこーやってぇ……♥」
 スカートの裾を掴むと、目の前で少しだけ捲ってきた。
 くっきりと見えた白とピンク色の縞々パンツが、俺の脳みそを溶かしてくる。
 昨日までのプラナとの記憶がゆっくりと溶け出してくる。
 恥を捨て、始めてプラナのスカートの中に潜り込んだときの甘い記憶が、恍惚感を伴って全身に伝わっていく。
「ふぁ……♥ きもちいぃ……♥」
「きゃはは! 見せただけなのにだらしなーい!
 所長さんってさぁ……、本当に頭がいいのかなぁ? プラナの前ではそんなにお馬鹿さんなのに♥」
「くぅ……♥」
「マーゾ、マーゾ♥ バーカ、バーカ♥
 きゃはは♥ ほらほらほらほら♥ もっと見ていいよ~♥ このバーカ♥」
 笑われて、小馬鹿にされて、けれどもその言葉の一つ一つが心に刺さってそこから快感が生まれていく。
 ぞくぞくとして身体がぶるっと震えてしまうと、それをプラナが笑ってきた。
「へーんたーい♥ あれあれあれあれ? どうしたのかなぁ?
 馬鹿にされてるのに、どうして感じちゃってるのかなぁ? ドMさんはチョロいなぁ♥ しかもそれでロリコンとかさぁ、プラナに勝てないよね♥ 負けちゃうために今まで生きてきたんだよね、情けなーい所長さん♥
 きゃはは♥ こっちに来ないのぉ? パンツにお顔を埋めてスーハー、スーハー♥
 したいんでしょ? あれあれあれあれ? 正直になれないのかなぁ♥
 ちらちらぁ~♥」
「あ、あ……♥ そんなこと言われたら……♥」
 何度も会う度に自制心を崩され、今ではとっくにボロボロだった。
 相手は敵だというのに、快感に抗えない。
 心が抵抗しても、身体が求めてしまう。
 膝を突いて立ち上がりながらプラナのスカートの中に顔を近づけていく。
 プラナが可笑しそうに笑う声が聞こえできた。
「負けちゃえ、負けちゃえ♥ 今日で終わりにしてあげる♥
 人間として最後の日にしちゃおうね♥ 今日から立派なロリコンマゾ奴隷として、情けなーくデビューさせてあげるぅ♥
 ねえ、でもさぁ、それでいいのぉ? 所長さん、せっかく今まで頑張って勉強してぇ、やっと所長っていう地位に就けたのに、ぜーんぶ壊れちゃうけどいいのかなぁ?」
 一昨日、昨日と同じ質問をしてきて、一昨日はかすかに反抗心が生まれていたのに、ついに反抗心も壊されたのか、昨日からもう何とも思わなくなっていた。
 頷きながら、パンツに近づいていく。
 高まる鼓動を感じながら、下半身は待ちきれんばかりに硬くなって、ズボンに擦れて少し痛くて、それがまた気持ちいい。
 鼻の頭がパンツに触れた瞬間、プラナが大笑いした。
「きゃはは! 来ちゃったのぉ? それで本当によかったのかなぁ?
 あー、これはオシオキかなぁ♥ ちゃーんと躾けてあげないとねぇ♥」
 オシオキ。
 昨日はオシオキと言われて、たっぷりとお尻で顔面マッサージをしてくれた。
 今日は、何をしてくれるのだろうと期待しながら、ぷっくりとした柔らかい世界に顔を埋めていった。
「きゃはは♥ 埋めちゃった♥」
「ふぅ……♥ くぅ……♥」
 強く感じる、柑橘系のような甘酸っぱい匂い。研究所で同じ匂いを探そうとしたが、どこにもない、プラナだけが持っている官能的な甘い匂い。
 吸い込むたびに身体が熱くなる。
 新鮮な酸素と交わって肺を冒し、足の指先にまで官能的な快感を伝えていく。
 もっと嗅ぎたい。我慢できずに顔を埋めてしまうと、ぷにぷにっとした感触が顔を襲い、一気に脳みそを破壊していく。
 思考力がボロボロと崩れていく。
 プラナのことしか考えられない。
「あ、あひぃ♥」
 情けない声とともに、理性が崩壊していく。
 羞恥心も壊れ、生物としての本能だけが下半身を熱くしていく。
 我慢できなくなり、ズボンを下ろすと、硬くなったモノが勢いよく反り返った。
「きゃはは♥ 今日は、まだ何も言っていないのになぁ……♥
 昨日までは、少しだけ躊躇ってたのに、もうダメそうだねぇ♥」
 プラナの嘲笑を感じながら、硬くなったモノを握った。
「ぅ♥ はぁ、はぁ……♥」
 呼吸に合わせて扱き始めてしまうと、一気に射精感がこみ上がってきた。
「あーあ♥ 始めちゃった♥
 少しは我慢できるかな? きゃはは、ダメそうだねぇ♥
 今日は10秒でイけるかな? 昨日はイけなかったよね。その後はずーっとイかせないで放置プレイしちゃったっけ♥ きゃはは、酷いことしちゃった♥ ごめんねぇ♥ それで、今日は10秒でイけるかな?」
「イくからぁ、このままでいさせてぇ……♥」
「きゃはは♥ でもぉ、ほらほら♥ 10秒だけしか味わえないよぉ♥ きゃはは♥」
 昨日は本当に10秒しか見せてくれず、その後はずっと放置された。悶々としながら妄想して、ついに妄想だけでイき、プラナに笑われながら気を失った。
 パンツをオカズにしないともはやイけなくなっていた俺は、この10秒でイくことしか考えられなかった。
 甘酸っぱい香りを思いっきり吸い込んで、勢いよく扱いていく。
「あ……ぅ♥ くぅ……♥」
 くる。
 熱いのがくるくるくる。
 たった2秒でイきそうになり、下半身が震えてきた。
「きゃはは♥ ちゃんと10秒間、楽しんでよねぇ♥
 カウントダウンしてあげる♥ 0になったら、無様にイっちゃえ♥ 分かった?」
「そんな……」
「0以外でイったら、二度と見せてあげないから♥ きゃはは♥」
「く、くぅ……♥」
 手を止めて、下半身に力を入れて必死に抑えこむ。
「あぅ♥ くぅ……♥」
 強烈な疼きに身悶えてしまう。
 プラナが大笑いした。
「きゃはは! すんごく今の可愛かったよぉ♥ プラナ、きゅんきゅんしちゃった♥
 だからぁ……、あと7秒にしてあげる♥ ほら、言うことないのぉ?」
「あ、ありがとうございます!!」
「きゃはは! バッカみたーい♥ こんな男が所長だなんてねー♥
 ねえねえ、数えてあげるねぇ♥ お手々のシコシコを止めちゃだーめ♥」
 言われるままにゆっくりと扱き始める。
 抑えていた射精感がまた戻ってきた。
「ろーく♥ そんなにゆっくりなのぉ?」
 早くしたくても、これ以上早くしたらイってしまう。
 首を振ろうとした瞬間、プラナが俺の頭を抑えてきた。
「ごーぉー♥ 押しつけさせてあげるぅ♥ 我慢できないよーに♥」
「ふぅ!? むふぅうううう♥」
 ぷにぷにが顔中を襲う。
 甘酸っぱい匂いが口の中に広がり、一気に喉が渇いていく。
 呼吸が苦しくなり、息をさらに吸うと甘酸っぱい匂いが身体中を巡っていく。
 自然と手が早くなってしまい、今にもイきそうで身体が震えた。
「よーん♥ 擦り付けちゃえ♥ ぐーりぐーり♥ きゃはは、くすぐったーい♥」
「あう♥ あうう♥」
 頭をシェイクされる。
 顔のあちこちにぷにぷにとした魅惑的な感触が触れ、快感が全身を走り抜ける。
 きもちいい。
「きもちいいぃぃ……♥」
「さーん♥ ほらほら、プラナ様への感謝の言葉とか、ないのかなぁ♥」
「はひぃ♥ プラナ様、ありがとうございますぅ……♥
 奴隷になりますぅ♥ もう、プラナ様の椅子にさせてくだしゃいいい♥」
「きゃはは!! よく言えたねえ♥ 人間として終わっているけど♥
 ほらぁ、にーぃー♥」
 もう少しだと思った瞬間、扱いている手が一気に早くなった。
 我慢する必要も無い。
 根本から熱いのがせり上がってくる。
 くる、熱いのが、くるくるくるくる。
「きゃはは! プラナは優しいからぁ、今日は焦らさないであげるぅ♥
 ほら、いーちぃ♥」
「あ、ありが……、むふぅ!」
「イく瞬間に思いっきり吸い込んで、味わって、脳みそとろとろにしちゃうんだよ♥
 わかった? ほら、押しつけてあげるからぁ♥」
 夢中になってプラナの甘酸っぱい香りを吸い込みながら、ぷにぷにとした快感を味わっていく。
 ぱんつのさらさらとした生地が自分の吐息で少しだけ湿ってきたのを感じた瞬間、我慢できなくなり、ついに口を思いっきり付けてしまった。
「きゃは♥ くすぐったぁい……♥ でも、それ許したっけぇ?
 躾が必要かな♥ でも、プラナは優しいからぁ、許してあげる♥」
 夢中になって口づけしながら扱き続ける。
 もう、イクイクイクイク♥
 はやく、はやくもう……。

「ほら、イけ♥ ぜーろ♥ きゃは♥」

 びゅくぅ!!
 びゅくびゅくびゅくびゅくびゅく!!

「きゃはは! ちゃんと10秒でイくことできたねー!
 えらーい、えらーい♥ きゃはは! ピクピクしちゃって、このマーゾ♥」
 あふぅ……♥
 溜まりきった欲望を全て吐き出すように手でゆっくりと扱いていく。
 どくどくと流れながら伝わってくる心地よい快感に酔いしれていると、身体の力がふっと抜けてくる。
 今日はもう満足と、思ったとき、プラナが俺の頭を優しくさすってきた。
「きゃは♥ 今日は特別にもう一回、遊んであげる♥
 きゃはは♥ ねえねえ、プライドとか自信とか、徹底的に潰してあげるね♥
 二度とプラナに逆らえないよーに♥ きゃはは!」
 プラナは足を前に伸ばし、俺の肩に太ももを乗せてきた。
「きゃはは♥ 所長さんのお顔が、プラナの太ももに挟まれちゃった♥
 ねえねえ、やーわらかくて、気持ちいいでしょー♥」
 ふにふにとした太ももの谷間、その谷間がゆっくりと閉じてくる。
「あひ……♥」
 イったばかりのモノが、もう硬くなり始めた。
 射精後の痺れがまだ下半身に残っていた。
 それなのに、更なる快感への期待に、下半身がまたぐつぐつと熱くなってくる。
「待って……。もう……」
 もう一回なんて無理だ。
 わずかに回復した理性が、俺を止めにかかる。
「なんか言ったぁ? ほらぁ、ぱんつをみようねぇ♥」
「ひぁ……♥」
 理性が溶けていく。
 ぱんつを見ていると、幸せな気持ちが身体を支配していった。
「あひぃ……♥ ぱんつぅ……♥」
「天国だよねー♥ だってぇ、プラナのぷにぷににお顔を埋めてくんくんしながらぁ♥」
「あ、……♥」
「ふにふに太ももで頬をマッサージされちゃうんだよぉ♥ こーやって♥」
「あひぃ……♥」
 身体の悲鳴はどこかに溶け消えた。
 プラナの太ももが優しく頬をぱふぱふしてくる。
 甘酸っぱい香りのするパンツに顔を埋めてしまえば、全てがどうでもよくなった。
 気持ちよすぎる。
 こんなの、絶対に抗えない。
「あ、あひぃ……♥」
「きゃはは♥ 潰れちゃえ、潰れちゃえ♥
 お顔と一緒に、ほらほら、プライドも自信もすりつぶされちゃえ♥」
 人間として、もう全てがどうでもよくなってくる。
 プラナの言葉通り、何もかも捨てて、プラナに溺れたい。
「負けろ、負けろ♥ 二度と勝てないって刻め、刻め♥
 きゃはは♥ おちんちんは触っちゃだーめ♥ イったら終わっちゃうよ♥」
 すっかり元気になったモノを触ろうとしたら、ダメと言われた。
 切なそうに震え始めた俺のモノから俺は気を逸らそうと、腰を軽く振ってしまう。
「なにそれ? おねだり? きゃはは♥
 そっかぁ……、でも、ロリコンマゾの所長さんはちゃんと言うこときけるよね?」
 頷くと、プラナが俺の頭を抑えてきた。
「きゃはは♥ 何も考えられなくしてあげるぅ♥」
 太ももを淫らに動かして俺の頬を蹂躙してくる。
 不規則に与えられる快感に頭が揺さぶられ、甘酸っぱい香りが俺を翻弄していく。
「ぐちゃぐちゃにしてやる~。きゃはは♥」
 顔から上にある全ての細胞に、プラナとの甘い記憶がすり込まれていく。
 快感で包まれ、もはや笑うことしかできない。
 笑みが漏れると、プラナが俺の顔を強く秘部に押しつけてきた。
「変な笑いはしなくていいから♥
 ほら、さっきより、強めに、むにむにむにむに~♥」
「あふぅ! むぅうう……♥」
「きゃは♥ 深呼吸♥ やすんでいーよ♥」
 言われたとおりに深呼吸しようとするも、ぴったりと密着して少ししかできない。
 わずかな隙間から音を立てて深く息を吸うと、プラナが大笑いした。
「きゃははは! ほらほら、深呼吸できないねぇ♥
 こんなにちっちゃいプラナのお手々を、どーして振り払えないのかなぁ♥」
 プラナが手を放した。
 上を向くと、プラナと目が合った。
「きゃはは♥ すっごい切なそうな顔しちゃってる♥
 ねえねえ、イきたい? いますぐにイきたい?
 そうだよね、いまイったらすっごくきもちいいよね♥
 ぴゅーってしたいよね♥ ぜーんぶ吐き出して、頭空っぽになっちゃいたいよね♥」
 悪魔の微笑をプラナは浮かべた。
「じゃあ、この前と同じ質問をしちゃおっかなぁ♥」
 深紅の瞳が、妖しく光った。
「所長さんは、誰の奴隷?」
 言ってはいけない。
 言えば、呪縛される。
 そして、その治療はほぼ不可能。
 仲間の何人もが、夢魔族によって廃人にされた。
 だが、もう迷うことなどなかった……。
「プラナ様ですぅ……♥」
「きゃはは♥ そうだよね♥ やっと即答できるようになったね♥
 プラナ、うれしいけどぉ……、ちょっと心配かもぉ……♥」
 プラナが太ももの谷間を緩めていく。
「所長さん、本当に?」
 物足りなさを感じ始めたとき、プラナがにっこりと微笑んだ。
「本当かなぁ?」
「ほ、ほんとうです……」
「プラナ、信用できないなぁ♥」
 太ももの谷間のさらさらふにふにの快感が欲しい。
 魅惑のぷにぷにに顔を埋めたい。
「ほんとうですからぁ……」
「きゃはは! そこまで言うなら、信じてあげてもいいけどぉ……♥
 口約束だけじゃ物足りないからぁ……、ちゃーんと契約しよーね♥ 奴隷契約♥」
 契約なんてしたら、二度とプラナに逆らえない。
 絶対にダメだ。
 そう思ったとき、プラナが指でパンツをずらしてきた。
 ぷっくりとした淫靡で綺麗な秘部が見えた。
「ほーら♥ 所長さんが見たかった、プラナのエッチなアソコだよ♥
 奴隷になります、ってプラナのお目々を見て言ってから、プラナのアソコにキスして♥」
「あひぃ♥」
 頭が真っ白になった。
 静かに口を近づけていく。
 キス、したい。味わいたい……♥
「言っておくけど、これやっちゃったら人間として最後だからね♥
 二度と解けない♥ 所長さんは一生、プラナの奴隷♥ 逆らえない♥」
 そんなこと、気にならなかった。
 したい。ずっとキスしていたい。
「でもぉ……、キスした瞬間はすんごく気持ちいいよぉ♥
 プラナの太ももスリスリを味わいながらだからぁ、絶対に忘れられない♥
 思い出すだけでイけちゃう身体になっちゃう♥ きゃはは♥」
 プラナが太ももの谷間で絞めてくる。

 あはぁ……♥

 柔らかい太ももぱふぱふに酔いしれてしまい、その場で呆然としてしまった。
「最高に気持ちいい瞬間を味わうかわりに、所長さんは人間をやめちゃう♥
 奴隷♥ プラナの奴隷♥ プラナに一生、逆らえない♥ でーも、幸せ♥」
「あ、あう……♥」
「きゃはは♥ ほーら♥ 言え♥」
 俺は上を向いて、プラナの深紅の瞳を見つめた。
「プラナ様の奴隷に……、なります……♥」
「きゃは♥ ねえねえ、誓いのキスは?」
 顔を埋めて、秘部に、キスをした。

 びゅくーーーーーーーー!!
「あううううううううううううううううううう!!!!!!!!!」

 雷に打たれたかのように、強烈な快感が全身に一気に流れていった。
 身を焦がすほどの、狂ってしまうような快感に下半身は震えっぱなしになった。
「きゃは♥ 契約しちゃった♥
 ほーら、この出来たてのハートマークを見てぇ♥ これぇ♥」
 射精が止まらない。
 快感が止まらない。
 気持ちよすぎて、言葉がでない。
 ハートマークなんて見えない。
 プラナが俺の髪を掴んで上を向かせてきた。
 そして、満足そうに見つめてきた。
「きゃはは♥ お目々がとろとろ♥
 もう、そのお目々は一生、虚ろなまんま♥ きゃはは、プラナの奴隷♥」
 そして、ミニスカートのハートマークを指差して俺に見せてきた。
「このハートマークはぁ、所長さんが奴隷になったことの証♥
 所長さんはぁ、これから一生、プラナのために研究を続けるんだよ、分かった?」
 分かりましたと、頷いた。
「きゃはは♥ それじゃあ今日はこのまま潰れていーよ♥
 太ももで潰して、終わらせてあげる♥ きゃはは♥」
 プラナが太ももでスリスリしながら、少しずつ締め上げてくる。
 恍惚感が頭に流れてくる。
 あう♥ あうう……♥
「ほら、ほらほらほらほら♥
 イけイけイけイけ♥ 無様に、イーけ♥」

 びゅくぅ!
 あふぅ……。

「好きなだけイっちゃえ♥ きゃははは♥」

 びゅくぅ!
 びゅくびゅくぅ!

 意識が遠のいていく……。
 絶頂時の快感を何度も味わいながら、眠るように、静かに瞼が落ちてくる。
「きゃはは! 堕ちた、堕ちた♥ かっこわるーい♥
 きゃはは! きゃははは! きゃはははは!!!」
 プラナの笑い声が耳に入ってくる。
 その笑い声を聞けるだけで、俺は幸せだった……。

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